経済の用語

国際協力の立役者:日本輸出入銀行の役割

日本の貿易立国としての地位を築く上で、輸出入銀行、通称EIBは、大きな役割を果たしてきました。文字通り、輸出入に関わる企業を支える専門の金融機関として、日本の企業が海外へ進出する際や、海外との取引をスムーズに行うためのサポートをしてきました。 具体的には、海外との取引で必要となる資金を融資したり、取引に伴うリスクを保証することで、企業の負担を軽減してきました。 特に、巨大な工場の建設や、資源開発のように、多額の費用と長い年月がかかる事業は、一般の銀行にとってはリスクが大きいため、なかなか融資が難しいものでした。しかし、輸出入銀行は、国益の観点から、このような事業にも積極的に融資を行い、日本の経済成長を力強く後押ししてきました。 輸出入銀行の支援は、自動車、鉄鋼、造船といった日本の基幹産業が、世界でその名を轟かせる一助となったと言えるでしょう。
株式投資

時価発行とは?

- 時価発行の概要時価発行とは、企業が資金調達のために新たに株式を発行する際に、その時点での株式市場の価格を基準として発行価格を決める方法です。 従来の発行方法では、企業はあらかじめ発行価格を定めていました。しかし、時価発行では、需要と供給の関係に基づいて価格が決まるため、より市場の実勢を反映した価格設定が可能となります。 具体的には、まず企業は、証券会社などを通じて、投資家に対して自社の事業内容や将来性などを説明し、株式の需要を調査します。これを「ブックビルディング」と呼びます。そして、集まった需要状況に基づいて、最終的な発行価格が決定されます。 時価発行は、発行会社の知名度や業績、将来性など、市場における評価を直接的に反映するため、投資家にとっては、その企業の価値を判断しやすいというメリットがあります。また、企業側にとっても、市場の評価をダイレクトに受けることで、適切な資金調達が可能になるというメリットがあります。 一方で、時価発行は、市場環境に左右されやすく、発行価格が予想よりも低くなる可能性もあります。また、ブックビルディングなどの手続きに時間がかかるという側面もあります。
経済の用語

第二次世界大戦中の戦略会議:カイロ会談

- カイロ会談とは1943年11月22日から26日にかけて、エジプトの首都カイロで歴史的な会談が開催されました。これは、第二次世界大戦の真っ只中、連合国側の首脳が一堂に会した「カイロ会談」として知られています。この会談には、アメリカ合衆国のフランクリン・ルーズベルト大統領、イギリスのウィンストン・チャーチル首相、そして中華民国の蔣介石総統という、三大国の指導者が参加しました。彼らの目的は、枢軸国の一角である日本との戦争を終結させる戦略を練り上げること、そして、戦後の世界、特にアジアにおける新たな秩序を構築するための議論を重ねることでした。会談では、日本が侵略によって奪った領土の扱いが重要な議題となりました。具体的には、満州、台湾、澎湖諸島を中華民国に返還すること、日本が第一次世界大戦後に獲得した太平洋の島々を放棄することなどが話し合われ、これらの内容を含む「カイロ宣言」が発表されました。カイロ会談は、戦後のアジアの枠組みを決定づける重要な会議となりました。この会談での合意は、後の国際秩序に大きな影響を与え、敗戦国日本の将来を大きく左右することになったのです。
経済の用語

