企業年金

その他

企業年金における「助言」の役割と注意点

従業員の老後の生活を支える大切な役割を担う企業年金。その安定運用には、長期的な視点に立って、預かったお金を着実に増やしていくことが重要です。しかし、年金基金の運用担当者にとって、目まぐるしく変わる市場の状況や複雑な金融商品について、常に専門的な知識や経験を持つことは簡単ではありません。 そこで近年、注目を集めているのが、外部の専門家から「助言」を受けるという方法です。 助言を行う専門家は、豊富な知識と経験に基づいて、年金基金の運用目標やリスク許容度などを考慮し、最適な運用方針や具体的な投資戦略を提案します。 具体的には、国内外の株式や債券への投資配分や、不動産、インフラストラクチャーといったオルタナティブ投資の活用など、多岐にわたる提案を行います。 外部の専門家の助言を受けることは、年金基金にとって、専門的な知識やノウハウを補完できるだけでなく、客観的な視点を取り入れることで、より適切な運用判断を行うことにも繋がります。
投資信託

企業年金の運用戦略における「シェア」の重要性

- 「シェア」とは会社で働く人にとって、将来受け取れる年金は大切な関心事です。企業年金の世界では「シェア」という言葉が頻繁に登場しますが、これは一体何を意味するのでしょうか?実は「シェア」には、大きく分けて二つの意味合いがあります。一つ目は「掛金シェア」です。これは、毎月従業員と会社から積み立てられる掛金を、どのように各運用機関に配分するかを決めるものです。例えば、A社とB社という二つの運用機関があるとします。この場合、掛金をA社に70%、B社に30%の割合で預けるといった具合に、それぞれの機関に振り分ける割合を決めるのが「掛金シェア」です。もう一つは「給付シェア」です。こちらは、将来、年金として給付を行う際に、それぞれの運用機関がどの程度の割合を負担するかを示すものです。仮に、A社に預けたお金が順調に運用されて価値が増加し、逆にB社に預けたお金は運用がうまくいかずに価値が減少したとします。この時、年金給付の際にA社の運用結果に70%、B社の運用結果に30%の割合で比重を置くのが「給付シェア」です。これらのシェアは、企業年金の運用成績を左右する重要な要素となります。なぜなら、どの運用機関にどれだけの割合を託すかによって、最終的に受け取れる年金額が変わってくるからです。そのため、それぞれのシェアがどのような仕組みで決まり、将来の年金にどう影響するのかを理解しておくことが大切です。
その他

企業年金を守る仕組み:非継続基準とは?

企業年金は、従業員が老後の生活を送る上で重要な役割を担っています。将来、安心して年金を受け取れるようにするためには、企業年金の財政状態が健全であることが重要となります。 企業年金は、将来の従業員への給付を約束する制度であるため、長期的な安定性が求められます。その安定性を確保するために行われるのが財政検証です。これは、企業年金が将来にわたって給付を支払えるだけの資産を持っているかを定期的にチェックする作業を指します。 財政検証にはいくつかの基準がありますが、その中でも重要なもののひとつが「非継続基準」です。これは、企業が仮に事業を停止した場合でも、それまでに積み立てられた年金資産だけで、将来のすべての給付支払いを完了できるかどうかを判断するものです。 非継続基準を満たしていない場合は、企業は早急に改善策を講じる必要があります。例えば、企業が年金基金に拠出する掛金を増やしたり、運用方法を見直して資産の収益率向上を図ったりすることが考えられます。 従業員は、自分が加入している企業年金の財政状態について関心を持ち、企業年金の運営状況に関する報告書などを確認するようにしましょう。また、企業年金制度に関する説明会などがあれば、積極的に参加して理解を深めることが大切です。
その他

会社員必見!受託保証型確定給付年金とは?

