金融

経済の用語

銀行業務の舞台裏:交換尻とは?

私たちが普段何気なく行っている銀行送金。その裏では、想像を超える規模の資金が銀行間を目まぐるしく移動しています。例えば、あなたがA銀行の口座から、B銀行の口座を持つ友人に1万円を送金したとしましょう。この時、A銀行からB銀行へ1万円が移動しますが、これは一見単純なように見えて、実は複雑な資金の流れを伴っています。 なぜなら、このような銀行間の送金は、1日に何万件、何百万件という膨大な件数発生するからです。もし、全ての銀行が、他の全ての銀行と個別にやり取りをしていたらどうなるでしょうか。送金処理は複雑になり、時間もかかり、ミスも発生しやすくなってしまいます。 そこで、銀行間の資金移動をスムーズに行うために、重要な役割を担っているのが「銀行間決済システム」です。これは、複数の銀行を繋ぎ、銀行間での送金や資金決済を効率的かつ安全に行うためのシステムです。このシステムがあることで、私たちは銀行や時間帯を気にすることなく、スムーズに送金を行うことができるのです。
経済の用語

企業を苦しめる「貸し渋り」とは?

- 貸し渋りとは銀行は、私たちが預けたお金を企業や個人に貸し出すことで、お金を必要とする人と、お金を運用したい人を結びつける役割を担っています。これが「融資」と呼ばれるものです。銀行は融資を通して金利を得て経営を安定させ、預金者へは預金金利を支払います。それと同時に、企業活動や個人の消費を活発化させることで、経済全体を支える役割も担っているのです。しかし、時に銀行は、この「融資」に対して消極的になることがあります。これが「貸し渋り」です。具体的には、以前よりも厳しい条件を提示したり、融資そのものを断ったりするなど、銀行が融資に後ろ向きな姿勢を示すことを指します。では、なぜ銀行は貸し渋りをしてしまうのでしょうか。その背景には、様々な要因が考えられます。主なものとしては、不景気や景気の先行き不安、企業業績の悪化などがあげられます。このような状況下では、企業の倒産や個人の返済能力の低下によって、融資が焦げ付いてしまうリスクが高まります。銀行は、自分たちの経営を守るため、そして預金者のお金をリスクにさらさないため、貸し渋りという選択をする場合があるのです。貸し渋りは、銀行の経営を守るためには必要な選択である一方、経済全体に悪影響を与える可能性もはらんでいます。資金を必要とする企業は新たな事業展開や設備投資を断念せざるを得なくなり、個人の消費も冷え込んでしまうかもしれません。結果として、景気回復が遅れ、経済活動全体が停滞してしまうことも考えられます。
経済の用語

企業再生と貸し剥がし:その影響とは?

近年、耳にする機会が増えてきた「貸し剥がし」という言葉。これは、金融機関が融資している企業に対して、その融資残高を減らすために行う様々な行為を指します。 例えば、企業が金融機関からお金を借りている場合、その返済を本来よりも早く求めるように促したり、新たな融資の申し込みを断ったりすることが挙げられます。 では、なぜ金融機関は貸し剥がしを行うのでしょうか?その背景には、融資先の企業の業績悪化や将来性への不安があります。金融機関は、企業が将来的に返済不能に陥るリスクを常に評価しており、そのリスクが高まったと判断した場合、貸し剥がしに踏み切ることがあります。 貸し剥がしは、企業にとって死活問題になりかねません。資金調達の道が閉ざされることで、企業は事業の継続に必要な資金を確保することが困難になります。その結果、設備投資や新規事業への展開が滞り、最悪の場合、倒産に追い込まれる可能性も孕います。 このように、貸し剥がしは企業にとって大きな痛手となるため、その実態を正しく理解し、対策を講じておくことが重要です。
その他

