コンプライアンス

その他

顧客カード:顧客理解の第一歩

- 顧客カードとは 顧客カードとは、金融機関に所属する金融アドバイザーが、お客様一人ひとりの大切な情報を記録するための書類です。このカードには、お客様の氏名や住所といった基本的な情報だけでなく、過去の投資経験や現在の資産状況、そして将来の夢や目標といった、お客様の経済活動全体を深く理解するために必要な情報が記録されます。 顧客カードを作成し、お客様の状況をしっかりと把握することで、お客様一人ひとりのニーズに合った、最適な金融商品やサービスの提供が可能になります。例えば、将来のために大きな資金を準備したいと考えているお客様には、長期的な視点に立った資産運用プランを、短期的な利益を追求したいお客様には、リスクとリターンを考慮した投資信託など、お客様の状況に合わせた提案をすることができるのです。 顧客カードは、お客様との信頼関係を築き、長期的な視点に立った資産形成をサポートするために非常に重要なツールと言えるでしょう。
その他

協会員への「譴責」とは?

- 譴責とは何か譴責とは、特定の団体や組織に所属する人が、その組織の倫理や規則に違反した場合に科される懲戒処分の一つです。例えば、会社の従業員が会社の規則に違反した場合や、公務員が法令に違反した場合などに、譴責処分が下されることがあります。譴責は、一般的に口頭または文書によって行われます。口頭の場合は、上司や責任者から直接注意を受けます。文書の場合は、譴責状などが交付されます。いずれの場合も、違反行為の内容とともに、今後の改善を求める言葉が伝えられます。譴責は、戒告や訓告といった言葉と同じ意味で使われることもあります。これらの言葉は、いずれも相手に反省を促すことを目的としています。ただし、組織によっては、譴責を訓告よりも重い処分として位置付けている場合もあるため、注意が必要です。譴責は、除名や資格停止といった重い処分と比較すると軽い処分に分類されます。しかし、譴責処分を受けたという事実は、その人の社会的信用や評判に影響を与える可能性があります。場合によっては、昇進や昇給に影響が出る可能性も否定できません。そのため、譴責処分を受けることは、本人にとって決して軽いことではありません。
その他

約定照合:金融取引のセキュリティを守る重要なプロセス

- 約定照合とは 金融取引の世界では、売買の成立を「約定」と呼びます。この「約定」の内容に誤りがないかを、取引に関わった当事者間で入念に確認する作業を「約定照合」と言います。 具体的には、売買が行われた日付やお金の受け渡しが行われる日付、銘柄の種類や量、取引金額といった細かな項目の一つひとつを、売買に関わった当事者双方の記録と照らし合わせていきます。 この作業は、金融取引の正確性と透明性を確保する上で非常に重要です。もしも、この照合作業を怠ると、当事者間で食い違いが生じ、トラブルに発展する可能性があります。最悪の場合、不正や誤りを未然に防ぐことができず、大きな損失を招いてしまう可能性も孕んでいます。 そのため、金融機関では、この約定照合業務の担当者を置き、専門的な知識と経験に基づいて正確かつ迅速な処理に日々取り組んでいます。近年では、コンピューターシステムの進化により、自動化が進んでいる側面もありますが、最終的な確認は人の手によって行われるなど、重要な業務プロセスの一つとして位置付けられています。
株式投資

投資判断を左右する?法人関係情報とその重要性

- 法人関係情報とは株式投資を行う上で、企業の状況を把握することは非常に重要です。企業の業績や将来性を左右する情報は様々ありますが、その中でも「法人関係情報」は特に重要視されます。では、法人関係情報とは一体どのような情報なのでしょうか。法人関係情報とは、上場企業などの運営、業務、財産に関する重要な情報のことを指します。これらの情報は、一般に公開されておらず、投資家の判断に大きな影響を与える可能性を秘めています。例えば、企業が大規模な新規事業を計画していたり、画期的な新技術を開発していたりするといった情報は、その企業の将来性を大きく左右する可能性があります。もし、あなたがこれらの情報を入手できたとしたら、その企業の株に投資するかどうか、あるいは保有し続けるかどうかについて、より確実な判断を下せるはずです。一方、予期せぬ訴訟リスクや、主要取引先との契約解除といったネガティブな情報も、法人関係情報に含まれます。これらの情報は、企業に大きな損失をもたらし、株価の下落に繋がる可能性があります。このように、法人関係情報は企業の将来性を大きく左右する可能性を秘めた情報であるため、株式投資を行う際には、常に最新の情報に注意を払うことが重要です。
その他

