整理回収銀行とは？

整理回収銀行とは？

整理回収銀行の設立背景

1990年代後半、日本経済は深刻な不況に見舞われました。特に、1980年代後半のバブル経済期に、不動産や株への過剰な融資を行っていた金融機関は、その後の地価や株価の急落によって、回収の見込みが立たない不良債権を多額に抱え、経営が急速に悪化しました。そして、実際に破綻する金融機関も相次ぎました。
このような金融システム不安の状況下、国民の預金を守る預金者保護と、経済活動の基盤となる金融システムの安定を図ることが喫緊の課題となりました。
そこで、破綻した金融機関の抱える資産や債務を、国が設立した専門機関が引き取り、処理する仕組みが必要となりました。
こうして、1998年10月、破綻した2つの信用組合の業務を継承するために、東京共同銀行が設立されました。
この東京共同銀行が、後の整理回収銀行であり、現在の預金保険機構の前身となる機関です。

整理回収銀行の目的

– 整理回収銀行の目的

経営が行き詰まり、破綻してしまった金融機関から、国民生活や経済への影響を最小限に抑えるために、国が設立した特別な銀行が整理回収銀行です。その最大の目的は、破綻した金融機関から引き継いだ様々な財産を適切に管理・処分し、債権の回収を図ることでした。

具体的には、まず破綻した金融機関が保有していた預金や融資といった資産を一つ一つ丁寧に調べ、その価値を判定し、状態に応じて分類・整理しました。そして、回収の見込みがある債権については、債務者と粘り強く交渉したり、場合によっては法的措置をとったりするなど、あらゆる手段を講じて回収を進めました。

整理回収銀行は、こうして回収した資金を元手に、預金者への払い戻しや債権者への弁済を行いました。このように、整理回収銀行の活動は、破綻した金融機関の後始末という重要な役割を担い、日本の金融システムの安定化に大きく貢献しました。

整理回収銀行から整理回収機構へ

当初は東京共同銀行という名前で設立された銀行は、その後、整理回収銀行という名前に変わり、行う業務の幅を広げていきました。この銀行は、社会全体にお金が行き渡るように、経営が苦しくなった企業や金融機関から、担保の代わりとなるものや、株式、お金を回収するという大切な役割を担っていました。そして、2001年4月、住宅金融債権管理機構という、住宅ローンに関する問題を扱う組織と一緒になり、整理回収機構という新たな組織が誕生したのです。この整理回収機構は、整理回収銀行の業務を引き継ぎ、さらに住宅金融公庫の抱える不良債権の処理など、以前よりも幅広い業務を担うようになりました。