経済の用語

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マクロ経済学:経済全体を理解する

- マクロ経済学とは マクロ経済学は、経済全体を一つの大きなシステムとして捉え、その動きを分析する学問です。 私たちの日常生活は、常に経済活動と密接に関係しています。例えば、日々の買い物で食品や日用品の価格が変動したり、企業の業績によって雇用が増減したりするなど、経済の動きは私たちの生活に大きな影響を与えます。 マクロ経済学では、このような経済全体の動きを、様々な経済指標を用いて分析していきます。代表的な経済指標としては、国内の生産活動の全体量を示す国内総生産(GDP)、物価の変動を示す消費者物価指数、雇用の状況を示す失業率などが挙げられます。 マクロ経済学は、これらの経済指標の変化を分析することで、景気変動の原因やメカニズムを解明し、景気対策や雇用対策など、より良い経済政策の実施に役立てることを目的としています。 つまり、マクロ経済学は、私たちの生活に身近な、景気や物価、雇用といった問題を取り扱うため、経済学の中でも特に現実世界と密接に関係していると言えるでしょう。
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効率的な市場とは?

- 市場の効率性 金融の世界では、「効率的な市場」という考え方がよく話題になります。これは、株式や債券といった、市場で売買される証券の価格が、手に入る限りの情報をすぐに反映している状態を指します。例えば、企業の業績に関する良いニュースや悪いニュースが発表されると、証券の価格は瞬時に適切な値に変動し、誰もがその情報に基づいて取引を行うことができると考えられています。 効率的な市場では、すべての投資家が同じ情報にアクセスできるという前提があります。そして、新しい情報が公開されると、投資家はすぐにその情報を分析し、それに基づいて合理的に行動するとされています。その結果、証券の価格は常に「適正価格」を反映し、一時的に割高になったり、割安になったりすることはないと考えられています。 しかし、現実の世界では、市場は完全に効率的とは言えないという意見もあります。情報が常に平等に共有されるとは限らず、投資家の心理や感情、市場の流動性なども価格に影響を与える可能性があります。そのため、市場は常に変化し続けるものであり、その動きを完全に予測することは難しいと言えるでしょう。
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経済の安定化を図る!マクロ経済政策とは?

- マクロ経済政策の定義マクロ経済政策とは、国全体といった大きな視点で経済を捉え、安定と成長を促すための政府の取り組みを指します。私たちの暮らしは、景気が良いか悪いかによって大きく左右されます。景気が悪化すると、失業者が増えたり、物価が大きく変動したりして、生活が不安定になる可能性があります。逆に、景気が良くなれば、企業の業績が向上し、賃金の上昇や雇用機会の拡大など、私たちの生活にも良い影響をもたらします。 マクロ経済政策は、まさにこのような景気の波を穏やかにし、安定した経済成長を実現することを目指すものです。具体的には、雇用、物価、経済成長といった経済全体に関わる指標を改善するために、政府が様々な政策手段を用いて経済全体をコントロールしようとします。 例えば、景気が低迷し、失業者が増えている状況では、政府は公共事業を増やしたり、減税を実施したりすることで、需要を刺激し、景気を活性化させようとします。一方、物価が上昇しすぎている場合は、金利を引き上げたり、政府支出を抑制したりすることで、需要を抑制し、物価の上昇を抑えようとします。このように、マクロ経済政策は、状況に応じて適切な政策手段を講じることで、私たちが安心して暮らせる安定した経済社会の実現を目指しています。
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投資の黄金律!効率的フロンティアを解説