顧客資産を守る分別管理義務とは

- 分別管理義務の定義 企業がお客さまから預かった大切なお金は、お客さまの大切な財産です。これを企業自身のお金と混ぜて管理してしまうと、万が一企業の経営が悪化した場合、預けたお金が返ってこなくなるかもしれません。 これを防ぐために、法律によって「分別管理義務」が定められています。 分別管理義務とは、企業がお客さまから預かった財産と、自社の財産を明確に区別して管理しなければならないという義務です。 銀行預金であれば、企業自身のお金が入った口座とは別に、お客さまのお金専用の口座を作り、それぞれ別々に管理する必要があります。証券会社であれば、顧客から預かった株式や債券を、自社のものと分けて保管しなければなりません。 このように分別管理を徹底することで、企業はお客さまの財産を確実に保護する責任を果たしています。
その他

金融機関の信頼の要!監査の役割とは?

私たちが日々利用する銀行や証券会社といった金融機関は、預金や資産を預け入れることができるだけでなく、企業への融資や個人の投資など、経済活動を支えるという重要な役割を担っています。しかし、その一方で、巨額の資金を扱うがゆえに、不正や経営破綻といったリスクと常に隣り合わせにあるという側面も持ち合わせています。 そこで、金融機関が健全に業務を運営し、私たち預金者や投資家の信頼を守り続けるために設けられているのが「監査」という制度です。金融機関に対する監査は、大きく分けて、金融庁など行政機関による「公的監査」と、民間監査法人による「私的監査」の二つに分類されます。「公的監査」は、金融機関が法律や規制を遵守しているか、また、健全な経営状態を維持しているかを監督する役割を担っています。検査官が定期的に金融機関を訪問し、業務内容や財務状況を詳細に調査することで、問題点があれば早期に発見し、是正を求めます。一方、「私的監査」は、主に会計監査と呼ばれるもので、金融機関の財務諸表が適正に作成されているかどうかを監査します。 このように、公的監査と私的監査はそれぞれ異なる役割を担っていますが、両者ともに、金融機関の健全性を維持し、金融システム全体の安定を図るという共通の目的を持っています。金融機関に対する監査は、私たちが安心して金融サービスを利用できる環境を支える、まさに「砦」と言えるでしょう。
先物取引

デリバティブ取引の勧誘: 事前の意思確認が必須

- デリバティブ取引と顧客保護デリバティブ取引は、株式や債券といった従来からある金融商品と比較して、複雑でリスクが高いという特徴があります。例えば、オプション取引では、将来のある時点で購入または売却する権利を売買しますが、相場が予想と反対に動いた場合、大きな損失を被る可能性があります。また、先物取引では、将来のある時点で一定の価格で売買することを約束しますが、価格変動が大きければ、多額の資金が必要になることもあります。そのため、金融機関は、顧客に対してデリバティブ取引のリスクや仕組みについて、専門用語を避けた分かりやすい説明を心がけなければなりません。顧客がその商品の仕組みやリスクを十分に理解しないまま取引を行うことは、大きな損失につながりかねないからです。顧客の投資経験や知識、投資目的などを考慮し、本当にその顧客に適した商品やサービスなのかを見極める必要があります。顧客保護の観点から、デリバティブ取引の勧誘においては、顧客がその勧誘を受ける意思があるかどうかを事前に確認することが法律で義務付けられています。これは、顧客が興味のない、あるいは理解できない金融商品を無理強いされることを防ぐためです。金融機関は、顧客に対して適切な情報を提供し、顧客が自ら判断し、納得した上で取引を行うことができるよう努めることが重要です。
株式投資

チャイニーズウォール:情報隔壁の重要性

現代社会において、企業は日々の業務を通じて、多岐にわたる情報を扱っています。これらの情報の中には、顧客情報や売上データといった、企業活動の基盤となるものだけでなく、新商品開発計画や経営戦略など、企業の将来を左右する極めて重要な情報も含まれます。 特に、公開前の財務情報や、新規事業に関する戦略などは、外部に漏洩した場合、企業の信用や競争力に深刻な影響を及ぼす可能性があります。そのため、企業はこれらの機密情報を適切に管理し、不正なアクセスや情報の漏洩から守る必要があります。 具体的には、アクセス権限の設定による情報へのアクセス制限や、情報の種類に応じた保管方法の徹底など、様々な対策を講じる必要があります。また、従業員に対して、情報管理の重要性についての教育を継続的に実施することで、情報漏洩に対する意識向上を図ることも重要です。 企業が競争優位性を保ち、持続的な成長を遂げるためには、適切な情報管理体制の構築が不可欠と言えるでしょう。
その他

ビジネスの安全確保:セーフハーバーとは?