- 確定給付企業年金の種類会社員や公務員が老後の生活資金を準備する方法として、企業年金があります。企業年金には、あらかじめ給付額が決まっている「確定給付企業年金」と、運用成績によって給付額が変わる「確定拠出年金」の二種類があります。今回は、確定給付企業年金について詳しく見ていきましょう。確定給付企業年金は、加入期間や給与額に応じて将来受け取れる年金額があらかじめ決まっているという特徴があります。企業は、従業員に約束した年金を将来支払うために、年金原資を積み立てる必要があります。確定給付企業年金は、年金原資の運用方法によって、大きく「契約型」と「基金型」の二つに分けられます。-契約型-は、企業が生命保険会社や信託銀行と年金契約を結び、年金原資の運用を委託する方法です。契約型は、さらに「受託管理型」「分離運用管理型」「受託保証型」の三つに分類されます。* -受託管理型- 運用は保険会社または信託銀行が行いますが、運用指示は企業側が行います。* -分離運用管理型- 年金資産を複数の運用機関に預け、それぞれの専門性に応じて分散投資を行います。* -受託保証型- 企業が保険会社または信託銀行に対して、あらかじめ決められた一定以上の運用利回りを保証してもらう方法です。-基金型-は、企業が年金基金という独立した組織を設立し、年金原資の管理・運用を行う方法です。近年注目されているのは、「受託保証型確定給付企業年金」です。受託保証型は、運用リスクを保険会社または信託銀行が負うため、企業にとっては年金原資の積立不足が発生するリスクを抑えられます。また、従業員にとっても、将来受け取れる年金額が保証されているため、安心して老後の生活設計を立てることができます。
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企業年金における受託者責任

- 受託者責任とは企業年金は、従業員の老後の生活を支える重要な制度です。その大切な年金資産を適切に管理・運用していくために、「受託者責任」という概念が生まれました。これは、企業年金において、資産の運用や管理を任された受託者が負うべき責任と義務のことです。単なる倫理観や道徳観に基づくものではなく、法律によって明確に定められた、法的拘束力を持つ重要な責任です。受託者は、年金制度の運用や管理を行う上で、常に年金加入者や受給者など、年金制度の受益者の利益を最優先に考えなければなりません。そして、誠実かつ最善の注意を払って職務を遂行する義務があります。もし、受託者がその責任を果たさなかった場合、例えば、十分な調査を行わずにリスクの高い投資を行ったり、自身の利益を優先してしまったりした場合には、年金資産に損害を与え、結果として受益者に不利益を被らせる可能性があります。このような事態が発生した場合、受託者は、法律に基づいて損害賠償責任を負うことになります。受託者責任は、年金制度の健全な運営と受益者の利益を守るために非常に重要な概念です。企業年金に加入している方はもちろん、企業や受託者自身もその重要性を深く理解し、適切な対応を取る必要があります。
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年金数理の「実務基準」:その役割と重要性

- 年金数理と実務基準年金制度は、老後の生活を支える重要な役割を担っています。将来にわたって、受給者に対して年金を安定的に給付するためには、計画的な積立と運用が必要です。この複雑な仕組みを設計し、適切に運用するために欠かせないのが「年金数理」です。年金数理とは、数学や統計学といった専門知識を駆使して、年金制度の設計や運営を行う学問です。将来の年金受給額や給付期間、運用による収益などを予測し、必要な積立金の規模を算出します。また、年金制度の健全性を維持するために、人口動態や経済状況の変化などを考慮しながら、長期的な視点に立って分析・評価を行います。しかし、年金数理は高度な専門知識を必要とするため、その計算や分析には高度な専門性と倫理観が求められます。そこで、年金数理業務の質を確保し、国民の年金に対する信頼を維持するために重要な役割を担うのが「実務基準」です。実務基準は、年金数理の専門家団体などが策定するもので、年金数理業務を行う上での具体的な計算方法や分析手法、倫理規定などを定めています。これにより、年金数理業務の標準化と透明性を確保し、国民が安心して年金制度を利用できる環境を整備しています。年金は国民生活に密接に関わる重要な制度です。年金数理と実務基準は、その制度を支える重要な柱として、今後も重要な役割を担っていくでしょう。
その他

グローバルカストディ:国際投資の守護者

- グローバルカストディとはグローバルカストディとは、企業年金基金などが海外に投資を行う際に必要となる、証券の保管や管理をまとめて代行してくれるサービスのことです。近年、企業年金の運用においては、国内だけでなく海外にも目を向けた運用、すなわち国際分散投資が注目されています。これは、投資先を国内だけでなく世界中に分散させることで、リスクを軽減しつつ収益の向上を目指すという考え方です。しかし、海外への投資には、証券の保管や管理、為替、税金など、国内投資とは異なる複雑な手続きやリスクが伴います。例えば、海外の証券は、現地の法律や商慣習に従って保管や管理を行う必要があり、専門的な知識やノウハウが求められます。また、為替変動や税金の問題など、考慮すべき点は多岐に渡ります。グローバルカストディは、こうした海外投資に伴う複雑な業務を投資家に代わって一手に引き受けることで、企業年金が安全かつ効率的に海外投資を行えるようサポートする役割を担います。具体的には、証券の保管や管理、取引の決済、配当金や利金の回収、税金の還付手続きなど、幅広いサービスを提供しています。グローバルカストディの利用により、企業年金は海外投資に伴う煩雑な業務から解放され、本来の業務である年金運用に専念することが可能となります。
株式投資

クローゼット・インデックス・ファンドとは?