- 投資における効率性とは 投資の世界では、誰もが「少ないリスクで、大きくお金を増やしたい」と願っています。しかし、現実はそう甘くありません。なぜなら、通常は大きな利益を狙えば、その分だけ損失のリスクも大きくなり、逆にリスクを抑えようとすれば、得られる利益は小さくなってしまうからです。 そこで大切になるのが「効率性」という考え方です。効率性とは、無駄をなくして、最大限の結果を引き出すことを意味します。 投資における効率性とは、同じリスクレベルで比較した場合に、より高いリターンを得ることを指します。例えば、AさんとBさんが同じ金額を投資していて、Aさんは年間5%のリターン、Bさんは年間10%のリターンを得ているとします。この場合、Bさんの方が効率的に投資を行っていると判断できます。 また、効率性はリスクの面からも評価できます。同じリターンを目指す場合、よりリスクを抑えて投資できている方が効率的と言えるでしょう。例えば、CさんとDさんがどちらも年間5%のリターンを目指しているとします。Cさんは元本が半分になってしまう可能性が20%ある投資、Dさんは元本が半分になってしまう可能性が10%ある投資を行っているとします。この場合、Dさんの方が効率的に投資を行っていると判断できます。 投資において効率性を追求することは、限られた資金で最大限の成果を上げるために非常に重要です。そのためには、様々な投資先を比較検討し、自分にとって最適な投資方法を見つけることが大切です。
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「公共需要」ってなに?国の経済活動への影響を解説

- 公共需要とは私たちが日々安心して生活していくためには、道路や橋、公園などの公共施設が欠かせません。また、災害時に備えた対策や、福祉サービスなども、安全で豊かな社会を作る上で重要な役割を担っています。このような、国民生活に必要なサービスを提供したり、施設を整備したりすることを目的とした、国や地方自治体による経済活動を「公共需要」と呼びます。公共需要は、具体的にはどのような費用に充てられるのでしょうか?例として、国民の生活を守るための警察や消防、教育や医療などのサービス提供費用、道路や橋、公共施設の建設・維持費用、災害対策用の備蓄費用などが挙げられます。これらの費用は、私たちが支払う税金や、国が発行する国債などを主な財源としています。公共需要は、単に私たちの生活を支えるだけでなく、経済全体を活性化させる効果も期待できます。例えば、大規模な公共事業は、建設業界など多くの企業に仕事の機会をもたらし、雇用を創出します。また、公共サービスの質が向上することで、人々の生活水準が向上し、消費活動が活発になることも期待できます。このように、公共需要は、国民生活の安定と経済の活性化の両面から、私たちの国にとって非常に重要な役割を担っています。
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経済成長のサイン?マイルドインフレーションを解説

- マイルドインフレーションとはマイルドインフレーションとは、モノやサービスの価格全体が、年間で緩やかに上昇していく現象を指します。例えるなら、以前は100円だったりんごが、数年後には102円や103円になるといった穏やかな値上がりをイメージすると分かりやすいでしょう。経済学の世界では、一般的に物価上昇率が年間2~3%程度の上昇にとどまっている状態をマイルドインフレーションと呼びます。この程度のインフレーションは、経済成長の兆候と捉えられることが多く、むしろ健全な経済活動には必要なものとさえ考えられています。なぜなら、穏やかな物価上昇は、企業が商品やサービスの価格を値上げしやすく、その結果、企業の収益増加や賃金の上昇に繋がりやすいためです。賃金が上がれば、消費者の購買意欲も高まり、経済全体の活性化に繋がると期待されます。このようなプラスの影響を期待して、日本を含む多くの国の中央銀行は、物価上昇率を一定の水準に維持することを目標としています。そして、マイルドインフレーションはその目標とする範囲内であることが一般的であり、中央銀行も容認する傾向にあります。
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金融政策の要!公定歩合を解説

- 公定歩合とは 銀行は、私たち預金者から預かったお金を企業に貸し出すことで利益を得ています。預金者は必要な時にいつでも預金を引き出せる一方で、企業への融資はすぐに現金化できないため、銀行は常に資金繰りに気を配る必要があります。 もしも銀行の手元資金が不足し、他の銀行からの借り入れでも資金を賄えない場合、最終手段として「日本銀行」からお金を借りることができます。この日本銀行からの借り入れに適用される金利が「公定歩合」です。 公定歩合は、いわば「金利の目安」となる重要な指標です。公定歩合が上がると、銀行が日本銀行からお金を借りる際の負担が大きくなるため、他の銀行への貸出金利も上昇する傾向にあります。逆に、公定歩合が下がると、銀行の資金調達コストが減り、貸出金利も低下しやすくなります。 このように、公定歩合は銀行の資金運用や企業の資金調達に影響を与えるだけでなく、私たちの暮らしにも間接的に影響を与えているのです。
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世界経済の安定を支えるIMF