昨今、企業を取り巻く環境は複雑さを増し、関連する法令も多岐にわたるため、そのすべてを理解し遵守することは容易ではありません。 このような状況下で注目されているのが「セーフハーバー」という概念です。セーフハーバーは、企業活動におけるいわば「安全地帯」と例えられます。 具体的には、あらかじめ定められた一定の条件を満たすことで、たとえ結果として一部の法令に抵触する行為があったとしても、法令違反を問われないことが保証されます。これは、企業が安心して事業活動に専念できる環境を整備する上で非常に重要な役割を果たします。 セーフハーバーを活用することで、企業は法令違反のリスクを最小限に抑えながら、新たな事業展開やイノベーションに挑戦することができます。その結果、企業は競争力を高め、成長を促進することが可能となります。 このように、セーフハーバーは、複雑化するビジネス環境において、企業が持続的な成長を実現するための重要な鍵と言えるでしょう。
その他

不当利得と金融機関の処分

金融機関で働く私たちにとって、法令を守って業務を行うことは当然の義務です。しかしながら、故意ではなくても、あるいは組織的な問題が原因で、金融機関が法令違反をしてしまうケースも起こりえます。このような場合、金融庁は、違反の程度に応じて、業務の改善を命じる業務改善命令や、業務の一部または全部を一定期間停止させる業務停止命令などの処分を金融機関に下します。 それと同時に、違反行為によって金融機関が得てしまった利益を取り戻すための措置も行われます。 この、本来得るべきではなかった利益のことを「不当利得」と呼び、その金額を「不当利得相当額」と言います。 不当利得相当額は、金融庁が算定し、金融機関に対してその返還を命じます。 金融機関は、この不当利得相当額を返還することで、違反行為によって得られた利益を社会に還元することになります。これは、法令遵守の重要性を改めて認識し、金融機関としての信頼回復を図るための重要なプロセスと言えるでしょう。
その他

金融機関の信頼を揺るがす「不都合行為者」とは?

- 金融業界における不都合行為者とは?金融業界は、人々の大切な資産を預かり運用したり、企業の資金調達を支援したりと、私たちの経済活動の基盤を支える重要な役割を担っています。そのため、顧客や社会全体からの信頼が何よりも大切になります。この信頼を維持するために、金融業界では、働く人一人ひとりに高い倫理観と法令遵守の精神が求められています。しかし、残念ながら、金融機関の信用を著しく傷つけるような重大な行為をしてしまう従業員も存在します。こうした従業員は、「不都合行為者」と呼ばれ、金融機関から厳しい処分を受けることになります。具体的には、顧客のお金を無断で使い込んだり、不正な取引を行って利益を得たりする行為などが挙げられます。また、金融機関の内部情報を利用してインサイダー取引を行ったり、顧客情報を不正に持ち出したりする行為なども、不都合行為に該当します。金融機関は、不都合行為者を発見した場合、懲戒解雇などの厳しい処分を下すと同時に、警察への告発を行うこともあります。また、金融庁などの監督官庁に報告し、業務改善命令などの行政処分を受ける場合もあります。金融業界で働く者は、高い倫理観と責任感を持って業務に取り組むことが求められています。顧客や社会全体の信頼を裏切るような行為は、決して許されるものではありません。
その他

投資の勧誘: 知っておきたい「不招請勧誘」

投資は、将来のために資産を増やそうと考える多くの人にとって、魅力的な選択肢の一つと言えるでしょう。しかし、投資の世界は専門用語や複雑な仕組みが多く、初めての方には理解しにくい側面も少なくありません。特に、金融商品や投資サービスの勧誘を受ける際には、その内容をしっかりと理解しないまま契約してしまうリスクも潜んでいます。近年、金融庁が特に注意喚起を行っているのが「不招請勧誘」です。これは、消費者が望んでいないにも関わらず、電話や訪問などを通じて一方的に投資の勧誘を行う行為を指します。悪質なケースでは、投資経験の浅い方を狙い、リスクの高い商品を強引に契約させようとする場合もあるため、注意が必要です。不招請勧誘の被害に遭わないためには、まず、相手がどのような立場の人間なのか、どのような商品やサービスの勧誘をしているのかを冷静に見極めることが重要です。少しでも不審な点を感じたら、その場で契約するのではなく、一度持ち帰って家族や専門家に相談するなど、慎重に判断するようにしましょう。また、金融庁や国民生活センターなどの相談窓口も積極的に活用し、不安や疑問を解消することが大切です。
その他

