経済の用語

企業の財務戦略における固定負債の役割

- 固定負債とは 固定負債は、企業が長期的な資金調達のために負う借金のことで、1年以上かけて返済していくものを指します。 企業は、事業を成長させたり、新たな設備を導入したりする際に、多額の資金が必要となることがあります。 このような場合、銀行からお金を借りたり、社債を発行したりするなど、様々な方法で資金を調達します。 そして、その調達した資金のうち、返済期間が1年を超えるものが固定負債に分類されます。 具体的には、以下のようなものが挙げられます。 * 社債企業が投資家に対して発行する債券のこと。 * 転換社債型新株予約権付社債社債の一種で、発行後、一定期間経過後に株に転換できる権利が付与されているもの。 * 長期借入金銀行など金融機関から長期間にわたって借り入れたお金。 固定負債は、企業にとって長期的な資金調達手段として重要な役割を果たしています。 一方で、返済が長期にわたるため、金利の変動リスクなどを考慮する必要があります。
エネルギー関連

ユーラトム:欧州の原子力協力の礎

- ユーラトムとはユーラトム(欧州原子力共同体)は、ヨーロッパの国々が協力して原子力の平和利用を進めるために作られた組織です。1957年3月25日にローマ条約という重要な条約の一部として調印され、その翌年の1958年1月1日に正式に活動を開始しました。ユーラトムが設立された目的は、大きく分けて以下の3つです。まず第一に、加盟国全体で原子力産業を育て、発展させることです。具体的には、原子力発電に必要な資源を共同で調達したり、原子力発電所を建設する際に技術的な支援を行ったりしています。第二に、原子力に関する研究を共同で進めることです。原子力は未知の可能性を秘めたエネルギー源であり、その平和利用のためには安全性の向上や効率的な利用方法の開発など、解決すべき課題が数多くあります。ユーラトムは加盟国の研究機関と協力し、これらの課題に取り組んでいます。第三に、原子力の利用に伴う安全を確保することです。原子力は非常に強力なエネルギーである一方、その取り扱いには細心の注意が必要です。ユーラトムは加盟国と協力し、原子力施設の安全基準を定めたり、事故発生時の対応策を共同で検討したりすることで、原子力の安全な利用を促進しています。ユーラトムは、これらの活動を通じて、加盟国における原子力の平和利用と発展に貢献しています。
投資信託

投資信託を支える存在:運用会社の役割とは?

- 投資信託の司令塔 投資信託は、多くの人から集めたお金をまとめて専門家が運用し、その成果を分配する金融商品です。 その投資信託の運用を実際に行っているのが「運用会社」であり、投資信託にとって司令塔のような存在と言えます。 運用会社には、投資のプロであるファンドマネージャーをはじめ、様々な専門家が在籍しています。 彼らは、投資信託の運用方針に基づき、世界中の経済状況や企業の業績などを分析し、投資する金融商品やその投資比率を決定します。 例えば、ある投資信託が「日本の成長企業に投資する」という運用方針を掲げているとします。 ファンドマネージャーは、日本経済の動向を分析し、将来性が見込める成長企業の株式を選定して投資を行います。 そして、投資した企業の業績が向上し、株価が上昇すれば、投資信託の基準価額も上昇し、投資家に利益をもたらす可能性があります。 このように、運用会社は、投資信託の運用方針に基づき、投資家のためになるよう、日々、投資判断を行っています。 投資信託を選ぶ際には、運用会社の expertise や運用成績などを参考にすると良いでしょう。
その他

損害保険契約者保護機構:その役割と重要性

- 損害保険契約者保護機構とは損害保険契約者保護機構は、私たちが加入している損害保険会社が万が一経営破綻してしまった場合でも、保険契約者や被保険者を保護するための組織です。 普段、私たちが保険料を支払っている損害保険会社は、集めた保険料を元に保険金を支払うだけでなく、さまざまな資産運用を行っています。しかし、世界的な不況や大規模な自然災害の発生など、予期せぬ事態によって保険会社の経営が悪化し、保険金や給付金を支払うことができなくなってしまう可能性もゼロではありません。 そのような事態が発生した場合に、損害保険契約者保護機構が設立目的である『保険契約者等の保護を図ること』を達成するために、保険契約者などに対して保険金や給付金などを支払う役割を担います。 この機構は、保険業法に基づいて設立された法人であり、生命保険会社向けの生命保険契約者保護機構とは別に、損害保険会社向けに運営されています。なお、国内で事業を行うほぼ全ての損害保険会社が会員として加入しているため、私たちが加入している損害保険会社も、この機構の会員である可能性が高いと言えるでしょう。このように、損害保険契約者保護機構は、私たちの暮らしを守る上で重要な役割を担っています。
債券投資

