価格ではなく数量で調整?ケインズ経済学の考え方

価格ではなく数量で調整?ケインズ経済学の考え方

投資について知りたい

先生、『数量調整』って、需要と供給の差が生産物の量で調整されるって意味ですよね?具体的にどういうことか、もう少し詳しく教えてください!

投資アドバイザー

いい質問だね!例えば、今すごく人気で品薄になっているゲーム機があるとしよう。需要に対して供給が追いついていない状態だね。この時、メーカーはどうすると思う?

投資について知りたい

うーん、もっとたくさんゲーム機を作って売るんじゃないかな?

投資アドバイザー

その通り!需要が多いと、メーカーは供給を増やそうと生産量を増やす。逆に、人気がなくなって売れ残りが増えると、生産量を減らして調整する。これが『数量調整』だよ。

数量調整とは。

「数量調整」は投資の世界で使われる言葉で、物の需要と供給の差が、その物の作られる量で調整されることを指します。これは、経済学者ケインズが唱えた考え方に基づいています。ケインズは、「市場では、本来はうまくいくはずの調整機能がうまく働かない」と考え、需要と供給のバランスが崩れた時は、物の量で調整されるとしました。

需要と供給のバランス

需要と供給のバランス

私たちの身の回りにある商品やサービスの価格が決まる仕組みを理解する上で、「需要と供給」は欠かせない要素です。簡単に言うと、ある商品を欲しいと思う人が多く、お店に出回る数が少なければ、その商品の価格は高くなります。逆に、欲しいと思う人が少なく、お店にたくさん並んでいれば、価格は安くなるでしょう。

例えば、人気の新しいゲーム機があるとしましょう。発売当初は、多くの人が欲しがり、生産が追いつかないため、定価よりも高い値段で取引されることがあります。これは、欲しいという気持ち、つまり需要に対して、お店に並ぶゲーム機の数が少ない、つまり供給が追いついていない状態だからです。

時間が経つにつれて、ゲーム機を欲しい人は減っていき、生産も安定してきます。すると、お店にゲーム機が十分に並ぶようになり、価格は定価、あるいは定価よりも安くなることもあります。このように、需要と供給は常に変化し、そのバランスによって商品の価格は上下するのです。

需要と供給のバランスは、経済全体にとっても重要な役割を果たしています。需要と供給がバランスの取れた状態であれば、経済は安定し、成長を続けることができます。

要素 需要 供給 価格
人気ゲーム機発売当初 多い 少ない 高い
時間が経過した後 少ない 多い 安い

価格調整と数量調整

価格調整と数量調整

商品やサービスの取引では、常に需要と供給のバランスが保たれているわけではありません。需要と供給のバランスが崩れた状態を調整し、均衡状態に戻すメカニズムとして、「価格調整」と「数量調整」の二つがあります。

価格調整は、需要と供給の差によって商品の価格が変動するメカニズムです。例えば、ある商品の人気が高まり、需要が供給を上回る状況になると、その商品の価格は上昇します。価格の上昇によって需要は減少し、供給とのバランスが取れていきます。反対に、供給が需要を上回る状況では、価格が下落することで需要が増加し、均衡に向かいます。

一方、数量調整は、価格ではなく、商品の生産量や在庫量といった数量を変化させることで調整を行うメカニズムです。需要が供給を上回る状況では、企業は生産量を増やしたり、新たな企業が参入したりすることで供給を増加させます。反対に、供給が需要を上回る状況では、企業は生産量を減らしたり、在庫を調整したりすることで供給を減少させます。

このように、価格調整と数量調整は、市場における需要と供給のバランスを調整する重要な役割を担っています。

調整メカニズム 概要 需要 > 供給 需要 < 供給
価格調整 需要と供給の差によって商品の価格が変動する。 価格上昇により需要減退 価格下落により需要増加
数量調整 価格ではなく、商品の生産量や在庫量といった数量を変化させる。 生産量増加、新規参入などにより供給増加 生産量減少、在庫調整などにより供給減少

