経済の用語

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経済指標「名目GNP」:その意味と重要性

- 名目GNPとは名目GNP(名目国民総生産)は、ある一定期間内に国内で生産されたモノやサービスの合計額を表す指標です。これは、一国の経済規模を測る上で欠かせない指標の一つとされています。具体的には、国内の企業や個人が生産活動によって生み出した付加価値の総額に、海外からの所得の純受取額(海外からの所得から海外への所得を差し引いたもの)を加えることで算出されます。ここでポイントとなるのが、「名目」という言葉です。これは、計算にあたり、現在の価格が使われていることを意味します。つまり、物価の変動は考慮されていません。例えば、ある年の名目GNPが100兆円だったとします。そして、翌年には物価が10%上昇したとしましょう。もし、生産量や海外からの所得に変化がなければ、翌年の名目GNPは110兆円となります。これは、物価の上昇によって、同じ量のモノやサービスでも、より多くの金額で取引されるようになったためです。このように、名目GNPは物価変動の影響を受けるため、経済の実際の成長を正確に反映しているとは限りません。しかしながら、ある時点における経済規模を把握するには有効な指標と言えるでしょう。
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契約自由の原則と強行規定

- 契約自由の原則とは 私達の日常生活において、物はもちろんのこと、サービスの提供など、様々な場面で契約が結ばれています。実は、こうした契約が当事者同士の自由な意思によって成立していることを保証しているのが「契約自由の原則」です。 この原則は大きく分けて二つの側面を持っています。一つは「契約締結の自由」です。これは、誰と契約するか、あるいは契約をするかどうかを、自分の意思で自由に決定できる権利を意味します。例えば、無理やり物を買わされたり、反対に、正当な理由なくサービスの利用を拒否されたりすることがあってはいけません。 そしてもう一つが「契約内容の自由」です。これは、契約の内容、例えば商品の価格やサービスの内容、支払い方法などを当事者間で自由に決めることができることを意味します。もちろん、法律や公序良俗に反する内容は認められませんが、そうでない限り、当事者間の合意が尊重されます。 このように契約自由の原則は、私達が安心して経済活動を行う上で、非常に重要な役割を果たしているのです。
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GNIで知る国の豊かさ

- 国民総所得(GNI)について解説 GNIとは、国民総所得(Gross National Income)の略称で、ある国に居住する国民が1年間でどれだけの所得を得たかを示す経済指標です。 国内で生産活動が行われると、そこで新たに価値が生み出されます。これを付加価値といい、国内のあらゆる産業で生み出された付加価値の合計を国内総生産(GDP)と呼びます。 一方で、GNIはGDPに海外からの所得の純受取を加えて算出します。海外からの所得の純受取とは、海外からの給与や投資収益などから、海外への給与や投資収益などを差し引いたものです。 つまり、GNIは国内で生み出された所得だけでなく、海外からの所得も含めた、国民全体が稼いだ所得の合計を表していると言えます。 GNIは、国の経済規模や国民の生活水準を把握する上で重要な指標の一つとして、国際比較などに用いられます。
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株価上昇のサイン? 強含みとは

株式投資の世界には、独特の表現や専門用語が数多く存在します。その中でも、「強含み」という言葉は投資家たちの間でよく飛び交い、市場の注目を集めることがあります。では、この「強含み」とは一体どのような状態を指すのでしょうか? 簡単に言うと、「強含み」とは、現在の株価がすでに高い水準にあるにもかかわらず、今後さらに上昇する可能性が高いと予想される状態を意味します。 例えば、ある企業が画期的な新製品を発表したり、業績予想を大幅に上方修正したりした場合、その企業の株価は「強含み」の状態となる可能性があります。投資家たちは、その好材料によって将来的な利益拡大を見込み、株の買い注文を積極的に出すため、株価は上昇圧力を受けることになるのです。 「強含み」は、市場全体が活況を呈している状況下で特に多く見られます。投資家心理が強気に傾き、リスクを取ってでも積極的に投資を行おうとする機運が高まっているため、わずかな好材料でも株価が大きく反応しやすくなるからです。 しかし、「強含み」だからといって、必ずしもその後も株価が上昇し続けるという保証はありません。市場環境や企業業績の変化などによって、株価は予想に反して下落する可能性も常に秘めていることを忘れてはなりません。
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金融の基礎知識:無担保コール翌日物金利とは?