- はじめに 投資を始めようとする時、誰もが経験する悩みの一つに「何に投資すれば良いか分からない」というものがあります。 株式投資は魅力的ですが、個々の企業の業績や将来性を予測するのは容易ではありません。 そこで近年、注目を集めているのが「クローゼット・インデックス・ファンド」という投資手法です。 これは、市場全体の動きを表す指数(インデックス)に連動することを目指す投資信託である「インデックス・ファンド」の中でも、特に運用コストが低く、長期投資に適しているとされるものを指します。 一体、クローゼット・インデックス・ファンドとはどのような仕組みで、なぜ効率的な投資先として注目されているのでしょうか? この「はじめに」では、クローゼット・インデックス・ファンドの基本的な考え方と、その魅力について解説していきます。
その他

年金積立不足解消の切り札?回復計画方式を解説

- 年金基金の危機と積立不足解消の必要性近年の日本では、少子高齢化の進展が大きな社会問題となっています。企業が従業員のために積み立てている年金基金も、この影響を大きく受けています。特に、従業員が退職後に受け取る年金額があらかじめ決まっている厚生年金基金や確定給付企業年金と呼ばれる制度では、加入者の高齢化が進む一方で、年金保険料を支払う現役世代が減少しているため、年金積立金の不足が深刻化しています。年金積立金の不足は、将来の年金給付に大きな影響を与える可能性があります。このままでは、年金を約束通りに受け取れなくなるかもしれません。このような事態を避けるためには、早急な対策が必要です。そこで注目されているのが、「回復計画方式」と呼ばれる方法です。これは、年金基金の積立不足を計画的に解消するための方法です。具体的には、企業が追加の保険料を支払ったり、年金資産の運用方法を見直したりすることで、不足している積立金を補填していきます。回復計画方式は、将来の年金給付を確保するために非常に重要な対策です。企業は、従業員に対する責任として、回復計画を策定し、着実に実行していく必要があります。また、従業員一人ひとりが年金制度への理解を深め、将来に備えていくことも大切です。
その他

企業年金の新潮流!キャッシュバランスプランとは?

近年、退職後の生活資金の備えとして、企業年金制度への関心が高まっています。中でも、「キャッシュバランスプラン」という制度が、従来型の確定給付型や確定拠出型とは異なる新たな選択肢として、注目を集めています。 従来の確定給付型は、退職時に受け取れる年金額があらかじめ決まっているという安心感がある一方、企業側の負担が大きくなりやすいという側面がありました。また、確定拠出型は、従業員自身が運用方法を選択できるという自由度の高さが魅力ですが、運用成果によって将来受け取れる年金額が変動するというリスクも抱えていました。 キャッシュバランスプランは、確定給付型と確定拠出型の両方の利点を組み合わせたような制度と言えるでしょう。 従業員にとっては、あらかじめ年金相当額が提示されるため、将来受け取れる金額の見通しが立てやすいというメリットがあります。これは確定給付型と同様の安心感をもたらします。一方、企業にとっては、年金資産の運用責任を負わずに済むため、確定給付型よりもリスクを抑えることができます。 このように、従業員と企業の双方にとってメリットがあると評価されているキャッシュバランスプランは、今後ますます多くの企業で導入が進むと予想されます。確定給付型や確定拠出型と比較検討し、それぞれの企業にとって最適な制度を選択していくことが重要と言えるでしょう。
経済の用語

企業年金とキャッシュ・フロー:健全な年金運営の鍵

- キャッシュ・フローとは 「キャッシュ・フロー(現金流量)」とは、ある一定期間における企業や個人の手元における現金の流入と流出を表す言葉です。 家計で例えるならば、給料日に入ってくるお給玉が「現金流入」にあたり、食費や光熱費、家賃の支払いなどが「現金流出」にあたります。 企業活動においても同様に、商品の販売やサービスの提供によって得られる売上による収入が現金流入、従業員への給与の支払い、材料費や賃料、備品購入費用などが現金流出にあたります。 この現金の流入と流出の差額がプラスであれば、手元資金は増加し、逆にマイナスであれば減少していることを示します。このプラスとマイナスの動きを把握し分析することを「キャッシュ・フロー分析」と呼び、企業の財務状況の健全性を評価する上で非常に重要な指標となります。 キャッシュ・フローは、単に利益が出ているかどうかだけでなく、実際に手元資金が増減しているかを把握することに役立ちます。 例えば、多額の売掛金を抱えている企業の場合、利益が出ていても実際には手元資金が不足している、といった状況も考えられます。このような状況を把握するためにも、キャッシュ・フローを把握することが重要です。
その他

