信用創造の仕組みを無限等比級数の公式で理解する
投資について知りたい
先生、「無限等比級数の公式」って、投資とどんな関係があるんですか?難しそうな名前で全然イメージがわかないんです…
投資アドバイザー
なるほど、確かに名前だけ聞くと難しそうに聞こえるよね。簡単に言うと、この公式は「最初に預けられたお金が、銀行の貸し出しによって、何倍にも膨らんでいく」様子を表すのに役立つんだ。
投資について知りたい
何倍にも膨らむ…?でも、預けたお金が増えるって、どういうことですか?
投資アドバイザー
例えば、あなたが銀行に100万円預けたとしよう。銀行はそのお金を企業に貸し出す。企業はそれを元手に商品を作り、売って利益を得て、銀行に返済する。銀行は受け取ったお金の一部をあなたに利息として渡し、残りをまた貸し出す。これを繰り返すことで、最初預けた100万円が何倍にもなって経済全体に循環していくんだ。その様子を計算するのが「無限等比級数の公式」なんだよ。
無限等比級数の公式とは。
投資の世界でよく使われる「無限等比級数の公式」について説明します。この公式は、永遠に続くある一定の規則性を持った数字の列の合計を計算するためのものです。銀行がお金を貸し出すことで、社会全体のお金が増えていく仕組みを「信用創造」といいますが、この公式を使うことで、信用創造によって銀行の預金が最終的にいくらになるのか、あるいは何倍に増えるのかを簡単に計算することができます。
銀行預金と信用創造
私たちが銀行にお金を預けると、そのお金は安全な場所に保管され、必要な時に引き出すことができます。しかし、銀行は預かったお金のすべてをただ金庫に眠らせているわけではありません。
銀行は、預かったお金の一部を、万が一に備えた支払準備金として中央銀行に預け入れます。そして、残りの大部分のお金は、企業や個人への融資に回されます。
例えば、企業が新しい工場を建設するために銀行からお金を借りたり、個人が住宅ローンを組んで家を購入したりする際に、銀行預金が活用されています。銀行からお金を借りた企業や個人は、そのお金を使って経済活動を行い、経済を活性化させていきます。
このように、銀行は預金という形で集めたお金を、融資という形で企業や個人に提供することで、社会全体のお金の循環を生み出しているのです。この仕組みを信用創造と呼びます。信用創造は、経済活動を支え、成長を促す上で非常に重要な役割を果たしています。
銀行の役割 | 預金の行方 | 効果 |
---|---|---|
預金の保管 | 一部は中央銀行へ支払準備金として預け入れ | 万が一に備える |
融資の実行 | 大部分は企業や個人への融資へ | 企業の投資や個人の消費を促進し、経済を活性化 |
無限に続く預金の連鎖
私たちが銀行に預けたお金は、そのまま保管されているわけではありません。銀行は、預金の一定割合を自己資金として保有し、残りの大部分を企業や個人への融資に回しています。例えば、あなたが100万円を預金したとします。銀行は、その一部、例えば10万円を自己資金として保有し、残りの90万円を他の誰かに融資します。
この融資を受けた人が、そのお金を別の銀行に預金すると、再び預金の連鎖が始まります。 90万円の預金を受け入れた銀行は、その一部を自己資金として保有し、残りをまた別の融資に回します。このように、最初の100万円の預金は、何度も繰り返し貸し出され、預金と融資の連鎖を生み出していくのです。
この連鎖は理論上、無限に続く可能性を秘めています。 もちろん、現実には、全額が預金されることはなく、一部は現金として保有されたり、消費に回されたりします。しかし、銀行を通じた預金と融資の循環は、経済活動を活性化させる上で重要な役割を果たしています。この仕組みによって、社会全体のお金の供給量が増え、経済成長を促進することにつながっていくのです。
預金の動き | 状況 |
---|---|
最初の預金 | 100万円 |
銀行の自己資金 | 10万円 (預金の10%) |
融資 | 90万円 |
次の預金 | 90万円 |
次の銀行の自己資金 | 9万円 (預金の10%) |
次の融資 | 81万円 |
無限等比級数の公式
お金は社会の中で循環しており、銀行への預金は、融資を通じてまた別の預金を生み出すという循環を繰り返しています。例えば、あなたが銀行に100万円を預けたとしましょう。銀行は預金準備率(※)を20%とすると、そのうちの80万円を他の人に融資します。融資を受けた人は、そのお金を使って商品を購入したり、別の銀行に預けたりします。もし、別の銀行に預けられた場合、その銀行もまた預金準備率20%を差し引いた金額を融資に回すことができます。このように、最初の預金が次々と融資を通じて新たな預金を創造していくことを信用創造と呼びます。