- IMFとは IMFは、International Monetary Fundの略称で、日本語では国際通貨基金と呼ばれています。世界経済の安定を目的とした国際機関であり、本部はアメリカのワシントンD.C.にあります。 1944年の第二次世界大戦終結後、疲弊した世界経済を復興させ、通貨の安定を図るために設立されました。当時の世界は、戦争の影響で貿易が停滞し、各国が自国経済を守るために貿易障壁を設けるなど、経済の混乱が深刻化していました。そこで、国際的な協力体制の必要性が高まり、IMFが誕生したのです。 現在、世界189ヶ国が加盟しており、出資額に応じて発言権が異なります。日本はアメリカに次ぐ第2位の加盟国であり、世界経済における影響力は大きいと言えます。 IMFは、国際通貨システムの安定、為替レートの安定、国際貿易の促進など、多岐にわたる活動を行っています。具体的には、加盟国に対して経済状況の監視や政策提言を行うほか、経済危機に陥った国に対しては資金援助や技術支援なども行っています。 IMFの役割は、世界経済の安定と成長のために非常に重要であり、今後もその役割はますます大きくなると考えられています。
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経済を動かす「公定歩合政策」

- 公定歩合政策とは日本の中央銀行である日本銀行は、景気を調整するために様々な政策を行っています。その中でも代表的なものの一つが、「公定歩合政策」です。この政策は、一体どのような仕組みで私たちの経済活動に影響を与えるのでしょうか?まず、「公定歩合」とは、日本銀行が一般的な銀行にお金を貸し出す際の金利のことです。銀行は、私たちにお金を貸し出すための資金が不足すると、日本銀行からお金を借ります。この時、銀行は日本銀行に対して、借りたお金の額に応じて「公定歩合」で決められた利息を支払わなければなりません。日本銀行は、景気を刺激したい時にはこの「公定歩合」を引き下げます。金利が低くなれば、銀行はより低コストでお金を借りられるようになり、その結果、企業や私たち個人も、銀行からより低金利でお金を借りやすくなるのです。お金が借りやすくなれば、企業は新たな事業を始めやすくなり、私たちも車や家などの大きな買い物がしやすくなります。このように、世の中に出回るお金の量が増えることで、経済活動が活発化すると期待されます。反対に、景気が過熱しすぎている時には、「公定歩合」を引き上げます。金利が上がると、銀行がお金を借りるコストが増加し、その結果、企業や個人が銀行からお金を借りる際の金利も上昇します。お金を借りるための負担が大きくなれば、自然と借り控えが起こり、世の中に出回るお金の量が減ることで、過熱した景気を抑制する効果が期待できます。
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国の借金、大丈夫? 公的債務残高を解説

ニュースなどで「国の借金が増えている」という言葉を耳にすることがあるかもしれません。この「国の借金」は、正式には「公的債務残高」と呼ばれ、国が私たち国民や企業、海外などからお金を借りている状態のことを指します。 では、なぜ国はお金を借りなければならないのでしょうか?それは、私たち国民のために、道路や橋などのインフラ整備、教育や医療などのサービスを提供したり、あるいは地震や台風などの災害からの復興事業を行うためなど、様々な政策を行うためです。 これらの政策を行うには莫大な費用がかかりますが、税金だけでは賄いきれない場合、国は国債を発行して、私たち国民や企業、海外からお金を借りることで、その不足分を補っているのです。 国の借金が増え続けていることは、将来世代に負担を先送りしているという点で問題視されています。しかし、一方で、国の借金は、将来への投資という側面も持っています。例えば、教育への投資は将来の人材育成につながり、インフラ整備は経済活動を活性化させる効果が期待できます。 重要なことは、国の借金の現状やその使途を正しく理解し、将来世代に過度な負担を強いることなく、健全な財政運営を行っていくことです。
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進化し続けるICT:その影響と未来