ケインズ経済学における数量調整

ケインズ経済学における数量調整

ケインズ経済学においては、市場メカニズムが必ずしも円滑に機能するとは限らず、特に短期においては、価格ではなく数量によって調整が行われると考えられています。

伝統的な経済学では、需要と供給は価格によって調整されるとされます。需要が増加すれば価格が上昇し、供給が増加すれば価格は下落するという考え方です。しかしながら、ケインズ経済学では、現実には企業が価格を容易に変更できない状況が存在すると指摘します。

例えば、需要が急増したとしても、直ちに工場を拡張したり、従業員を増やしたりすることは容易ではありません。また、逆に需要が減退した場合でも、解雇や工場の縮小は企業にとって大きな負担となるため、簡単には実行できません。

このような状況下では、企業は価格調整よりも、生産量を調整することで需要の増減に対応しようとします。需要が増加した場合には、在庫を減らしたり、残業を増やしたりして対応し、需要が減少した場合には、在庫を増やしたり、従業員の勤務時間を減らしたりします。

このように、ケインズ経済学では、短期的には価格ではなく、数量の調整が先行すると考えられており、このことが景気の変動を生み出す要因の一つとして捉えられています。

経済学派 市場メカニズム 調整方法
伝統的な経済学 円滑に機能する 価格調整 (需要増加→価格上昇、供給増加→価格下落)
ケインズ経済学 必ずしも円滑に機能するとは限らない (特に短期) 数量調整 (需要増加→生産量増加、需要減少→生産量減少)

数量調整の例

数量調整の例

年末年始のセールを想像してみてください。人気商品は、価格がそれほど下がっていなくても、あっという間に売り切れてしまいますよね。これは、企業が需要に応じて価格を上下させるのではなく、あらかじめ決めた数量だけを販売しているからです。

例えば、ある人気のお toys が100個だけセール価格で販売されるとします。100個すべてが売り切れた後も、まだ toys を欲しいと思っている人がいるかもしれません。しかし、企業はそこで価格を上げるのではなく、販売数を100個に制限したままにします。

このように、需要が価格ではなく、販売数量によって調整されている場合、これを「数量調整」と呼びます。数量調整は、価格の変動を抑えたい場合や、商品の希少性を保ちたい場合などに用いられる戦略です。企業は、需要と供給のバランスを見ながら、価格調整と数量調整を使い分けています

調整方法 説明 目的
価格調整 需要に応じて価格を上下させる。 多くの商品の価格設定 需要と供給のバランスを取る。
数量調整 あらかじめ決めた数量だけを販売し、価格は変動させない。 年末年始のセール品、限定品 価格の変動を抑え、商品の希少性を保つ。

まとめ

まとめ

物価の変動によって経済活動を調整することを「価格調整」と呼びますが、それと並んで「数量調整」も経済を理解する上で欠かせない考え方です。

特に、イギリスの経済学者であるケインズが提唱したケインズ経済学では、市場メカニズムは完全には機能せず、需要と供給のバランスが価格調整だけで一致するとは限らないと説明されます。

例えば、不況によってモノが売れ残ったとしても、企業はすぐに価格を下げるのではなく、生産量を減らして在庫を抱える対応をとることがあります。また、人手不足が起きても、企業はすぐに賃金を上げるのではなく、求人数を調整して対応する場合もあります。

このように、価格ではなく、生産量や雇用量、在庫量といった数量を調整することで需給のバランスを取ろうとするのが「数量調整」です。

現実の経済では、価格調整と数量調整の両方が働いていますが、どちらのメカニズムが強く働くかは、市場の状況や財・サービスの種類によって異なります。経済現象を深く理解するためには、価格調整と数量調整、両方の視点から分析することが重要です。

調整メカニズム 説明
価格調整 物価の変動によって経済活動を調整する。 – モノが売れ残ったら価格を下げる
– 人手不足になったら賃金を上げる
数量調整 価格ではなく、生産量や雇用量、在庫量といった数量を調整することで需給バランスをとる。ケインズ経済学が提唱。 – モノが売れ残ったら生産量を減らして在庫を抱える
– 人手不足になったら求人数を調整する
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