この預金と融資の無限の連鎖を数学的に表現するのが、無限等比級数の公式です。この公式を用いることで、最初の預金が最終的にどれだけの預金を生み出すのか、つまり信用創造によって預金がどれだけ膨らむのかを計算することができます。今回の例では、預金準備率が20%なので、最初の預金100万円は最終的に5倍の500万円の預金を生み出すことになります。
(※)預金準備率とは、銀行が預金のうち、中央銀行に預けたり、手元に置いておかなければならない割合のことです。
用語 | 説明 | 例 |
---|---|---|
信用創造 | 銀行への預金が、融資を通じて新たな預金を次々と生み出すこと | 最初の預金100万円が最終的に500万円の預金を生み出す |
預金準備率 | 銀行が預金のうち、中央銀行に預けたり、手元に置いておかなければならない割合 | 20% |
無限等比級数の公式 | 預金と融資の無限の連鎖を数学的に表現する公式 | – |
公式の中身
– 公式の中身
無限に続く等比数列の和、つまり無限等比級数の和を求める公式は、「最初の項 ÷ (1 – 公比)」で表されます。
銀行がお金を貸し出すことでお金が増えていく信用創造の仕組みも、この無限等比級数を用いて考えることができます。
信用創造では、「最初の項」は銀行に預けられた最初の預金の金額に相当します。
一方、「公比」は銀行が預金のうちどれだけの割合を貸し出すかを示す「預金準備率」を用いて計算します。
具体的には、「公比」は「1 – 預金準備率」で求めることができます。
例えば、最初の預金額が100万円で、預金準備率が10%の場合、信用創造によって最終的にどれだけの預金が作られるかを計算してみましょう。
この場合、公比は「1 – 0.1 = 0.9」となります。
そして、公式に当てはめると、「100万円 ÷ (1 – 0.9) = 1000万円」となり、最終的には1000万円の預金が作られることがわかります。
項目 | 内容 | 具体例(最初の預金:100万円、預金準備率:10%の場合) |
---|---|---|
無限等比級数の和の公式 | 最初の項 ÷ (1 – 公比) | 100万円 ÷ (1 – 0.9) = 1000万円 |
最初の項 | 銀行に預けられた最初の預金の金額 | 100万円 |
公比 | 1 – 預金準備率 | 1 – 0.1 = 0.9 |
信用創造の力
– 信用創造の力私たちが銀行に預けたお金は、そのまま保管されているだけではなく、経済全体を活性化させる力強い原動力となります。預金は銀行にとって、企業や個人への融資の原資となります。企業は銀行から融資を受けることで、新たな事業への投資や設備の拡張を行い、より多くの雇用を創出します。また、個人は住宅ローンや自動車ローンなどを利用することで、より豊かな生活を送ることができます。重要なのは、銀行が行う融資は、預金の額面をそのまま超えて行われる可能性があるということです。これは、銀行が預金の一部を中央銀行に預けることを義務付けられている「預金準備率制度」を背景に、信用創造と呼ばれるメカニズムが働くためです。例えば、預金準備率が10%だとすると、銀行は預金の10%を準備金として保有し、残りの90%を新たな融資に回すことができます。この新たな融資を受けた人が、再び別の銀行に預金すると、その銀行も同様に預金の一部を準備金として残し、残りを融資に回すことができます。このように、預金、融資、預金というサイクルが繰り返されることで、最初の預金額をはるかに超える規模の資金が市場に供給されることになります。このプロセスは、数学的には無限等比級数の公式で表すことができ、預金準備率が低いほど、そして預金が繰り返される回数が多いほど、信用創造による資金供給の効果は大きくなります。しかし、信用創造は経済を活性化する一方で、過剰な融資によるバブルやインフレーションのリスクも孕んでいます。中央銀行は、預金準備率の調整や政策金利の操作を通じて、信用創造のペースを調整し、経済の安定化を図っています。
信用創造のメカニズム | 効果 | リスク |
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銀行は預金の一部を中央銀行に預け、残りを融資に回す。融資を受けた人が再び預金することで、預金、融資、預金のサイクルが生まれ、最初の預金額をはるかに超える資金が市場に供給される。 |
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