自主解散型基金とは?
投資について知りたい
先生、「自主解散型基金」って、どういう意味ですか?難しい言葉でよくわかりません。
投資アドバイザー
簡単に言うと、お金が足りなくなってしまって、解散することになった年金制度のことだよ。みんなが将来受け取るはずのお金が減ってしまう可能性があるから、国が代わりに払うこともあるんだ。
投資について知りたい
へえー。どうしてそんなにお金が足りなくなっちゃうんですか?
投資アドバイザー
理由はいろいろあるけど、例えば、運用がうまくいかなかったり、加入者が減ってしまったりすることが考えられるね。年金のお仕組みは複雑だから、また機会があったら詳しく勉強してみよう!
自主解散型基金とは。
「自主解散型基金」とは、簡単に言うと、将来、年金のお金を運用して増やそうとしても、約束した金額より少なくなりそうな年金基金のことです。このような基金は、平成26年4月1日から5年以内に、国に助けを求めることができます。具体的には、年金のお金を納める際に、負担を軽くしてもらったり、分割して納めさせてもらったりすることができるようになります。ただし、このような申請をすると、申請した月の翌月から、国が代わりに払ってくれる一部の年金以外は、支給が止まってしまいます。国が代わりに払ってくれる年金は、基金が解散を認められる月までは基金から、認められた月の翌月からは国(年金機構)から支給されます。
自主解散型基金の概要
– 自主解散型基金の概要近年、企業年金の一つである厚生年金基金において、将来的な解散を予定している「自主解散型基金」という言葉を耳にする機会が増えてきました。 この自主解散型基金とは、一体どのようなものを指すのでしょうか?厚生年金基金は、従業員の老後の生活を支えるための年金を運営しており、将来にわたって年金を支払う義務があります。 そのためには、年金給付に必要な資金を「年金資産」として保有し、将来の年金支払いに備える必要があります。 この年金資産は、株式や債券などで運用され、長期的に成長させることを目指しています。しかし、様々な要因によって年金資産の運用がうまくいかず、将来の年金給付に必要な金額を確保することが難しいと予想される場合があります。 このような状況に陥った基金が、自主的に解散することを選択するケースがあります。これが「自主解散型基金」です。より具体的には、将来解散を予定している基金のうち、解散時に年金資産が「最低責任準備金」を下回ると見込まれる基金が「自主解散型基金」に分類されます。 この「最低責任準備金」とは、将来の年金給付を最低限保障するために必要な金額を指します。 つまり、自主解散型基金とは、将来の年金給付の義務を十分に果たせるだけの資産を持っていない可能性が高いと判断された基金と言えます。自主解散型基金に加入している従業員にとっては、将来受け取れる年金額が減額される可能性があり、注意が必要です。
項目 | 説明 |
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自主解散型基金とは | 将来的な解散を予定しており、解散時に年金資産が「最低責任準備金」を下回ると見込まれる厚生年金基金のこと |
厚生年金基金の役割 | 従業員の老後の生活を支えるための年金を運営し、将来にわたって年金を支払う義務を持つ |
年金資産 | 将来の年金給付に必要な資金を指し、株式や債券などで運用される |
自主解散に至る背景 | 年金資産の運用がうまくいかず、将来の年金給付に必要な金額を確保することが難しいと予想される場合、基金が自主的に解散を選択することがある |
最低責任準備金 | 将来の年金給付を最低限保障するために必要な金額 |
自主解散型基金への加入者の影響 | 将来受け取れる年金額が減額される可能性がある |
自主解散型基金の設立背景
近年、日本の社会構造は大きく変化しており、少子高齢化や平均寿命の伸びは、年金制度の維持に大きな課題となっています。
特に、企業年金の一つである厚生年金基金においては、加入する従業員の減少や、投資環境の悪化による運用成績の低迷などから、年金資産が目減りし、厳しい運営を強いられているケースも見られます。
このような状況を受けて、加入者への不利益を最小限に抑えつつ、年金基金の解散を円滑に進めるための枠組みとして、自主解散型基金という制度が作られました。
これは、財務状況が悪化している基金が、自主的に解散することを選択できるようにすることで、計画的に年金給付の縮小や資産の分配などを進め、加入者への影響を最小限に抑えることを目的としています。
課題 | 対策 | 詳細 |
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少子高齢化、平均寿命の伸びによる年金制度の維持 | 自主解散型基金制度 | 財務状況が悪化している基金が自主的に解散を選択できるようにする 計画的に年金給付の縮小や資産の分配などを進め、加入者への影響を最小限に抑える |
自主解散型基金への移行と支援措置
– 自主解散型基金への移行と支援措置平成25年の法改正により、新たな枠組みとして自主解散型基金が創設されました。これは、従来の制度では困難であった基金の解散を円滑に進めることを目的としたものです。
従来の制度では、基金が解散する場合、積立金の残余財産を国庫に納付しなければなりませんでした。しかし、自主解散型基金に移行することで、残余財産を他の公益財団法人や地方公共団体に寄付したり、基金事業に関連する事業を行う団体に助成したりすることが可能となりました。