米国FSA: 知っておきたい金融保証の基礎知識

- 金融保証会社FSAとは 金融保証会社FSAとは、"Financial Security Assurance"の略称で、日本語では金融保証会社と呼ばれます。 企業や金融機関が発行する債券などの金融商品に対して保証を提供する、金融市場において重要な役割を担っています。 具体的には、企業が資金調達のために債券を発行する際に、FSAがその債券に対して保証を付与します。 もし、債券の発行体が経営不振などの理由で債務不履行を起こした場合、FSAが債券保有者に代わり、元本や利息を支払うことで、投資家に対するリスクを軽減します。 FSAによる保証は、債券の信用力を高める効果があり、投資家はより安心して投資を行うことができます。 その結果、発行体は低い金利で資金調達を行うことが可能になります。 このように、FSAは金融市場において、資金調達の円滑化や投資家保護に貢献しています。
債券投資

資産運用の選択肢!CLO投資とは?

- 多数貸付債権プール型担保証券の概要多数貸付債権プール型担保証券は、英語ではCollateralized Loan Obligation、略してCLOと呼ばれ、近年、投資家から注目を集めている証券の一つです。この証券は、企業に対して行われた貸付債権をたくさん集めて、それを裏付けとして発行されます。そして、その貸付金から得られる利息収入を、CLOを購入した投資家に分配するという仕組みになっています。多数の企業への貸付債権をまとめて扱うため、仮に一部の企業が貸付金を返済できなくなったとしても、他の企業からの返済によって損失を軽減できる可能性が高まります。これが、CLOのリスク分散効果と呼ばれるものです。CLOは、投資家にとって魅力的な利回りを実現できる可能性を秘めている一方、投資する際には、その仕組やリスクを十分に理解しておく必要があります。
その他

米国FINRA:証券投資を守る監視役

- FINRAとはFINRAは「Financial Industry Regulatory Authority」の略で、日本語では「金融取引業規制機構」といいます。アメリカの証券業界全体を監視する、政府から独立した自主規制機関です。日本では、証券業界を監督する立場として金融庁が存在し、証券会社を会員とする自主規制機関として日本証券業協会が存在します。FINRAは、これらの機関の役割を1つに統合したような組織といえるでしょう。具体的には、FINRAは約3,400社を超える証券会社と、61万人を超える証券ブローカーを監視対象としています。その活動は多岐にわたり、投資家保護のためのルール策定や、証券会社に対する検査、証券取引の監視、投資家への教育活動、証券取引紛争の解決などを行っています。FINRAの活動目的は、「投資家が信頼できる証券市場を構築すること」です。そのため、FINRAは常に投資家の視点に立ち、公正かつ透明性の高い証券取引の実現を目指しています。
投資信託

投資信託のヘッジファンド:その特徴と影響力

- ヘッジファンドとはヘッジファンドは、主に富裕層や機関投資家から巨額の資金を集め、高度な運用戦略で高い利益の獲得を目指す投資ファンドです。 従来の投資信託とは異なり、ヘッジファンドは規制が緩やかで、運用において自由度が高い点が特徴です。一般的な投資信託は、主に株式や債券に投資しますが、ヘッジファンドは、株式や債券に加えて、デリバティブ(金融派生商品)、不動産、コモディティなど、多様な資産に投資を行うことができます。 このように、ヘッジファンドは、幅広い投資対象に分散投資することで、リスクを抑制しつつ、高い収益を目指します。ヘッジファンドは、その名の通り、当初は「ヘッジ」、つまりリスク回避を目的としていました。しかし、近年では、高い収益を追求するために、積極的にリスクを取る運用を行うヘッジファンドも増えています。ヘッジファンドは、その運用成績に対して、成功報酬という形で手数料を受け取ることが一般的です。 つまり、ヘッジファンドは、投資家から預かった資金を運用し、利益が出た場合にのみ、その利益の一部を手数料として受け取ります。そのため、ヘッジファンドは、投資家の利益を最大化することに強いインセンティブを持って運用活動を行っているとされています。
オプション取引

