評価は数字だけ？絶対評価のメリット・デメリット

評価は数字だけ？絶対評価のメリット・デメリット

絶対評価とは

– 絶対評価とは絶対評価とは、あらかじめ決められた基準や目標を達成できたかどうかで個人の成果を評価する方法です。例えば、営業目標として100件を設定していた場合、実際に達成できた件数が評価の対象となります。資格試験であれば、合格率が事前に設定した目標に届いているかどうかで評価が決まります。このように、絶対評価では、数値で表すことができる指標を使うことが一般的です。評価の基準があらかじめ明確になっているため、評価を受ける側も結果に納得しやすいというメリットがあります。目標を達成するために何をすれば良いのかが明確なので、各自が目標に向かって努力しやすくなるという点もメリットとして挙げられます。一方で、目標設定が適切でないと、正確な評価を行うことが難しくなるという課題もあります。目標が高すぎると達成することが難しく、モチベーションの低下に繋がりかねません。反対に、目標が低すぎると、本来持っている能力よりも低い評価を受けてしまう可能性もあります。そのため、個人の能力や状況を考慮した適切な目標設定が重要となります。

絶対評価のメリット

– 絶対評価のメリット絶対評価は、あらかじめ設定された明確な評価基準に基づいて評価を行う方法です。この評価方法には、いくつかの大きな利点があります。まず、評価基準が明確であるため、評価の公平性・客観性が高まります。従来の相対評価では、評価者が個人の主観や感情に影響されやすく、評価結果にばらつきが生じやすいという問題点がありました。しかし、絶対評価では、具体的な行動目標や達成レベルが数値化された指標を用いるため、評価者による評価のブレが少なく、より公平で客観的な評価が可能になります。また、評価対象者にとっても、自分がどのような基準で評価されるかを事前に理解できるため、目標達成へのモチベーション向上に繋がります。各自が自身の強みや弱みを把握し、具体的な目標設定やスキルアップに取り組むことで、自己成長を促進することができます。さらに、評価結果は数値として記録されるため、人事評価の透明性を確保する上でも有効です。評価結果が可視化されることで、評価対象者との面談時にも具体的な根拠に基づいたフィードバックを行うことが可能になります。また、昇進や昇給などの判断材料としても客観的なデータとして活用することができます。このように、絶対評価は、公平性・客観性・透明性の高い評価制度と言えるでしょう。

絶対評価のデメリット

絶対評価は、あらかじめ決められた評価基準に基づいて成果や能力を測るため、評価基準が明確で分かりやすいというメリットがあります。しかし、状況の変化に対応するのが難しいという側面も持ち合わせています。
例えば、会社の業績が急速に悪化したり、予想外の出来事が起こったりして、当初設定していた目標を達成することが難しくなる場合もあるでしょう。このような状況下では、目標達成度だけで評価してしまうと、社員一人ひとりの努力や工夫を見落としてしまう可能性があります。
また、絶対評価は個人間の競争意識をあおりすぎるという側面も否定できません。目標達成を最優先するあまり、周囲との協力体制が崩れたり、チームワークがおろそかになったりする可能性もあります。
さらに、評価基準が硬直的なものになりやすいという点も課題として挙げられます。一度決めた評価基準が、変化の激しい社会情勢や会社の成長段階に合わなくなってしまうケースも考えられます。
評価制度は、社員のモチベーション向上や能力開発、そして企業の成長に大きく影響を与える重要な要素です。そのため、絶対評価のメリット・デメリットをしっかりと理解した上で、自社の課題や目指す方向性に合った評価制度を構築していく必要があります。

相対評価との比較

– 相対評価との比較よく絶対評価と対比されるのが相対評価です。相対評価は、評価の対象となる人たちを互いに比較し、その中でどの程度の位置にいるのかを評価する方法です。例えば、上位10％の人はSランク、次の20％の人はAランクといったように、評価を受ける人をグループ分けしていく方法がよく用いられます。相対評価を用いるメリットとしては、常に一定の割合で評価が分布されることが挙げられます。そのため、評価の基準が変動しやすい環境や、評価の対象となる人が多い場合に適しています。一方で、相対評価にはデメリットも存在します。評価の基準が曖昧になりやすく、評価を受ける人にとって、なぜその評価になったのかが分かりづらいという側面があります。そのため、評価の結果に対する納得度が低くなる可能性もはらんでいます。場合によっては、評価を受ける人たちの間に不要な競争意識が生まれてしまう可能性も否定できません。

絶対評価と相対評価の組み合わせ

近年、社員一人ひとりの能力や成果を正しく評価し、その成長と企業の業績向上につなげようとする動きの中で、評価制度も見直されています。従来の評価制度では、主に社員同士を比較して評価する相対評価が主流でしたが、近年では、あらかじめ設定した基準に基づいて評価する絶対評価を取り入れる企業も増えています。

絶対評価と相対評価は、それぞれに利点と欠点があります。絶対評価は、評価基準が明確で分かりやすく、社員が自身の努力目標を立てやすいというメリットがあります。一方、評価基準が厳しすぎると、社員のモチベーションが低下する可能性もあります。また、相対評価では、常に一定の割合で優秀な社員とそうでない社員が選別されるため、社員間の競争意識を高める効果が期待できます。しかし、評価基準が曖昧になりやすく、感情的な対立を生む可能性も孕んでいます。

そこで、近年注目されているのが、絶対評価と相対評価の両方のメリットを組み合わせた評価制度です。例えば、営業目標の達成率など、客観的な指標で測れるものは絶対評価で評価し、チームへの貢献度や仕事に対する姿勢など、数値化しにくいものは相対評価を用いる方法が考えられます。

重要なのは、画一的な評価制度を導入するのではなく、自社の企業文化や目指す方向性、評価の目的に合わせて、最適な評価方法を選択することです。また、評価制度を導入する際には、社員に対してその目的や内容をしっかりと説明し、理解と納得を得るための取り組みも必要となります。