企業年金

その他

企業年金における「給付改善準備金」とは

- 給付改善準備金の目的 会社員や公務員が老後の生活資金を受け取ることができる年金制度。 この年金制度のひとつに、会社が独自に運営する企業年金制度があります。 企業年金制度には、厚生年金基金という制度があり、この制度には従業員の年金給付を将来改善できるようにするための資金を積み立てておくことが義務付けられています。 これが「給付改善準備金」です。 将来、物価や賃金が上昇した場合、あるいは従業員の生活水準が向上した場合、それに見合った年金額を支給できるように、企業はこの準備金を積み立てておく必要があります。 給付改善準備金は、将来の年金給付の改善という重要な役割を担っています。 具体的には、 * 年金額の増額 * 支給開始年齢の引き下げ * 遺族年金の充実 などに活用されます。 企業は、従業員が安心して老後を迎えられるよう、計画的に給付改善準備金を積み立てていくことが重要です。
その他

企業年金の種類と特徴:規約型確定給付企業年金とは

人生100年時代と言われるようになり、老後の生活設計はますます重要になっています。公的年金だけに頼るのではなく、自分自身で老後資金を準備するという意識を持つ必要があります。企業年金は、会社が従業員のために実施する年金制度であり、公的年金に上乗せして給付を受けられるため、より豊かな老後を送るための支えとなります。 企業年金には、大きく分けて「確定給付企業年金」と「確定拠出年金」の二つがあります。確定給付企業年金は、将来受け取れる年金額があらかじめ決まっている制度です。その中でも、今回は「規約型確定給付企業年金」に焦点を当てて解説します。この制度は、企業が独自に年金規約を定め、従業員の加入や給付の条件などを決めるものです。将来受け取れる年金額が確定しているため、老後の生活設計が立てやすいというメリットがあります。 企業年金制度は、加入する企業や制度によって内容が異なります。 ご自身の加入している企業年金制度について、しっかりと理解しておくことが大切です。
その他

従業員のための追加保障:補足掛金とは?

私たちが安心して老後を迎え、ゆとりある生活を送るためには、年金制度は欠かせません。年金制度は、現在働いて収入を得ている世代が毎月掛金を支払い、その積み立てられたお金が、将来、私たちが年を重ねて仕事ができなくなった時に、生活の支えとなる年金として給付されるという仕組みです。 この年金制度には、大きく分けて二種類の掛金が存在します。一つは、国民全員が加入する「国民年金」と、会社員や公務員などが加入する「厚生年金」といった公的年金制度で共通して支払う「標準掛金」です。これは、いわば年金制度の基本となる掛金で、金額は法律で定められています。 もう一つは、「補足掛金」と呼ばれるものです。これは、標準掛金に加えて、将来受け取る年金額を増やしたい場合に、任意で追加して支払うことができる掛金です。老後の生活設計や収入に応じて、より多くの年金を受け取れるように準備しておくことができます。
指標

企業年金における「成熟度」とは?

- 企業年金の成熟度 企業年金は、従業員が定年退職を迎えた後も、安心して生活を送れるよう経済的に支えるための重要な制度です。しかし、企業年金制度の設計や運営方法は、企業の規模や業種、設立時期などによって大きく異なるため、一概に比較することはできません。 そこで、企業年金制度の状態を客観的に評価する指標の一つとして「成熟度」という考え方があります。これは、企業年金制度が、実際に年金を支払う段階にどの程度近づいているのかを測るものです。 成熟度が高い場合は、多くの従業員が既に退職し、年金を受け取っている段階にあることを示します。反対に、成熟度が低い場合は、これから退職する従業員が多く、まだ年金を支払う段階には至っていないことを意味します。 成熟度は、企業年金制度の健全性を測る上で重要な指標となります。成熟度が低い場合は、将来の年金支払いに備え、計画的に資産運用を行うなど、長期的な視点に立った運営が求められます。一方、成熟度が高い場合は、年金資産の運用収益が低下したり、受給者の増加によって年金財政が圧迫される可能性もあるため、注意が必要です。
その他