- 情報通信技術の広がり 情報通信技術、つまりICTは、私たちの日常に深く浸透し、生活や社会全体に大きな変化をもたらしています。ICTとは、情報処理と情報通信を組み合わせた言葉であり、スマートフォンやインターネットなど、私たちの身近にある様々な技術が含まれます。 一昔前には想像もつかなかったような便利な生活は、ICTの発展によって実現しました。インターネットを通じて世界中の情報に瞬時にアクセスできるようになり、遠く離れた家族や友人とも気軽に連絡を取り合えるようになりました。また、買い物や銀行の手続きなども、自宅にいながらにしてできるようになり、私たちの生活は大きく変わりました。 企業活動においても、ICTは欠かせない存在となっています。社内の情報共有や顧客管理などを効率的に行うためのコンピューターネットワークは、今や企業活動の基盤とも言えます。さらに、インターネットを利用した電子商取引は、企業の販路拡大や顧客との新たな関係構築を可能にし、ビジネスモデルそのものを大きく変えつつあります。 このように、ICTは私たちの生活や社会を支える重要な技術となっています。今後もICTは進化を続け、私たちの生活をより豊かに、そして社会をより発展させていくことが期待されています。
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投資の世界を探検:ポジションテイカーとは?

- 投資における役割投資の世界は、まさに人々の思惑が渦巻く、広大で複雑な海と言えるでしょう。そして、この海を航海する者の中には、様々な役割を担う人々が存在します。その中でも特に重要な役割を担うのが、「ポジションテイカー」と呼ばれる存在です。彼らは、いわば荒波にもひるまず、自らの信念と勘に基づいて大胆な航海に出る冒険家のようなものです。価格の変動という波を巧みに読み解き、リスクを恐れずに積極的に取引を行います。彼らの目的は、ただ一つ、大きな利益という宝を手に入れることです。ポジションテイカーは、時に市場のトレンドを作り出す力も持ち合わせています。彼らの大規模な売買は、他の投資家の行動にも影響を与え、市場全体を動かすことさえあります。しかし、その航海は決して楽なものではありません。予測が外れれば、大きな損失を抱えるリスクも常に伴います。このように、ポジションテイカーは高いリスクとリターンを両立させながら、投資の世界において重要な役割を担っています。 彼らの存在は、市場に活力を与え、成長を促す原動力の一つと言えるでしょう。そして、私たちもまた、彼らの活動によって恩恵を受けていると言えるかもしれません。
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企業と個人の成長を支える貸付業務

- 貸付業務とは貸付業務とは、お金を必要としている企業や個人に対し、金融機関がお金を貸し出す業務のことを指します。銀行や信用金庫、消費者金融会社などが、この貸付業務を行っています。 企業にとって、貸付は事業を拡大したり、新しい設備を導入したりするために必要な資金を調達する手段として重要な役割を担っています。例えば、新しい工場を建設する場合や、新たな事業を始める際に、自己資金だけでは不足する場合、銀行からお金を借り入れることで、事業をスムーズに進めることが可能となります。一方、個人にとっても、貸付は住宅を購入する、子供の教育資金を準備するなど、人生における大きな買い物や、将来のための資金準備に欠かせないものです。住宅ローンや教育ローンを利用することで、一度に多額の費用を準備することが難しい場合でも、無理なく返済計画を立てながら、目標を実現することができます。このように、貸付業務は、お金を必要とする側と、お金を運用したい金融機関の双方にとってメリットのある仕組みと言えるでしょう。そして、この貸付業務は、経済活動を活性化させ、人々の生活を支える上で、非常に重要な役割を果たしています。
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IFRSとは? 世界で進む会計基準の統一

