経済の用語

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計画経済とは?仕組みとメリット・デメリットを解説

- 計画経済の概要計画経済とは、経済活動において、需要と供給の関係で価格が決まる市場メカニズムに頼らず、政府が経済活動全体を管理・統制する経済体制です。つまり、普段私たちがお店で購入する商品やサービスの価格や量を、政府が決めているということです。このシステムでは、政府は経済全体の計画を立て、各企業に対して何をどれだけ生産するかという指示を出します。また、個人が消費する財の量も政府が決定します。このように、生産から消費までを政府が管理することで、経済全体を計画的に運営しようとします。計画経済の目的は、市場メカニズムに任せていては起こりうる、経済の不安定さや資源の偏りをなくすことです。政府が介入することで、物価の乱高や失業を防ぎ、経済の安定成長や資源の効率的な利用を目指します。しかし、現実には、個人の自由な経済活動を制限してしまうことや、政府による計画が複雑になり、非効率性を招く可能性も孕んでいます。
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金融の「防火壁」、ファイア・ウォールとは?

多くの人が「ファイア・ウォール」と聞いて思い浮かべるのは、コンピュータウイルスや不正アクセスを防ぐためのセキュリティ対策でしょう。しかし、金融の世界で使われる「ファイア・ウォール」は、少し異なる意味を持っています。それは、目に見えない「壁」として金融機関の中に存在し、顧客と金融機関、あるいは金融機関内の部署間における情報伝達を制限する役割を担っています。 金融におけるファイア・ウォールは、主に、顧客情報や取引情報など、重要な情報の不正利用や漏洩を防ぐことを目的としています。例えば、証券会社の場合、顧客の資産運用を行う部署と、企業の合併や買収といった情報を扱う部署との間には、ファイア・ウォールが設けられます。これは、企業情報に基づいて顧客の資産運用が行われることを防ぎ、インサイダー取引を防止するためです。 金融機関は、顧客から預かった大切な資産を扱うだけでなく、企業に関する重要な情報も扱っています。そのため、金融におけるファイア・ウォールは、顧客と金融機関双方にとって、その信頼を維持するために非常に重要な役割を担っていると言えるでしょう。
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経常収支とは?国の経済力を知るための基礎知識

- 経常収支って? 経常収支は、ある国が一定期間 (例えば、1年間) に外国と行った経済取引を記録したものです。 これは、いわば家計簿のようなもので、国の収入と支出を明らかにします。 経常収支は主に4つの項目から成り立っています。 1. -貿易収支- 財の輸出入による収支です。海外に車を売れば収入、海外から食料品を買えば支出となります。 2. -サービス収支- サービスの輸出入による収支です。海外旅行で日本にお金を落としていけば収入、日本人が海外旅行に行けば支出です。 3. -所得収支- 賃金や投資による収支です。海外で働いて日本に送金すれば収入、海外からの投資家に配当金を支払えば支出となります。 4. -経常移転収支- 対価を伴わない取引による収支です。海外への援助は支出、海外からの贈与は収入です。 これらの収支を合計したものが経常収支となり、国の経済状況を把握する上で非常に重要な指標となります。 例えば、経常収支が黒字の場合は、外国に対してモノやサービスを多く提供し、経済的に余裕がある状態を示しています。 逆に、経常収支が赤字の場合は、外国からの輸入に頼っている状態を示しており、経済状況が悪化する可能性も示唆しています。
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流動負債を理解して健全な財務管理を