バイナリーオプションのペイアウト額を理解しよう

- バイナリーオプションとはバイナリーオプションは、FX(外国為替証拠金取引)や株式投資と同じように、値動きの予測でお金を増減させる金融商品です。しかし、FXや株式投資とは異なる点も多いため、投資を検討する前に仕組みをよく理解しておく必要があります。バイナリーオプション最大の特徴は、結果が「勝ち」か「負け」の二つに一つしかないという点です。為替レートや株価が将来どのくらい上昇するか、下落するかを予想するのではなく、「あらかじめ決められた時間後に、指定した価格よりも高いか低いか」といったように、非常にシンプルな予想を行います。例えば、1時間後に現在の価格よりも日経平均株価が上昇すると予想した場合、バイナリーオプションでは「1時間後に日経平均株価が現在の価格よりも高いか低いか」を選択します。そして、予想通りに価格が上昇すれば利益を獲得し、予想に反して下落した場合には投資した金額を失うことになります。このように、バイナリーオプションはシンプルな仕組みで分かりやすく、投資初心者でも始めやすいというメリットがあります。一方で、リスクとリターンが事前に固定されているため、大きな利益を狙いにくいという側面も持ち合わせています。投資する際には、メリットだけでなくリスクもしっかりと理解した上で、余裕資金の範囲内で行うようにしましょう。
経済の用語

銀行と顧客をつなぐ対顧客市場

- 対顧客市場とは 対顧客市場とは、私たちのような一般顧客が銀行と直接やり取りをする金融取引の場を指します。銀行の窓口で預金したり、住宅ローンの相談をしたり、インターネットバンキングで振り込みをしたりする様子を思い浮かべてみてください。これらは全て対顧客市場における取引の一例です。 銀行では、預金口座の開設、住宅ローンや自動車ローンのような融資、円を外貨に交換する為替取引、資産運用のための投資信託の購入、万が一に備える生命保険や損害保険の加入など、生活に密着した様々な金融商品やサービスを提供しています。 私たちは銀行の支店に出向く以外にも、電話やインターネットを通じて、場所や時間を問わずにこれらのサービスを利用することができます。近年では、スマートフォンやATMを使った取引も一般的になりつつあり、銀行との接点はますます多様化しています。 このように、対顧客市場は私たちの日常生活と密接に関わっており、安全で便利な金融サービスの提供を通じて、経済活動を支える重要な役割を担っています。
経済の用語

FF市場:銀行間のお金のやり取り

- FF市場とはFF市場とは、フェデラル・ファンド・マーケットの日本語の略称で、銀行同士がごく短期間だけお金を貸し借りする市場のことを指します。銀行は、私たち預金者から預かったお金を企業への融資などに活用していますが、法律で定められた預金準備率に基づき、預金の一定割合以上を日本銀行に預け入れる必要があります。 日々の銀行業務の中で、企業への融資や預金の払い出しが重なると、この日本銀行に預けている預金残高が不足してしまうことがあります。このような場合、銀行は他の金融機関から不足資金を借り入れて預金残高を調整します。FF市場は、まさにこの銀行間で資金を貸し借りする場として重要な役割を担っているのです。 FF市場での貸し借りの期間は非常に短く、翌日返済が一般的です。そのため、FF市場で取引される金利は、短期金融市場全体の指標として注目されています。
その他

金融危機から資産を守る?FGICとは

- 金融保証会社FGICの概要FGICとは、Financial Guaranty Insurance Companyの頭文字をとったもので、日本語では金融保証会社と呼ばれます。 企業が資金調達のために発行する債券などの金融商品に対して保証を提供する事業を主に行っています。では、FGICは具体的にどのような形で保証を提供しているのでしょうか。例えば、企業が発行する債券にFGICが保証を付与したとしましょう。もしも、その企業が倒産するなどして、債券の利息や元本の支払いが滞ってしまう事態になったとします。このような場合でも、FGICが保証を付けている債券であれば、FGICが投資家に代わって、本来企業が支払うべき利息や元本の支払いを保証してくれるのです。このFGICの保証があるおかげで、投資家は、企業が万が一倒産した場合でも、投資したお金が戻ってこないかもしれないというリスクを軽減することができます。その結果、投資家は安心して投資を行うことができるようになり、特に信用力の低い企業が発行する債券であっても、FGICの保証が付いていることで、投資家から資金を集めやすくなるというメリットがあります。 このように、FGICは、投資家と企業の双方にとって、資金調達を円滑にするために重要な役割を担っていると言えるでしょう。
NISA

