眠れる資産を活用？ – 有価証券貸付のススメ

眠れる資産を活用？ – 有価証券貸付のススメ

年金運用における新たな選択肢

近年、企業が従業員のために積み立てている年金基金の運用において、従来の方法に加えて、新たな運用方法が注目されています。

企業年金の世界では、従業員に将来、年金を安心して受け取ってもらうために、預かったお金を運用して増やすことが求められています。その運用方法として、近年注目されているのが「有価証券貸付」という仕組みです。

「有価証券貸付」とは、簡単に言うと、年金基金が保有している株式や債券を、一時的に証券会社などに貸し出すことで、その対価として「貸出料」を受け取る運用方法です。貸出期間が終了すると、貸出先は借りていた有価証券を返却します。

この「有価証券貸付」は、従来の運用方法と比べて、貸出料という形で安定的な収益を得ることが期待できるというメリットがあります。また、貸出期間中も、株式の配当金や債券の利子は受け取ることができます。

しかし、貸出先が倒産してしまうなど、貸し出した有価証券が返還されなくなるリスクも存在します。そのため、運用にあたっては、リスクとリターンのバランスを考慮しながら、慎重に進めていく必要があります。

眠れる資産で収益アップ

皆さんは、「眠れる資産」という言葉をご存知でしょうか？預金や株式、債券といった保有資産のことを指しますが、従来の運用方法では、これらの資産から得られる収益は預金金利や配当金、利息といったものに限られていました。

しかし、近年注目を集めている「有価証券貸付」を活用すれば、保有している資産を金融機関に貸し出すことで、従来の収益に加えて、新たに「貸付料」を得ることが可能になります。これは、いわば資産を眠らせておくのではなく、貸し出すことによって収益を生み出すという、新しい資産運用の考え方です。

特に、長期保有を前提とした資産や、売却の予定がない資産を有効活用できるという点で、年金運用など長期的な視点で資産を運用する際に有効な戦略と言えるでしょう。例えば、老後の生活資金のために長期間保有する予定の株式や債券がある場合、売却するまでただ保有しているのではなく、貸し出すことによって収益を得ることが可能になります。

眠らせているだけでは、本当の意味で資産の価値を最大限に活かしているとは言えません。「有価証券貸付」という選択肢を検討し、眠れる資産を有効活用することで、資産運用の幅を広げてみてはいかがでしょうか。

品貸し料の配分

– 品貸し料の配分

企業が保有する株式を運用機関に貸し出すことで、品貸し料という収益を得ることができます。この品貸し料は、企業年金と運用機関の間で、あらかじめ決められた割合で分配されます。

品貸し料の配分比率は、運用機関の運用能力や市場の状況などを考慮して決定されます。例えば、高度な運用ノウハウを持つ運用機関や、株式市場の流動性が高い場合には、運用機関の配分比率が高くなる傾向があります。

企業年金にとって、品貸し料は年金財政の安定化に貢献する重要な収入源となります。一方、運用機関にとっては、品貸し業務は、運用成績の向上や顧客との信頼関係構築に繋がる重要な業務の一つです。

このように、品貸し料の配分は、企業年金と運用機関の双方にとって重要な意味を持ちます。配分比率は、それぞれの立場や状況を考慮しながら、双方にとって納得できる形で決定されることが重要です。

リスクとリターン

– リスクとリターン

「有価証券貸付」は、預けている株や債券を証券会社に貸し出すことで、貸し出し料を受け取れるため、安定的な収益を得られる方法として注目されています。まるで銀行に預金をしているかのように、比較的安心して運用できるというイメージを持つ方もいるかもしれません。しかし、どんな金融商品にもリスクはつきものです。有価証券貸付にも、知っておくべきリスクが存在します。

まず、貸出先が倒産してしまうリスクが挙げられます。これは「信用リスク」と呼ばれ、貸し出した相手が財政難に陥り、貸したお金や証券を返済できなくなるリスクです。もし、貸出先が倒産してしまったら、貸し出した証券が返ってこない可能性があります。

また、市場価格の変動によって、証券の価値が下落してしまう「市場リスク」も考えられます。株や債券の価格は、景気や企業業績など様々な要因によって常に変動しています。貸出期間中に市場が下落すると、貸し出した時よりも証券の価値が下がり、損失が出てしまう可能性があります。

このように、有価証券貸付は決してリスクがないわけではありません。運用を始める前に、どのようなリスクがあるのか、しっかりと理解しておくことが大切です。

専門家との連携が重要

近年、企業年金運用において、より高い収益を求めて、有価証券貸付といった専門性の高い金融取引が注目されています。しかし、有価証券貸付は、その仕組みやリスクを正しく理解していなければ、大きな損失を被る可能性も孕んでいます。

そのため、企業年金担当者は、専門知識を持った運用機関を慎重に選定することが重要になります。具体的には、運用機関の過去の運用実績やリスク管理体制、コンプライアンス意識などを多角的に評価する必要があります。また、運用機関との間で、運用方針やリスク許容度などを明確に定めた契約を締結することも重要です。

さらに、市場環境は常に変化しており、それに伴い、有価証券貸付のリスクやリターンも変動します。そのため、企業年金担当者は、運用機関と密接に情報交換を行い、市場の動向やリスク管理体制に関する最新の情報を入手する必要があります。そして、得られた情報を元に、必要があれば運用戦略を見直すなど、柔軟かつ機動的な対応が求められます。

有価証券貸付は、専門家との連携を密にすることで、初めて成功する投資運用手法と言えます。

まとめ

今回の記事では、証券投資における新たな収益機会となりうる「有価証券貸付」について解説してきました。

従来の運用方法では得ることが難しかった利益を、保有している株式や債券などを貸し出すことで得られる可能性がある点は、大変魅力的と言えるでしょう。特に、超低金利時代が長期化する現代においては、有力な投資戦略の一つと言えるかもしれません。

しかしながら、当然ながらリスクが存在することも忘れてはなりません。貸出期間中に価格が変動する可能性や、最悪の場合、借り手が債務不履行に陥るリスクも孕んでいることを理解しておく必要があります。

そのため、有価証券貸付を行う際には、リスクとリターンのバランスを冷静に見極めることが重要です。可能であれば、証券会社やファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談し、アドバイスを受けながら、慎重に検討を進めることをお勧めします。