- 流動負債とは 企業の財務状態を把握する上で、負債、つまり借金の状況を正しく理解することは非常に重要です。負債は返済期限の長さによって、大きく二つに分類されます。一つは1年以上かけて返済していく長期負債、そしてもう一つは、通常1年以内に返済期限が到来する負債、それが「流動負債」です。 流動負債は、企業の短期的な支払義務を表しており、具体的には以下のようなものが含まれます。 * 買掛金商品や原材料などを仕入れた際に、後日支払うことになる代金 * 短期借入金金融機関から短期的に借り入れた資金 * 未払金従業員への給与や支払った税金など、まだ支払っていない費用 これらの負債は、企業が事業活動を行う上で日常的に発生するものです。そして、これらの負債は、通常1年以内に現金などの流動資産を用いて返済されることが想定されています。 流動負債は、企業の短期的な資金繰りを把握する上で重要な指標となります。流動負債が多すぎると、資金繰りが悪化し、最悪の場合、倒産に陥る可能性もあります。一方、流動負債が少なすぎると、資金効率が悪くなっている可能性があります。 そのため、企業は、流動負債の金額や比率を適切に管理していくことが、健全な経営を維持するために不可欠と言えるでしょう。
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経済危機とPIGS諸国

- PIGS諸国とはPIGS諸国とは、ヨーロッパ連合に加盟する5つの国、ポルトガル、イタリア、アイルランド、ギリシャ、スペインの頭文字を取って作られた言葉です。2009年頃からこれらの国々が深刻な経済危機に陥り、その際に用いられるようになりました。当初はポルトガル、アイルランド、ギリシャ、スペインの4カ国を指す言葉として「PIIGS」と呼ばれていましたが、後にイタリアが加わり「PIGS」と表現されるようになりました。これらの国々は、共通通貨ユーロを導入しているという共通点があります。ユーロ導入によって通貨の変動リスクが低下し、当初は経済成長が期待されていました。しかし、個々の国の経済状況に合わせた金融政策が取れないというユーロの仕組みが裏目に出てしまいました。PIGS諸国は、高失業率や財政赤字、巨額の政府債務といった共通の経済問題を抱えていました。そして、世界的な金融危機の影響を受けて、これらの問題が一気に表面化し、深刻な経済危機に陥りました。PIGS諸国の経済危機は、ユーロの信用不安や世界経済の減速にもつながりました。国際通貨基金(IMF)などの支援を受けながら、厳しい財政緊縮策や構造改革に取り組んでいますが、現在もなお経済状況は厳しく、予断を許さない状況が続いています。
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ヨーロッパ統合の基盤:共通農業政策(CAP)

- 共通農業政策(CAP)とは共通農業政策(CAP)は、ヨーロッパ連合(EU)の加盟国全体で農業を統合することを目指した、EUの重要な政策です。1962年に創設されて以来、EUの予算において大きな割合を占めており、その重要性を示しています。この政策の大きな目的は、加盟国全体で安定した食糧供給を実現することです。消費者に安定的に食料を届けるためには、農業の生産性を向上させ、持続可能な農業を実現することが不可欠です。CAPは、そのための支援を行っています。さらに、CAPは農家の生活水準の向上も目指しています。農業は自然環境や経済状況に左右されやすく、収入が不安定になりがちです。CAPは、農家に直接的な支払いを行うことで収入を安定させ、安心して農業を続けられる環境作りを支援しています。このように、CAPはEUの農業政策の根幹をなす重要な政策であり、EU市民の食卓と農家の生活を支える役割を担っています。
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資産運用に必須!流動性の理解

- 流動性とは 「流動性」とは、簡単に言うと、ある資産をどれくらい早く、簡単に現金に換えることができるか、言い換えれば「お金に変えられるか」を表す言葉です。 資産運用では、株式や債券、不動産など、様々な種類の資産を扱いますが、これらの資産は、現金への変えやすさ、つまり流動性において大きく異なります。 例えば、銀行の普通預金口座のお金は、ATMからすぐに引き出したり、お店で支払いに使ったりすることができるので、流動性が高い資産と言えるでしょう。これは、必要な時にすぐに現金として使える状態にあることを意味します。 一方で、不動産を例に考えてみましょう。不動産を売却して現金を得ようとしても、買い手を見つけたり、契約手続きを進めたりするのに時間がかかります。場合によっては、すぐに買い手が見つからず、希望する金額で売却できない可能性もあります。このように、不動産は現金化までに時間がかかり、すぐに現金に変えることが難しいことから、流動性が低い資産とされています。 資産運用において、流動性を理解することは非常に重要です。なぜなら、投資をする際には、すぐに現金が必要になった場合に備えて、ある程度の流動性が高い資産を持っておく必要があるからです。そうでないと、急な出費に対応できず、困ってしまう可能性があります。
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ピケティってどんな人?経済学者をわかりやすく解説