ETNで賢く投資を始めよう

- 注目の投資商品ETNとは近年、個人投資家からの注目度が高まっている投資商品にETNがあります。ETNとは「Exchange Traded Note」の略で、日本語では「上場投資証券」または「指標連動証券」と呼ばれ、証券取引所に上場されている投資商品です。ETNは、日経平均株価やNYダウといった株価指数や、金や原油などの商品価格、為替レートといった様々な指標に連動するように設計されています。つまり、投資家はETNを購入することで、特定の指標に投資しているのと同じような値動きを期待することができます。ETNは、よく似た投資商品であるETFと混同されることがありますが、仕組みが大きく異なります。ETFは投資信託の一種であり、投資信託の受益証券を証券取引所に上場させたものです。一方、ETNは証券会社が発行する債券です。ETNの発行体である証券会社は、投資家から集めた資金を元に、ETNが連動する指標に準じた運用を行います。そして、満期が到来すると、投資家に対して、指標の値動きに応じた損益を加えた金額を支払います。ETNは、少額から投資できる、売買が簡単である、信託報酬などの運用コストが比較的低いといったメリットがあります。一方で、元本が保証されていないことや、発行体の証券会社が破綻した場合には、投資資金が失われるリスクがあることなど、注意すべき点も存在します。ETNへの投資を検討する際には、仕組みやリスクを十分に理解した上で、自身の投資目的やリスク許容度に合致しているかどうかを慎重に判断する必要があります。
経済の用語

即時グロス決済とは?

現代社会において、経済活動を円滑に進めることは非常に重要です。企業間での取引や個人の送金など、日々莫大な金額のお金が動いています。このような金融取引を安全かつ迅速に行うことは、経済の安定には欠かせません。 こうした金融取引を陰ながら支え、安全性と迅速性を両立させているのが「即時グロス決済」と呼ばれるシステムです。このシステムは、銀行間で行われる資金移動をリアルタイムで処理することで、取引の完了を待つ時間を大幅に短縮します。 従来の銀行間取引では、処理が完了するまでに数時間から数日かかることもありました。しかし、「即時グロス決済」システムの導入によって、資金移動が瞬時に行われるようになり、企業は資金繰りの予測が立てやすくなり、個人は送金や支払いを安心して行えるようになりました。 このように「即時グロス決済」システムは、現代の金融取引において無くてはならない重要なインフラとなっています。そして、私たちの経済活動を支える基盤として、今後もその役割が期待されています。
その他

企業年金におけるプロセス責任とは?

企業年金は、従業員が定年退職後も安心して生活を送れるよう、会社が給与の一部を積み立てたり、会社が独自に掛金を拠出して運用し、退職後に年金として従業員に支給する制度です。将来受け取れる公的年金だけでは十分な生活資金を賄えない可能性があるため、企業年金は従業員にとって、老後の生活設計において重要な役割を担っています。 従業員が安心して老後を迎えられるようにするためには、企業年金基金は集めた掛金を適切に運用し、将来の年金支給に備える必要があります。この運用を行う責任を負うのが年金運用責任者です。彼らは、「善良な管理者の注意義務」と呼ばれる受託者責任を負い、広範な知識と経験に基づいて、年金資産の安全性、収益性、そして長期的な成長性を考慮しながら、運用方針を決定しなければなりません。 年金運用責任者は、市場の動向を常に注視し、経済状況や金利の変化などを分析しながら、適切な資産配分や運用商品の選択を行う必要があります。また、運用状況を定期的にチェックし、必要に応じて運用方針を見直すなど、柔軟かつ機動的な対応が求められます。企業年金の運用は、従業員の老後の生活設計に直結する重要な責務であり、年金運用責任者はその重責を認識し、最善を尽くすことが求められます。
その他