さらに、自主解散型基金への移行を促進するため、国はいくつかの支援措置を設けました。その一つが、平成26年4月1日から5年以内という期限付きながら、納付額の特例認定を受けることができるというものです。これは、残余財産の使途等に応じて、国庫に納付する金額が軽減される制度です。また、分割納付の承認申請も可能となり、財政状況が厳しい基金でも、無理なく解散に向けた準備を進めることができるようになりました。
これらの支援措置は、基金が抱える様々な課題を解決し、公益性を維持しながら円滑に解散することを支援することを目的としています。
項目 | 内容 |
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制度の背景 | 従来制度では基金解散時に積立金残余財産の国庫納付が必須であったため、新たな枠組みとして自主解散型基金が創設された。 |
自主解散型基金のメリット | – 残余財産を他の公益財団法人や地方公共団体に寄付可能 – 基金事業に関連する事業を行う団体に助成可能 |
支援措置 | – 平成26年4月1日から5年以内という期限付きで、納付額の特例認定 – 分割納付の承認申請 |
支援措置のメリット | 財政状況が厳しい基金でも、無理なく解散に向けた準備を進めることが可能 |
給付支給停止と代行部分の支給
– 給付支給停止と代行部分の支給企業年金を運営する自主解散型基金は、解散の手続きを進める中で、加入者への年金給付を国が一部肩代わりする「代行割れ」という制度を利用できます。これは、加入者への給付を確保しつつ、基金が円滑に解散手続きを進めることを目的としています。具体的には、基金が解散することを国に認可してもらう際に、将来の年金給付の一部を国が負担するよう、申請を行います。承認されると、申請を行った月の翌月から、国が負担する部分を除いた年金の支給が一時的に停止されます。停止される部分は、国が将来支払いを肩代わりする部分であり「代行部分」と呼ばれます。代行部分は、基金解散の認可が下りるまでは、これまで通り基金から支給されます。そして、認可を受けた月の翌月分から、国が運営する年金機構から支給されるという流れになります。この仕組みにより、基金は解散に向けて必要な資金を確保しやすくなる一方、加入者にとっては、年金の一部の支給が一時的に停止されるものの、将来にわたって年金を受け取れるという安心感を得られます。また、国が支給する部分については、年金機構という確実な機関から受け取れるため、より安心して老後の生活設計を描くことができます。
項目 | 内容 |
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制度名 | 代行割れ |
目的 | 加入者への給付を確保しつつ、基金が円滑に解散手続きを進めるため |
内容 | 基金解散時に、将来の年金給付の一部を国が負担する制度。申請が承認されると、国が負担する部分(代行部分)の支給が一時的に停止される。 |
代行部分の支給停止期間 | 基金が解散を国に認可してもらうための申請を行った月の翌月〜認可を受けた月の前月 |
代行部分の支給再開後 | 認可を受けた月の翌月分から、国(年金機構)が支給 |
基金側のメリット | 解散に向けて必要な資金を確保しやすくなる |
加入者側のメリット | 一時的に年金支給が停止されるものの、将来にわたって年金を受け取れる安心感を得られる。また、国(年金機構)という確実な機関から支給されるため、安心して老後の生活設計を描くことができる。 |
自主解散型基金の今後と加入者の対応
近年、企業年金の積立不足が深刻化し、年金制度の維持が困難になるケースが増えています。そうした中、厳しい財務状況にある基金が解散という選択肢を選べるようにする制度が、自主解散型基金です。
自主解散型基金への移行は、加入者にとってメリットばかりではありません。従来の基金であれば、企業努力によって年金支給が継続される可能性もあったものが、自主解散型基金に移行すると、将来的に年金の給付が停止される可能性があります。また、年金の減額が行われるケースもあります。
加入者としてまず行うべきことは、自身の加入している基金の財務状況や、自主解散型基金に移行する可能性について確認することです。運営主体である企業や組合は、加入者に対して、こうした情報を開示する義務を負っています。
また、自主解散型基金の制度や、年金制度全般について理解を深めることも重要です。公的機関や専門機関の情報提供サービスなどを活用し、将来の年金受給について、しっかりと準備しておくようにしましょう。年金は、老後の生活設計において重要な役割を担います。不安を感じる場合は、早めに専門家へ相談することも有効な手段です。
項目 | 内容 |
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背景 | 企業年金の積立不足が深刻化し、年金制度の維持が困難なケースが増加 |
自主解散型基金とは | 厳しい財務状況にある基金が解散という選択肢を選べるようにする制度 |
加入者への影響 |
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加入者が取るべき行動 |
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