金融ビッグバン:日本の金融市場改革への挑戦

- 金融ビッグバンとは1996年から2001年にかけて、日本の金融業界は大きな転換期を迎えました。これが「金融ビッグバン」と呼ばれる改革です。当時の橋本龍太郎首相率いる第2次橋本内閣が主導し、「自由で、公正で、国際的な市場」を合言葉に、それまでの日本の金融システムを大きく変えるための改革を断行しました。それまでの日本は、金融機関同士の競争を制限し、政府の保護や規制によって金融システム全体の安定を保つという「護送船団方式」がとられていました。しかし、1990年代に入ると、バブル経済の崩壊とともにこの仕組みに陰りが見え始めます。企業の倒産や不良債権の増加によって金融機関の経営が悪化し、国際競争力の低下も問題となっていました。そこで、金融ビッグバンは、規制緩和や自由化を通じて、国際的な基準に合わせた、より競争力のある金融市場を創り出すことを目指しました。具体的には、銀行や証券会社などの業種の垣根を取り払ったり、新しい金融商品の開発を促進したりするなどの改革が行われました。金融ビッグバンは、日本の金融業界に大きな変化をもたらしました。手数料の自由化やインターネットバンキングの普及など、利用者にとって便利なサービスが生まれた一方で、金融機関間の競争が激化し、合併や業務統合が相次ぎました。また、投資家にとっては、自己責任で運用を行うという意識が求められるようになりました。金融ビッグバンは、日本の金融市場を大きく変えましたが、その評価は分かれています。国際競争力の強化や利用者利便の向上などの成果が挙げられる一方で、金融機関の経営不安や格差の拡大などの問題も指摘されています。
債券投資

時価転換方式とは?

- 時価転換方式の概要時価転換方式とは、企業が資金調達のために株式を発行する際に、その発行価格を発行時点の市場価格を基準として決定する方法です。従来の転換社債のように、あらかじめ転換価格を固定しておく方法とは異なり、発行時の市場環境をリアルタイムに反映した価格設定となるため、より柔軟で効率的な資金調達が可能となります。具体的には、株式の発行時に、過去一定期間の株価の平均値や、発行時の株価に一定の割引率を適用するなどして、転換価格が決定されます。このため、投資家は、発行時の市場価格に近い価格で株式を取得できる可能性が高く、企業にとっては、従来の方法よりも有利な条件で資金調達を行うことができます。時価転換方式は、特に、新興企業や成長企業のように、株価の変動が大きく、将来の株価を予測することが難しい企業にとって有効な資金調達手段と言えます。また、市場環境の変化に柔軟に対応できるため、近年、多くの企業で採用されています。
オプション取引

外貨預金と通貨オプション

- 外貨預金とは外貨預金とは、普段私たちが利用している円ではなく、アメリカ合衆国で使われているドルや、ヨーロッパ諸国で使われているユーロなど、外国の通貨で預金をすることができる金融商品です。銀行にお預け入れする場合、円預金よりも高い金利が設定されていることが多く、魅力的に感じるかもしれません。しかし、預け入れ時と引き出し時の為替レートが変動することで、円換算した際に預け入れた時よりも価値が減ってしまうリスクがある点は注意が必要です。例えば、円高になった場合、つまり円の価値が預け入れ時よりも高くなった場合には、外貨から円に戻す際に預け入れ時よりも少ない金額になってしまう可能性があります。これは、外貨預金の大きなリスクと言えるでしょう。反対に、円安になった場合、つまり円の価値が預け入れ時よりも安くなった場合には、外貨から円に戻す際に預け入れ時よりも多くの金額を受け取ることができます。このように、外貨預金は為替レートの変動によって、利益を得るチャンスがある一方、損失が出るリスクも伴うことを理解しておく必要があります。外貨預金は、金利の高さだけに注目するのではなく、為替レートの変動リスクも考慮した上で、慎重に検討する必要がある投資商品と言えるでしょう。
その他

ポートフォリオ運用とカーブアウト:その注意点とは?

お金を増やすための手段として、様々な資産を組み合わせて運用する方法があります。これは、卵を一つの籠に入れるのではなく、複数の籠に分けて入れることで、万が一籠を落としてしまっても、全ての卵が割れるのを防ぐことに似ています。 資産を一つに集中して運用するよりも、複数の資産を組み合わせることで、リスクを分散できるという利点があります。例えば、会社の業績が良いと値上がりする傾向にある株式と、国や企業が発行する債券を組み合わせたとします。株式は高い収益が見込める一方で、経済状況が悪くなると値下がりするリスクも孕んでいます。一方、債券は株式に比べて値動きが少なく、安定した収益が見込めます。もし株式投資のみを行っていた場合、経済状況が悪化すると大きな損失を被る可能性がありますが、債券と組み合わせることで、損失を抑え、資産全体のリスクを軽減できるのです。 資産を組み合わせる際には、株式、債券以外にも、不動産、金など、様々な選択肢があります。それぞれの資産は異なる特徴を持つため、自分の投資目標やリスク許容度に応じて、適切な組み合わせを検討することが重要です。専門家のアドバイスを受けることも有効な手段と言えるでしょう。
株式投資

注目の日本版トラッキング・ストックとは?