送金手段の定番!送金小切手の使い方

- 送金小切手とは送金小切手は、銀行が発行する書類で、指定された金額を特定の相手に送金するために使われます。例えば、遠方に住む家族にお金を贈ったり、高額な商品の支払いをしたりする際に利用されてきました。送金小切手の最大のメリットは、現金を持ち歩くリスクを回避できる点です。現金と異なり、送金小切手は紛失や盗難に遭っても、銀行に連絡することで再発行の手続きができます。そのため、現金書留よりも安全性の高い送金方法として、以前は広く利用されていました。送金小切手を受け取った人は、銀行の窓口に小切手を持ち込み、本人確認書類を提示することで、現金を受け取ることができます。また、自分の銀行口座に小切手を預け入れることも可能です。預け入れの場合、口座への反映には数営業日かかる場合があります。近年では、インターネットバンキングやスマートフォン決済の普及により、送金手段が多様化し、送金小切手の利用頻度は減少傾向にあります。しかし、セキュリティの高さや確実性から、現在でも根強い需要があるのも事実です。
その他

円滑な取引を実現する「送金為替」

企業間の取引や、個人間での物の売買など、あらゆる場面で金銭のやり取りは発生します。商品やサービスの対価をスムーズに決済することは、取引を円滑に進める上で非常に重要です。現金、小切手、銀行振込など、様々な決済方法が存在しますが、その中でも「送金為替」は、確実かつスムーズな送金を可能にする手段として、多くの場面で利用されています。 送金為替とは、銀行や信用金庫などの金融機関を通じて、特定の相手に送金を行う方法です。送金を行う際には、相手の口座情報(銀行名、支店名、口座番号、口座名義)が必要です。送金為替には、電信為替と郵便為替の2種類があります。 電信為替は、銀行間のネットワークを通じて電子的に送金を行う方法で、即日または翌営業日には相手に送金が完了するという特徴があります。一方で、郵便為替は、郵便局を通じて送金を行う方法です。電信為替に比べて送金に時間がかかりますが、銀行口座を持っていない方でも利用できるというメリットがあります。 送金為替は、現金を持ち歩くリスクを回避できる、確実な送金方法であることなど、多くのメリットがあります。そのため、企業間の大規模な取引から、個人の少額決済まで、幅広い場面で利用されています。
その他

ヘッジファンドとは?

- ヘッジファンドの本来の意味ヘッジファンドは、その名前が示す通り、「ヘッジ」、つまりリスクを避けることを本来の目的とした投資ファンドです。1949年にアメリカで誕生した当初は、予測が難しい株式市場の値動きによる損失を抑え、安定的な収益を上げることを目指していました。具体的には、株価の値上がりが見込まれる銘柄を買い持ちする一方で、値下がりしそうな銘柄を空売りするといった戦略を用いていました。買い持ちと空売りを組み合わせることで、市場全体の動きに左右されにくい運用を目指していたのです。しかし、時代と共にヘッジファンドは大きく変化しました。今日では、従来の枠にとらわれない多様な戦略を採用し、高い収益を目指しています。例えば、未公開株や不動産など、株式以外の資産に投資するヘッジファンドも増えています。このように、現代のヘッジファンドは多種多様であり、その戦略も複雑化しています。しかし、リスクをコントロールしながら収益を追求するというヘッジファンド本来の考え方は、現在でも受け継がれています。
経済の用語