私たちが普段利用している銀行は、預金を集めて企業や個人にお金を貸し出すことで利益を得ています。銀行は預かっているお金を元手に、住宅ローンや事業資金などを貸し出し、その利息で収益を上げています。しかし、銀行といえども、毎日必ず資金に余裕があるとは限りません。例えば、給料日など特定の日に預金の払い戻しが集中すると、その分貸し出しに回せるお金が減ってしまいます。また、企業からまとまった融資の申し込みがあった場合など、手持ちの資金だけでは足りないという事態も起こりえます。 このような場合、銀行はどのように対処するのでしょうか? 実は、銀行同士で短期間でお金を貸し借りすることで、資金の過不足を調整しています。銀行間で翌日返済の約束でお金を貸し借りする市場を「コール市場」と呼びます。銀行は、コール市場を通じて資金を調達することで、急な預金の払い戻しや融資の申し込みにも対応できるのです。私たちが安心して銀行を利用できるのも、このような銀行間の資金調達システムがあるからこそと言えるでしょう。
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無担保コールレートとは?

- 無担保コールレートの概要銀行などの金融機関は、日々多くのお金の出し入れを行っています。預金者が預金を引き出したり、企業への融資を行ったりと、その金額は膨大です。このような業務を行う中で、金融機関は、預金の受け入れと貸し出しのバランスを適切に保ち、安定的に資金を運用していく必要があります。このバランスを調整するために活用されるのが「無担保コール市場」です。無担保コール市場では、金融機関同士が担保なしで、ごく短期間(主に翌日返済)、資金を貸し借りしています。この際の金利を「無担保コールレート」と呼びます。翌日返済の取引が中心であることから、「オーバーナイト・コール・レート」とも呼ばれます。金融機関は、預金準備率などの規制により、一定割合以上の資金を日本銀行に預け入れる必要があります。日々の業務の中で資金が不足する場合には、この無担保コール市場で他の金融機関から資金を借り入れ、逆に資金が余剰している場合には、他の金融機関に貸し出すことで、効率的に資金調達や運用を行っています。このように、無担保コールレートは、金融機関の資金調達の短期的な指標となる重要な金利の一つと言えるでしょう。
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無担保コール:信用取引の基礎知識

- 無担保コールとは 金融機関同士が短期的な資金調達や運用を行う市場において、「コール取引」と呼ばれる仕組みが存在します。 コール取引には、担保の有無によって「有担保コール」と「無担保コール」の二種類があります。 一般的に「コール取引」というと、貸し手が借り手に対して、担保として有価証券などを要求する「有担保コール」を指します。 一方、「無担保コール」は、その名の通り、担保を全く必要とせずに金融機関同士が資金を貸し借りする取引です。 無担保コールは、有担保コールに比べて、担保評価や管理の手間が省けるため、より迅速かつ簡便に資金を調達できるというメリットがあります。 しかし、その反面、貸し手は、借り手が万が一債務不履行を起こした場合、担保によって資金を回収することができません。 そのため、無担保コールでは、貸し手は借り手の信用リスクを負うことになり、貸出金利は、借り手の信用力に応じて変動します。 一般的に、信用力の高い金融機関ほど、低い金利で資金を借りることが可能となります。 無担保コールは、主に、翌日物や週越し物など、ごく短期の資金運用や調達に利用されています。
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投資における「無相関」:リスク分散の鍵