「ピケティ」という名前を耳にしたことはありますか?もしかしたら、経済ニュースや社会問題に関心がある方なら、一度は目にしたことがあるかもしれません。彼は、トマ・ピケティという名前の、現代を代表する経済学者の一人です。1971年にフランスで生まれ、経済格差、特に富の不平等を専門に研究しています。 ピケティの名を世界に轟かせたのは、2013年に出版された著書『21世紀の資本』です。世界中で100万部を超える大ベストセラーとなり、経済学の枠を大きく超えて、政治、社会、文化など、様々な分野にわたる大きな議論を巻き起こしました。彼の著書は、資本主義における富の集中という問題に鋭く切り込み、現代社会が抱える課題を浮き彫りにしたと言われています。 ピケティの主張は、必ずしも全ての人に受け入れられているわけではありません。しかし、彼の提起した問題は、私たちが生きていく現代社会において、避けて通ることのできない重要なテーマと言えるでしょう。
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経常海外余剰:日本経済の強さを示す指標

- 経常海外余剰とは経常海外余剰とは、日本が海外と行う様々な取引を通じて、どれだけお金が国内に蓄積されたかを示す重要な指標です。これは、貿易、投資、贈与など、様々な経済活動を通じて日本にどれだけの資金が流入してきたかを表しています。経常海外余剰を構成する主な要素は、「貿易収支」と「所得収支」です。まず「貿易収支」は、文字通りモノやサービスの輸出入による収支を表します。具体的には、日本から海外へ輸出された自動車や家電製品、あるいは観光サービスなどによる収入から、海外から輸入された原油や食料品、あるいは海外旅行による支出を差し引いたものです。次に「所得収支」は、海外への投資から得られる利益や、海外からの投資に対する支払いを表します。具体的には、日本企業が海外で行った投資から得られる配当金や利子、あるいは海外で働く日本人労働者からの送金などが収入として計上されます。一方で、海外投資家が日本で得た投資収益や、日本で働く外国人労働者への給与支払いは支出として計上されます。これらの収支を総合的に判断することで、日本が海外との取引を通じて、どれだけお金を稼いでいるのか、あるいは支出しているのかを把握することができます。経常海外余剰が黒字であるということは、日本が海外に対して経済的にプラスの影響を与えていることを示しており、逆に赤字であるということは、海外からの資金に依存している状態であることを示しています。
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賢く管理!流動資産とは?

- 流動資産の定義 流動資産とは、すぐに現金化できる可能性が高い資産のことを指します。 具体的には、以下のようなものが挙げられます。 * 現金文字通り、すぐに使えるお金そのものです。 * 預貯金銀行にお預けしているお金で、必要な時に引き出して使うことができます。 * 株式企業が発行する証券の一種で、売却することで現金を得られます。 * 債券国や企業が発行する借金証書のようなもので、満期前に売却して現金化することも可能です。 これらの資産は、短期間、通常は一年以内で換金することができ、緊急時の資金調達や急な出費にも対応できるという特徴があります。 一方、流動資産と対比される「固定資産」は、すぐに現金化することが難しい資産のことを指します。例えば、土地や建物などが挙げられます。 流動資産は、企業の財務状況を分析する上で重要な指標の一つです。流動資産の多寡は、企業の短期的な支払い能力を示す指標となり、企業の経営状況を判断する上で重要な要素となります。
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ビルディング・ブロック方式で将来リターンを予測

