企業年金における「運用の基本方針」とは？

企業年金における「運用の基本方針」とは？

「運用の基本方針」の必要性

– 運用の基本方針の必要性確定給付企業年金や厚生年金基金といった企業年金制度は、従業員が安心して老後の生活を送れるよう、企業が将来の給付を約束する制度です。将来の給付を確実に行うためには、あらかじめ決められた運用利回り（予定運用利回り）を確保する必要があります。しかしながら、年金制度を取り巻く経済環境や市場の動きは常に変化しており、予測することは容易ではありません。そこで、効率的かつ安定的に年金資産を運用し、予定運用利回りを達成するためには、長期的な視点に立った戦略的な資産運用が欠かせません。そして、その土台となるのが「運用の基本方針」です。「運用の基本方針」は、年金資産の運用目標や運用期間、リスク許容度などを明確化し、長期的な視点に立った運用戦略を策定するための羅針盤となります。具体的には、「運用の基本方針」では、運用目標としてどれくらいの利回りを目指すのか、どれくらいの期間で運用するのか、リスク許容度としてどれくらいの損失の可能性までなら許容できるのかなどを明確にします。そして、これらの要素を踏まえ、国内外の株式や債券、不動産など、どのような資産にどのような割合で投資していくのかといった基本的な方針を定めます。このように、「運用の基本方針」を策定し、それに基づいて運用を行うことは、年金資産の運用を効率的かつ安定的に行い、長期的な視点で予定運用利回りの達成を目指す上で非常に重要です。

「運用の基本方針」の内容

– 運用の羅針盤となる「運用の基本方針」「運用の基本方針」とは、企業年金における資産運用をどのように行うか、その基本的な考え方を定めたものです。これは、いわば企業年金制度という航海の羅針盤であり、制度運営の指針となる重要なものです。この「運用の基本方針」では、まず資産運用を行う目的を明確にします。従業員の老後保障のためなのか、それとも企業の財務戦略の一環として行うのか、目的によってその後の運用方法も変わってくるからです。次に、運用目標とする利回りを設定します。目標とする利回りは、どの程度の収益を目指していくのかを示すものであり、リスク許容度と合わせて検討する必要があります。そして、どの程度の損失までなら許容できるのか、リスク許容範囲を定めます。リスク許容度は、企業の財務状況や年金制度の成熟度などを考慮して慎重に決定する必要があります。さらに、株式や債券など、どのような資産にどのように配分していくか、具体的な資産配分の考え方を明確にします。加えて、運用業務を誰にどの程度の責任と権限を持たせて実行するか、運用担当者の責任と権限を明確化します。最後に、運用の状況をどのように評価するのか、評価方法を定めます。定期的に運用状況を評価することで、必要に応じて運用方法を見直し、改善していくことができます。これらの項目を具体的に定めることで、組織全体として一貫性のある運用体制を構築し、効率的な運用とガバナンスの強化を図ることができます。

「運用の基本方針」策定の義務

– 運用の基本方針策定の義務

企業年金は、従業員の退職後の生活を支える大切な役割を担っています。将来にわたって加入者や受給者へ安定した給付を約束するため、国は全ての企業年金に対し「運用の基本方針」の策定を義務付けています。これは、企業年金が適切なリスク管理の下で効率的な資産運用を行うよう促すためのものです。

「運用の基本方針」は、企業年金の運用に関する羅針盤となる重要な指針です。運営主体は、自社の財務状況や年金制度の成熟度、従業員の年齢構成などを考慮し、実態に即した方針を策定する必要があります。

例えば、財務状況が安定していて、若い従業員が多い企業であれば、長期的な視点に立ち、比較的リスクの高い投資を選択することも考えられます。一方、成熟した年金制度で高齢の受給者が多い場合は、元本確保を重視した運用が求められます。

「運用の基本方針」策定にあたり、専門家である年金コンサルタントや金融機関の意見を踏まえることも重要です。専門家の知見を活用することで、より精緻で実効性の高い方針を策定することができます。

「運用の基本方針」と企業の責任

企業年金は、従業員が老後の生活設計を安心して描くための重要な役割を担っています。企業には、従業員の将来を預かる責任があり、年金制度を健全な状態で維持していくことが求められます。そのために重要な指針となるのが「運用の基本方針」です。

「運用の基本方針」とは、企業年金基金が、従業員の年金を運用する上で、どのような価値観や目標を重視するのかを明確にするものです。具体的には、運用目標やリスク許容度、資産配分の考え方などが定められます。この方針に基づき、企業は長期的な視点に立って、安全性を第一に考えながらも、将来の年金給付に必要な収益を確保できるよう、効率的な資産運用を行わなければなりません。

しかし、「運用の基本方針」は、一度策定したら終わりではありません。経済状況や市場環境は常に変化しており、それに合わせて「運用の基本方針」も定期的に見直し、必要があれば変更を加え、常に最新の状態に保つことが重要です。

企業は、「運用の基本方針」を適切に策定し、運用していくことを通して、従業員の老後の生活を守るという重要な責任を果たしていく必要があります。