安定収入を求めるなら!固定利付債券とは

- 固定利付債券の概要 固定利付債券は、投資家にとって魅力的な選択肢の一つです。その名の通り、発行時に利息の利率が確定しており、満期日までその利率が変動しません。例えば、年利3%、10年満期の固定利付債券を購入した場合、10年間、毎年3%の利息を受け取ることができます。これは、投資元本に対する安定した収益を得られることを意味し、将来の収入を予測しやすいため、長期的な資産形成や計画的な資金運用に適しています。 さらに、満期が到来すると、発行時に定められた元本が全額償還されます。つまり、投資した元本は保証されており、元本割れのリスクを負うことなく、安心して投資することができます。 しかし、固定利付債券にも注意すべき点はあります。市場の金利が上昇した場合、固定利付債券の魅力は相対的に低下する可能性があります。なぜなら、より高い金利で運用できる他の投資商品が登場するためです。また、発行体の信用リスクも考慮する必要があります。発行体の財務状況が悪化した場合、利息の支払いや元本の償還が滞る可能性もゼロではありません。
その他

損害賠償責任を理解しよう

- 損害賠償責任とは 私たちは日々、家事や通勤、買い物など、様々な活動をしています。そして、これらの行動の中で、意図せずとも誰かに迷惑をかけたり、損害を与えてしまうことがあります。例えば、うっかりお店で商品を壊してしまったり、自転車で通行人にぶつかって怪我をさせてしまったりなど、誰にでも起こりうる可能性があります。 このような場合、損害を与えてしまった側には、その損害を賠償する責任が生じます。これを「損害賠償責任」といいます。これは、民法という法律で定められた、私たちの生活における重要なルールの一つです。 つまり、私たちは、例えそれが故意ではなくても、他人に損害を与えてしまった場合は、その責任を負い、適切な賠償をしなければならないということです。これは、金銭的な損害だけでなく、怪我による治療費や慰謝料なども含まれます。
投資信託

投資信託のライフサイクルファンドとは

- 人生設計に合わせた投資人生は長い航海のようです。そして、それぞれのステージで必要な資金も変わってきます。若い頃は、学業や自己投資にお金がかかりますし、家庭を持てば教育資金や住宅購入資金が必要になります。そして、老後はゆとりある生活を送るための資金が必要です。このような人生のイベントに合わせて、資産運用も変化させていくことが重要です。しかし、投資の知識や経験が乏しい、あるいは忙しくて時間がないという方も多いでしょう。そこで注目されているのが、投資信託のライフサイクルファンドです。これは、まるで航海の羅針盤のように、投資家の年齢やライフステージの変化に合わせて、自動的に株式や債券などの資産配分を調整してくれる投資信託です。若い世代には、成長が見込める株式の比率を高めに設定し、老後が近づくにつれて、価格変動の少ない債券の比率を高めるなど、その時々に最適な資産運用をプロに任せることができます。特に、長期的な資産形成を目指す若い世代にとって、ライフサイクルファンドは心強い味方となるでしょう。もちろん、ライフサイクルファンドは万能ではありません。自身のライフプランやリスク許容度を考慮し、他の金融商品と比較しながら、自分に合った投資を選択していくことが大切です。
税制

損益通算で税金対策!

- 損益通算とは? 投資などで利益が出た場合、通常は税金がかかります。しかし、同じ種類の投資で損失が出ている場合、その損失と利益を相殺して、税金の負担を軽くできることがあります。これを「損益通算」といいます。 例えば、A社の株で10万円の利益、B社の株で5万円の損失が出たとします。この場合、損益通算を使うと、10万円の利益から5万円の損失を差し引いた5万円に対してのみ税金がかかることになります。 損益通算できるのは、株や投資信託などの金融商品で得た利益や損失です。ただし、不動産所得や給与所得など、異なる種類の所得とは相殺できません。 損益通算を利用することで、税金の負担が軽減され、結果的に投資効率を高める効果が期待できます。そのため、投資を行う際には、損益通算制度について理解しておくことが大切です。
経済の用語