- ビルディング・ブロック方式とは 将来のお金の増え方を予想するのは、まるで霧の中を歩くように、先が見えづらく、難しいものです。ビルディング・ブロック方式は、そんな将来のお金の増え方を予測する一つの方法として知られています。 この方法では、複雑に絡み合った経済状況を、いくつかの基本的な要素に分解します。まるでパズルを解くように、大きな全体を小さなピースに分けていくイメージです。そして、それぞれのピース、つまり要素一つ一つが、将来どうなるのかを予想し、その予測を積み重ねていくことで、最終的な資産の増加を推計します。 まるでブロックを一つ一つ積み上げて建物を建てるように、個々の要素の予測を積み上げていくことから、この方法は「ビルディング・ブロック方式」と呼ばれています。一つ一つのブロックが将来の予測を表しており、それらを積み上げることで、将来の資産全体の増え方を描き出すことができるのです。
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BRICs:新興経済大国の展望

- BRICsとは BRICsとは、ブラジル、ロシア、インド、中国の4つの新興国の頭文字をとった言葉です。2000年代に入ると、これらの国々は目覚ましい経済成長を遂げ、世界経済において、その存在感を増してきました。 BRICsの経済成長の要因としては、まず、豊富な天然資源と労働力が挙げられます。ブラジルは、鉄鉱石や大豆などの輸出国として知られており、ロシアは、石油や天然ガスなどのエネルギー資源が豊富です。また、インドと中国は、世界最大級の人口を抱えており、豊富な労働力を背景に、製造業を中心に発展してきました。 さらに、BRICsは、世界の人口の約4割を占める巨大な市場としても注目されています。経済成長に伴い、中間所得層が拡大しており、個人消費の増加が期待されています。また、インフラ整備や都市開発などの需要も高く、世界中の企業にとって魅力的な投資先となっています。 BRICsは、今後も、世界経済の成長を牽引していくことが期待されています。しかし、政治体制や経済構造、抱える課題は国によって異なります。それぞれの国の状況を理解した上で、投資やビジネスを行う必要があると言えるでしょう。
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経済理論:より良い暮らしへの道筋

- 経済理論とは 経済理論は、私たちの生活を形作る様々な経済現象を、論理的な思考を用いて説明し、将来を予測するための枠組みです。日々の買い物や仕事の選択、国の政策決定など、私たちの暮らしは経済活動と切り離せません。経済理論は、これらの活動の背後にあるメカニズムを解き明かし、私たちがより良い選択をするためのツールを提供してくれます。 例えば、私たちが毎日行う買い物。商品の価格は、需要と供給の関係によって決まります。これは経済理論の基本的な概念の一つですが、この仕組みを理解することで、消費者は予算に応じた賢い買い物を、企業は適切な価格設定や生産計画を行うことができます。 また、経済理論は、国の経済政策にも深く関わっています。政府は、税金や財政政策を通じて経済を安定させ、成長を促す役割を担っています。経済理論は、これらの政策が経済全体にどのような影響を与えるのかを分析するための基礎となります。 このように、経済理論は、一見複雑に見える経済現象を、論理的な思考とモデルを用いて分かりやすく説明することで、私たちがより良い選択をし、より豊かな生活を送るための指針を与えてくれるのです。
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投資の基礎: 流通市場を理解する

- 流通市場とは 企業が事業を大きく成長させるためには、資金を調達する必要があります。そのための方法の一つに、株式や債券といった有価証券を発行して、投資家から資金を集める方法があります。 企業が新たに発行した有価証券が投資家の手に渡る市場を「発行市場」と呼びますが、投資家の間で、すでに発行された有価証券が売買されている市場が「流通市場」です。 流通市場では、証券取引所(東京証券取引所など)や証券会社を通じて、売買が行われます。 投資家は、流通市場を通じて、いつでも自由に有価証券を売買することができます。そして、値上がり益を狙ったり、配当金や利息を受け取ったりすることができます。一方、企業にとっては、流通市場で自社の有価証券が活発に取引されることで、新たな資金調達をしやすくなるというメリットがあります。 このように、流通市場は、投資家と企業の双方にとって、重要な役割を担っていると言えます。
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経済通貨同盟:ユーロ誕生の立役者