- 無相関とは? 投資の世界で頻繁に耳にする「無相関」。 これは、2つの資産の値動きに関連性がないことを指します。 例えば、A社の株とB社の株を考えてみましょう。 A社の株価が上昇したとしても、B社の株価には全く影響がない、もしくは逆に下落してしまうことがあります。 これが無相関の状態です。 つまり、一方が上昇傾向であっても、他方が下降傾向になる可能性もありますし、反対に共に上昇する可能性もあるのです。 無相関の資産を組み合わせた投資は、リスク分散という観点から非常に重要です。 もし、全ての資産の値動きが同じ方向に動いてしまうと、資産全体が大きなリスクに晒されることになります。 しかし、無相関の資産を組み合わせていれば、仮に一つの資産の価値が下落したとしても、他の資産でカバーできる可能性が高まります。 このように、無相関の資産を理解し、ポートフォリオに組み入れることは、安定した資産運用を実現するために欠かせない要素と言えるでしょう。
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将来の稼ぎを今計算?給与現価とは

- 給与現価ってどういうお金? 給与現価とは、将来受け取る給与を、今の価値に換算した金額のことです。 将来受け取るお金は、すぐに受け取るお金よりも価値が低いと考えられています。 例えば、1年後に受け取る100万円と、今すぐに受け取る100万円では、どちらの価値が高いでしょうか? 多くの人が、今すぐ受け取る100万円の方が価値が高いと感じるでしょう。 それは、今すぐ受け取ったお金はすぐに使うこともできれば、投資に回して増やすこともできるからです。 一方、1年後に受け取る100万円は、すぐに使うことも、投資に回すこともできません。 つまり、お金はすぐに使うことができるほど、その価値は高くなるのです。 給与現価は、このような考え方を元に計算されます。 将来受け取る給与を、「もしも今すぐ受け取るとしたら、いくらになるのか?」を計算することで、給与の本当の価値を把握することができるようになります。
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信用創造の仕組みを無限等比級数の公式で理解する

私たちが銀行にお金を預けると、そのお金は安全な場所に保管され、必要な時に引き出すことができます。しかし、銀行は預かったお金のすべてをただ金庫に眠らせているわけではありません。 銀行は、預かったお金の一部を、万が一に備えた支払準備金として中央銀行に預け入れます。そして、残りの大部分のお金は、企業や個人への融資に回されます。 例えば、企業が新しい工場を建設するために銀行からお金を借りたり、個人が住宅ローンを組んで家を購入したりする際に、銀行預金が活用されています。銀行からお金を借りた企業や個人は、そのお金を使って経済活動を行い、経済を活性化させていきます。 このように、銀行は預金という形で集めたお金を、融資という形で企業や個人に提供することで、社会全体のお金の循環を生み出しているのです。この仕組みを信用創造と呼びます。信用創造は、経済活動を支え、成長を促す上で非常に重要な役割を果たしています。
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投資初心者必見!無リスク資産とは?

投資の世界では、リスクとリターンは切り離せない関係にあります。高い利益を狙えば狙うほど、投資したお金を失ってしまう危険性も高くなります。これは投資をする上での基本原則です。しかし、もし「元本割れのリスクがほとんどなく、確実に利益を得られる資産」があるとしたらどうでしょうか? 実はそういった資産は存在し、「無リスク資産」と呼ばれています。 無リスク資産とは、国が発行する債券や銀行預金などが代表的な例です。これらの資産は、元本が保証されており、確実に利益を得られると考えられています。もちろん、銀行が倒産したり、国が債務不履行に陥ったりする可能性はゼロではありません。しかし、これらのリスクは極めて低いとされ、現実的にはほぼ起こりえないと考えられています。 特に、投資を始めたばかりの方や、リスクを抑えながら着実に資産を増やしたいと考えている方にとって、無リスク資産は資産運用の第一歩として非常に重要な選択肢となります。まず、無リスク資産で運用経験を積みながら、投資の基礎知識やリスク管理を学ぶことは、その後の投資活動においても大いに役立つでしょう。
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給付現価:将来のお金の価値を今で考える

