経済の用語

経済の難敵「スタグフレーション」とは?

- スタグフレーションとはスタグフレーションは、経済が停滞しているのに、物価が上昇し続けるという、私たちにとって悩ましい状態を指します。通常、経済が活発で景気が良い時は、モノやサービスの需要が高まり、それに伴って物価も上昇します。これをインフレーションと呼びます。逆に、経済が冷え込んで景気が悪くなると、モノやサービスの需要が減り、物価は下落します。これはデフレーションと呼ばれます。しかし、スタグフレーションはこれらの一般的な経済状況とは異なり、景気が低迷し仕事や生産活動が減っているにも関わらず、物価は上昇し続けるという、矛盾した現象が同時に起こります。これは、経済の停滞によって人々の収入は増えない一方で、物価上昇によって生活費は増え続けることを意味します。そのため、生活は苦しくなり、企業の活動も停滞し、経済全体が悪循環に陥ってしまいます。スタグフレーションは、1970年代に先進国で発生した際に注目されるようになった言葉です。当時の石油危機による原油価格の高騰が、物価上昇と経済停滞を同時に引き起こしたのです。スタグフレーションへの対策は容易ではありません。景気対策で需要を刺激すると物価上昇に拍車がかかり、物価抑制策を講じると景気はさらに冷え込んでしまう可能性があるからです。そのため、スタグフレーションへの対策は、経済状況を分析し、需要と供給のバランスを適切に調整していくことが重要となります。
経済の用語

市場の不安定要因:需要と供給の不均衡

- 需要と供給の関係 経済学の基礎を築く上で欠かせない要素として、需要と供給の関係が挙げられます。これは、市場における商品の価格や取引量を決定づける重要な要素であり、経済の安定にも深く関わっています。 需要とは、ある商品やサービスに対して、消費者がどの程度の量を購入したいと考えるかを表します。例えば、新しいスマートフォンが発売された際に、多くの人がその性能やデザインに魅力を感じ、購入を希望すれば、そのスマートフォンの需要は高まります。一方、供給とは、生産者が市場に対して、ある商品やサービスをどの程度の量提供できるかを表します。需要の高いスマートフォンであれば、多くの企業が競って生産し、市場に供給しようとします。 需要と供給の関係は、シーソーのようなものと例えられます。需要が高まれば価格は上昇し、供給が増えれば価格は低下します。そして、需要と供給が釣り合った状態、つまり需要量と供給量が一致した状態を均衡と呼びます。均衡状態では、価格は安定し、市場は安定的に機能します。 しかし実際には、様々な要因によって需要と供給のバランスは常に変動しており、価格も上下します。需要と供給の関係を理解することは、経済の動きを把握し、市場メカニズムを理解する上で非常に重要です。
株式投資

額面転換:株式投資の基本を理解する

- 額面転換とは企業が資金調達のために行う方法の一つに、社債の発行があります。社債の中でも、発行時に定められた条件で株式へ転換できる権利が付与されたものを「転換社債」と呼びます。この転換社債には、株式への転換価格の決定方法によっていくつかの種類が存在し、その中の一つに「額面転換」があります。額面転換とは、転換社債に付与されている株式転換権を行使する際に、あらかじめ定められた株式の額面金額を基準として、転換価格を決定する方法です。例えば、額面500円の株式に転換できる社債を10万円で購入し、その社債の転換価格が額面転換方式で定められているとします。この場合、投資家は10万円の社債と引き換えに、200株(10万円 ÷ 500円)の株式を取得することができます。株式投資において、特に転換社債型新株予約権付社債(MS転換社債)への投資を検討する際には、この額面転換の仕組みを正しく理解しておくことが重要です。なぜなら、額面転換方式では、株式市場の価格変動に関係なく、常に一定数の株式を取得できるからです。しかし、額面転換は発行企業にとって不利になる場合もあります。株式市場の価格が上昇し、株式の価値が額面を上回った場合でも、額面価格で株式を発行しなければならないためです。そのため、近年では額面転換以外の方法で転換価格を決定する転換社債が増加傾向にあります。
指標