- 経済通貨同盟とは 複数の国々が協力して、ひとつの通貨を導入し、共通の金融政策を行う枠組みを、経済通貨同盟と呼びます。これは、単に同じ通貨を使うだけでなく、参加する国々が経済政策を調整し、より緊密な経済統合を目指すことを目的としています。 例えば、ヨーロッパ連合(EU)におけるユーロ導入は、経済通貨同盟の成功例として広く知られています。ユーロ導入以前、EU加盟国はそれぞれ独自の通貨と金融政策を持っていました。しかし、ユーロ導入により、為替変動のリスクがなくなり、国境を越えた貿易や投資が促進されました。また、共通の金融政策によって、物価の安定も実現しています。 経済通貨同盟には、メリットだけでなく、課題も存在します。共通の金融政策は、すべての参加国にとって最適とは限りません。例えば、ある国で景気が悪化した場合でも、共通の金融政策によって、その国に適した政策がとれない可能性もあります。 経済通貨同盟は、参加国間の深い信頼関係と緊密な協力体制が不可欠です。共通の通貨と金融政策によって、参加国は運命共同体となるため、相互理解と協力が成功の鍵となります。
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売買の基礎知識:ビッドとは?

物を売り買いする時、誰もが少しでも得をしたいと考えるものです。物を手放す売り手は、できるだけ高い値段で売りたいと考えますし、反対に、物を手に入れたい買い手は、できるだけ安い値段で購入したいと考えるのは当然のことでしょう。 例えば、あなたが読まなくなった本を誰かに譲りたいとします。あなたは、この本を1,000円で売ると決めたとしましょう。この1,000円という金額が、あなたがこの本に対してつけた売値です。一方、あなたの友人がこの本に興味を持ち、800円で購入したいと申し出てきました。この800円という金額が、あなたの友人がこの本に対して提示した買値です。 このように、売値とは売り手がつけたい値段、買値とは買い手が支払いたい値段のことを指します。そして、売値と買値が一致した時に初めて、物の売買が成立するのです。
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経済通貨統合:ヨーロッパ統合の到達点

- 経済通貨統合とは経済通貨統合とは、複数の国々が、まるで一つの国のように、同じ通貨を使用し、統一された金融政策を行うことで経済的な結びつきを強める取り組みです。これは、1989年4月に発表された「ドロール報告書」の中で提唱された考え方で、ヨーロッパ諸国がより緊密な関係を築くための重要な段階として位置づけられています。 具体的には、ヨーロッパでは、この構想に基づき、複数の国で共通して使える通貨としてユーロが導入されました。そして、ユーロ圏全体で統一された金融政策を行う機関として、欧州中央銀行が設立されました。このように、共通の通貨と金融政策を持つ国々の集まりを、経済通貨同盟、またはその英語の頭文字を取ってEMUと呼びます。ユーロの導入と欧州中央銀行の設立は、ヨーロッパ統合における経済通貨統合の大きな成果と言えるでしょう。
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金融ビッグバン:変革の波とその影響

- 英国を変えた金融改革 1986年、英国のサッチャー政権下で、それまでの金融制度を根底から覆すような大規模な改革が行われました。 この改革は、その規模の大きさから「ビッグバン」と称され、世界の金融市場を大きく変えることとなりました。 ビッグバン以前、ロンドン証券取引所では、株式の売買は、仲買人と呼ばれる業者を通してのみ行われていました。 仲買人は、顧客から注文を受け、取引所に出向いて他の仲買人と価格交渉を行い、売買を成立させていました。 しかし、この伝統的なシステムは、非効率で透明性に欠けるという批判がありました。 そこで、ビッグバンでは、誰でも自由に株式の売買に参加できるよう、規制が大幅に緩和されました。 具体的には、仲買人と証券会社の垣根が撤廃され、外国企業も自由に英国の証券市場に参入できるようになりました。 さらに、それまで口頭で行われていた取引は、すべて電子化されました。 これらの改革により、ロンドン証券取引所は、世界で最も競争力のある金融市場の一つへと生まれ変わりました。 取引コストが大幅に削減され、市場の流動性も高まりました。 ビッグバンは、英国経済の活性化に大きく貢献し、ロンドンを世界の金融センターとしての地位を不動のものにしました。 また、その後の世界各国の金融制度改革にも大きな影響を与えました。
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経済体制の二つの柱:生産と分配