- 日本版トラッキング・ストックの概要従来の株式は、企業全体の業績を反映して株価が変動し、配当金も企業全体の業績に基づいて支払われていました。しかし、企業の中には、多岐にわたる事業を展開している場合があり、それぞれの事業の成長性や収益性は大きく異なることがあります。日本版トラッキング・ストックは、このような企業の特定の子会社や事業部門の業績に連動して株価が変動し、配当金もその子会社や事業部門の業績に基づいて支払われる仕組みの株式です。従来の株式では、投資家は企業全体に投資することしかできませんでしたが、日本版トラッキング・ストックが導入されることで、投資家は、特定の子会社や事業部門の将来性を見込んで、その部分に投資することができるようになります。例えば、ある企業が、成長性の高い新規事業と、安定的な収益を上げている既存事業の両方を持っているとします。投資家は、新規事業に将来性を感じていても、従来の株式では、既存事業を含めた企業全体に投資するしかありませんでした。しかし、日本版トラッキング・ストックが導入されれば、投資家は、新規事業の業績に連動する株式に投資することで、より直接的に新規事業の成長の恩恵を受けることができるようになります。日本版トラッキング・ストックは、投資家にとって、より多様な投資機会を提供するとともに、企業にとっては、特定の子会社や事業部門に対する評価を明確化し、資金調達を円滑にする効果も期待されています。
株式投資

企業価値の縮図:時価総額を読み解く

- 時価総額とは 時価総額とは、ある企業の規模や価値を測る上で、基本となる指標の一つです。これは、その企業が発行した全ての株式を、現在の市場価格で評価した場合の合計金額を指します。 例えば、ある企業が100万株の株式を発行しているとします。そして、現在の市場でその企業の株が1株あたり2,000円で取引されているとしましょう。この場合、その企業の時価総額は20億円と計算されます。 時価総額は、投資家が企業の価値を判断する上で重要な要素の一つとなります。なぜなら、時価総額は市場がその企業に対して、どれだけの期待感を持っているか、どれだけの成長性を見込んでいるかを反映しているからです。時価総額が高い企業は、一般的に、業績が好調で、将来性も期待されていると判断されます。 しかし、時価総額だけで企業の価値を全て判断できるわけではありません。企業の財務状況や収益性、将来の見通しなど、他の要素も総合的に判断する必要があるでしょう。
その他

顧客本位の証券投資?過当勧誘にご用心!

- 過剰な投資勧誘にご注意を! 証券会社から投資を勧められる場面、皆さんはどのような点に注意すべきでしょうか?大切な資産を運用するのですから、自分の利益だけを追求した業者の言葉に安易に乗せられてはいけません。証券会社には、お客様に対して「過当な勧誘」をしてはいけないという規則が定められています。では、過当勧誘とは一体どのような行為を指すのでしょうか? 過当勧誘とは、お客様の投資経験や資産状況などを考慮せず、過度にリスクの高い取引を勧める行為を指します。例えば、お客様の投資資金が100万円しかないにも関わらず、1000万円の投資信託を勧める、リスクの高い先物取引やオプション取引を無理強いするといった行為は、過当勧誘にあたる可能性があります。 証券会社から投資を勧められた際には、その投資商品の内容やリスクを十分に理解し、自分の資産状況や投資目標に合致しているかどうかを冷静に判断することが重要です。もし、少しでも不安な点があれば、契約を急がずに、家族や専門家に相談するなどして、慎重に判断するようにしましょう。
株式投資

初心者向け:オンライントレードとは?