外貨預金とライボーの関係

- 外貨預金とは外貨預金とは、普段使い慣れている円ではなく、アメリカドルやユーロといった外国のお金で預金することを指します。銀行に預けたお金を、まるで外国為替取引のように、円からドル、ドルから円といった具合に交換して運用するイメージです。外貨預金の最大の魅力は、円預金よりも高い金利が期待できる点です。低金利が続く日本では、少しでも有利にお金を増やしたいと考える人にとって魅力的な選択肢となりえます。さらに、預けている外貨の価値が円に対して上昇した場合、為替差益を得られる可能性もあります。例えば、1ドル100円の時に預けたドルが、1ドル110円になったとします。この場合、円に換算すると10%の利益が出ることになります。しかし、為替レートは常に変動するものであり、リスクも伴います。預け入れた時よりも円安が進み、円換算で元本が減少してしまう可能性も考慮しなければなりません。例えば、1ドル100円の時に預けたドルが、1ドル90円になった場合、円に換算すると10%の損失が出てしまいます。このように、外貨預金は円預金よりも高い収益を狙える一方、為替変動リスクも大きい金融商品です。外貨預金を検討する際は、メリットだけでなくリスクもしっかりと理解しておくことが重要です。
指標

投資戦略の羅針盤:スタイル・インデックスを理解する

投資の世界では、資金を運用する専門家たちが様々な戦略を用いて、利益を目指しています。これらの戦略は投資スタイルと呼ばれ、それぞれに特徴があり、どれを選ぶかは投資家自身の考え方や目標によって大きく異なります。 例えば、割安だと判断した株式に投資する「割安株投資」は、慎重な投資スタイルと言えます。将来性が見込める企業の株価は、一時的に下がっていることがあります。割安株投資では、こうした割安な時に株式を購入し、価格が上昇したタイミングで売却することで利益を狙います。 一方、高い成長が見込まれる企業に投資する「成長株投資」は、より積極的な投資スタイルと言えます。成長株投資では、たとえ現在の株価が高くても、将来的に大きな利益を生み出す可能性が高い企業に投資します。 また、投資する企業の規模に注目した投資スタイルもあります。大企業に投資する「大型株投資」は、比較的安定した運用成績を目指すスタイルです。一方、中小企業に投資する「小型株投資」は、大きな成長が期待できる反面、リスクも高くなる傾向があります。 このように、投資スタイルは多岐に渡ります。重要なのは、自身の投資目標やリスク許容度を理解し、最適な投資スタイルを選択することです。
その他

意外と身近な消費寄託:その仕組みと活用例

- 消費寄託とは消費寄託とは、民法で定められている寄託契約の一種です。 寄託契約とは、ある人が、他の人に金銭や物品などを預ける契約のことです。通常、預けたものは、そのままの形で返還されます。 しかし、消費寄託の場合、預けられた人は、預かったものを消費することが前提となります。その代わりに、後日、同種同量のもの、例えば、同額のお金や同量の米などを返還することになります。 一見すると、お金を貸し借りする契約と似ているように思えるかもしれません。しかし、所有権の移転が発生するかどうかという点で、大きな違いがあります。 お金を貸し借りする場合、お金を貸した時点で、そのお金の所有権は、借りた人に移ります。 一方、消費寄託の場合、預かった人は、預かったものを消費するために使用することができますが、所有権は、預けた人のままです。 例えば、農家がお米の保管を業者に依頼し、業者は預かったお米を販売してしまっても、最終的には農家に対して、同量のお米を返還する必要があるのです。
経済の用語

投資にはつきもの? 評価損益を理解しよう

- 評価損益とは?評価損益とは、保有している資産を実際に売却していないにも関わらず、その時の市場価格をもとに計算した時、 将来売却した場合に発生するであろう利益や損失のことを指します。例えば、あなたが100万円で購入した会社の株があるとします。この株が、現在の市場では1株あたり120万円で取引されているとしましょう。この場合、もしも今すぐ株を売れば20万円の利益を得られますが、まだ実際に売却したわけではありません。しかし、この時点で既に20万円の利益が見込めるため、これは「評価益」として計上されます。逆に、もしも会社の業績が悪化し、市場での株価が1株あたり80万円に下がってしまったとしましょう。この場合も、まだ実際に株を売却していませんが、もしも今売却すると20万円の損失が出てしまいます。そのため、この時点では20万円の「評価損」として計上されます。このように、評価損益はあくまで「評価」に基づいた利益や損失であるため、実際に売買が行われるまでは確定したものではありません。市場価格の変動によって評価損益は日々変動し、売却するまで利益や損失が確定することはありません。そのため、評価損益は投資判断の参考情報の一つとして捉えることが重要です。
FX

英国通貨の呼び方:スターリングって?