- IFRSの概要IFRSは「International Financial Reporting Standards」の略で、日本語では「国際財務報告基準」といいます。簡単に言うと、企業が財務諸表を作成する際の共通ルールのことです。財務諸表とは、企業の経営成績や財政状態を報告する書類のことで、例えば貸借対照表や損益計算書などが挙げられます。 このIFRSは、国際会計基準審議会(IASB)という国際的な組織が発行しています。世界中の多くの国々で採用されており、日本でも上場企業の一部はIFRSを採用しています。 では、なぜIFRSが必要なのでしょうか?それは、国によって会計基準が異なると、企業の財務状況を比較することが難しくなるからです。例えば、ある国では認められている会計処理が、別の国では認められていないという場合があります。このような状況では、投資家や金融機関は、異なる国の企業を比較検討することが困難になります。 そこで、IFRSを導入することで、世界中の企業が同じ会計基準に基づいて財務諸表を作成することができるようになり、企業の財務状況を比較しやすくなります。その結果、国際的な投資を促進することにつながると期待されています。
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資産の適正価格を知る:公正価値とは?

- 公正価値とは 公正価値とは、ある資産を、市場で売りたい人と買いたい人が納得できる価格で取り引きできると考えられる金額のことです。 たとえば、あなたが所有している家を売るとしましょう。この場合、家の公正価値は、家の広さや築年数、立地などの条件を考慮して、あなたがいくらで売っても良いと考えるか、そして、買いたい人がいくらまでなら出して良いと考えるか、双方の意見が一致するであろう金額になります。 重要なのは、公正価値は、必ずしもその時の市場で実際に成立している価格と同じではないということです。 例えば、人気のある地域にある築浅の家であれば、市場価格よりも公正価値が高くなる可能性がありますし、逆に、不人気な地域にある築古の家であれば、市場価格よりも公正価値が低くなる可能性があります。 つまり、公正価値は、市場の状況や資産の状態などを総合的に判断して決定される、その資産にとっての適正な価格と言えるでしょう。
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ILOってどんな機関?

- ILOとはILOは、正式名称を国際労働機関(International Labour Organization)といい、労働問題に特化した国際機関です。1919年に締結されたベルサイユ条約に基づいて設立され、スイスのジュネーブに本部を構えています。ILOの主な目的は、世界中の労働条件を改善し、労働者の権利を守ることです。そのために、国際労働基準の策定、技術協力、調査研究など、多岐にわたる活動を行っています。具体的な活動内容としては、強制労働の撤廃、児童労働の根絶、労働時間や賃金に関する基準の設定、労働安全衛生の推進、労働組合の結成・運営の支援などが挙げられます。ILOは、加盟国政府、労働者代表、使用者代表の三者構成というユニークな特徴を持っています。この三者が対等な立場で議論を重ねることで、現実的で実行可能な解決策を見出すことを目指しています。また、ILOは国際連合の専門機関の一つでもあります。国際連合と連携し、持続可能な開発目標(SDGs)の達成にも貢献しています。特に、ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の実現は、SDGsの主要目標の一つとして位置付けられています。
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資産運用に必須の知識!マーク・トゥ・マーケットとは?

- はじめの一歩 投資や資産運用を始めると、様々な専門用語に出会うことになります。その中でも、「マーク・トゥ・マーケット」という言葉は、特に重要な概念の一つと言えるでしょう。この言葉は、自分が持っている株や債券などの資産が、今どれくらいの価値があるのかを把握する際に使われる評価方法の一つです。 普段の生活では、資産というと「買った時よりも価値が上がったか、下がったか」で判断することが多いかもしれません。しかし、投資の世界では、「今この瞬間に売ったら、どれくらいの値段で売れるのか」という視点が重要になってきます。マーク・トゥ・マーケットは、まさにこの「今この瞬間の価値」を測るためのものなのです。 例えば、あなたが1年前に購入した株があるとします。購入時は1株1,000円でしたが、世界経済の動向や企業の業績など様々な要因によって、株価は日々変動します。マーク・トゥ・マーケットでは、1年後の今日、その株が1株1,200円で売れるとしたら、あなたの資産は1,200円として評価されます。このように、常に最新の価格に基づいて資産を評価するのが、マーク・トゥ・マーケットの特徴と言えるでしょう。
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貸借対照表を読み解く