企業年金における「別途積立金」を理解する

- 別途積立金とは 企業年金制度において、将来の年金給付の支払いを確実にするために積み立てられる資金のことを年金積立金と言います。この年金積立金には、毎年の事業年度における収支に基づいて積み立てられるものと、過去の事業年度における収支の累積結果として生じるものがあります。 別途積立金とは、後者の、過去の事業年度における収支の累積結果として生じる積立金のことを指します。具体的には、企業年金の運用が順調に進み、年金資産が年金債務を上回っている状態が続いた結果、積み上がった余裕資金のことを言います。 過去の事業年度において、年金資産が年金債務を上回った場合、その差額は剰余金として処理されます。この剰余金は、将来の年金給付の支払いに備えて積み立てられますが、これが別途積立金となります。 別途積立金は、企業年金の財政状況を示す重要な指標の一つです。別途積立金の額が大きいほど、企業年金の財政基盤は安定していると言えるでしょう。 一方、過去の事業年度において、年金資産が年金債務を下回った場合には、その差額は不足金として処理されます。この不足金は、将来の事業年度において補填する必要があります。
その他

知っておきたい基本年金のこと

- 基本年金とは基本年金とは、かつて多くの企業が導入していた「厚生年金基金」という制度に加入していた方が、条件を満たした場合に受け取れる年金制度です。この制度は、老後の生活を支えるための公的年金である老齢厚生年金に上乗せして支給されます。かつて、企業は従業員の老後の生活をより充実させるために、独自に年金制度を設けることがありました。それが「厚生年金基金」です。しかし、経済状況の変化や企業の事業規模縮小などにより、厚生年金基金を維持することが難しくなった企業も出てきました。そこで、厚生年金基金の資産や運営を引き継ぐ形で設立されたのが、企業年金連合会です。基本年金は、この企業年金連合会が運営しています。受け取るためには、過去に厚生年金基金に加入していた期間や、加入していた当時の給与額など、一定の条件を満たしている必要があります。支給開始年齢は、原則として老齢厚生年金と同じです。もし、過去に厚生年金基金に加入していた経験があり、基本年金について詳しく知りたい場合は、企業年金連合会に問い合わせてみましょう。
その他

企業年金と資産運用の安定化:平滑化期間の役割

従業員の老後の生活を支えるという重要な役割を担う企業年金。将来にわたって安定的に年金を給付していくためには、年金基金の運用が健全に行われているかが問われます。その健全性を示す指標となるのが資産評価です。 企業年金基金は、株式や債券などの金融商品で構成されるポートフォリオを保有し、長期的な視点に立って運用を行っています。資産評価とは、これらの保有資産の時価を適切に評価することです。市場環境は常に変化しており、保有資産の価値も変動するため、定期的に評価を行い、時価と乖離がないかを確認することが重要となります。 資産評価は、単に現状を把握するだけでなく、将来の年金給付の安定性にも関わってきます。もし、資産が過大評価されていれば、実際の運用状況よりも年金財政が良好に見え、必要以上の給付を行ってしまう可能性があります。逆に過小評価されている場合には、将来の給付に備えて過剰な掛金負担が生じてしまうかもしれません。 このように、資産評価は、企業年金の健全性を示す重要な指標となるだけでなく、従業員が将来受け取る年金額や企業側の掛金負担にも影響を与えるため、慎重かつ適切に行われる必要があります。
その他

将来設計の強い味方! 基金型確定給付企業年金とは?