- スターリングとは?「スターリング」という言葉を耳にしたことはありますか? 実はこれは、イギリスの通貨である「ポンド」のことを指す、別の呼び方なのです。 普段、ニュースや新聞で「1ポンド=145円台に…」といった表現を見かけることがあると思いますが、「スターリング」も全く同じ意味で使われています。 つまり、「スターリング=ポンド」と考えて差し支えありません。 では、なぜ「ポンド」なのに「スターリング」とも呼ばれるのでしょうか? その由来は、12世紀にまで遡ります。 当時のイングランド王国で、銀貨の純度を保証するために「スターリングシルバー」という基準が定められました。 この「スターリングシルバー」で作られた銀貨が「スターリング」と呼ばれ、その後、通貨単位である「ポンド」の別名として定着していきました。 つまり、「スターリング」は、イギリスの通貨「ポンド」の長い歴史と伝統を感じさせる、由緒正しき呼び名と言えるでしょう。
オプション取引

外貨預金とオプション取引

- 外貨預金とは外貨預金とは、普段私たちが利用している日本円ではなく、アメリカドルやユーロといった外国の通貨で預金を行う金融商品です。銀行に預けたお金は、預金保険制度によって1,000万円までとその利息が保護されていますが、これはあくまで円預金の場合です。外貨預金は預金保険の対象外となるため、注意が必要です。外貨預金の大きな魅力は、円預金と比較して高い金利で運用できる可能性がある点です。例えば、円預金の金利が0.1%、アメリカドル預金の金利が2%の場合、100万円を1年間預けるとどうなるでしょうか。円預金では1,000円の利息ですが、アメリカドル預金では為替レートが変わらないと仮定すると約2万円の利息を受け取ることができます。このように、外貨預金は円預金よりも多くの利息を得られる可能性を秘めています。ただし、為替レートは常に変動するという点には注意が必要です。預け入れ時よりも円高になると、円に換算した際に元本割れの可能性があります。逆に、円安になれば為替差益を得ることもできます。外貨預金は、金利差による収益機会と為替変動リスクの両方を含んでいることを理解しておく必要があります。
その他

事業承継と年金資産: 超過金の行方とは?

- 事業承継時の年金資産の移転 会社が合併や事業譲渡などにより、別の会社に事業を引き継ぐ事業承継が行われる場合、従業員の雇用と共に、年金制度も適切に移転する必要があります。 特に、厚生年金基金や確定給付企業年金に加入している企業では、移転手続きが複雑になるため注意が必要です。これらの制度では、会社が従業員に将来支払うべき年金である年金資産と、その年金額の現在価値である数理債務を管理しています。 事業承継の際には、この年金資産と数理債務のバランスを考慮する必要があります。もし、数理債務が年金資産を上回る場合、不足分を会社が負担しなければなりません。 事業承継の方法には、合併や事業譲渡、株式譲渡など、様々な方法があります。それぞれの方法によって、年金資産や数理債務の移転方法が異なるため、専門家である年金数理士や社会保険労務士に相談し、自社の状況に最適な方法を選択することが重要です。
株式投資

資産運用では避けて通れない?評価益と実現益の違いとは

- 投資における評価益とは?投資の世界では、株や投資信託といった金融商品を購入し、その価値が上がることによって利益を得ることができます。購入した時よりも価格が値上がりした状態を「評価益」と呼びます。例えば、あなたが1株1,000円の株を100株購入したとしましょう。その後、市場が活況を呈し、その株価が1株1,500円に上昇したとします。この時点で、あなたはまだ株を売却していませんが、保有している株の価値は15万円(1,500円×100株)にまで上昇しています。購入時との差額である5万円(15万円-10万円)が評価益です。重要なのは、評価益はあくまで「評価」上の利益であるということです。 実際に株を売却して現金化しない限り、この利益は確定しません。なぜなら、市場価格は常に変動しており、明日には株価が下落して、評価益が減ってしまう可能性もあるからです。評価益は投資の成果を測る上で重要な指標となりますが、確定した利益ではないことを理解しておく必要があります。 株価の変動によって評価益は増減しますし、売却して初めて利益が確定することを覚えておきましょう。
債券投資

債券投資の基礎: 額面金額とは?