- 給付現価とは給付現価とは、将来にわたって定期的に受け取るお金を、現在の価値に換算した金額のことを指します。例えば、年金のように、将来にわたって毎年決まった金額を受け取れるとします。この場合、合計で受け取る金額は大きくなりますが、将来受け取るお金と今現在手元にあるお金では、価値が大きく異なるという点に注意が必要です。なぜなら、今手元にあるお金は、銀行預金や投資信託などに投資することで、時間をかけて増加していく可能性を秘めているからです。一方、将来受け取るお金は、受け取るまでは運用することができません。例えば、宝くじで10年間、毎年100万円受け取れるとしましょう。合計で1,000万円という大きな金額ですが、10年後の100万円と、今現在の100万円は同じ価値を持つと言えるでしょうか。今現在の100万円を元手に投資し、年間3%の利益が出たと仮定すると、10年後には約134万円になります。つまり、将来受け取る100万円は、現在の価値に換算すると約75万円ということになります。(計算を簡略化しています)このように、給付現価を理解することで、将来受け取るお金の本当の価値を把握することができます。年金や投資信託など、将来にわたって収益が発生する金融商品を検討する際には、給付現価を参考に、将来の収益を現在の価値で適切に評価することが重要になります。
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知っておきたい未収収益の基礎知識

- 未収収益とは 企業が事業活動を行う中で、商品を販売したりサービスを提供したりする場面は多くあります。その際に、代金をその場で受け取らず、後日に請求し、支払いを受けるというケースも珍しくありません。このような、すでに商品を販売またはサービスを提供し、代金を受け取る権利を持っているにも関わらず、まだ実際に受け取っていない収益のことを「未収収益」と言います。 未収収益は、将来受け取ることが確定している売上と考えられるため、企業の資産として計上されます。具体的には、貸借対照表の「流動資産」の項目に記載されます。 例えば、1年間のソフトウェア利用料を前払いでもらっている場合、サービスを提供した月ごとに、対応する利用料が収益として計上されます。この時、まだ提供していないサービス分の利用料は、将来受け取る権利に対応する収益として、未収収益として計上されます。 未収収益は、企業の経営状況を正しく把握するために重要な要素の一つです。未収収益を適切に管理することで、企業は健全な資金繰りを維持し、安定した事業活動を継続していくことができます。
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貿易乗数:国内経済への波及効果

貿易乗数とは 国の経済活動が活発になると、国内だけでなく、海外経済にも良い影響が波及し、それが巡り巡って再び国内経済を押し上げる効果が生まれます。この経済効果を数値化したものを「乗数効果」と呼びますが、特に貿易を通じて生じる効果を「貿易乗数」と言います。 例えば、政府が公共事業などにお金を使うとします。すると、そのお金は建設会社やそこで働く人たちの収入になります。これが経済活動の最初の刺激となり、人々の所得が増えることで消費が活発になります。また、企業は需要の増加に対応するために生産を増やし、新たな雇用も生まれます。こうして経済全体が潤っていく効果を「乗数効果」と呼びます。 国内で所得が増えると、人々は国内の商品だけでなく、海外の商品もより多く購入するようになります。これは輸入の増加を意味し、海外経済の活性化につながります。海外経済が活発になると、今度は海外の人々が日本の商品やサービスをより多く購入するようになり、日本の輸出が増加します。この輸出の増加は、国内の生産活動を更に活発化させ、再び所得の増加につながっていきます。このように、貿易を通じて国内経済に波及してくる効果を含めた乗数を「貿易乗数」と呼びます。 貿易乗数は、国の経済規模や貿易の依存度などによって異なり、数値が大きいほど、貿易を通じた経済効果が大きいことを示します。貿易乗数の理解は、政府が経済政策の効果を予測したり、適切な政策を実施する上で非常に重要となります。
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資産運用で損失?知っておきたい「逆ザヤ」のリスク

