時間加重収益率：運用機関の実力を測る

時間加重収益率：運用機関の実力を測る

時間加重収益率とは

– 時間加重収益率とは投資信託や年金基金などのお金を運用している金融機関の成績表のようなものをイメージしてみてください。その成績表には、運用成績を評価する様々な指標が載っていますが、その中でも特に重要な指標の一つが-時間加重収益率-です。時間加重収益率は、運用期間中の入金や出金の影響を受けずに、純粋に運用機関がどれだけお金を増やしてくれたのかを測るための計算方法です。例えば、毎月コツコツ積み立てている投資信託や、定年後に受け取る年金などを考えてみましょう。これらの金融商品は、運用期間中に私たちが追加で投資したり、逆に資金を引き出したりすることがよくあります。しかし、単純に運用結果だけを見てしまうと、実際には運用が上手くいっていたとしても、追加投資や資金引き出しのタイミングによって成績が良く見えたり、悪く見えたりすることがあります。そこで役に立つのが時間加重収益率です。この指標を使うことで、私たちのお金の出入りによる影響を排除し、運用機関が本来持っている運用能力をより正確に把握することができます。つまり、時間加重収益率は、運用機関の実力を公平に評価するための重要な指標と言えるでしょう。

計算方法：厳密法と簡便法

投資信託などの運用成績を評価する際によく用いられる指標の一つに、時間加重収益率があります。時間加重収益率は、運用期間中の資金の流出入の影響を除外することで、純粋な運用成績を測定することができます。

時間加重収益率の算出には、大きく分けて厳密法と簡便法の二つの方法があります。厳密法は、毎日の基準価額を用いて日次ベースで収益率を計算していく方法です。この方法を用いることで、非常に正確な時間加重収益率を算出することができます。しかし、日々の時価評価が必要となるため、計算が煩雑になりやすく、実務的にはあまり用いられていません。

一方、簡便法は、運用期間の始点と終点、および期間中の収益分配のデータを用いて、時間加重収益率の近似値を算出する方法です。代表的な簡便法としては、修正ディーツ法や修正BAI法などが挙げられます。これらの方法は、厳密法と比較して計算が容易であるため、実務上は広く用いられています。

このように、時間加重収益率の算出には、それぞれ一長一短があるため、目的に応じて適切な方法を選択することが重要です。

運用機関の比較に最適

– 運用機関の比較に最適

投資信託や年金基金といった、私たちのお金を運用してくれる機関を選ぶ際には、その運用成績が気になるところです。しかし、単純に運用結果の数字だけを見比べて比較するのは、実はあまり適切ではありません。なぜなら、私たちのお金の出入りによって、運用成績は大きく変わってしまうからです。

例えば、同じように10%の利益が出ているように見えても、途中で大きな資金流入があった運用機関と、そうでない運用機関では、純粋な運用能力は異なってきます。そこで重要になるのが「時間加重収益率」という指標です。

時間加重収益率は、資金の流出入の影響を排除し、純粋な運用能力を反映した指標です。つまり、この指標を比較することで、どの運用機関がより効率的に資金を増やしてくれたのかを、客観的に判断することができます。

将来、私たちのお金を預ける機関を選ぶ際には、過去の運用成績だけに惑わされず、時間加重収益率を参考に、より的確に運用機関を比較していくことが大切と言えるでしょう。

まとめ

– 運用成績を正しく評価する「時間加重収益率」とは？
投資信託や年金基金など、お金を運用している金融機関の運用成績は、私たち投資家にとって関心の高い情報です。しかし、運用成績が良い、悪いと判断する前に、その評価方法が適切かどうかを確認する必要があります。

そこで重要になるのが「時間加重収益率」です。時間加重収益率は、運用期間中の資金の流出入の影響を受けずに、純粋に運用機関の能力を測る指標です。

例えば、同じ運用期間でも、多額の資金が流入した時期と、ほとんど資金の動きがない時期があったとします。この場合、単純に収益率だけを比較すると、資金流入のタイミングによって大きく数字が変わってしまいます。

しかし、時間加重収益率を用いることで、資金の流出入に左右されない、公平な運用成績の比較が可能になります。

投資信託や年金基金などの運用報告書には、時間加重収益率が記載されていることが一般的です。投資先を検討する際には、ぜひ時間加重収益率に注目し、運用機関の実力をしっかりと見極め、投資判断の材料にしましょう。