企業の財務状況を把握することは、その企業の安定性や成長性を判断する上で非常に重要です。そして、企業の財務状況を明らかにする資料として、貸借対照表は欠かせないものです。貸借対照表は、ある特定の時点における企業の財政状態を写真のように切り取ったもので、企業の財産状況を明らかにします。 貸借対照表は、大きく分けて「資産」「負債」「純資産」の3つの要素で構成されています。「資産」は、企業が事業活動のために保有している財産を指し、現金や預金、売掛金、土地、建物、機械設備などが含まれます。一方、「負債」は、企業が負っている借金や支払い義務を表し、借入金や買掛金などが該当します。そして、「純資産」は、資産から負債を差し引いた金額で、企業の本当の財産を示す重要な指標となります。 貸借対照表を分析することで、企業がどのような資産を持っているのか、どれだけの借金をしているのか、そして自己資本はどれくらいあるのかといった、企業の財務状況を把握することができます。この情報は、投資判断や取引の安全性評価、企業の経営改善など、様々な場面で役立ちます。
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企業会計の基礎:HCAとは?

- HCAとは? HCAは、ヒストリカル・コスト・アカウンティング(Historical Cost Accounting)を省略した言葉で、日本語では「取得原価主義会計」や「原価主義会計」と言います。 これは、企業会計において、会社の資産や負債の価値を評価する際に使われる方法の一つです。 HCAの特徴は、過去の取引価格、つまり「取得原価」を基準に資産や負債を評価するという点にあります。 例えば、会社が100万円で購入した土地があるとします。 時間の経過とともに、土地の周りの状況が変わったり、需要が高まったりして、土地の市場価格が上昇し、現在では150万円の価値があるという状況になったとしましょう。 このような場合でも、HCAを用いると、この土地は取得時の価格である100万円で評価され、決算書に計上され続けます。 たとえ市場で150万円で売ることができても、HCAでは取得原価である100万円を基準にするためです。 HCAは、客観的な情報に基づいて評価を行うため、企業会計において広く採用されている方法です。
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貸倒れリスクとは?

- 貸倒れリスクの定義お金を貸す際には、相手が約束通りに返済してくれることを期待します。しかし、現実には様々な事情によって、貸したお金が返ってこなくなるリスクが常に存在します。これが「貸倒れリスク」と呼ばれるものです。簡単に言えば、「貸したお金が返ってこないかもしれない」という不安定な状態を指します。お金の貸し借りにおいて、必ず返済されるという絶対的な保証はありません。企業が業績不振で倒産してしまったり、個人が失業や病気などで収入が途絶えてしまったりするなど、予期していなかった事態によって返済が滞ってしまう可能性は常にあります。例えば、友人に10万円貸したとします。友人は「必ず来月返す」と約束してくれましたが、その後、病気で働けなくなり、収入が途絶えてしまったとします。このような場合、たとえ友人が返済する意志を持っていても、約束通りにお金を返済することが困難になる可能性があります。これが貸倒れリスクの一例です。貸倒れリスクは、お金を貸す側にとって大きな損失をもたらす可能性があります。そのため、お金を貸す際には、事前に相手の信用状況などを十分に調査し、貸倒れリスクを最小限に抑える努力が欠かせません。
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世界銀行を理解する: IBRDとその役割