- オンライントレードの概要オンライントレードとは、インターネットを通じて株式や債券といった有価証券を売買することを指します。従来の証券会社に出向いて取引を行うオフライン取引とは異なり、場所を選ばずに売買できる点が大きな特徴です。具体的には、証券会社が提供する専用のウェブサイトやアプリにアクセスし、パソコンやスマートフォンを使って取引を行います。場所を選ばないという点から、自宅だけでなく、外出先や移動中であっても取引が可能です。わざわざ証券会社に出向く必要がなく、取引時間内であればいつでもどこでも取引できるため、忙しい現代人にとって便利な取引手段と言えるでしょう。オンライントレードでは、リアルタイムで株価やチャート情報を確認しながら取引を進めることができます。また、取引手数料もオフライン取引に比べて安い傾向があり、取引コストを抑えられる点もメリットです。さらに、オンライントレードを提供する証券会社の中には、投資初心者向けの学習コンテンツやセミナーを提供しているところもあり、投資初心者でも比較的始めやすい環境が整っています。ただし、オンライントレードは自己責任で行う必要があります。取引に関する知識や経験が不足していると、思わぬ損失を被る可能性もあるため注意が必要です。投資を始める前には、リスクを十分に理解し、自己責任のもとで取引を行うように心がけましょう。
その他

投資の未来を築く:日本版スチュワードシップ・コード解説

近年、投資の世界で「スチュワードシップ」という言葉が注目されています。 企業は、目先の利益だけを追い求めるのではなく、社会全体にとって将来にわたってプラスになる成長を目指していく必要があります。この考え方を投資の世界にもあてはめ、投資家が企業の長期的な成長を促すことで、経済全体の成長も実現しようという取り組みが「スチュワードシップ」です。 具体的には、投資家が企業と積極的に対話し、環境問題への配慮や社会貢献活動への取り組み、そして、企業統治の強化などを促すことで、企業の長期的な価値向上を後押しします。 従来の投資は、短期的な利益を重視し、企業業績が振るわない場合は、すぐに株式を売却してしまうことも少なくありませんでした。しかし、「スチュワードシップ」は、短期的な利益よりも長期的な価値向上を重視し、企業と長期的な関係を築きながら、対話を通じて企業の成長を促します。 「スチュワードシップ」は、持続可能な社会の実現に向けて、投資家が重要な役割を担うことを示しており、投資の世界において、ますます重要性を増していくと考えられています。
経済の用語

時価会計:資産と負債のリアルタイム評価

- 時価会計とは企業の財政状態を把握する方法として、伝統的に「取得原価」を基準とした会計方法が用いられてきました。これは、資産や負債を取得した時点の価格で評価する方法です。しかし、経済状況が目まぐるしく変化する現代において、この方法では企業の本当の価値を適切に反映できないという問題点が指摘されるようになりました。そこで登場したのが「時価会計」です。時価会計は、その名の通り、資産や負債を「今まさにその価格で売買できる」という市場価格(時価)に基づいて評価する方法です。例えば、企業が所有する土地や建物は、取得時から年月を経ることで価値が変動している可能性があります。時価会計では、これらの資産を現在の市場価格で評価することで、より実態に即した財務諸表を作成することが可能となります。時価会計は、投資家にとって企業の価値をより正確に把握するための重要な情報となります。従来の取得原価主義では、過去の取引価格に基づいて資産価値が評価されるため、現在の市場状況と乖離が生じている可能性があります。一方、時価会計では、市場で実際に取引されている価格に基づいて評価されるため、より最新の情報に基づいた投資判断が可能になります。しかし、時価会計の導入には課題も存在します。市場価格の変動が激しい場合には、企業の業績が不安定に見える可能性があります。また、市場価格の算出が困難な資産や負債については、適切な評価が難しいという側面もあります。
その他

オルタナティブ投資:多様な選択肢

- オルタナティブ投資とは オルタナティブ投資とは、普段私たちがよく耳にする株式や債券といったありふれた投資先とは異なる、一風変わった投資対象に資金を投じる手法のことです。具体的には、ヘッジファンド、未公開株式、不動産、コモディティ(商品)、インフラストラクチャーなどが挙げられます。 これらの投資対象は、株式や債券のように誰もが知る確立された市場で取引されていない場合が多く、独特な知識や経験が必要となる点が特徴です。 これらの投資先は、株式や債券とは異なるリスクとリターンの特性を持っています。例えば、経済状況が悪化した際に価格が値上がりするものもあれば、価格変動が激しく大きな損失が出る可能性があるものもあります。しかし、これらの投資先をポートフォリオに組み入れることで、リスクを分散し、安定した収益の獲得を目指すことができます。 オルタナティブ投資は、従来の投資手法では得られない高いリターンを狙える可能性がある一方、投資対象に関する専門知識や情報収集が欠かせないため、事前に十分な調査と理解が必要です。 また、投資のリスク許容度や投資期間などを考慮し、自身に合った投資を行うことが重要です。
NISA