お金を増やす方法として、株式や債券、投資信託などに投資する資産運用があります。しかし、投資には必ずリスクが伴います。そのリスクの一つに「逆ザヤ」があります。逆ザヤとは、保有している投資対象の価格が下落し、買った時よりも売却価格や現在の価格の方が安くなってしまう状態のことです。 例えば、100万円で購入した投資信託があるとします。この投資信託が、市場の動きを受けて80万円に値下がりした場合、20万円の逆ザヤが発生していることになるのです。 逆ザヤが発生すると、投資家は損失を被ることになります。保有資産を売却する場合には、購入した時よりも安い価格で売却せざるを得ないため、その差額が損失となります。また、保有資産を売却しない場合でも、評価損として含み損を抱えることになります。 逆ザヤは、市場全体が下落する局面において発生しやすいため、景気動向や金利動向など、マクロ経済の動きを注視する必要があります。また、投資対象の分散投資を行うことで、特定の資産の下落による損失を軽減することができます。 さらに、長期的な視点で投資を行うことも重要です。短期間の価格変動にとらわれず、長期的に成長が見込める資産に投資することで、逆ザヤによる損失を軽減できる可能性があります。
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貿易収支をわかりやすく解説!

- 貿易収支とは?貿易収支とは、ある国が一定期間(例えば、1年間や1か月間)に海外へ輸出した財(モノ)やサービスの合計金額と、海外から輸入した財やサービスの合計金額の差額で表される指標です。簡単に言うと、輸出入の収支決算書のようなものです。輸出が輸入を上回る場合、つまり海外へ販売した金額が海外から購入した金額より多い場合は「貿易黒字」と呼ばれ、国の経済活動は活発であると判断されます。一方、輸入が輸出を上回る場合、つまり海外から購入した金額が海外へ販売した金額より多い場合は「貿易赤字」と呼ばれ、国内の経済活動が停滞気味である可能性を示唆します。貿易収支は、国の経済状況を把握するための重要な指標の一つですが、貿易収支だけで経済状況を全て判断できるわけではありません。例えば、一時的に高額な設備投資のために輸入が増加し、貿易赤字となるケースも考えられます。しかし、長期的に貿易赤字が続く場合は、国内産業の競争力低下や経済の不安定化などが懸念されるため、注意が必要です。
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私たちの暮らしを守る政府の役割

私たちの日常生活は、道路や公園、学校、病院といった、様々な公共サービスによって支えられています。これらのサービスは、私たちの生活の安全を確保し、より豊かなものにするために欠かせないものです。そして、これらの公共サービスを提供し、私たちの生活を守っているのが政府です。政府は、私たちが安心して暮らせる社会を維持し、発展させていくために、日々様々な活動を行っています。しかし、政府がこれらの活動を行うためには、大きな費用がかかります。その費用を賄うために、私たち一人ひとりから集めているのが税金です。 つまり、私たちが納める税金は、政府を通じて、より良い社会を築き、私たちの生活を向上させるために使われているのです。例えば、私たちが毎日安全に通行できる道路や橋は、税金によって建設・維持管理されています。また、子どもたちが質の高い教育を受けられるように、学校教育にも税金が投入されています。さらに、病気や怪我をした時に頼りになる病院や、高齢者を支える介護施設なども、税金によって運営されています。 このように、税金は、私たちがより安全で豊かな生活を送るための費用をみんなで負担し合い、社会全体で支え合うための大切な役割を担っていると言えるでしょう。
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銀行の預金の仕組みと法定準備率

私たちが給料日後などに銀行口座へ預け入れるお金は、銀行の店内にある金庫に保管されていると考える人もいるかもしれません。しかし実際には、銀行は預かったお金の全てを金庫に保管しているわけではありません。預金は銀行にとって預かりものであると同時に、企業や個人への融資に活用できるお金でもあるのです。 銀行は預かったお金の一部を、住宅ローンや事業資金などを必要とする人々に貸し出しています。そして、その貸し出しに対して利息を受け取ることで収益を得ています。銀行の主な収入源は、この利息収入なのです。預金者は必要な時にいつでも窓口やATMでお金を引き出すことができますが、銀行は預金の全額を常に金庫に保有しているわけではありません。預金の一部だけを手元に残し、残りは貸し出しに回すことでお金を有効活用しているのです。 このように預かったお金を貸し出し、そしてそのお金が経済活動を通じてまた預金として銀行に戻ってくるという循環を生み出すことで、銀行は経済全体にお金が回る仕組みを作っています。銀行の預金業務は、私たちのお金を安全に保管するだけでなく、経済全体にお金が循環し、成長を促進するという重要な役割も担っていると言えるでしょう。
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年金制度と政府負担金の役割