- 額面金額とは債券投資を始めるにあたって、まず理解する必要がある重要な概念の一つに「額面金額」があります。債券とは、国や企業がお金を借りる際に発行する証書のようなものです。投資家は債券を購入することで、発行体に資金を貸し出すことになります。その代わりに、発行体からは利息を受け取ることができ、満期が到来すると投資元本が返還されます。 この時、投資家が最終的に受け取る返済金の額のことを「額面金額」と呼びます。 例えば、100万円の額面金額の債券を購入した場合、満期が来ると100万円が投資家に返済されます。 債券は、発行市場において、この額面金額を基準として発行価格が決まります。ただし、市場の金利状況によっては、額面金額と異なる価格で取引されることもあります。 債券投資を行う上で、額面金額は基本的な概念となります。投資判断を行う際には、額面金額だけでなく、利回りや信用リスクなども考慮することが重要です。
FX

進化する為替取引:スクリーン・マーケットとは?

現代社会において、世界経済は国境を越えて複雑に絡み合い、活発な取引が行われています。企業が海外とビジネスを行う際や、投資家が海外の資産に投資する際には、異なる通貨を交換する必要が生じます。このような通貨の交換をスムーズに行うための仕組みが「外国為替市場」です。 かつて、外国為替取引は銀行などの金融機関同士が電話やファックスを使って行っていました。しかし、インターネットやコンピューター技術の進歩は、外国為替市場を大きく変えました。現在では、個人が自宅のパソコンやスマートフォンからでも、容易に外国為替取引に参加することが可能になっています。 このように、外国為替市場は、企業や投資家にとって、必要不可欠な金融インフラとして機能しています。そして、世界経済を支える重要な役割を担っていると言えるでしょう。
外貨預金

外貨預金:ヨーロピアンタイプって?

近年、低金利が続く日本円の預金に代わる投資先として、外貨預金が注目されています。外貨預金とは、日本円ではなく、米ドルやユーロなどの外貨で預金を行う金融商品です。魅力は、円預金と比較して高い金利を設定している金融機関が多い点です。しかし、為替レートの変動によって、元本割れのリスクも伴います。 この外貨預金の中には、「オプション」と呼ばれる金融商品の仕組みを組み合わせた商品も存在します。オプションとは、将来のある特定の日に、あらかじめ決めておいた為替レートで、円と外貨を交換する権利のことです。この権利は、行使するかしないかを選択することができます。オプションには、円高時に外貨を売る権利を得られる「プットオプション」と、円安時に外貨を買う権利を得られる「コールオプション」があります。 オプション付き外貨預金は、これらのオプションを組み合わせることで、為替リスクをヘッジしつつ、円預金よりも高い利回りを目指せる可能性があります。例えば、円高が不安な場合、プットオプションを組み合わせることで、円高時に有利なレートで円に戻すことができます。一方、円安期待が強い場合は、コールオプションを組み合わせることで、円安時に有利なレートで外貨を購入できます。 ただし、オプション付き外貨預金は、通常の預金よりも複雑な仕組みであるため、商品内容をよく理解した上で、投資する必要があります。投資初心者の方は、金融機関の担当者に相談するなどして、リスクとリターンを十分に検討しましょう。
経済の用語

将来設計の基礎!標準報酬月額とは?

- 標準報酬月額とは 標準報酬月額は、厚生年金保険や健康保険の保険料、そして将来受け取れる年金額を計算する際に使われる、とても大切な数値です。 簡単に言うと、標準報酬月額とは、あなたの給与を元に決められる、社会保険上のあなたの月収額のことです。 会社員や公務員などの会社で働く人は、毎月決められた給与をもらっています。この給与を元に、社会保険料や将来もらえる年金が計算されますが、計算の基になる金額が標準報酬月額です。 毎月の給与額がそのまま標準報酬月額になるわけではなく、社会保険では給与の金額に応じて段階的に決められた区分があり、その区分に応じた金額が標準報酬月額となります。 例えば、毎月の給与が25万円の人は、社会保険の区分では26万円の区分に該当し、標準報酬月額は26万円となります。このように、標準報酬月額は実際の給与と必ずしも一致するわけではありません。 標準報酬月額は、社会保険料や年金額を計算する上で非常に重要な要素となるため、自分の標準報酬月額がどの区分に該当し、いくらになるのかを把握しておくことが大切です。
FX

FX取引における「スクエア」とは?