ベイズ修正:予測精度を高める統計的手法

- ベイズ修正とはベイズ修正は、過去の情報や経験から得られた予測に対して、新たに得られた情報を加えることで、より確実性の高い予測へと更新していく統計的な手法です。私たちの身の回りでも、ベイズ修正は意識せずとも活用されています。例えば、天気予報が良い例です。天気予報士は、過去の膨大な気象データに基づいて、明日雨が降る確率を予測します。しかし、予測の時点で最新の気象状況が分かれば、その情報も踏まえて予測を修正します。例えば、朝の時点で雲行きが怪しければ、過去のデータに基づく予測よりも、雨が降る確率を高く修正するでしょう。これがベイズ修正の基本的な考え方です。ベイズ修正は、天気予報以外にも様々な分野で応用されています。例えば、商品の需要予測や、病気の診断、スパムメールのフィルタリングなど、過去のデータと最新の状況を組み合わせて、より正確な判断が求められる場面で活躍しています。このようにベイズ修正は、過去の情報と現在の情報を融合させて、より確度の高い予測を導き出すための強力なツールと言えるでしょう。
経済の用語

EU: あなたの生活への影響とは?

EUとは、ヨーロッパ連合(European Union)の略称で、ヨーロッパの多くの国々が加盟する国際組織です。その目的は、加盟国間で協力し、戦争のない平和な状態を維持しながら、人々の暮らしをより豊かにすることにあります。現在、EUには27の国々が加盟しており、経済、政治、社会、文化など、様々な分野で協力体制を構築しています。 EUの特徴は、単なる貿易協定の枠組みを超えている点にあります。加盟国間では、人、物、サービス、資本が自由に行き来できるようになっており、まるで一つの国のような一体感を持ち合わせています。また、共通の通貨であるユーロを導入している国も多く、経済的な結びつきも非常に強いと言えます。 EUは、加盟国にとって、より広大な市場と、より多くの機会を提供する存在です。企業は、多くの国で商品やサービスを提供できるようになり、消費者も、より多くの選択肢から商品やサービスを選べるようになります。また、EUは、環境問題やエネルギー問題など、地球規模の課題解決にも積極的に取り組んでおり、国際社会においても重要な役割を担っています。
投資信託

ETFで賢く資産運用を始めよう

- 投資信託とは? 投資信託は、多くの人から集めたお金を、まとめて専門家が運用してくれる金融商品です。 みんなで少しずつお金を出し合って大きな資金にし、プロが私たちの代わりに株や債券などに投資してくれます。 そして、得られた利益は、出資額に応じて私たちに分配されます。 投資信託の魅力は、少額から始められるところです。 通常、株式投資をするにはまとまった資金が必要ですが、投資信託なら数百円、数千円から始めることができます。 また、投資のプロに運用を任せられるのも大きなメリットです。 投資信託は、専門知識を持ったファンドマネージャーと呼ばれる人が運用を行います。 そのため、投資の知識や経験が少ない初心者の方でも、安心して資産運用を任せることができます。 さらに、投資信託は、複数の投資先に分散投資されているため、リスクを抑えることができます。 一つの投資先に集中して投資するよりも、リスクを分散することで、損失を小さく抑えることが期待できます。
経済の用語

属地主義をわかりやすく解説

- 属地主義とは 法律というのは、それが制定された国の領土内でのみ効力を発揮し、他の国の領域内では効力を持ちません。これを「属地主義」と呼びます。 例えば、日本国内で発生した事件や事故であれば、日本の法律に従って処理されます。これは、それぞれの国が独立した主権国家として、自国の領土内における事案については、自国の法律に基づいて判断し、解決する権利を持っているためです。 日本国内で発生した交通事故を例に考えてみましょう。この場合、日本の道路交通法などの法律に基づいて、事故の責任の所在や損害賠償の責任などが決定されます。 一方、たとえ日本人が海外で交通事故を起こした場合でも、日本の法律は適用されません。その場合は、事故が発生した国の法律に基づいて処理されることになります。 このように、法律の適用範囲は国境によって明確に区切られています。これは、国際社会における国家主権の尊重という原則に基づくものであり、それぞれの国が独自の法律体系を維持し、自国の法秩序を守るために重要な考え方です。
投資信託

