わかりやすく解説！最終給与比例方式とは？

わかりやすく解説！最終給与比例方式とは？

はじめに

– はじめに老後の生活設計において、公的年金だけに頼らず、自分自身で将来に備えた資金準備が欠かせない時代となりました。企業年金制度は、まさにそのための有効な手段の一つと言えるでしょう。数ある企業年金制度の中でも、今回は「最終給与比例方式」について詳しく解説していきます。この制度は、退職時の給与額に応じて受け取れる年金額が決まるため、長年勤務し、高い給与を得てきた人ほど、より多くの年金を受け取れるという特徴があります。具体的には、退職前の一定期間の平均給与を基に、勤務年数に応じた支給率をかけて年金額を算出します。例えば、30年間勤務し、平均給与が50万円、支給率が2%だった場合、年間300万円の年金を受け取ることができます。しかし、この制度は、将来の給与や支給率が確定しているわけではないという点に注意が必要です。企業の業績悪化などにより、給与が減額されたり、支給率が見直される可能性もゼロではありません。そのため、最終給与比例方式だけに頼るのではなく、他の貯蓄方法と組み合わせるなど、リスク分散を意識した資金計画を立てることが大切です。

最終給与比例方式の仕組み

– 最終給与比例方式の仕組み

最終給与比例方式とは、長年会社に貢献した社員に対して、退職後に安定した生活を送れるよう、退職時の給与と勤続年数に応じて退職金や年金の金額を計算する仕組みです。

簡単に言うと、退職する時の給与が高く、長く勤めていた人ほど、受け取れる金額が多くなるということです。

例えば、会社員として30年間働き、退職時の給与が50万円だったとします。この会社の退職金制度が、勤続年数1年ごとに給与の2%を支給するというものであれば、退職金は3,000万円になります。(50万円 × 30年 × 2% = 3,000万円)

最終給与比例方式は、長く勤めれば勤めるほど、また、昇給して給与が上がれば上がるほど、もらえる退職金が増えるという点で、社員の勤労意欲を高める効果があります。しかし、退職直前の給与を基準にするため、景気の変動や会社の業績によって、受取額が大きく変わる可能性があるという側面も持っています。

メリット

– メリット

最終給与比例方式の最大のメリットは、退職後の生活設計が立てやすいという点にあります。
将来受け取れる年金額が、現役時代の給与と勤続年数で概ね決まるためです。

例えば、長年勤め上げた会社を定年退職する場合、退職時の給与額と勤続年数は既に分かっている情報です。
そのため、最終給与比例方式では、比較的簡単に将来の年金額を計算することができます。
年金制度は、老後の生活の経済的な支えとなるものですから、事前に受け取れる金額を把握しておくことは、老後の生活資金を具体的にイメージする上で非常に重要です。

また、最終給与比例方式は、勤続年数が長くなるほど、受け取れる年金額も多くなる仕組みです。
そのため、従業員の勤労意欲を高め、長く働き続けたいという気持ちに繋がることが期待できます。
企業にとっては、従業員の定着率向上による人材の長期的な育成や、採用コストの削減にも繋がる可能性があります。

デメリット

– デメリット

従業員にとって魅力的な退職後の生活設計を支援する企業年金制度ですが、企業側にとっては運用や財政管理の面でいくつかの難題を抱えているのも事実です。

まず、給与水準や従業員の年齢構成によって、将来支払うべき年金額が大きく変動する可能性があります。従業員の平均年齢が高くなれば、それだけ退職して年金を受け取る人が増えるため、企業の負担は大きくなります。また、業績が好調で賃金が大きく上昇した場合も、それに応じて将来の年金額も増加するため、企業は長期的な視点で年金財政を管理していく必要があります。

さらに近年では、企業の業績悪化や低金利の影響などにより、当初予定していた年金額の支払いが困難になるケースも増加しています。年金基金の運用がうまくいかず、予定していた運用収益を確保できない場合や、超低金利の影響で運用による資金の増加が見込めない場合などが考えられます。このような事態に陥ると、企業は追加の資金拠出を迫られたり、従業員に対して年金額の減額を提示せざるを得ないケースも出てきます。

このように、企業年金制度は、企業にとって適切な運営と将来を見据えた財政計画が求められる制度と言えるでしょう。

自己都合退職の場合

– 自己都合退職の場合会社を辞めるという決断は、人生における大きな転換期といえます。退職には、会社側の都合で退職するケースと、従業員側の都合で退職するケースの二つがあります。会社都合の場合と比較して、従業員側の都合、いわゆる自己都合で退職する場合には、受け取れるお金に違いが生じることがあります。退職時に受け取れるお金として代表的なものに、退職金があります。退職金は、長年会社に貢献した従業員に対して、会社から支給されるお金です。ところが、自己都合で退職する場合、会社都合や定年退職の場合と比べて、退職金の支給額が低くなることがあります。これは、企業が従業員の長期的な雇用を前提として、退職金制度を設計しているためです。つまり、長く会社に貢献してくれることを期待して、退職金という形で従業員に報いる仕組みを作っているのです。そのため、会社都合ではなく、従業員自身の都合で退職する場合には、会社への貢献度合いを考慮して、支給額が減額されるケースがあります。退職金は、将来設計において重要な資金源となります。そのため、自己都合で退職を検討する際には、退職金がどれくらい受け取れるのか、事前にしっかりと確認しておくことが大切です。

まとめ

長年の勤続を経て退職を迎えるにあたって、気になるのは退職後の生活資金でしょう。退職金は、まさにその生活資金の重要な柱となります。退職金の制度にはいくつか種類がありますが、その中でも「最終給与比例方式」は、長期間にわたって会社に貢献し、高い給与を得てきた方にとって、特に有利な制度と言えるでしょう。最終給与比例方式は、退職前の給与水準と勤続年数を基に退職金の額が計算されるため、長年働き、高い給与を得てきた人ほど、多くの退職金を受け取ることができるのです。

しかしながら、注意すべき点もあります。それは、企業の年金財政の状況によっては、給付額が減額されたり、制度自体が見直される可能性もあるということです。企業の業績が悪化したり、年金資産の運用がうまくいかなかった場合、当初予定していた額の退職金を受け取れない可能性も出てきます。

将来にわたって安心して生活を送るためには、退職金制度についてしっかりと理解しておくことが大切です。企業の年金制度の説明会などがあれば、積極的に参加し、制度の内容や将来の見通しについて確認しておきましょう。また、退職金だけに頼るのではなく、自身で資産形成を行うなど、他の方法も組み合わせて準備しておくことが重要です。