証券業協会員にとって重い処分「除名」とは

日本の証券市場において、投資家の信頼を守り、公正な取引を確保するために、証券会社は重要な役割を担っています。証券会社は、日本証券業協会という自主規制機関に加入し、その規則に従うことが義務付けられています。 証券業協会は、会員である証券会社に対して、法令遵守や顧客本位の業務運営を徹底するよう指導・監督を行っています。これは、投資家にとって安全な市場環境を維持するために非常に重要です。 しかし、証券会社が法令や協会の規則に違反した場合、証券業協会は、その違反行為の内容や程度に応じて、厳正な処分を下します。処分には、業務改善命令や課徴金納付命令、会員資格の停止、さらには会員資格の剥奪といったものがあります。 これらの処分は、違反行為を抑制し、再発を防止するだけでなく、他の証券会社に対しても、法令遵守と顧客本位の業務運営の重要性を改めて認識させる効果があります。証券業協会は、今後も、市場の健全性と投資家保護のために、厳正な処分を含む適切な対応を行っていきます。
その他

金融機関におけるコンプライアンスの重要性

- コンプライアンスとは企業が社会の一員として責任ある行動をとるために、法律や規則、倫理的な基準に従って行動することを「コンプライアンス」と言います。これは、単にルールを守るということではなく、企業倫理や社会規範も踏まえた上で、適切な行動をとることを意味します。特に、金融機関は預金や融資など、人々のお金や生活に深く関わる重要な役割を担っています。そのため、金融機関に対しては、顧客の大切な資産を守り、社会全体の信頼を維持するために、より一層厳しいコンプライアンスが求められます。具体的には、金融商品取引法や銀行法などの法律、金融庁の監督指針などの規則、そして顧客との約束や社会規範といった倫理的な基準を遵守することが求められます。金融機関がコンプライアンスを徹底することで、顧客からの信頼を高め、安心して金融サービスを利用してもらうことができます。また、不正や事故を未然に防ぐことで、健全な金融システムを維持することにも繋がります。金融機関にとって、コンプライアンスは事業を継続していく上で必要不可欠な要素と言えるでしょう。
その他

顧客本位の証券投資?過当勧誘にご用心!

- 過剰な投資勧誘にご注意を! 証券会社から投資を勧められる場面、皆さんはどのような点に注意すべきでしょうか?大切な資産を運用するのですから、自分の利益だけを追求した業者の言葉に安易に乗せられてはいけません。証券会社には、お客様に対して「過当な勧誘」をしてはいけないという規則が定められています。では、過当勧誘とは一体どのような行為を指すのでしょうか? 過当勧誘とは、お客様の投資経験や資産状況などを考慮せず、過度にリスクの高い取引を勧める行為を指します。例えば、お客様の投資資金が100万円しかないにも関わらず、1000万円の投資信託を勧める、リスクの高い先物取引やオプション取引を無理強いするといった行為は、過当勧誘にあたる可能性があります。 証券会社から投資を勧められた際には、その投資商品の内容やリスクを十分に理解し、自分の資産状況や投資目標に合致しているかどうかを冷静に判断することが重要です。もし、少しでも不安な点があれば、契約を急がずに、家族や専門家に相談するなどして、慎重に判断するようにしましょう。
その他

エンフォースメントとは?

エンフォースメントとは、法律や規則、契約などがきちんと守られるようにすることを意味します。社会の中で人々が安心して生活し、互いの権利を守りながら共存していくためには、皆がルールに従って行動することが非常に重要です。 エンフォースメントは、ルールを破った者に対して罰則などを与えることで、ルールを守らなかった場合のデメリットを示し、結果としてルール遵守を促すことを目的としています。この仕組みは、私たちの身の回りにある様々な場面で機能しています。例えば、信号無視やスピード違反などの交通違反に対して警察が取り締まりを行うのもエンフォースメントの一種です。また、企業が環境汚染物質の排出基準を超えた場合に、行政機関が罰金を科したり操業停止を命じたりすることもエンフォースメントに該当します。 エンフォースメントは、ルールを守らなかった場合の抑止力となり、社会全体の秩序を維持する役割を担っていると言えるでしょう。
その他

証券会社の安心を守る!内部管理責任者の役割とは?