日本の年金制度は、国民皆保険と並んで、国民が老後も安心して生活を送れるよう支える重要な仕組みです。その中でも、企業が従業員のために独自に運営する年金制度である厚生年金基金は、従業員が老後の生活設計をより充実させられるよう、重要な役割を担ってきました。 厚生年金基金は、企業が従業員に対して、公的年金に上乗せして支給する年金制度です。従業員と企業がそれぞれ掛金を積み立てて運用し、従業員の退職後には、積み立てたお金と運用益をもとに年金を支給します。 政府負担金は、この厚生年金基金に対して国が支給するお金のことを指します。具体的には、厚生年金基金が従業員に年金を支払う際に、その一部を国が負担することで、企業の年金負担を軽減し、より安定的な年金支給を支援する役割を担っています。 近年では、公的年金制度の成熟や企業の業績変化などにより、厚生年金基金を取り巻く環境は大きく変化しています。しかし、政府負担金は、厚生年金基金の円滑な運営を支え、従業員の老後保障を強化するという重要な役割を今後も担っていくと考えられます。
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銀行の義務! 法定準備預金とは?

私たちが毎日利用する銀行は、預かったお金を預金として大切に保管しています。銀行はこの預金を、企業への事業資金の融資や、個人が家を購入するための住宅ローンなど、様々な形で貸し出すことで利益を得ています。預金は、このように社会全体のお金の循環を生み出し、経済活動を支える重要な役割を担っているのです。 しかし、銀行は預金の全てを貸し出してしまうことはできません。預金者から預金の払い戻し請求があった場合に備え、銀行は常に一定の金額を手元に残しておく義務があります。これが「準備金」と呼ばれるものです。銀行は、預金の受け入れ額に応じて、法律で定められた一定の割合以上の準備金を保有しなければなりません。もしもの時に備え、銀行は私たちのお金を預かる責任を果たしているのです。 準備金は、銀行の経営の安定性と預金者の預金の安全性を守るための重要な役割を果たしています。銀行は、預金と準備金のバランスを適切に保ちながら、経済活動の活性化と預金者の利益の両立を目指しているのです。
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銀行と経済の安定を守る法定準備制度

- 法定準備制度とは銀行や信用金庫などの金融機関は、私たちが預けたお金を元手に、企業への融資や証券投資を行っています。しかし、預金はいつでも引き出せるため、金融機関は預金のすべてを運用に回すことはできません。そこで、預金のうち一定割合を日本銀行に預け入れることを義務付けた制度が「法定準備制度」です。これは、別名で「準備預金制度」や「支払準備制度」とも呼ばれています。金融機関が日本銀行に預け入れるお金は「準備預金」と呼ばれ、この準備預金の額を決める割合が「法定準備率」です。例えば、法定準備率が1%で、ある銀行の預金残高が1兆円だった場合、その銀行は100億円を日本銀行に預け入れる義務があります。この制度の目的は、銀行の経営を健全に保ち、金融システム全体を安定させることです。銀行が預金のほとんどを運用に回し、十分な現金が手元に残っていない場合、預金者が預金を引き出せなくなる可能性があります。このような事態を防ぎ、銀行が安全かつ確実に預金の払い戻しに応じられるよう、法定準備制度は重要な役割を担っているのです。さらに、法定準備制度は、景気の過熱や冷え込みを抑える効果も期待されています。景気が過熱して物価が上昇しすぎそうなときは、日本銀行は法定準備率を引き上げます。すると、銀行はより多くの準備預金を日本銀行に預け入れる必要が生じ、その分、企業への融資や証券投資に回せるお金が減ります。その結果、世の中に出回るお金の量が減り、物価の上昇が抑えられる効果が期待できます。逆に、景気が冷え込んで物価が下がりすぎそうなときは、法定準備率を下げることで、銀行の資金供給を促し、景気を刺激することができます。このように、法定準備制度は、金融システムの安定と経済の健全な発展のために重要な役割を果たしていると言えます。
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政府住宅投資:暮らしを支える国の役割