ユーロ圏の守護神?EFSFとは

- 欧州金融安定基金(EFSF)の概要欧州金融安定基金(EFSF)とは、2010年に設立されたユーロ圏諸国を対象とした金融支援の枠組みです。EFSFは、日本語では「欧州金融安定基金」と呼ばれ、ユーロ圏の金融安定を維持することを目的としています。具体的には、ユーロ圏内の国が深刻な財政難に陥り、市場からの資金調達が困難になった場合に、EFSFが資金援助を行います。財政難に陥った国は、財政赤字の増大や国債の格付け低下などが原因で、市場からの資金調達が困難になることがあります。このような状況下では、国債の利回りが上昇し、更なる財政状況の悪化を招きかねません。EFSFは、このような状況を回避するために、資金援助を通じて国債のデフォルト(債務不履行)を防ぎ、ユーロ圏全体の金融システムの安定を図ります。EFSFからの資金援助は、あくまでも一時的な救済措置であり、支援を受ける国は、財政再建や構造改革など、財政状況の改善に向けた取り組みを行うことが求められます。EFSFは、ユーロ圏の金融危機を受けて設立された、ユーロ圏の結束と安定を象徴する重要な制度と言えるでしょう。
その他

投資における「思慮深い人」の基準とは?

- 「思慮深い人」の原則とは 投資の世界で成功を収めるためには、ただ闇雲に利益を追求するのではなく、堅実で長期的な視点を持つことが重要です。そこでカギとなるのが「思慮深い人」の原則です。これは、投資家が資産運用を行う際に、責任ある行動と賢明な判断を常に心がけるべきだという指針です。 この原則は、もともとアメリカの法律用語である「プルーデント・マン・ルール」の日本語訳で、特に従業員の退職金など大切な資産を運用する際の行動規範として、法律によって定められています。 具体的には、「分散投資」が挙げられます。これは、一つの投資先に全ての資金を集中させるのではなく、リスクを減らすために複数の資産に分散して投資することを意味します。また、「長期投資」も重要な要素です。短期的な市場の変動に一喜一憂せず、長期的な視野に立ってじっくりと資産を増やしていくことが、結果として大きな利益につながります。 「思慮深い人」の原則は、単なる法律用語ではなく、投資で成功するための普遍的な心構えと言えるでしょう。
経済の用語

わかりやすい現物取引の解説

- 現物取引とは日々の生活で私たちが行っている商品の売買は、ほとんどが「現物取引」です。例えば、スーパーでトマトを購入する場面を想像してみてください。あなたはトマトを選び、レジでお金を支払い、トマトを受け取ります。この時、お金と商品の受け渡しがその場で行われていることがポイントです。これが現物取引の基本的な仕組みです。金融の世界でも、現物取引は広く行われています。株式投資を例に考えてみましょう。あなたが証券会社を通じてある会社の株式を購入する場合、証券会社は市場でその株式を取得し、あなたに引き渡します。同時に、あなたは証券会社に株式の購入代金を支払います。ここでも、株式と代金の受け渡しが同時に行われるため、現物取引に該当します。このように、現物取引は商品と代金の受け渡しを同時に行う取引方法であり、私たちの身近な生活から、金融の世界まで幅広く利用されています。
経済の用語

投資の基礎: プライマリーマーケットとは?

- プライマリーマーケットの概要企業が事業を拡大したり、新しい技術を開発したりするためには、資金が必要です。この資金調達方法はいくつかありますが、その中でも株式や債券を発行して、広く投資家から資金を集める方法があります。このように、企業や政府などが発行したばかりの新しい株式や債券などが、投資家に初めて売り出される市場のことを「プライマリーマーケット」と呼びます。私たち個人投資家が、証券会社を通じて株式投資を行う場合を例に考えてみましょう。証券会社を通して購入した株式は、あたかも証券会社が保有していたように思えますが、実際には証券会社は仲介役を担っているに過ぎません。投資家が株式を購入する注文を出すと、証券会社はプライマリーマーケットで企業が発行したばかりの新株を購入し、それを投資家に渡します。このように、プライマリーマーケットは、資金を必要とする企業と、投資によって利益を得たい投資家とを結びつける、重要な役割を担っています。一方で、証券取引所で行われている、投資家間で既に発行済みの株式が売買されている市場は「セカンダリーマーケット」と呼ばれ、プライマリーマーケットとは区別されます。プライマリーマーケットは、新たに発行される有価証券を対象とするため、セカンダリーマーケットのように価格が変動することはありません。
経済の用語

粉飾決算で見かける「相落ち」とは?