FX取引は、異なる国の通貨を交換することで利益を目指します。例えば、円と米ドルを例に考えてみましょう。 FX取引では、「買い」と「売り」のどちらかのポジションを選びます。「買い」ポジションは、ある通貨の価値が将来上昇すると予想したときに選択します。例えば、円安になる、つまり円の価値が下がり、米ドルの価値が上がると予想する場合、円を売って米ドルを買う「買い」ポジションを取ります。そして、予想通り円安ドル高が進めば、米ドルを円に交換することで利益を得られます。 逆に、「売り」ポジションは、ある通貨の価値が将来下落すると予想したときに選択します。例えば、円高になる、つまり円の価値が上がり、米ドルの価値が下がると予想する場合、米ドルを売って円を買う「売り」ポジションを取ります。そして、予想通り円高ドル安が進めば、円を米ドルに交換することで利益を得られます。 このように、FX取引では為替の値動きを予想し、「買い」と「売り」のどちらのポジションを取るのかが重要になります。
株式投資

額面株式とは?過去の制度から学ぶ

- 額面株式の基礎知識 かつて、企業が資金を集めるため、株を発行していました。その際に発行されていた株券には、あらかじめ金額が記載されており、この金額を「額面」と呼んでいました。 例えば、ある会社の株券に100円と記載されていれば、その株の額面は100円です。投資家は、この株を手に入れるためには、1株につき最低でも額面である100円を支払う必要がありました。 現在では、企業の資金調達の方法が多様化したことや、株価の変動に合わせて柔軟に資金調達できるようにするため、額面を廃止する企業が増えました。そのため、現在発行されている株券の多くは、額面が記載されていない「無額面株式」となっています。
外貨預金

ユーロマネー:国際金融の舞台裏

- ユーロマネーとはユーロマネーとは、ある国の企業や政府、国際機関などが、自国以外の銀行や金融機関に預金したり、資金調達を行うことを指します。例えば、日本の企業が事業拡大のための資金を必要としていて、ロンドンの銀行から日本円建てで融資を受けたケースを考えてみましょう。この場合、日本の企業は海外から資金を調達したことになり、この資金はユーロマネーと呼ばれます。ユーロマネーという名称から、ユーロ通貨のみを扱うように思われがちですが、実際には米ドルや日本円など、様々な通貨が利用されています。ユーロという言葉が使われているのは、その起源が1950年代のヨーロッパで、アメリカドルを扱う銀行業務から始まったことに由来しています。ユーロマネー市場は、国境を越えた資金の流動性を高め、国際的な金融取引を活発にする役割を担っています。企業にとっては、海外の低金利な資金を調達できるメリットがあり、投資家にとっては、高い利回りの運用先として魅力的な選択肢となります。しかし、ユーロマネー市場は規制が緩い側面もあり、世界経済の不安定化要因となる可能性も孕んでいます。
株式投資

金融のプロが解説!少人数私売出しとは?

投資を始めようとする時、多くの人は株式や投資信託について調べるのではないでしょうか。しかし、投資の世界は広く、個人投資家にはあまり知られていない投資手法も存在します。その一つが、今回ご紹介する「少人数私売出し」です。 少人数私売出しとは、企業が証券会社などを通して、限られた数の投資家に株式や社債を直接販売する資金調達方法です。一般的に、上場企業が大規模な資金調達を行う際は、広く投資家を募る公募増資などが用いられます。一方、少人数私売出しは、新規事業の立ち上げ資金など、比較的小規模な資金調達を目的とする場合に適しています。 個人投資家にとって、少人数私売出しは、未上場企業や成長過程にある企業に投資するチャンスとなりえます。また、証券取引所を経由しないため、一般の投資家にはアクセスしづらい銘柄に投資できる可能性もあります。 ただし、少人数私売出しは、情報公開が限定的であるという側面も持ち合わせています。そのため、投資判断にあたり、企業の事業内容や将来性などを慎重に見極める必要があります。
株式投資

株式投資の基礎:額面ってなに?