投資信託の羅針盤:運用報告書を読み解く

- 投資判断の基礎となる報告書 投資信託に大切なお金を投じるかどうか、あるいは、すでに投資している場合でも、その後の判断をする上で、運用報告書は必ず確認すべき重要な資料です。この報告書は、投資信託がどのような状況で運用されているのかを詳しく知ることができる、いわば投資家にとっての羅針盤のようなものです。 投資信託とは、多くの人から集めたお金を大きな資金としてまとめ、専門家である運用会社が、私たちの代わりに株式や債券などに投資を行い、その成果を私たちに分配してくれる金融商品です。つまり、私たちのお金を預かって運用しているともいえます。 預けたお金がどのように運用され、どれだけの利益が出ているのか、あるいは損失が出ていないかを把握することは、投資を成功させるために非常に大切です。運用報告書には、投資している銘柄やその割合、運用成績などが詳細に記載されています。これらの情報を読み解くことで、その投資信託が私たち自身の投資目標やリスク許容度に合っているのかを判断することができます。そして、将来に向けて、投資を継続するか、あるいは売却するのかなど、適切な判断をするための材料となるのです。
経済の用語

事業の基盤となる固定資産とは?

- 固定資産の定義企業が事業を円滑に進め、利益を生み出すためには、様々な資源が必要です。その中でも、長期間にわたって企業活動の基盤となるものを「固定資産」と呼びます。固定資産は、一般的に1年以上使い続けられると見込まれる資産のことを指し、形のあるものと無いものに分けることができます。形のあるものとしては、事務所や工場といった建物、生産活動に欠かせない機械や設備、そして商品を運ぶための車両や運搬具などが挙げられます。一方、形のないものとしては、ソフトウェアや特許権といった知的財産権、営業権や借地権などの権利が含まれます。これらの固定資産は、消耗品のように短期間で使い切るものではなく、長期にわたって繰り返し使用することで、企業に収益をもたらします。例えば、工場という固定資産は、長期間にわたり製品を生産することで、企業に利益をもたらし続けます。このように、固定資産は企業にとって非常に重要な役割を担っていると言えるでしょう。
経済の用語

ユーロ圏の守護神?ESMってどんな仕組み?

- ヨーロッパ安定メカニズムとは ヨーロッパ安定メカニズム(ESM)は、ユーロ圏の国の財政が大きく揺らいだ際に、その安定を図ることを目的とした国際金融機関です。2012年に設立され、本部はルクセンブルクにあります。 ユーロ圏は共通の通貨ユーロを使用していますが、加盟各国がそれぞれ財政政策を行っています。そのため、財政状況が悪化した国がユーロ全体の安定を損なうリスクがあります。このような事態を避けるため、ESMは最後の貸し手として、厳しい財政改革を条件に、資金援助を行います。 ESMは、ユーロ圏19カ国が加盟しており、加盟国の政府からの出資金や債券発行によって資金を調達しています。その規模は大きく、国際通貨基金(IMF)の欧州版とも呼ばれます。 ESMは、ユーロ圏の金融安全網において重要な役割を担っており、その存在はユーロの安定に大きく寄与しています。しかし、ESMからの融資はあくまでも緊急措置であり、根本的な解決には、加盟国自身の財政再建努力が不可欠です。
指標

金融政策の羅針盤:ベージュブックを読み解く

- ベージュブックとはベージュブックは、アメリカ合衆国の中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)が発行する経済報告書です。正式名称は「地区連銀経済報告」と言い、少々堅苦しい響きがありますね。 全米を12の地区に分け、それぞれの地区を担当する連邦準備銀行が担当区域の経済動向を調査し、その結果をまとめたものがベージュブックです。名前の由来は、シンプルに報告書の表紙の色がベージュであることに由来しています。ベージュブックは、年8回、約6週間ごとに発行されます。内容は、各地区の経済状況がわかりやすくまとめられており、製造業、小売業、サービス業、不動産市場、雇用など、幅広い分野を網羅しています。各地区の担当者が、企業の経営者や経済学者、市場関係者などから聞き取り調査を行い、その情報を集約して報告書を作成しています。ベージュブックが注目される理由は、FRBが金融政策を決める上で重要な参考資料となるからです。FRBは、物価の安定と雇用の増加を目指して、政策金利の調整や資産買入などの金融政策を実施しています。 ベージュブックを通じて、FRBは、地域経済の実態を把握し、今後の金融政策の方向性を決定する判断材料としています。ベージュブックは、FRBのウェブサイトで公開されており、誰でも無料で閲覧できます。経済の動向を知る上で、非常に役立つ資料と言えるでしょう。
その他