企業が、あたかも利益が出ているように見せかけたり、実際よりも健全な財務状況であるかのように装うことを「粉飾決算」と言います。これは、投資家や株主など、企業の情報に基づいて判断を下す人々を欺く行為であり、許されるものではありません。粉飾決算には、様々な巧妙な手口が存在します。 例えば、「架空売上計上」という方法があります。これは、実際には存在しない売上をあたかもあったかのように計上することで、売上高や利益を水増しする手口です。また、「循環取引」という方法も存在します。これは、実際には商品やサービスの提供を行っていないにも関わらず、関連会社間などで取引を行ったように見せかけることで、売上高を水増しする手口です。 これらの他にも、「相落ち」と呼ばれる手法があります。これは、預金が実際よりも多く存在するかのように見せかけることで、短期間だけ財務内容を良く見せることを目的としています。例えば、月末に多額の預金があるように見せかけるために、実際には資金が不足しているにも関わらず、一時的に資金を借り入れて預金残高を水増しするといった方法が用いられます。 粉飾決算は、企業の一時的な利益や財務状況の改善をもたらすかもしれませんが、長期的に見れば、企業の信頼を失墜させ、市場全体の秩序を乱すことになります。企業は、健全な経営と透明性の高い情報開示を心掛けることが重要です。
経済の用語

金融市場の基礎: フェッド・ファンド市場とは

- フェッド・ファンド市場の概要フェッド・ファンド市場は、金融機関同士がお互いに資金を貸し借りする市場です。この市場の特徴は、資金の貸し借りの期間が一夜限り、つまり翌日返済となることです。銀行は、預金準備率の維持や短期的な資金調整のために、このフェッド・ファンド市場を頻繁に利用しています。銀行は、日々、預金者から預け入れられたお金の一部を中央銀行に預け入れることが義務付けられています。これが預金準備率です。預金残高が変動し、預金準備率を満たせなくなる場合、銀行はフェッド・ファンド市場で不足分の資金を他の金融機関から借り入れることで対応します。逆に、資金に余裕のある銀行は、フェッド・ファンド市場で他の金融機関に資金を貸し出すことで収益を得ることができます。フェッド・ファンド市場での金利は、フェッド・ファンド金利と呼ばれ、市場の需給バランスによって日々変動します。中央銀行は、このフェッド・ファンド金利を政策金利として扱い、金融政策の手段として利用しています。中央銀行がフェッド・ファンド金利を引き上げると、銀行が資金を借り入れるコストが上昇するため、市場全体の資金供給量が抑制されます。逆に、フェッド・ファンド金利を引き下げると、銀行が資金を借り入れやすくなるため、市場全体の資金供給量が拡大します。このように、フェッド・ファンド市場は、金融システム全体の流動性を調整する上で重要な役割を担っています。
経済の用語

銀行の早期是正措置とは?

私たちが日々利用する銀行は、預金を受け入れ、それを企業への融資に回し、経済を活性化させるという重要な役割を担っています。もしも銀行が経営難に陥れば、私たちの生活にも大きな影響が及ぶことは想像に難くありません。 銀行が預金者の預金を預かりながらも、健全な経営を維持できるよう、国は様々な対策を講じています。その一つが、金融庁による「早期是正措置」と呼ばれる制度です。 金融庁は、銀行の経営状態を常に監視しており、財務状況が悪化し、預金者保護に影響が出ると判断した場合には、経営改善計画の策定や業務改善命令など、状況に応じた措置を講じます。これらの措置は、経営悪化の兆候を早期に捉え、銀行の経営責任を明確化することで、経営の立て直しを図り、預金者を保護することを目的としています。 銀行は、私たちにとって無くてはならない社会インフラの一つです。金融庁による監視と適切な措置によって、銀行は預金者の大切な資産を守りつつ、私たちの経済活動を支え続けています。