- 証券会社における内部管理責任者とは?証券会社は、私たちが大切に築き上げた資産を運用し、経済全体を活気づかせるという重要な役割を担っています。それと同時に、お客様からお預かりした大切な資金を扱うことから、常に高い倫理観と法令遵守の意識が求められます。そんな証券会社において、お客様の大切な資産を守り、会社が健全に運営していくために重要な役割を担うのが「内部管理責任者」です。内部管理責任者は、証券会社における営業活動や日々の業務運営が、法令や社内ルールに従って適切に行われているかを監視する、いわば「会社の良心」とも言える重要な存在です。具体的には、内部管理責任者は、顧客情報の適切な管理や、インサイダー取引などの不正行為の防止、リスク管理体制の構築など、多岐にわたる業務を行います。また、もし法令違反や不正行為などの問題が発生した場合には、原因を究明し、再発防止策を策定するなど、問題解決に向けてリーダーシップを発揮することも求められます。内部管理責任者は、証券会社が社会的な責任を果たし、お客様からの信頼を確保するために、必要不可欠な存在と言えるでしょう。
その他

他人名義の取引にご注意を! 仮名取引のリスクと対策

- 仮名取引とは証券会社に口座を開設する際、利用者は必ず自分の名義を使用しなければなりません。これは、金融商品取引法という法律で定められている大切なルールです。しかし、中にはこのルールを破って、他人の名義を使って証券口座を開設し、取引を行う人がいます。このような行為を「仮名取引」と言います。例えば、Aさんが友人であるBさんの名義を借りて証券口座を開設し、Aさんが自分の判断で株や投資信託などを売買する行為が、仮名取引にあたります。Bさんは、ただ名義を貸しているだけで、実際の取引には関わっていない場合も考えられます。仮名取引は、主に税金対策や金融機関からの借入制限を回避する目的で行われることが多いと考えられています。しかし、仮名取引は法律や証券会社のルールに違反する行為であり、発覚した場合には厳しい罰則が科せられる可能性があります。また、名義を貸した人も、意図せず犯罪に加担してしまう可能性や、金融機関とのトラブルに巻き込まれる可能性もあるため注意が必要です。仮名取引は、一見すると自分自身には関係ないように思えるかもしれません。しかし、知らず知らずのうちに加担してしまう可能性もあるため、そのリスクや違法性について正しく理解しておくことが重要です。
その他

証券業界の採用活動と採用照会

- 採用照会とは 金融業界、特に証券会社や投資銀行といった企業は、顧客から預かった大切な資産を運用したり、企業の資金調達を支援したりと、高い倫理観と責任感が求められる業務を担っています。 そのため、新規に従業員を採用する際には、過去に金融商品取引法違反などの法令違反や不正行為に関わっていないか、また、顧客とのトラブルなどを起こしていないかといった点を事前に確認する必要があります。 そこで、金融機関は採用活動を円滑に進め、かつ、業界全体の健全性を保つために、日本証券業協会という組織を通じて、採用候補者の経歴や規制上の問題について確認を行います。これが「採用照会」と呼ばれる制度です。 具体的には、採用候補者が過去に金融業界で働いていた場合、以前の勤務先に対して、在職期間や職務内容、退職理由などを照会します。 この採用照会によって、金融機関は、採用候補者が顧客の信頼を損なうような人物ではないか、金融機関の従業員としてふさわしい人物かどうかを判断する材料を得ることができます。 このように、採用照会は、金融業界の高い倫理観と顧客保護の観点から、非常に重要な役割を担っていると言えます。
その他

顧客本位の証券投資:最良執行義務とは?