- 政府住宅投資とは政府住宅投資とは、国民が安心して生活できる住まいを確保するために、国が資金を投入して住宅の供給や住環境の整備を行うことです。国民一人ひとりが安全で快適な暮らしを送れるよう、様々な支援策が実施されています。代表的なものとして、まず挙げられるのが公営住宅の建設です。これは、収入が低い世帯など、住宅を確保することが難しい人々に対して、国や地方公共団体が低廉な家賃で住まいを提供する制度です。これにより、住居費の負担を軽減し、経済的な事情を抱える人々の生活の安定を図っています。また、住宅ローンの金利優遇制度も重要な役割を担っています。これは、住宅ローンを組む際に、国が金利の一部を負担することで、借入者の返済負担を軽減する制度です。この制度によって、マイホームの取得を希望する人々を支援し、住宅需要の促進を図っています。さらに、老朽化した住宅の改修やバリアフリー化、耐震化などを支援する制度もあります。これらの制度は、既存の住宅の安全性や快適性を向上させることで、国民が安心して長く住み続けられる環境づくりを目指しています。このように、政府住宅投資は、国民の住生活の安定と向上に大きく貢献しています。
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法人内部留保:その仕組みと現状

- 法人内部留保とは 企業は、事業活動を通じて収益を上げ、そこから様々な費用を支払った後に利益を得ます。この利益は、株主への配当金や役員報酬、税金の支払いに充てられますが、それらを差し引いた残りの金額を会社に積み立てておくことができます。これが「法人内部留保」です。 法人内部留保は、いわば企業の貯金のようなもので、正式には「利益剰余金」と呼ばれます。 法人内部留保は、企業の将来の事業展開にとって非常に重要な役割を担っています。例えば、 * 新しい工場や設備への投資 * 新商品やサービスの研究開発 * 企業買収や事業提携 * 従業員の雇用や人材育成 など、将来の成長や競争力強化のために必要な資金として活用されます。 また、景気後退や不測の事態が発生した場合に備え、運転資金や緊急時の資金として内部留保を積み立てておくことは、企業の安定性を維持する上でも重要です。 しかし、法人内部留保は、必ずしも多い方が良いというわけではありません。過剰な内部留保は、株主への還元が少なくなるため、株価の低迷や投資家からの批判を招く可能性もあります。 そのため、企業は、内部留保の適切な水準を見極め、株主への利益還元と企業の成長投資のバランスを図ることが重要となります。
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欧州評議会の要、議員会議とその役割

- 欧州評議会の構成 欧州評議会は、人権保護、民主主義、法の支配という共通の価値観をヨーロッパ全体に広めることを目的として設立された国際機関です。その活動は多岐にわたっており、様々な機関が協力してその役割を担っています。 その中でも中心的な役割を担うのが欧州評議会の議員会議です。議員会議は、欧州評議会に加盟する46カ国の議会から選出された議員によって構成されています。議員たちは、それぞれの国の意見を代表し、欧州評議会全体の活動方針や具体的な政策について議論し、決定します。 議員会議は、人権、民主主義、法の支配といった重要なテーマについて議論し、その結果として勧告や決議を採択します。これらの勧告や決議は、加盟国に対して法改正や政策の見直しを促すなど、大きな影響力を持っています。また、議員会議は、欧州人権裁判所の判事を選出するなど、他の欧州評議会の機関の活動にも関与しています。 このように、欧州評議会は議員会議を中心に、様々な機関が連携しながら、ヨーロッパの人権、民主主義、法の支配の促進に貢献しています。