投資信託選びの決め手？運用会社の「定性評価」とは

投資信託選びの決め手？運用会社の「定性評価」とは

数値だけでは見えない価値

投資信託を選ぶ際、多くの人が過去の運用成績や手数料率といった数値を参考にしているのではないでしょうか。確かに、これらの数値は投資判断において重要な要素です。しかし、投資信託の真価を見極めるには、数値だけに頼るのではなく、数値には表れない価値にも目を向ける必要があります。投資の世界には、数値だけでは測れない、目に見えない価値が存在するからです。

例えば、同じような投資対象や運用方針の投資信託があったとしても、運用会社の理念や運用担当者の経験、顧客対応の質などは大きく異なる可能性があります。これらの要素は数値には表れませんが、長期的な投資成果や投資家としての満足度に大きく影響を与える可能性があります。

そこで重要となるのが「定性評価」という考え方です。定性評価とは、数値化が難しい要素を、言葉や経験に基づいて評価することです。具体的には、運用レポートの内容や運用会社の経営理念、顧客対応などを総合的に判断します。

目先の数値にとらわれず、定性評価を取り入れることで、より深く投資信託を理解し、自分に合った投資信託を選ぶことができるでしょう。

定性評価とは何か

– 定性評価とは何か定性評価とは、投資信託などを選ぶ際に、過去の収益率などの数値データだけで判断するのではなく、運用会社の理念や運用体制、人材といった、数値化が難しい要素を評価基準に含める評価方法のことです。投資とは、あくまでも将来の利益を期待して行うものです。そのため、過去の成績が優秀な投資信託であっても、将来も同じように良い結果が出るとは限りません。過去のデータは重要な判断材料の一つではありますが、それだけに頼るのではなく、運用会社が将来も安定して利益を生み出せる体制や能力を持っているかを見極めることが重要になります。特に、現代社会は変化が激しく、過去の成功体験が通用しないことも少なくありません。そうした変化の激しい市場環境においては、時代の変化をいち早く捉え、柔軟に対応できる運用会社を選ぶことが、長期的な投資成功の鍵と言えるでしょう。定性評価は、過去の数値データだけではわからない、運用会社の「質」を見極めるための有効な手段なのです。

５つのPで多角的に分析

投資信託を選ぶ際に、ただ過去の運用成績が良いからという理由だけで投資を決めてしまうのは大変危険です。将来も同様の成果が得られるとは限りません。しっかりと将来性を見極めるためには、多角的な視点を持つことが重要です。投資信託を分析する際の一つの有効な手段として、「５つのP」というフレームワークがあります。これは、投資信託を５つの要素に分解して評価することで、その実力をより深く理解しようというものです。

まず、-「投資哲学」（Philosophy）-は、その投資信託がどのような信念や方針に基づいて運用されているのかを指します。長期的な成長を目指すのか、短期的な利益を追求するのかなど、投資信託によってその考え方は様々です。

次に、-「運用体制・人材」（People）-は、運用チームの質や経験値を評価します。優秀な運用担当者が揃っているのか、チームとしての一体感はどうかなど、運用成果に直結する重要な要素です。

そして、-「投資プロセス」（Process）-は、銘柄選択やポートフォリオ構築の方法などを分析します。どのような調査や分析を行い、どのように投資判断を行っているのかを理解することで、その信託の信頼性を判断する材料となります。

-「運用成績」（Performance）-は、過去の運用成績だけでなく、その成績がどのように達成されたのかを分析することが重要です。リスクの取り方や市場環境などを考慮することで、その信託の真の実力を測ることができます。

最後に、-「手数料」（Price）-は、投資信託の購入時や保有時にかかる費用を確認します。手数料は運用成績に直接影響を与えるため、しっかりと比較検討する必要があります。

これらの５つの要素を総合的に判断することで、投資信託選びの精度を高めることができます。

投資哲学で長期的な視点

「投資哲学」とは、例えるなら航海の羅針盤のようなものです。
投資を行う会社が、どのような価値観や信念を持ち、どのような方針で投資活動を行っていくのかを示したものが投資哲学です。
これは、長期的な視点で投資を行うのか、短期的な利益を重視するのか、あるいは、倫理的な投資を重視するのかといった、投資に対する姿勢を表すものです。
投資を行う私たちにとって、様々な投資哲学を理解することは非常に大切です。
なぜなら、自分自身の考えや目標と、投資会社の投資哲学が一致していなければ、長期的な投資を成功させることは難しい投資信託を選ぶ際には、それぞれの投資信託の運用報告書などを参考に、どのような投資哲学に基づいて運用されているのかを確認しましょう。
そして、自分の投資スタイルやリスク許容度に合った投資信託を選ぶことが大切です。

運用体制と人材に注目

投資信託を選ぶ際に、運用成績ばかりに目が行きがちですが、「運用体制と人材」も軽視できない重要な要素です。優秀なファンドマネージャーが一人で優れた運用成績を上げ続けることは難しく、
運用チーム全体がしっかりと機能しているかどうかが、安定した運用成果に繋がります。

チェックポイントとしては、まず運用チームの構成人数や、それぞれの専門性、経験年数などを確認しましょう。
少数精鋭で運用されている場合は、担当者の異動や退職によって運用方針が大きく変わるリスクがあります。
逆に、大人数で運用されている場合は、意思決定に時間がかかったり、責任の所在が曖昧になる可能性も考えられます。

また、運用チームの過去の人事異動や離職率についても確認しておきましょう。
離職率が高い場合は、運用方針が不安定になる可能性があり、注意が必要です。
加えて、運用会社の人材育成への取り組みも重要な要素です。
運用担当者に対して、継続的な研修や資格取得のサポート体制が整っているかどうかも確認することで、
より安心して投資できる投資信託を選ぶことができるでしょう。

投資プロセスで継続的な成長

「投資プロセス」とは、一言でいえば、運用会社が投資先を選定し、ポートフォリオを構築するまでの手順のことです。優秀な運用会社は、独自の分析に基づいた、明確で合理的な投資プロセスを持っているものです。投資プロセスを理解することは、運用会社の継続的な成長の可能性を見極める上で非常に重要です。

投資プロセスを評価する上で着目すべき点は、大きく分けて「市場分析の方法」「ポートフォリオ構築のプロセス」「リスク管理体制」の３つです。

まず「市場分析の方法」ですが、どのような情報に基づいて、どのように企業価値を分析しているのか、その方法は客観的で妥当なものであるのか、などを確認する必要があります。次に「ポートフォリオ構築のプロセス」では、分散投資の考え方がきちんと取り入れられているか、などが重要になります。最後に「リスク管理体制」ですが、市場の変動にどのように対応するのか、リスク許容度は適切か、などを確認する必要があります。

これらの要素を総合的に判断することで、その運用会社が、長期的な視点に立って、安定した運用成績を上げることができるのかどうかを判断することができます。投資をする際には、目先の成績だけに惑わされることなく、運用会社の投資プロセスをよく理解した上で、投資判断を行うようにしましょう。