- 証券会社に課せられた重要な義務 証券会社で株式や債券などの金融商品を取引する際、投資家であるあなたは、自分の利益が最大限に守られることを望みますよね。実は、証券会社には、顧客であるあなたの注文を扱う際に、あなたの利益にとって最も有利な条件で売買を行うことが法律で義務付けられています。これを「最良執行義務」といいます。 具体的には、証券会社は、あなたの注文内容に基づき、価格や手数料、取引のスピードなどを総合的に判断し、最も有利な取引所を選んで注文を実行しなければなりません。例えば、A証券会社とB証券会社で、あなたが買いたいと思っている株式が異なる価格で売られていたとします。この場合、証券会社は、より安い価格で売られているB証券会社にあなたの注文を出す義務があります。 最良執行義務は、証券会社と顧客の間の信頼関係を築く上で非常に重要なものです。顧客の利益を第一に考え、常に最良の執行を追求することが、証券会社には求められているのです。投資をする際には、この「最良執行義務」をしっかりと理解しておくことが大切です。
その他

もういいと言ったらダメ?金融商品の再勧誘

- 金融商品と勧誘 家や車を購入する際には、現物を見たり触れたりして、機能や価格を比較検討できます。しかし、金融商品は形のない、いわば「目に見えない商品」です。そのため、その仕組みやリスクを正しく理解することが容易ではありません。 銀行や証券会社などの金融機関では、お客様の資産運用や資産形成を支援するために、投資信託、保険、デリバティブ取引など、様々な金融商品を取り扱っています。そして、お客様のニーズや状況に合わせて、これらの商品を提案することがあります。これが「勧誘」です。 金融機関の担当者による勧誘は、お客様にとって、自身に合った金融商品を選び、資産運用を始める貴重な機会となります。しかし、勧められるままに契約してしまうと、リスクや複雑な条件を十分に理解しないまま、自分にとって最適ではない商品を選んでしまう可能性も潜んでいます。 金融商品を選ぶ際には、その商品の仕組み、メリットだけでなくリスク、手数料などのコストをしっかりと理解することが重要です。また、複数の商品を比較検討し、疑問点があれば、納得いくまで担当者に質問することが大切です。
経済の用語

金融の「防火壁」、ファイア・ウォールとは?

多くの人が「ファイア・ウォール」と聞いて思い浮かべるのは、コンピュータウイルスや不正アクセスを防ぐためのセキュリティ対策でしょう。しかし、金融の世界で使われる「ファイア・ウォール」は、少し異なる意味を持っています。それは、目に見えない「壁」として金融機関の中に存在し、顧客と金融機関、あるいは金融機関内の部署間における情報伝達を制限する役割を担っています。 金融におけるファイア・ウォールは、主に、顧客情報や取引情報など、重要な情報の不正利用や漏洩を防ぐことを目的としています。例えば、証券会社の場合、顧客の資産運用を行う部署と、企業の合併や買収といった情報を扱う部署との間には、ファイア・ウォールが設けられます。これは、企業情報に基づいて顧客の資産運用が行われることを防ぎ、インサイダー取引を防止するためです。 金融機関は、顧客から預かった大切な資産を扱うだけでなく、企業に関する重要な情報も扱っています。そのため、金融におけるファイア・ウォールは、顧客と金融機関双方にとって、その信頼を維持するために非常に重要な役割を担っていると言えるでしょう。
その他

顧客ファースト?利益相反にご用心

- 利益相反とは金融の世界でよく耳にする「利益相反」。これは、金融機関やその従業員が、顧客よりも自社の利益を優先してしまい、顧客に不利な結果をもたらす可能性がある状況を指します。金融商品は複雑で、専門知識がないと理解が難しいものが多くあります。そのため、顧客は金融のプロである金融機関や従業員を信頼して相談します。しかし、その信頼を裏切るような行為が利益相反にあたります。例えば、顧客にとって最適な金融商品ではなく、販売手数料の高い金融商品を勧めるといった行為が挙げられます。金融機関や従業員は、より多くの手数料を得るために、顧客にとって不利な商品を意図的に勧める可能性があります。また、金融機関自身の経営状態が悪化している場合、顧客の利益よりも自社の経営を安定させることを優先して行動する可能性があります。利益相反は、顧客と金融機関との間に情報の非対称性が存在するために起こりやすいという問題点があります。顧客は金融機関や従業員と比べて金融に関する知識や情報が不足しているため、不利な立場に立たされやすいのです。利益相反を防ぐためには、金融機関は顧客に対して適切な情報開示を行うとともに、顧客本位の業務運営を徹底する必要があります。顧客も、複数の金融機関を比較検討するなど、自らを守るための行動をとることが重要です。