報酬標準給与：厚生年金基金加入員のための基礎知識

報酬標準給与：厚生年金基金加入員のための基礎知識

報酬標準給与とは

– 報酬標準給与とは

会社員や公務員など、多くの人が加入している厚生年金保険。
この制度に加えて、より充実した老後の生活資金を準備するために、会社によっては従業員のために独自の年金制度を設けている場合があります。
それが「厚生年金基金」です。

この厚生年金基金において、将来受け取ることのできる年金額や、毎月会社と従業員が支払う掛金の額などを計算する際に、基準となる金額があります。
それが「報酬標準給与」と呼ばれるものです。

報酬標準給与は、加入している従業員の毎月の給与額を基に、各々の厚生年金基金ごとに独自に定められます。
例えば、Ａ社とＢ社で厚生年金基金に加入している場合、それぞれの会社の給与体系や従業員の年齢層などによって、同じ従業員であってもＡ社とＢ社では報酬標準給与が異なることがあります。

簡単に言えば、報酬標準給与は、厚生年金基金における給与計算のベースとなる重要な要素と言えます。
そのため、報酬標準給与が高く設定されていれば、将来受け取れる年金額も多くなる可能性が高くなりますし、逆に低く設定されていれば、受け取れる年金額も少なくなる可能性があります。

厚生年金基金に加入している方は、ご自身の加入している基金の規定などを確認し、報酬標準給与がどのように決定されているのか、把握しておくことが大切です。

標準報酬月額との関係

– 標準報酬月額との関係会社員にとって給与は、生活の基盤となる大切なものです。そして、給与から天引きされる社会保険料は、将来受け取れる年金や、病気や怪我をしたときに利用できる健康保険などを支える大切なものです。 この社会保険料を計算する上で重要な役割を担うのが「標準報酬月額」と「報酬標準給与」です。「標準報酬月額」とは、厚生年金保険や健康保険の保険料を決める際に基準となる金額のことです。毎月の給与やボーナスなどを元に計算され、毎年4月から6月までの給与を基に決定されます。そして、7月から翌年の6月までの1年間適用されます。一方、「報酬標準給与」は、会社が独自に設定するもので、従業員の給与をいくつかの等級に分けて、それぞれの等級に標準となる給与額を設定したものです。原則として、報酬標準給与は、この標準報酬月額の範囲内で設定されることになっています。つまり、会社の給与体系は、社会保険の仕組みと深く関わっているのです。報酬標準給与も、標準報酬月額と同様に、7月から翌年6月までに見直されるのが一般的です。これは、毎年の昇給や昇格などに応じて、従業員の給与が変動することを考慮しているためです。このように、標準報酬月額と報酬標準給与は、密接な関係にあります。毎月の給与明細を見る際には、これらの仕組みを理解しておくことが大切です。

給付額への影響

老後の生活を支える年金などの給付額は、現役時代の給与を基に計算されるため、報酬標準給与が将来受け取れる金額に大きく影響します。

報酬標準給与とは、給与や賞与など、さまざまな手当を含めた総支給額を基に算出されるもので、これが高ければ高いほど、将来受け取れる年金額も多くなります。年金制度は、現役世代が納めた保険料を、高齢者や障害者などへ給付する仕組みです。そのため、現役時代に多くの報酬を得ていれば、それだけ多くの保険料を納めていることになり、その結果、受け取れる年金額も多くなるというわけです。

反対に、報酬標準給与が低ければ、納める保険料も少なくなるため、受け取れる年金額も少なくなってしまいます。つまり、報酬標準給与は、将来の年金受給額を左右する重要な要素と言えるでしょう。

老後の生活を安定させるためには、現在の報酬標準給与がどの程度の年金額に相当するのか、そして将来どの程度の生活水準を維持したいのかを把握しておくことが大切です。

掛金への影響

毎月の給料から天引きされる掛金は、報酬標準給与を基に計算されます。そのため、報酬標準給与が上がれば、必然的に掛金の額も増加します。

掛金が増えるということは、手取りの給料が減ってしまうことを意味するため、一見すると損をしているように感じてしまうかもしれません。しかし、掛金は将来受け取ることになる年金や退職金、あるいは健康保険や雇用保険などの社会保障制度の原資となります。つまり、今の掛金は将来の自分への投資と言えるのです。

報酬標準給与が高くなり、それに伴って掛金が増えても、それは将来受け取る給付が増えることを意味します。将来の安心をより確かなものにするために、目先の負担にとらわれず、長期的な視点で考えることが大切です。もちろん、家計の状況などを考慮しながら、無理のない範囲で掛金の額を決めていくことが重要です。

確認の重要性

将来受け取ることができる年金の金額は、毎月支払っている保険料の額によって決まります。そして、その保険料の金額は「報酬標準給与」を元に計算されています。つまり、「報酬標準給与」は、将来受け取ることができる年金額に大きく影響する重要な要素なのです。

この「報酬標準給与」は、毎年4月から6月の給与を元に計算され、その結果が「報酬標準給与のお知らせ」として、会社員であれば10月頃に会社から受け取ることができます。受け取ったら、記載されている金額が正しいかどうか、きちんと確認することが大切です。

確認するポイントは、毎月の給与から控除されている社会保険料の金額が妥当かどうか、ということです。もし「報酬標準給与」の金額が少なくなってしまうと、支払うべき社会保険料が少なく計算され、その結果として将来受け取ることができる年金額も減ってしまう可能性があります。

「報酬標準給与のお知らせ」の内容を確認して、不明な点があれば、会社の人事部や社会保険労務士、または年金事務所に問い合わせてみましょう。自分の将来設計のためにも、まずはご自身の「報酬標準給与」についてしっかりと理解を深めることが大切です。