絶対的購買力平価説:為替レートの基礎知識
- 絶対的購買力平価説とは絶対的購買力平価説は、為替レートが決まる仕組みに関する考え方の一つです。これは、もしも国と国との間の貿易が全く制限なく行われ、商品の情報が隅々まで行き渡るような理想的な状況であれば、世界中のどの場所でも同じ商品は同じ値段で売られるはず、という考えに基づいています。例えば、日本で100円で買えるリンゴがあるとします。もしこのリンゴがアメリカで2ドルで売られているとしたら、絶対的購買力平価説に従えば、1ドルは50円の為替レートになるはずです。なぜなら、為替レートは、異なる通貨間での商品の価格差を調整する働きをするものと考えられているからです。分かりやすく言うと、もし為替レートが商品の価格差を反映していなければ、価格の安い国で商品を大量に買い、価格の高い国で売ることで利益を得ようとする人たちが現れるでしょう。このような行動が活発化すると、商品の需要と供給の関係が変化し、最終的には為替レートが調整され、価格差が解消される方向に動くはずだと考えられています。しかし現実の世界では、輸送コストや関税、商品の情報の非対称性など、為替レートの決定に影響を与える様々な要因が存在します。そのため、絶対的購買力平価説は理論上は分かりやすいものの、現実の為替レートの動きを完璧に説明できるわけではありません。あくまで、為替レートの決定メカニズムを考える上での一つの重要な考え方として捉える必要があります。