老後の生活資金を準備することは、人生100年時代と言われる現代において、会社員にとって非常に重要な課題です。公的年金制度に加えて、会社が提供する企業年金制度を活用することで、より安定した収入源を確保し、安心して老後を迎えられます。 企業年金には、大きく分けて確定給付企業年金と確定拠出年金の二つがあります。今回は、そのうちの一つである確定給付企業年金について詳しく解説して行きます。 確定給付企業年金とは、あらかじめ給付額が決まっているタイプの企業年金です。将来受け取れる年金額が、在職中の給与や勤続年数によって計算されるため、老後の収入を予測しやすく、計画的に生活設計を立てられるというメリットがあります。 毎月の掛金は、会社と従業員がそれぞれ負担するのが一般的です。確定給付企業年金は、会社が年金の運用を行うため、運用リスクを従業員が負う必要はありません。また、会社が倒産した場合でも、一定の条件を満たせば、加入している年金基金から年金を受け取ることができます。 確定給付企業年金は、老後の生活設計を立てやすく、安心して老後を過ごしたいと考える方にとって、非常に心強い制度と言えるでしょう。
その他

企業年金基金:老後の安心を支える仕組み

企業年金基金とは、会社で働く人々が老後の生活に備えられるよう、会社が年金を準備するための仕組みです。企業年金にはいくつか種類がありますが、その中でも「確定給付企業年金」を実施する際に、企業年金基金は重要な役割を担います。 確定給付企業年金とは、従業員が退職後に受け取れる年金額があらかじめ決まっている年金制度です。将来受け取れる金額が確定しているため、従業員は安心して老後の生活設計を立てることができます。 企業年金基金は、この確定給付企業年金を実施するために、会社が従業員に代わって年金資産の管理・運用を行います。具体的には、会社から納められた掛金や運用で得られた収益を、株や債券などに投資し、長期的に増やすことを目指します。そして、従業員が退職を迎えた時に、積み立てられた資産をもとに年金を支給します。 企業年金基金は、会社とは別の独立した組織として、厚生労働大臣の認可を受けて設立されます。これは、会社の経営状況に左右されずに、年金の支払いを確実に行うためです。このように、企業年金基金は、従業員の老後の生活保障に大きく貢献しています。
その他

企業年金のススメ:老後資金準備の心強い味方

- 企業年金とは? 企業年金とは、会社が従業員の老後の生活を支えるために積み立てを行い、従業員が退職後に給付を受けられる制度のことです。 老後の生活資金は、国民年金や厚生年金といった公的年金だけでは、十分とは言えないケースも少なくありません。そこで、公的年金を補完し、より安心して老後を過ごせるようにするための制度として、企業年金は重要な役割を担っています。 企業年金は、公的年金に上乗せして受け取ることができるため、より安定した老後を迎えるための準備として有効な手段と言えるでしょう。 例えるならば、公的年金で生活の基盤を築き、企業年金によってより豊かな生活を目指す、そんなイメージを持つことができます。
その他

複数事業主制度と退職給付会計

- 複数事業主制度とは 複数の会社が力を合わせて、従業員の老後のために一緒に年金制度を運営する仕組みのことです。これは、それぞれの会社がバラバラに年金制度を作るよりも、より多くの従業員を対象にできるため、運営コストを抑えたり、専門的な知識を持つ人材を雇いやすくなるなどのメリットがあります。 具体的には、いくつかの会社が集まって作る「連合設立型」や「総合設立型」といったタイプの厚生年金基金がこの制度に該当します。また、複数の会社が共同で確定給付型の企業年金を導入する場合も、この制度を活用できます。 従業員にとっては、転職をしても年金制度を引き継げる可能性が高まるという利点があります。これは、同じ複数事業主制度に加入している会社間であれば、転職時に年金制度の手続きがスムーズに行えるためです。 このように、複数事業主制度は、企業にとっても従業員にとってもメリットの大きい制度と言えるでしょう。
その他