株式投資を始める際、初めて聞く言葉に出会うことも多いでしょう。色々な単語を覚える必要がありますが、その中でも「額面」は、企業のお金の状況や株価の動きを知る上で基本となる考え方の一つです。 「額面」とは、企業が株式を初めて発行した時の一株あたりの金額のことを指します。 例えば、ある会社の額面が50円の場合、その会社は最初に発行した株式を1株あたり50円で投資家に売り出したということになります。この額面は、会社の設立時や増資など、重要なタイミングで設定されます。 ただし、現在の株価は、この額面とは必ずしも一致しません。株価は需要と供給の関係で常に変動しており、企業の業績や将来性、市場全体の動向などによって大きく影響を受けます。 そのため、額面はあくまで過去の基準となる金額であり、現在の企業価値や株価を判断する上で、額面だけを見て投資判断をすることは適切ではありません。企業の財務状況や将来性などを分析し、総合的に判断することが重要です。
投資信託

投資信託のスイッチングとは?

- 投資信託の乗り換え 投資信託のスイッチングとは、現在保有している投資信託を売却し、その売却資金で別の投資信託を購入する取引のことです。簡単に言うと、現在保有している投資信託から別の投資信託に乗り換えるイメージです。 例えば、あなたがこれまで国内株式に投資する投資信託を購入していたとします。しかし、世界経済の成長を見込んで、今後は海外株式に投資する投資信託に乗り換えたいと考えたとしましょう。このような場合に、投資信託のスイッチングが活用できます。 投資信託のスイッチングは、証券会社や銀行などの金融機関を通じて行います。具体的には、現在保有している投資信託の解約手続きと、新たな投資信託の購入手続きを同時に行います。この際、売却した投資信託の売却益や分配金は、新たな投資信託の購入資金に充てることができます。 投資信託のスイッチングは、投資戦略の変更や、保有する投資信託の分散などを目的として行われます。しかし、スイッチングには手数料や税金が発生する可能性もあるため、注意が必要です。
債券投資

投資判断の強い味方!標準情報レポーティング・パッケージとは?

証券化商品は、住宅ローンやクレジットカードの利用残高のように、本来は証券ではない資産をまとめて証券にしたものです。これは、投資家にとって新たな投資機会を生み出す可能性を秘めています。しかし、その複雑な構造ゆえに、投資初心者にとってリスクやリターンを理解することが難しいという側面も持ち合わせています。 そこで、投資家が安心して証券化商品に投資できるように、情報開示の充実が求められています。具体的には、投資判断に必要な情報を分かりやすくまとめた資料を作成することが重要です。 こうした状況を踏まえ、標準情報レポーティング・パッケージ(SIRP)が開発されました。SIRPは、証券化商品の発行体が作成する情報開示資料の標準的な様式を定めたものです。これにより、投資家は、発行体や商品が異なっていても、同じ様式で情報を確認できるようになります。SIRPは、証券化商品の透明性を高め、投資家保護に貢献することが期待されています。
FX

外貨預金としてのユーロ:メリットと注意点

ヨーロッパの広範囲で使われているユーロは、1999年1月に欧州連合(EU)の通貨として誕生しました。ヨーロッパという単語から名付けられたこの通貨は、EU加盟国のうち、イギリス、デンマーク、スウェーデンを除く多くの国々で採用されており、共通通貨として人々の生活に根付いています。ユーロ導入以前は、国ごとに異なる通貨が使われていたため、国境を越えた取引や旅行の際には、両替の手数料や為替レートの変動による損失といった負担がありました。 ユーロが導入されたことで、これらの負担が軽減され、国境を越えた取引や旅行がよりスムーズになりました。また、企業にとっては、為替変動リスクの軽減や、価格の透明性向上といったメリットも生まれています。ユーロは、ヨーロッパの人々の生活をより便利にするだけでなく、経済活動の活性化にも大きく貢献していると言えるでしょう。
FX

安全資産の代表格、スイスフランとは?

- スイスフランの概要スイスフランは、その名の通りスイスで用いられている通貨です。通貨記号はCHFと表記され、これはラテン語でスイス連邦を意味する"Confoederatio Helvetica"の頭文字に由来しています。 スイスは地理的にヨーロッパの中心に位置していますが、欧州連合(EU)には加盟しておらず、ユーロではなく独自の通貨であるスイスフランを使用しています。 スイスフランは、国際決済銀行(BIS)の調査によると、世界で7番目に取引量の多い通貨として知られています。これは、スイスフランが国際的な金融市場において、非常に安定した通貨として認識されていることを示しています。 スイスは永世中立国として、長年にわたり政治的にも経済的にも安定した状態を保ってきました。そのことがスイスフランの信頼性を高め、安全資産としての地位を確固たるものにしています。そのため、国際的な情勢が不安定になると、スイスフランの価値が上昇する傾向があります。