- 経済体制の役割 経済体制とは、人々の生活を支えるための社会的な仕組みです。私たちが毎日当たり前のように利用している様々な物やサービスは、この経済体制によって成り立っています。例えば、食べ物、洋服、家といった生きていくために必要な物から、車や携帯電話のような便利な物、そして教育や医療といった目に見えないサービスまで、その全てが経済体制の働きによって、私たちのもとに届いているのです。 この経済体制には、大きく分けて二つの重要な役割があります。一つは「生産」です。これは、人々が生活していく上で必要な物やサービスを作り出す役割です。工場で製品を作ったり、農家さんが作物を育てたり、医者や教師が専門的なサービスを提供したりする活動は、全て「生産」に該当します。そしてもう一つは「分配」です。これは、作られた物やサービスを、適切な方法で人々に届ける役割です。お店で物が売られたり、給料としてお金が支払われたりするのも、全て「分配」の働きによるものです。 このように、経済体制は「生産」と「分配」という二つの重要な役割を担うことで、人々の生活を支えています。それぞれの役割がうまく機能することで、私たちは豊かな生活を送ることができるのです。
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BP曲線とは?

- 国際収支と経済成長の関係経済成長は、多くの国にとって重要な目標の一つです。そして、その経済成長は、国内要因だけでなく、国際的な要因によっても大きく影響を受けます。特に、国際収支は、一国の経済活動と世界経済との結びつきを示す重要な指標であり、経済成長と密接な関係があります。国際収支は、貿易収支、サービス収支、所得収支、経常移転収支など、様々な項目から構成されます。これらの項目の黒字や赤字は、国内の経済活動や為替レート、海外経済の状況など、様々な要因によって変動します。例えば、輸出が好調で貿易収支が黒字になると、国内の生産活動が活発化し、雇用も増加します。これは、経済成長を促進する効果をもたらします。また、海外からの投資が増加すると、国内の資本ストックが増加し、生産能力の向上に繋がります。一方で、国際収支の赤字は、経済成長にとって必ずしも悪いものとは言えません。例えば、成長のための設備投資のために海外から資金を調達する場合、一時的に経常収支が赤字になることがあります。このような場合、赤字は将来の経済成長のための先行投資と捉えることができます。しかし、長期間にわたって経常収支の赤字が続く場合は、注意が必要です。過度な赤字は、対外債務の増加や為替レートの下落など、経済の不安定化要因となる可能性があります。国際収支と経済成長の関係は複雑であり、一概に断言することはできません。しかし、国際収支の動向を把握することは、経済の現状を理解し、将来の経済成長を予測する上で非常に重要です。
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経済学の巨人:ヒックス

イギリスが生んだ偉大な経済学者、ジョン・リチャード・ヒックスは、20世紀の世界経済に大きな影響を与えた人物です。1904年に生まれ、生涯を通じて経済学の研究に情熱を注ぎました。彼は、経済の仕組みを深く理解し、複雑な経済現象を分かりやすく説明することに長けていました。 ヒックスの功績は多岐に渡りますが、特に有名なのは、需要と供給のバランスを分析するIS-LM分析でしょう。これは、イギリスの経済学者ケインズの考え方を発展させたもので、政府の経済活動への介入の重要性を示唆しています。この分析方法は、世界恐慌後の世界経済を立て直すための政策立案に大きく貢献し、現代マクロ経済学の基礎となっています。 ヒックスは理論経済学だけでなく、現実の経済問題にも積極的に取り組みました。彼は、インドやパキスタンなど、発展途上国の経済発展にも関心を寄せ、具体的な政策提言も行いました。彼の洞察力に満ちた分析と提言は、多くの国々で経済政策に影響を与え、人々の生活水準向上に貢献しました。 彼の業績は世界的に高く評価されており、1972年にはノーベル経済学賞を受賞しました。ヒックスの思想は、現代経済学の礎となり、彼の影響を受けた多くの経済学者が、世界中で活躍しています。
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東西冷戦の産物:経済相互援助会議とは?