退職給付会計と即時認識

- 退職給付会計の基礎 退職給付会計は、企業が従業員に将来支払う退職金や年金などの退職給付を適切に処理するための会計ルールです。 従業員は長期間にわたり会社に貢献することで、将来受け取れる退職給付を得る権利を積み上げていきます。この権利を退職給付債務と呼びます。退職給付会計では、将来の退職給付債務を見積もり、その費用を従業員が働いている期間にわたって費用計上していくことで、企業の財政状態と経営成績をより正確に把握することを目指しています。 例えば、従業員Aさんが1年間会社に勤務し、その対価として将来100万円の退職金を受け取る権利を得たとします。この場合、会社は1年間で100万円の退職給付債務を新たに負ったことになります。退職給付会計では、この100万円をAさんが勤務している期間(ここでは1年間)に費用として計上していきます。 このように、退職給付会計は、将来の支出を予測して、その費用を適切な期間に配分することで、企業の経営状態をより正確に把握するために重要な役割を果たしています。
経済の用語

固定相場制:安定と貿易を支える仕組み

- 固定相場制とは固定相場制とは、国の通貨の価値を他の特定の通貨や通貨バスケットに対して一定に保つ為替レート制度です。これは、国際的な貿易や投資を安定させ、通貨の乱高下による経済への悪影響を防ぐことを目的としています。具体的な仕組みとしては、政府や中央銀行が自国通貨の為替レートをあらかじめ決められた一定の範囲内に収まるよう管理します。もし、市場での取引によって為替レートがその範囲を超えそうになったら、中央銀行が市場に介入します。例えば、自国通貨が設定された上限値に近づいた場合、中央銀行は自国通貨を売却し、外貨を購入することで為替レートの上昇を抑えます。逆に、下限値に近づいた場合は、外貨を売却し、自国通貨を購入することで下落を防ぎます。固定相場制を採用するメリットは、為替レートの安定によって企業が安心して国際的な取引を行うことができる点にあります。為替変動リスクが軽減されることで、貿易や海外投資が促進され、経済成長につながることが期待できます。一方で、固定相場制を維持するためには、中央銀行が常に為替市場に介入する必要があるため、多額の外貨準備が必要となります。また、市場メカニズムに反して為替レートを固定し続けることは難しく、投機的な攻撃にさらされるリスクも抱えています。
投資信託

投資信託を動かす司令塔:投資信託会社

投資信託で資産運用を始めようとする時、多くの人は「どの投資信託に投資しようか」と、特定の企業やテーマに投資する投資信託を探しがちです。しかし、その投資信託の背後には、「投資信託会社」という重要な役割を担う企業が存在します。 投資信託会社は、投資家から集めたお金を元手に、投資信託の運用方針に基づいて、株式や債券などを売買します。そして、その運用によって得られた利益を、投資家に分配金として還元するのです。 いわば投資信託会社は、投資信託という船の司令塔と言えるでしょう。彼らは、投資信託の運用の全体設計から、日々の運用管理、投資家への情報提供まで、幅広い業務を担っています。 つまり、投資信託会社は、投資家が安心して投資信託を購入し、長期的な資産形成を実現するために、欠かせない存在なのです。
経済の用語

損益計算書を読み解く

- 企業の成績表、損益計算書とは 損益計算書は、いわば企業の成績表ともいえる重要な書類です。ある一定期間、具体的には1年間や3ヶ月間といった期間における企業の経営成績が具体的に数字で示されています。 この成績表には、企業がその期間にどれだけの売上を上げたのか(売上高)、その売上を得るためにいくらかかったのか(費用)、そして最終的にいくらの利益を上げることができたのか(利益)が明確に記載されています。 損益計算書を見ることで、企業が効率的に事業を行えているか、しっかりと利益を確保できているか、といった経営の健全性を判断することができます。企業の経営者だけでなく、投資家や金融機関なども、企業の状況を把握し、将来性を評価するために損益計算書を参考にします。 つまり、損益計算書は、企業の事業活動の成果を如実に表すものであり、企業の現状を理解する上で欠かせない資料と言えるでしょう。
経済の用語