企業年金と過去勤務債務:知っておくべきポイント

- 過去勤務債務とは? 従業員が定年退職を迎えた後も、安心して生活を送れるよう、企業は様々な制度を用意しています。その一つに、退職後に従業員へ年金を支給する企業年金制度があります。この制度を運営していく上で、企業は将来の年金支給額を予測し、必要な資金を準備しておく必要があります。しかし、現状の資産だけでは将来の年金支給を全て賄えないケースも少なくありません。このような場合に発生するのが、「過去勤務債務」です。 過去勤務債務とは、従業員が過去に会社に勤務していた期間に対応する年金給付額のうち、年金資産では賄えない部分を指します。簡単に言えば、将来の年金支給に必要な額と、現在保有している資産との間の不足額を意味します。 この不足額は、企業にとって将来負担しなければならない潜在的な負債となります。過去勤務債務が増加すると、企業の財務状況が悪化する可能性もあるため、注意が必要です。企業は、従業員の将来の生活を守りながら、健全な経営を維持していくために、過去勤務債務を適切に管理していく必要があります。
その他

企業年金と過去勤務期間の関係

- 企業年金制度の基礎 企業年金制度とは、会社が従業員の退職後の生活を支えるために設ける制度です。従業員が長年会社に貢献してくれたことに対する感謝の気持ちを表すとともに、従業員の老後の生活の安定を目指すことを目的としています。 企業年金には、大きく分けて二つの種類があります。一つは、加入している従業員が将来受け取る年金の金額があらかじめ決まっている「確定給付型」です。もう一つは、運用成績によって将来受け取る年金の金額が変わる「確定拠出型」です。 確定給付型は、主に会社が年金の運用を行い、その運用結果に関わらず、あらかじめ決められた金額が従業員に支払われます。一方、確定拠出型は、従業員自身が自分の年金のために投資を行い、その運用結果によって受け取る年金額が変わります。 企業年金制度は、公的年金制度と並んで、従業員の老後の生活設計において重要な役割を担っています。そのため、それぞれの制度の特徴を理解しておくことが大切です。
その他

企業年金の事務費掛金:その役割と重要性

- 企業年金と掛金の種類企業年金は、会社が従業員の退職後の生活を支えるために給付を行う制度であり、老後の安心を確保する上で重要な役割を担っています。この企業年金制度を維持していくためには、毎月の給料から天引きされる掛金や、会社が負担する掛金など、様々な資金源が必要となります。これらの掛金は、大きく2つの種類に分けられます。一つ目は、将来従業員に年金として給付するための「給付掛金」です。毎月の給料から天引きされる場合と、会社が負担する場合があります。従業員が将来受け取る年金額は、この給付掛金が運用によってどれくらい増えるかによって決まります。二つ目は、年金制度の運営に必要な費用を賄うための「事務費掛金」です。こちらは主に会社が負担します。事務費掛金は、年金の計算や給付の手続き、記録の管理など、制度を円滑に運営するために必要な費用に充てられます。このように、企業年金の掛金には、将来の給付のためのものと、制度運営のためのものの二種類があります。従業員にとって、将来受け取る年金額は給付掛金の運用状況に左右されるため、自分の加入している企業年金制度について、どのような仕組みで運用されているのかを理解しておくことが大切です。
その他

企業年金運用におけるオーバーレイ・マネジャーの役割

近年、企業が従業員のために積み立てている年金基金の運用において、より効率性を高める方法が求められています。その中で、注目されているのが「オーバーレイ・マネジャー」という役割です。 企業年金基金は、通常、資産運用を複数の専門会社に委託しています。これは、それぞれの会社が得意とする投資分野や運用手法に期待してのことです。しかし、それぞれの運用会社が、為替変動リスクや資産構成の調整を別々に行うと、基金全体で見ると、必ずしも最適な結果が得られない場合があります。 そこで、オーバーレイ・マネジャーという専門性の高い運用機関が登場します。彼らは、企業年金基金全体の資産構成やリスク許容度などを考慮し、個々の運用会社の指示を調整します。例えば、ある運用会社が日本株を多く保有している場合、他の運用会社の保有資産や為替変動リスクなどを考慮して、日本株の保有比率を調整するように指示を出すことがあります。 このように、オーバーレイ・マネジャーは、企業年金基金全体の資産を俯瞰的に捉え、個々の運用会社の指示を調整することで、より効率的かつ効果的な運用を実現しようとする役割を担っています。
経済の用語