- 経済相互援助会議の創設 1949年、世界は第二次世界大戦後の冷戦と呼ばれる新たな対立構造に突入していました。西側諸国はアメリカ合衆国を中心に資本主義陣営を形成し、経済の復興と発展を目指していました。その中心となったのが、アメリカ合衆国が提唱したマーシャル・プランです。一方、ソビエト連邦を盟主とする東側諸国は、独自の経済圏の確立を急務としていました。 こうした背景のもと、1949年、ソビエト連邦の主導により、経済相互援助会議、通称コメコンが設立されました。これは、東ヨーロッパ諸国の経済協力を目的とした国際機関でした。当初の加盟国は、ソビエト連邦に加えて、ポーランド、チェコスロバキア、ハンガリー、ルーマニア、ブルガリア、アルバニアの6カ国でした。これらの国々は、いずれも社会主義体制を敷いており、ソビエト連邦と密接な関係にありました。 コメコンの設立は、東西両陣営の対立が経済面でも鮮明になったことを象徴する出来事でした。西側諸国が自由主義経済体制のもとで経済発展を目指す一方で、東側諸国は計画経済体制のもとで、ソビエト連邦を中心とした経済圏を形成しようとしたのです。コメコンはその後、長い年月を経て、東側諸国の経済活動の中心的な役割を果たすことになります。
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暮らしと経済の要!日本銀行の役割

- 日本銀行ってどんな銀行? 日本銀行(日銀)は、私たちが毎日利用する銀行とは少し違う役割を持つ、いわば特別な銀行です。 皆さんが普段利用する銀行は、預金を受け付けてお金を貸し出すことで利益を得ていますよね。しかし、日銀は利益を目的とするのではなく、日本の経済全体が安定して成長していくことを一番の目的としています。 例えるなら、日銀は「銀行の銀行」や「政府の銀行」のような存在です。 銀行の銀行として、他の銀行にお金を貸したり、預かったりします。銀行同士で資金が不足した場合でも、日銀が調整役となって円滑な資金の流れを支えているのです。 また、政府の銀行としては、政府の預金や支払いを管理したり、国債の発行や管理なども行っています。 さらに、日銀は「物価の番人」とも呼ばれ、物の値段が大きく変動しないように、お金の量を調整する役割も担っています。 このように、日銀は私たちが直接利用する機会は少ないものの、日本の経済を支えるために重要な役割を担っているのです。
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経済政策:市場メカニズムと政府の役割

- 経済政策とは経済政策とは、政府が国民生活の安定と向上を目指し、経済全体をコントロールするために講じるさまざまな施策のことを指します。私たちの暮らしは、日々変化する経済状況と密接に関係しており、景気が良くなれば生活は豊かになり、逆に景気が悪くなれば生活は苦しくなります。例えば、物価が大きく上昇するインフレーションが起きると、同じ金額のお金を持っていても買える商品の量が減り、生活は圧迫されます。また、企業の業績が悪化し、失業率が上昇すれば、収入が減り生活設計に大きな影響が出ます。このような経済状況の悪化から国民を守るために、政府はさまざまな経済政策を実施します。景気が低迷している時には、公共事業などにお金を使い景気を刺激する政策や、金利を下げて企業の投資や個人の消費を促進する政策などが考えられます。逆に、物価が上昇しすぎている時には、金利を引き上げて物価の上昇を抑える政策などが有効です。このように、経済政策は私たちの生活と密接に関わっており、政府は状況に応じて適切な政策を実施することで、国民が安心して暮らせる社会の実現を目指しています。