株式投資の基礎:ベアとブル

株式投資の世界では、市場全体を動向を動物にたとえることがあります。その中の一つが「ベア」、つまり熊です。熊は腕を大きく振り下ろす動作をしますが、株価がまるで熊の腕のように下落していく様子から、市場全体が下落傾向にある状態を「ベアマーケット」と呼びます。 ベアマーケットでは、投資家の間に悲観的な見方が広がります。経済の減速や企業の業績悪化などが懸念され、将来の株価上昇に期待が持てなくなるためです。このような状況下では、投資家はリスクを避けるために株式を売却する傾向が強まります。 反対に、市場全体が上昇傾向にある状態は「ブルマーケット」と呼ばれます。こちらは、牛が角を突き上げる様子に由来しています。
NISA

ETNで賢く投資を始めよう

- 注目の投資商品ETNとは近年、個人投資家からの注目度が高まっている投資商品にETNがあります。ETNとは「Exchange Traded Note」の略で、日本語では「上場投資証券」または「指標連動証券」と呼ばれ、証券取引所に上場されている投資商品です。ETNは、日経平均株価やNYダウといった株価指数や、金や原油などの商品価格、為替レートといった様々な指標に連動するように設計されています。つまり、投資家はETNを購入することで、特定の指標に投資しているのと同じような値動きを期待することができます。ETNは、よく似た投資商品であるETFと混同されることがありますが、仕組みが大きく異なります。ETFは投資信託の一種であり、投資信託の受益証券を証券取引所に上場させたものです。一方、ETNは証券会社が発行する債券です。ETNの発行体である証券会社は、投資家から集めた資金を元に、ETNが連動する指標に準じた運用を行います。そして、満期が到来すると、投資家に対して、指標の値動きに応じた損益を加えた金額を支払います。ETNは、少額から投資できる、売買が簡単である、信託報酬などの運用コストが比較的低いといったメリットがあります。一方で、元本が保証されていないことや、発行体の証券会社が破綻した場合には、投資資金が失われるリスクがあることなど、注意すべき点も存在します。ETNへの投資を検討する際には、仕組みやリスクを十分に理解した上で、自身の投資目的やリスク許容度に合致しているかどうかを慎重に判断する必要があります。
投資信託

投資信託で賢く分散投資

- 銘柄分散でリスクを減らそう投資信託で資産運用を行う際、「銘柄分散」は非常に大切です。これは、複数の異なる投資信託に投資をすることを意味します。よく、「卵を一つの籠に入れるな」という言葉を耳にすることがあるでしょう。これは投資の世界にも当てはまります。一つの会社の株や一つの投資信託だけに投資してしまうことを、「一点集中投資」と呼びますが、これは非常に危険です。例えば、ある素晴らしい会社があるとします。その会社の将来性に期待して、所有しているお金の全てをその会社の株に投資したとしましょう。しかし、その会社が予期せぬ不祥事を起こしてしまったり、業績が大きく悪化してしまう可能性もゼロではありません。もしもの時、投資していたお金が大きく減ってしまうリスクがあります。一方、銘柄分散を行えば、このようなリスクを軽減できます。複数の会社の株や債券に投資することで、仮に一つの投資先で損失が出ても、他の投資先で利益が出ていれば、損失を小さく抑えられる可能性があるからです。このように、銘柄分散は、リスクを抑えながら、安定した運用を目指すために有効な手段と言えるでしょう。
経済の用語

固定資本減耗:価値の減少を理解する

- 固定資本減耗とは企業は事業を行うために、工場や機械設備といった様々な資産を保有しています。これらの資産は、長期にわたって企業の活動に貢献しますが、時間の経過と共に劣化したり、時代遅れになったりすることで、その価値は徐々に減少していきます。この価値の減少を「固定資本減耗」と呼びます。例えば、工場で稼働している機械を考えてみましょう。この機械は、毎日稼働することで徐々に摩耗し、性能が低下したり、故障のリスクが高まったりします。また、技術の進歩によって、より高性能な機械が登場した場合には、既存の機械は相対的に価値が低下することになります。このように、固定資産は、使用されるかどうかに関わらず、時間と共にその価値が減っていくのです。固定資本減耗は、会計上「減価償却費」として費用計上されます。減価償却費を計上することで、固定資産の取得に要した費用を、その資産が使用される期間にわたって配分し、企業の収益と費用を適切に対応させることができます。固定資本減耗を適切に認識することは、企業にとって非常に重要です。減価償却費を計上することで、企業は将来の設備投資に必要な資金を計画的に積み立てることができます。また、固定資産の価値減少を正しく認識することで、企業の財務状態をより正確に把握することができます。