将来に備える!つみたてNISAで始める資産運用

- 投資初心者におすすめ、NISAとは? 投資を始めたいけど、何から始めたらいいか分からない…そんな投資初心者の方には、「NISA」という制度がおすすめです。NISAは「少額投資非課税制度」のことで、年間120万円まで投資できる制度です。 通常、株式や投資信託などの金融商品で得た利益には約20%の税金がかかります。しかし、NISAを利用すると、この利益にかかる税金が非課税になるため、お得に投資を始めることができます。 NISAには、「つみたてNISA」と「一般NISA」の2種類があります。どちらも年間投資上限額や非課税期間が異なります。「つみたてNISA」は、毎月コツコツと積立投資を行うのに適しており、年間120万円まで、最長20年間、投資で得た利益が非課税になります。一方、「一般NISA」は、個別株など、幅広い商品に投資することができ、年間120万円まで、最長5年間、投資で得た利益が非課税になります。 投資初心者の方には、毎月少額から始められる「つみたてNISA」がおすすめです。ぜひ、NISAを活用して、将来に向けた資産形成を始めてみましょう。
その他

金融機関への制裁:過怠金の賦課とは?

金融機関は、私たちの預貯金や大切な資産を預かるなど、社会にとって非常に重要な役割を担っています。そのため、不正やミスなく、信頼できる運営が求められます。もちろん、法律や規則を守ることは大前提ですが、それだけでなく、各金融機関が所属する業界団体などが定める自主規制ルールを守ることも重要です。 自主規制ルールとは、金融機関が顧客や社会全体からの信頼を維持し、より良いサービスを提供していくために、自ら定めた行動規範といえます。例えば、顧客情報の適切な管理、顧客に対する丁寧で分かりやすい説明、そして、リスクの高い金融商品を販売する際の注意喚起などが挙げられます。 もしも、金融機関が法律や自主規制ルールに違反した場合、業務改善命令などの行政処分や、場合によっては刑事罰の対象となる可能性もあります。また、自主規制機関から譴責や業務停止命令など、厳しい制裁を受けることもあります。このような事態は、金融機関にとって社会的信用を失墜させ、経営に大きな影響を与える可能性があります。そのため、金融機関は、法令遵守はもちろんのこと、自主規制ルールを遵守し、顧客や社会からの信頼を維持していくことが非常に重要です。
経済の用語

外貨預金、チョッピー相場への対策とは?

- 予測不能な値動き、チョッピー相場とは 為替相場は、常に穏やかに推移するとは限りません。まるで荒波にもまれた小舟のように、激しく上下する相場状況もあります。これが「チョッピー相場」と呼ばれるものです。 チョッピー相場は、世界経済の不安定化や政治的なイベント、予期せぬ自然災害など、様々な要因が複雑に絡み合って発生します。これらの要因が予測を非常に困難にするため、為替レートは方向感をつかみにくく、まさに乱気流のような状態となります。 例えば、朝は円高に振れていたかと思えば、午後には円安に転じるなど、一方向にトレンドが定まりません。そのため、投資家にとっては、先行きを見通すことが難しく、売買のタイミングを掴むのが困難になります。結果として、利益を上げるのが難しい期間と言えるでしょう。
経済の用語

