企業年金の進化：CBプランとは？

企業年金の進化：CBプランとは？

はじめに

– はじめに会社員にとって、老後の生活資金をどのように準備するかは重要な問題です。企業年金は、従業員が安心して老後を迎えられるよう、企業が提供する年金制度です。かつては、あらかじめ給付額が決まっている確定給付型が主流でしたが、近年では、運用成績によって将来受け取る年金額が変わる確定拠出型が注目されています。

確定拠出型は、従業員自身が自分の年金を運用できるというメリットがある一方、運用結果によっては将来受け取る年金額が減ってしまうというリスクも伴います。そこで、登場したのが確定給付型と確定拠出型の両方のメリットを併せ持つ「CBプラン」です。

CBプランは、確定拠出型の一種でありながら、会社が一定の給付額を保証してくれるため、従業員は安心して老後の資金を積み立てることができます。また、会社にとっても、確定給付型のように将来の給付額が変動するリスクを抑えながら、従業員のニーズに合わせた柔軟な制度設計が可能です。

この資料では、CBプランの概要やメリット、導入事例などを詳しく解説することで、企業年金制度の新たな選択肢として、検討の材料を提供します。

CBプランの仕組み

– CBプランの仕組み

CBプランは、会社が従業員のために将来の年金を準備する年金制度の一つで、「確定給付型」と「確定拠出型」の良いとこどりをしたような、ハイブリッドな制度です。

法律上は「確定給付型」に分類されます。確定給付型は、将来受け取れる年金額があらかじめ決まっているため、従業員は老後の生活設計が立てやすいというメリットがあります。

しかし、CBプランは、確定給付型でありながら、従業員一人ひとりの年金用の口座を仮想的に作り、そこで年金を管理するという特徴があります。この点は「確定拠出型」に似ています。確定拠出型は、毎月積み立てる掛金は決まっているものの、将来受け取れる年金額は運用成績によって変動する仕組みです。

CBプランでは、確定給付型のように、ある程度の年金額は保証されます。しかし、確定拠出型のように運用成績が良い場合は、受け取れる年金額が増える可能性もありますし、反対に運用成績が悪い場合は、受け取れる年金額が減ってしまう可能性もあるのです。

このように、CBプランは、企業にとっては年金の変動リスクを抑えながら、従業員にとっては柔軟な年金設計を選べるという、双方にとってメリットのある制度と言えるでしょう。

CBプランのメリット：企業側の視点

– CBプランのメリット企業側の視点近年、従業員の退職後の生活保障に関心が高まる中、企業年金制度の在り方も変化しています。従来型の確定給付型制度に代わり、確定拠出型年金制度、いわゆるCBプランが注目を集めています。この制度は、従業員自身が年金資産の運用方法を選択できるという点で従来型とは大きく異なり、従業員にとってのメリットが注目されがちです。しかし、企業側にとっても、CBプランの導入は多くのメリットをもたらします。最も大きなメリットは、企業会計における負担軽減です。従来の確定給付型制度では、将来の給付額が確定しているため、企業は将来にわたる退職給付債務を抱えることになります。この債務額は、経済状況や金利変動などの影響を受けやすく、企業の財務諸表に大きな影響を与える可能性がありました。一方、CBプランでは、企業が拠出する掛金が確定しており、将来の給付額は運用成績によって変動します。そのため、企業は退職給付債務を抱える必要がなく、財務リスクを軽減できます。また、年金資産の運用責任は従業員に移転するため、企業は年金資産の運用管理から解放されます。従来型のように、専門家を雇ったり、複雑な運用戦略を検討したりする必要がなくなり、人材や時間といった経営資源を本来の事業活動に集中させることができます。さらに、CBプラン導入は、従業員の意識改革を促すという効果も期待できます。自分の年金は自分で準備するという意識が芽生え、自己啓発や能力開発への意欲向上につながる可能性があります。このように、CBプランは企業にとっても、財務面、人事面、そして従業員の意識改革という点において、多くのメリットをもたらす制度と言えるでしょう。

CBプランのメリット：従業員側の視点

– CBプランのメリット従業員側の視点会社が従業員の退職金準備を行う制度として、確定給付型企業年金（DB）と確定拠出型年金（DC）が広く知られていますが、近年、両者の特徴を併せ持つキャッシュバランスプラン（CB）を導入する企業も増えてきました。

従業員にとってのCBプランのメリットは、まず将来受け取れる年金額がある程度見通せるという安心感があります。確定給付型のように、毎年の給与や勤続年数に応じて将来の給付額が計算されるため、将来設計が立てやすくなります。また、確定拠出型のように運用成績によって給付額が変動する可能性もありますが、CBプランでは会社が運用責任を負うため、従業員は自ら運用に詳しくなる必要がありません。

さらに、CBプランでは市場金利の上昇によって給付額が増える可能性もあります。これは、会社が運用する資産に一定の利回りを保証する仕組みがあるためです。もちろん、市場金利が大きく下落した場合には、給付額が減額される可能性もゼロではありませんが、確定給付型と比べてそのリスクは低いと言えます。

転職や退職時の対応については、会社や制度設計によって異なります。場合によっては、退職時に積み立てられた資産を他の年金制度に移管したり、一時金として受け取ったりすることが可能です。

このように、CBプランは従業員にとって、将来の年金受給額の見通しやすさ、運用リスクの軽減、市場金利上昇による給付額増加の可能性など、多くのメリットがある制度と言えるでしょう。

CBプランの今後の展望

近年、少子高齢化の進展や経済状況の不安定化に伴い、企業年金制度には、長期的な安定運用と従業員一人ひとりのニーズに対応できる柔軟性の両方が求められています。

従来型の確定給付型年金は、従業員に一定の給付額を保証する一方で、企業側の負担が大きくなりやすいという側面がありました。一方、確定拠出型年金は、従業員自身の責任で運用を行うため、将来の給付額が確定していないという不安要素を抱えていました。

このような状況下、確定給付型と確定拠出型の利点を組み合わせた制度として注目されているのが「キャッシュバランスプラン（CBプラン）」です。CBプランは、企業が従業員に対して、仮想的な口座を設定し、あらかじめ決められた計算式に基づいて定期的に拠出を行います。従業員は、確定拠出型のように、自身のライフプランに合わせて運用方法を選択することができます。

CBプランは、企業にとって、年金制度の持続可能性を高めつつ、従業員の老後資産形成を支援できるというメリットがあります。また、従業員にとっても、将来受け取れる年金額のイメージを掴みやすく、より主体的に retirement plan に参画できるという利点があります。

今後、企業の財務戦略や従業員の価値観の多様化が進むにつれて、CBプランは、従来型の年金制度に代わる新たな選択肢として、ますます普及していくことが期待されます。