信用取引と実物決済を理解する

信用取引と実物決済を理解する

信用取引とは

– 信用取引とは

信用取引は、証券会社から資金や株券を借りて、自己資金以上の規模で株式売買を行うことができる仕組みです。

少ない資金を元手に大きな利益を狙うことができる点が魅力ですが、その一方で、損失が出た場合も自己資金を超えて拡大するリスクがあります。

信用取引では、投資家は証券会社に一定の保証金を預け入れることで、その数倍の金額の取引を行うことができます。例えば、保証金率が20%の場合、100万円の保証金で500万円までの取引が可能です。

信用取引には、資金を借りて株を購入する「買い建て」と、株を借りて売却する「売り建て」の2種類があります。買い建ては、将来株価が上昇すると見込む場合に、売り建ては株価が下落すると見込む場合に利用します。

信用取引は、ハイリスク・ハイリターンの投資手法と言えます。株式投資を始めるにあたっては、信用取引の仕組みとリスクを正しく理解しておくことが重要です。

信用取引の種類：制度信用取引と一般信用取引

株式投資には、自己資金の範囲内で購入する現物取引だけでなく、証券会社や金融機関から資金や株を借りて取引を行う信用取引があります。信用取引には、大きく分けて二つの種類があります。

一つ目は、「制度信用取引」です。これは、証券会社が法律に基づいて投資家に資金や株を貸し出す取引です。法律で定められているため、どの証券会社でも基本的な仕組みは同じです。制度信用取引では、返済期限は最長3ヶ月と決められています。短期間で大きな利益を狙う場合に向いていると言えるでしょう。

二つ目は、「一般信用取引」です。これは、証券会社ではなく、銀行や信用金庫などの金融機関が投資家に資金や株を貸し出す取引です。一般信用取引は、金融機関と投資家の個別契約となるため、返済期限は金融機関によって異なり、数か月から数年と長期にわたる場合もあります。また、金利や貸出限度額なども、金融機関によって異なります。

どちらの信用取引も、自己資金以上の取引ができるため、大きな利益を狙うことができます。しかし、その反面、損失も大きくなる可能性があることを理解しておく必要があります。信用取引を始めるにあたっては、それぞれの仕組みやリスクを十分に理解した上で、慎重に判断することが大切です。

実物決済：借りたものをそのまま返す

– 実物決済借りたものをそのまま返すお金や株を借りて取引を行う信用取引では、当然ですが、借りたものは返済しなければなりません。その返済方法の一つに「実物決済」という方法があります。これは、読んで字のごとく、借りたものと全く同じものを返す方法です。例えば、資金を借りて株を購入した場合を考えてみましょう。この場合、借りた資金で買った株を売却して得た資金で返済を行います。これが実物決済です。株を借りて売却する「信用売り」の場合も同様です。この場合は、売却した株と同じ銘柄の株を買い戻して、それを返すことで返済は完了となります。実物決済は、借りたものと同じものを返すというシンプルな方法のため、分かりやすく、初心者の方でも比較的理解しやすい決済方法と言えるでしょう。

実物決済のメリットとデメリット

– 実物決済のメリットとデメリット実物決済とは、株式など実際に売買対象となる証券を受け渡しすることです。従来からある方法で、近年広がりを見せる信用取引とは異なる特徴があります。-# メリット実物決済のメリットは、手続きが比較的簡単な点が挙げられます。信用取引のように、証券会社に保証金を預けたり、複雑な手続きを行う必要がありません。そのため、初心者の方でも比較的利用しやすいでしょう。また、手数料が安い点も魅力です。信用取引では、金利や貸株料などの手数料が発生しますが、実物決済ではこれらの手数料がかかりません。さらに、買い戻したり、売却したりするタイミングを自分で決められるため、価格変動のリスクをある程度コントロールできます。信用取引のように、期限までに決済する必要がないため、余裕を持って投資判断を行うことができます。-# デメリット一方、実物決済にはデメリットも存在します。まず、実物決済を行うためには、必要な資金や株を自分で用意する必要があります。信用取引のように、証券会社から資金や株を借りることができないため、多額の資金が必要になる場合があります。また、価格変動のリスクは避けられません。株価が予想に反して下落した場合、大きな損失を被る可能性があります。さらに、信用取引に比べて、取引できる商品の種類が少ないというデメリットもあります。実物決済は、メリットとデメリットを比較検討し、自身の投資スタイルやリスク許容度に合った方法を選択することが重要です。

実物決済以外の返済方法：反対売買

– 実物決済以外の返済方法反対売買借入金の返済方法には、借りた対象物を返す「実物決済」以外に、「反対売買」という方法があります。これは、借りたものと反対の取引を行うことで返済するという方法です。例えば、お金を借りて株式投資を行い、その株式を購入したとします。この場合、一般的な返済方法は購入した株式を売却し、その売却代金で借入金を返済することです。しかし、反対売買では、購入した株式を売却する代わりに、同じ銘柄の株式を「空売り」することで返済を行います。空売りとは、証券会社から株式を借りて売却し、後日、同じ銘柄の株式を買い戻して証券会社に返却する取引です。この時、買い戻し価格が売却価格よりも安ければ、その差額が利益となります。反対売買では、この空売りの仕組みを利用して借入金の返済を行います。反対売買は、実物決済と比較して、いくつかのメリットがあります。まず、資金効率が良い点が挙げられます。実物決済の場合、借入金の全額を返済するために、その分の資金を用意する必要があります。しかし、反対売買の場合、空売りによって得た利益で借入金を返済できるため、多額の資金を用意する必要がありません。また、スピーディーに返済できるというメリットもあります。実物決済の場合、売却先を見つけるまでに時間がかかる場合がありますが、反対売買であれば、すぐに取引を成立させることができます。このように、反対売買は、実物決済とは異なる特徴を持つ返済方法です。状況に応じて使い分けることで、より効率的・効果的な資金運用が可能となります。