企業価値を映す鏡:時価会計入門

- 時価会計とは?企業が事業活動を行う中で、様々な資産を保有しています。土地や建物といった固定資産、製品や原材料といった流動資産など、その種類は多岐に渡ります。これらの資産を会計上でどのように評価するかは、企業の財務状況を正しく把握する上で非常に重要です。従来の会計では、資産の取得原価を基準に評価するのが一般的でした。しかし、経済環境が目まぐるしく変化する現代においては、取得原価が必ずしもその資産の現在の価値を適切に反映しているとは限りません。そこで登場したのが「時価会計」という考え方です。時価会計とは、簡単に言えば、決算日時点における市場価格を元に資産を評価する方法です。例えば、企業が10年前に購入した土地があるとします。取得原価は当時の価格で計上されますが、10年の間に地価が上昇していた場合、取得原価はその土地の現在の価値を過小評価していることになります。時価会計では、このようなケースにおいて、現在の市場価格を反映することで、より実態に近い形で資産を評価することが可能となります。時価会計を導入することで、企業の財務状況をより正確に把握できるようになり、投資家にとっては、より適切な投資判断を行うための材料となります。一方で、市場価格の変動がそのまま企業の業績に影響を与えるため、収益が不安定になる可能性も孕んでいます。
オプション取引

オプション取引で資産運用

- オプション取引とはオプション取引は、将来のある時点において、特定の対象資産をあらかじめ定められた価格で購入する権利、あるいは売却する権利を売買する取引です。株式や債券、為替など、様々な資産を対象とすることができ、投資戦略に柔軟性を与えてくれます。オプション取引では、権利を買う側を「買い手」、権利を売る側を「売り手」と呼びます。買い手は、オプション料と呼ばれるプレミアムを支払うことで、将来、あらかじめ定められた価格で対象資産を買う権利(コールオプション)または売る権利(プットオプション)を取得します。一方、売り手は、買い手からオプション料を受け取る代わりに、買い手から権利行使があった場合には、その義務に応じる必要があります。オプション取引の魅力は、将来の市場動向を見据え、相場の値上がり益や値下がり益を狙える点にあります。例えば、株価の上昇を見込む場合、コールオプションを購入することで、将来、割安な価格で株式を取得できる権利を手に入れることができます。逆に、株価の下落を見込む場合は、プットオプションを購入することで、将来、割高な価格で株式を売却できる権利を手に入れることができます。ただし、オプション取引は、潜在的に大きな利益を狙える一方、元本を超える損失が発生するリスクも伴います。特に、売り手は、買い手の権利行使によって、大きな損失を被る可能性があるため、注意が必要です。オプション取引を行う際には、リスクとリターンを十分に理解し、自己責任のもと、慎重に投資判断を行うようにしましょう。
NISA

将来設計を始めよう!日本版401kとは?

老後の生活資金は、誰もが気になる問題です。長生きは喜ばしいことですが、その一方で、健康で文化的な生活を送るためには、長い老後を支えるだけの十分な資金が必要になります。 公的年金制度は、老後の生活を支える基盤となるものですが、公的年金だけに頼るのではなく、自ら老後の資金を準備することが重要になってきています。 そこで注目されているのが、「日本版401k」と呼ばれる個人型確定拠出年金やiDeCoです。 これらの制度は、加入者が毎月一定額を積み立て、自分で選んだ運用方法で資金を運用し、老後に年金または一時金として受け取るというものです。 運用益が非課税になるなど、税制上の優遇措置も設けられています。 老後の生活資金を準備する方法としては、他に、貯蓄や生命保険など、様々な方法があります。 どの方法が自分に合っているのか、専門家に相談しながら、早いうちから準備を進めていきましょう。
経済の用語

完全雇用との違いとは?:過少雇用水準について解説

- 雇用に関する重要な指標過少雇用水準とは 経済状況を把握する上で、雇用に関する指標は、景気の良し悪しを測る重要なバロメーターとなります。数ある雇用指標の中で、「過少雇用水準」は、経済が本来持っている潜在能力や労働市場の実態を深く理解する上で欠かせない重要な概念です。 過少雇用水準とは、簡単に言えば「希望すればもっと時間働きたい」と考えている人たちがいる状態を示します。具体的には、パートやアルバイトなど、非正規雇用の形で働いている人のうち、希望すればより多くの時間働きたいと考えている人や、家事や育児などの理由で離職していたものの、条件が合えば復職したいと考えている人たちが含まれます。 この過少雇用水準が高い状態は、労働力が十分に活用されていないことを意味します。企業は、人手不足にも関わらず、新規採用を抑制したり、従業員の労働時間を増やすことに消極的である可能性があります。 過少雇用水準は、完全雇用とは異なる概念です。完全雇用とは、文字通り「完全な雇用状態」を指しますが、現実的には、求職活動をする人の数と企業が求める人材や条件が完全に一致することは難しく、常に一定数の失業者が存在します。このような状況を「摩擦的失業」と呼びますが、完全雇用状態においても、この摩擦的失業は存在します。 一方、過少雇用水準は、労働意欲と能力のある人が、希望するだけの仕事に就けていない状態を指します。完全雇用と過少雇用水準は、どちらも労働市場の状態を示す指標ですが、その視点が異なります。 過少雇用水準を理解することで、労働市場における需給のミスマッチや潜在的な経済成長の余地を把握することができます。政府や企業は、過少雇用水準の改善に向けた政策や取り組みを行うことで、より活気のある経済と雇用の安定化を目指していく必要があります。
経済の用語