眠る資産を活性化:セキュリティーズ・レンディングのススメ

近年、企業年金の世界において、加入者へ将来安定した年金を給付するため、長期的な視点に立った資産形成がますます重要となっています。しかしながら、長引く低金利環境下では、従来の運用方法だけでは、思うように収益を確保することが難しくなってきています。 そこで、新たな収益源として注目を集めているのが「セキュリティーズ・レンディング」という手法です。これは、年金基金が保有する株式や債券を、証券会社など他の金融機関に一定期間貸し出すことで、その対価として貸出料を得る仕組みです。 従来の運用方法では、保有している株式や債券の価格上昇や配当収入などを期待するしかありませんでしたが、セキュリティーズ・レンディングを活用することで、保有資産を有効活用し、新たな収益機会を生み出すことが可能となります。 このように、低金利環境下においても、年金資産を着実に成長させる有効な手段として、セキュリティーズ・レンディングは、年金運用の新たな選択肢として、今後ますますその重要性を増していくと考えられます。
その他

企業年金と掛金の休日

- 従業員のための年金制度企業が従業員の退職後の生活を支えるために設けているのが年金制度です。従業員と企業が協力して年金のための資金を積み立て、老後の生活資金として従業員に給付します。これは、従業員が安心して老後を迎えられるようにするための重要な役割を担っています。 年金制度には、大きく分けて二つの種類があります。一つは確定給付型と呼ばれる制度です。この制度では、従業員が退職するまでにどれだけの期間、会社で働いたかによって、受け取ることができる年金額が確定しています。将来受け取れる金額があらかじめ決まっているため、計画的に老後の生活設計を立てることができます。もう一つは確定拠出型と呼ばれる制度です。こちらは、従業員自身が毎月一定の金額を積み立て、それを運用することで年金を準備していく制度です。運用成績によって将来受け取れる年金額が変わってくるため、積極的に資産運用に取り組む姿勢が求められます。 企業は、その会社の規模や事業内容、そして従業員のニーズなどを考慮しながら、どちらの制度を採用するか、あるいは両方の制度を組み合わせるかを決定します。従業員にとっても、それぞれの制度の特徴を理解した上で、自分に合った制度を選択することが大切です。
経済の用語

企業年金と掛金の基礎知識

- 将来に備える企業年金 企業年金は、会社員や公務員が老後の生活資金を準備するための重要な制度です。公的年金制度だけでは将来の生活に不安を感じる方も少なくありません。 企業年金は、公的年金を補う形で、より充実したセカンドライフを送るための支えとして、多くの企業で導入されています。 企業年金には、大きく分けて「確定給付型企業年金」と「確定拠出型企業年金(401k)」の二つがあります。 確定給付型企業年金は、あらかじめ給付額が決まっているタイプです。 毎月の給与から一定額が天引きされますが、会社側が運用するため、将来受け取れる金額が確定している安心感があります。 一方、確定拠出型企業年金(401k)は、従業員自身が毎月一定額を積み立て、自分の責任で運用していくタイプです。 こちらは、運用成績によって将来受け取れる金額が変動しますが、運用方法を自分で決められる点が魅力です。 どちらのタイプが自分に合っているのか、加入前にしっかり検討することが大切です。 企業年金は、将来への不安を軽減しより安心して働き続けるためにも重要な制度です。 ぜひこの機会に、企業年金について理解を深め、将来設計に役立てていきましょう。
その他

事業承継と年金資産: 超過金の行方とは?

- 事業承継時の年金資産の移転 会社が合併や事業譲渡などにより、別の会社に事業を引き継ぐ事業承継が行われる場合、従業員の雇用と共に、年金制度も適切に移転する必要があります。 特に、厚生年金基金や確定給付企業年金に加入している企業では、移転手続きが複雑になるため注意が必要です。これらの制度では、会社が従業員に将来支払うべき年金である年金資産と、その年金額の現在価値である数理債務を管理しています。 事業承継の際には、この年金資産と数理債務のバランスを考慮する必要があります。もし、数理債務が年金資産を上回る場合、不足分を会社が負担しなければなりません。 事業承継の方法には、合併や事業譲渡、株式譲渡など、様々な方法があります。それぞれの方法によって、年金資産や数理債務の移転方法が異なるため、専門家である年金数理士や社会保険労務士に相談し、自社の状況に最適な方法を選択することが重要です。
その他