- 国際復興開発銀行とは 国際復興開発銀行(IBRD)は、世界銀行グループの中核を担う機関の一つであり、世界で最も大きな開発機関として重要な役割を担っています。 第二次世界大戦後の1944年に設立された当初の目的は、戦争で疲弊したヨーロッパ諸国の復興を支援することでした。しかし、時代の変化とともにその役割は大きく変化し、現在では開発途上国の経済成長と貧困削減を支援することに重点を置いています。 具体的には、開発途上国に対し、インフラ整備、教育、医療、農業などの様々な分野で融資や技術支援を行っています。これらの支援を通じて、開発途上国の経済成長を促し、貧困の撲滅を目指しています。 国際復興開発銀行は、単に資金を提供するだけでなく、開発途上国の政策立案や制度改革についても助言や支援を行っています。 開発途上国が抱える問題を根本から解決し、持続可能な発展を遂げられるよう、多岐にわたる支援活動を行っている機関と言えるでしょう。
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貸倒引当金とは?銀行の財務健全性の指標

- 貸倒引当金とは銀行は企業にお金を貸し出すことで利益を得ていますが、貸し出したお金が全て回収できるとは限りません。企業の業績悪化や倒産などによって、貸したお金が返ってこなくなるリスクがあります。このような事態に備え、銀行はあらかじめ回収できない可能性のある金額を見積もって費用計上します。これが貸倒引当金です。具体的には、銀行は貸出先の企業の財務状況や、景気動向などを分析し、将来どれくらいの貸出金が回収できなくなるかを予測します。そして、この予測に基づいて、貸倒引当金を積み立てます。貸倒引当金を積み立てることで、銀行は万が一、貸出金が回収できなくなった場合でも、その損失を吸収し、安定した経営を続けることができます。また、貸倒引当金の額は、銀行の健全性を示す指標の一つとして、投資家や預金者にとっても重要な情報となります。
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GNIでわかる!国の経済規模

- 国民が生み出した所得の合計額を示す指標GNI GNIとは、国民総所得(Gross National Income)の略語で、一定期間内に国民が新たに生み出した所得の合計額を示す経済指標です。 似たような指標に国内総生産(GDP)がありますが、GNIはGDPとは異なる点があります。GDPは、国内で生産された付加価値の合計額を表すのに対し、GNIは、国内で生産された所得に加えて、海外からの所得も含まれます。具体的には、海外からの利子や配当 incomeなどもGNIに含まれます。反対に、外国への支払い分はGNIから差し引かれます。 つまり、GNIは国籍に基づいた所得の指標と言えるでしょう。この指標を見ることで、国民が国内外でどれだけの所得を得ているのかを知ることができます。 GNIは、一国の経済規模や国民の生活水準を把握する上で重要な指標の一つです。GNIの推移を分析することで、経済成長や所得分配の変化などを把握することができます。
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投資のリスク指標:ボラティリティを理解する

- 変動の大きさでリスクを測る!ボラティリティとは?投資の世界では、リスクとリターンは表裏一体。大きな利益を狙うなら、それ相応のリスクを取る必要があります。では、そのリスクはどうやって測れば良いのでしょうか?その指標の一つが「ボラティリティ」です。 ボラティリティとは、投資商品の価格がどれくらい大きく変動するかを表す指標です。ある一定期間、例えば1年間で、株価や為替レートが大きく上がったり下がったりする場合、その投資商品は「ボラティリティが高い」と言えます。逆に、価格変動が小さければ「ボラティリティが低い」と判断されます。 例えば、銀行に預けているお金は、元本保証されているため、価格が大きく変動することはありません。つまり、預貯金はボラティリティが低い投資商品と言えます。一方、株式投資は、企業の業績や経済状況によって株価が大きく変動する可能性があり、預貯金に比べてボラティリティが高い投資商品と言えるでしょう。 ボラティリティは、投資のリスクを測る上で重要な指標の一つです。ただし、ボラティリティが高いからといって、必ずしも悪い投資というわけではありません。価格変動が大きいということは、それだけ大きな利益を狙える可能性も秘めているからです。重要なのは、自身の投資目標やリスク許容度に応じて、適切なボラティリティの投資商品を選ぶことです。