企業グループの戦略拠点:持株会社

- 持株会社とは持株会社とは、他の会社の株式を保有することを主な事業とする会社のことを指します。 つまり、製品を作ったり、サービスを提供したりする会社とは異なり、他の会社を経営することが仕事といえます。では、どのように他の会社を経営するのでしょうか? それは、株式の保有を通じて、子会社となる会社の議決権を握ることで実現します。 議決権とは、会社の重要な決定について、発言権や決定権を持つ権利のことです。 持株会社は、この議決権を過半数以上保有することで、子会社の経営方針や事業計画に大きな影響力を持つことができるのです。持株会社は、一つの会社のみを子会社とすることもあれば、複数の会社を傘下に置くこともあります。 複数の会社を傘下に置く場合、それぞれの子会社の事業内容を活かしながら、グループ全体として大きなシナジー効果を生み出すことを目指します。 例えば、ある製品の製造、販売、広告宣伝をそれぞれ専門とする子会社を持つことで、効率的かつ効果的に事業を展開することが可能になります。
債券投資

企業の信用度を測る「日本格付研究所」とは?

- 日本格付研究所の概要日本格付研究所(JCR)は、企業が資金調達のために発行する債券や、企業全体の信用力を客観的な視点で評価する専門機関です。具体的には、企業の財務状況や事業の将来性などを多角的に分析し、投資家に対してその企業の債務履行(お金を返す能力)の可能性の高さを分かりやすく記号で表示します。この記号による評価を「格付け」と呼び、投資家にとって重要な判断材料となります。JCRは1985年に設立され、日本初の格付け機関として、日本の金融市場の健全な発展に大きく貢献してきました。企業が発行する債券の信頼性を評価することで、投資家は安心して投資を行うことができ、企業は円滑に資金調達を行うことができるようになります。JCRは、公正で透明性の高い格付け業務を通じて、日本の金融市場の安定と成長を支える重要な役割を担っています。
経済の用語

潜在能力を引き出す:過少雇用国民所得とは?

- 過少雇用国民所得経済の隠れた課題「過少雇用国民所得」という言葉をご存知でしょうか?これは、経済が本来持っている力を十分に発揮できていない状況を示す重要な指標です。私たちの社会では、働く意欲と能力を持った人々が様々な仕事に就き、生産活動に従事することで、豊かさを生み出しています。経済が活発な状態であれば、企業は多くの労働者を必要とし、人々は自分の能力を活かせる仕事に就くことができます。しかし、現状は必ずしもそうではありません。「過少雇用国民所得」は、働く人々がその能力を十分に活かせていない「過少雇用」の状態での国民所得を指します。例えば、高度な知識や技術を持つ人が、能力に見合わない単純作業に従事していたり、希望する時間よりも短い時間しか働けなかったりする状況です。このような状況では、個人の能力は十分に発揮されず、経済全体の生産性も低下してしまいます。過少雇用国民所得は、経済が抱える「隠れた課題」とも言えます。失業率のように目に見える形では捉えにくいものの、人々の能力が十分に活かされていない状態は、経済成長の大きな阻害要因となります。この課題を解決するためには、企業は従業員の能力を最大限に引き出すための教育や training、柔軟な働き方の導入など、様々な取り組みを進める必要があります。また、個人も自身のスキルアップやキャリア形成に積極的に取り組むことが重要です。過少雇用国民所得の問題を理解し、個々人が意識を高めることで、より活気のある社会を実現できるのではないでしょうか。