企業年金の安定運用を実現するシミュレーション型ALM

従業員とその家族にとって、老後の生活を支える大切な役割を担っているのが企業年金制度です。しかし近年、超低金利環境や少子高齢化が進んでいることから、年金基金の運用が厳しい状況に置かれています。これは、これまで通りの運用を続けていくと、将来、年金の給付水準を維持することや、加入者の掛金を抑制することが難しくなるということを意味します。年金基金の財政を健全な状態に保ち、加入者に対して長期にわたって安定的に年金を給付していくためには、将来起こりうるリスクを正しく把握し、そのリスクに応じた運用を行っていくことが必要不可欠です。 具体的には、従来型の国内債券中心の運用を見直し、株式や海外資産、不動産など、よりリスクの高い資産への投資比率を高めることで、高い収益を目指していく必要があります。また、短期的な収益のみにとらわれず、長期的な視点に立った運用を行うことも重要です。さらに、人口動態の変化や経済状況の変化など、年金運用を取り巻く環境は常に変化していくため、常に最新の情報を入手し、状況に合わせて柔軟に運用戦略を見直していく必要があります。年金運用は、従業員とその家族の将来を守るための重要な課題であり、企業は適切な対策を講じていく必要があります。
その他

将来設計の要!確定給付企業年金とは?

老後の生活に不安を抱く人は少なくありません。そんな不安を和らげ、安心して老後を迎えられるように、様々な制度が用意されています。その一つが、確定給付企業年金です。 確定給付企業年金とは、会社が従業員一人ひとりの老後のために、将来受け取れる年金額をあらかじめ決めて積み立てておく制度です。毎月受け取る年金額が決まっているため、老後の生活設計が立てやすいというメリットがあります。毎月の給付額は、勤続年数や給与額などによって計算されます。会社が従業員に将来支払う年金を約束し、その資金を準備してくれるので、安心して老後の生活設計を始めることができます。 将来受け取れる金額が確定しているため、計画的に老後の生活資金を準備したいという方に最適な制度と言えるでしょう。一方で、転職した場合には、それまで積み立ててきた年金がどうなるのか、事前に確認しておくことが大切です。
その他

企業年金における「助言」の役割と注意点

従業員の老後の生活を支える大切な役割を担う企業年金。その安定運用には、長期的な視点に立って、預かったお金を着実に増やしていくことが重要です。しかし、年金基金の運用担当者にとって、目まぐるしく変わる市場の状況や複雑な金融商品について、常に専門的な知識や経験を持つことは簡単ではありません。 そこで近年、注目を集めているのが、外部の専門家から「助言」を受けるという方法です。 助言を行う専門家は、豊富な知識と経験に基づいて、年金基金の運用目標やリスク許容度などを考慮し、最適な運用方針や具体的な投資戦略を提案します。 具体的には、国内外の株式や債券への投資配分や、不動産、インフラストラクチャーといったオルタナティブ投資の活用など、多岐にわたる提案を行います。 外部の専門家の助言を受けることは、年金基金にとって、専門的な知識やノウハウを補完できるだけでなく、客観的な視点を取り入れることで、より適切な運用判断を行うことにも繋がります。
投資信託

企業年金の運用戦略における「シェア」の重要性

- 「シェア」とは会社で働く人にとって、将来受け取れる年金は大切な関心事です。企業年金の世界では「シェア」という言葉が頻繁に登場しますが、これは一体何を意味するのでしょうか?実は「シェア」には、大きく分けて二つの意味合いがあります。一つ目は「掛金シェア」です。これは、毎月従業員と会社から積み立てられる掛金を、どのように各運用機関に配分するかを決めるものです。例えば、A社とB社という二つの運用機関があるとします。この場合、掛金をA社に70%、B社に30%の割合で預けるといった具合に、それぞれの機関に振り分ける割合を決めるのが「掛金シェア」です。もう一つは「給付シェア」です。こちらは、将来、年金として給付を行う際に、それぞれの運用機関がどの程度の割合を負担するかを示すものです。仮に、A社に預けたお金が順調に運用されて価値が増加し、逆にB社に預けたお金は運用がうまくいかずに価値が減少したとします。この時、年金給付の際にA社の運用結果に70%、B社の運用結果に30%の割合で比重を置くのが「給付シェア」です。これらのシェアは、企業年金の運用成績を左右する重要な要素となります。なぜなら、どの運用機関にどれだけの割合を託すかによって、最終的に受け取れる年金額が変わってくるからです。そのため、それぞれのシェアがどのような仕組みで決まり、将来の年金にどう影響するのかを理解しておくことが大切です。
その他

企業年金を守る仕組み:非継続基準とは?

企業年金は、従業員が老後の生活を送る上で重要な役割を担っています。将来、安心して年金を受け取れるようにするためには、企業年金の財政状態が健全であることが重要となります。 企業年金は、将来の従業員への給付を約束する制度であるため、長期的な安定性が求められます。その安定性を確保するために行われるのが財政検証です。これは、企業年金が将来にわたって給付を支払えるだけの資産を持っているかを定期的にチェックする作業を指します。 財政検証にはいくつかの基準がありますが、その中でも重要なもののひとつが「非継続基準」です。これは、企業が仮に事業を停止した場合でも、それまでに積み立てられた年金資産だけで、将来のすべての給付支払いを完了できるかどうかを判断するものです。 非継続基準を満たしていない場合は、企業は早急に改善策を講じる必要があります。例えば、企業が年金基金に拠出する掛金を増やしたり、運用方法を見直して資産の収益率向上を図ったりすることが考えられます。 従業員は、自分が加入している企業年金の財政状態について関心を持ち、企業年金の運営状況に関する報告書などを確認するようにしましょう。また、企業年金制度に関する説明会などがあれば、積極的に参加して理解を深めることが大切です。
その他

会社員必見!受託保証型確定給付年金とは?

- 確定給付企業年金の種類会社員や公務員が老後の生活資金を準備する方法として、企業年金があります。企業年金には、あらかじめ給付額が決まっている「確定給付企業年金」と、運用成績によって給付額が変わる「確定拠出年金」の二種類があります。今回は、確定給付企業年金について詳しく見ていきましょう。確定給付企業年金は、加入期間や給与額に応じて将来受け取れる年金額があらかじめ決まっているという特徴があります。企業は、従業員に約束した年金を将来支払うために、年金原資を積み立てる必要があります。確定給付企業年金は、年金原資の運用方法によって、大きく「契約型」と「基金型」の二つに分けられます。-契約型-は、企業が生命保険会社や信託銀行と年金契約を結び、年金原資の運用を委託する方法です。契約型は、さらに「受託管理型」「分離運用管理型」「受託保証型」の三つに分類されます。* -受託管理型- 運用は保険会社または信託銀行が行いますが、運用指示は企業側が行います。* -分離運用管理型- 年金資産を複数の運用機関に預け、それぞれの専門性に応じて分散投資を行います。* -受託保証型- 企業が保険会社または信託銀行に対して、あらかじめ決められた一定以上の運用利回りを保証してもらう方法です。-基金型-は、企業が年金基金という独立した組織を設立し、年金原資の管理・運用を行う方法です。近年注目されているのは、「受託保証型確定給付企業年金」です。受託保証型は、運用リスクを保険会社または信託銀行が負うため、企業にとっては年金原資の積立不足が発生するリスクを抑えられます。また、従業員にとっても、将来受け取れる年金額が保証されているため、安心して老後の生活設計を立てることができます。
その他

企業年金における受託者責任

- 受託者責任とは企業年金は、従業員の老後の生活を支える重要な制度です。その大切な年金資産を適切に管理・運用していくために、「受託者責任」という概念が生まれました。これは、企業年金において、資産の運用や管理を任された受託者が負うべき責任と義務のことです。単なる倫理観や道徳観に基づくものではなく、法律によって明確に定められた、法的拘束力を持つ重要な責任です。受託者は、年金制度の運用や管理を行う上で、常に年金加入者や受給者など、年金制度の受益者の利益を最優先に考えなければなりません。そして、誠実かつ最善の注意を払って職務を遂行する義務があります。もし、受託者がその責任を果たさなかった場合、例えば、十分な調査を行わずにリスクの高い投資を行ったり、自身の利益を優先してしまったりした場合には、年金資産に損害を与え、結果として受益者に不利益を被らせる可能性があります。このような事態が発生した場合、受託者は、法律に基づいて損害賠償責任を負うことになります。受託者責任は、年金制度の健全な運営と受益者の利益を守るために非常に重要な概念です。企業年金に加入している方はもちろん、企業や受託者自身もその重要性を深く理解し、適切な対応を取る必要があります。
その他

年金数理の「実務基準」:その役割と重要性

- 年金数理と実務基準年金制度は、老後の生活を支える重要な役割を担っています。将来にわたって、受給者に対して年金を安定的に給付するためには、計画的な積立と運用が必要です。この複雑な仕組みを設計し、適切に運用するために欠かせないのが「年金数理」です。年金数理とは、数学や統計学といった専門知識を駆使して、年金制度の設計や運営を行う学問です。将来の年金受給額や給付期間、運用による収益などを予測し、必要な積立金の規模を算出します。また、年金制度の健全性を維持するために、人口動態や経済状況の変化などを考慮しながら、長期的な視点に立って分析・評価を行います。しかし、年金数理は高度な専門知識を必要とするため、その計算や分析には高度な専門性と倫理観が求められます。そこで、年金数理業務の質を確保し、国民の年金に対する信頼を維持するために重要な役割を担うのが「実務基準」です。実務基準は、年金数理の専門家団体などが策定するもので、年金数理業務を行う上での具体的な計算方法や分析手法、倫理規定などを定めています。これにより、年金数理業務の標準化と透明性を確保し、国民が安心して年金制度を利用できる環境を整備しています。年金は国民生活に密接に関わる重要な制度です。年金数理と実務基準は、その制度を支える重要な柱として、今後も重要な役割を担っていくでしょう。
その他

グローバルカストディ:国際投資の守護者

- グローバルカストディとはグローバルカストディとは、企業年金基金などが海外に投資を行う際に必要となる、証券の保管や管理をまとめて代行してくれるサービスのことです。近年、企業年金の運用においては、国内だけでなく海外にも目を向けた運用、すなわち国際分散投資が注目されています。これは、投資先を国内だけでなく世界中に分散させることで、リスクを軽減しつつ収益の向上を目指すという考え方です。しかし、海外への投資には、証券の保管や管理、為替、税金など、国内投資とは異なる複雑な手続きやリスクが伴います。例えば、海外の証券は、現地の法律や商慣習に従って保管や管理を行う必要があり、専門的な知識やノウハウが求められます。また、為替変動や税金の問題など、考慮すべき点は多岐に渡ります。グローバルカストディは、こうした海外投資に伴う複雑な業務を投資家に代わって一手に引き受けることで、企業年金が安全かつ効率的に海外投資を行えるようサポートする役割を担います。具体的には、証券の保管や管理、取引の決済、配当金や利金の回収、税金の還付手続きなど、幅広いサービスを提供しています。グローバルカストディの利用により、企業年金は海外投資に伴う煩雑な業務から解放され、本来の業務である年金運用に専念することが可能となります。