意外と知らない?事業年度の基礎知識

- 事業年度とは 事業年度とは、企業や組織が一年間の経済活動をまとめる期間のことです。 多くの企業では、1月1日から12月31日までの1年間を事業年度としています。 これは暦年と一致するため、一般的に馴染みやすく、行政手続きなども行いやすいというメリットがあります。 しかし、企業の業種や設立時期によっては、必ずしも1月1日開始の事業年度が最適とは限りません。例えば、決算期を繁忙期と重ならないように設定することで、より正確な決算報告を行える場合があります。 事業年度は、会社の定款で定めることができ、決算月も自由に選択することができます。 例えば、3月決算や9月決算を採用している企業も少なくありません。自社の事業内容や経営状況に合わせて、適切な事業年度を設定することが重要です。
その他

100億円以上の年金基金!資産運用委員会の役割とは?

企業が従業員のために将来の年金を準備する方法として、確定給付企業年金という制度があります。この制度では、従業員一人ひとりが将来受け取れる年金額があらかじめ決まっているため、企業は必要な資金を計画的に積み立てる必要があります。 特に、従業員数が多かったり、歴史のある企業の場合、積み立てられた年金基金は数百億円、数千億円といった巨大な金額になることもあります。このような巨額な資金を適切に運用し、将来の年金給付を確実なものとするためには、高度な専門知識と豊富な経験を持つ組織の存在が欠かせません。 そこで、確定給付企業年金の運用を行う上で中心的な役割を担うのが「資産運用委員会」です。この委員会は、厚生労働省が定める法律に基づいて設置が義務付けられており、年金基金の運用に関する専門家、企業の代表、従業員の代表などで構成されます。資産運用委員会は、年金基金の運用方針の決定や資産運用の状況の監視などを行い、年金基金が安全かつ効率的に運用されるよう責任を負います。
税制

企業年金と税金:特別法人税とは?

- 従業員の将来設計を支える企業年金 企業年金とは、会社が従業員の老後の生活を支えるために設けている制度です。従業員一人ひとりの将来設計を支援し、安心して長く働き続けられる環境を作るために、重要な役割を担っています。 企業年金では、会社が従業員に代わって年金保険料を積み立てます。毎月の給与から天引きされる場合もありますが、会社が費用を負担してくれるケースも多いです。そして、従業員が定年退職を迎えた後に、積み立てられたお金が年金として毎月支給されます。 企業年金は、従業員にとって大きなメリットがあります。まず、老後の生活資金を準備できるため、将来への不安を減らし、安心して仕事に集中できます。また、会社が年金保険料の一部または全部を負担してくれるため、個人で年金保険に加入するよりも有利に老後資金を準備できます。 一方、企業にとってもメリットがあります。魅力的な福利厚生制度としてアピールすることで、優秀な人材を獲得しやすくなるからです。また、従業員の定着率向上にも繋がり、長く会社に貢献してくれる人材を育てることにも繋がります。 このように、企業年金は従業員と企業の双方にとってメリットのある制度と言えるでしょう。
その他

企業年金と運用報酬:知っておきたいポイント

- 企業年金における運用報酬とは企業年金は、従業員が老後の生活資金を安心して確保できるように、企業が従業員に代わって資金を積み立てて運用する制度です。 この積立金をより大きく育て、将来受け取れる年金額を増やすためには、専門的な知識と経験を持つ運用会社に資産運用を任せることが一般的です。 しかし、運用会社はボランティアで企業年金の資産運用を行っているわけではありません。 企業年金は、運用会社が提供する運用サービスに対して、その対価として「運用報酬」を支払います。 これが、企業年金における運用報酬です。 運用報酬は、預けている資産の額に応じて年率で決まり、運用成績に関わらず支払われます。 例えば、年率1%の運用報酬で1億円を運用している場合、年間100万円の運用報酬が発生します。 運用報酬は、企業年金の運用成果に影響を与える重要な要素の一つです。 なぜなら、運用報酬は運用によって得られた利益から差し引かれるため、運用報酬が高いほど、手元に残る利益は少なくなるからです。 そのため、企業年金を選ぶ際には、運用内容だけでなく、運用報酬についても十分に検討する必要があります。
その他

年金運用の羅針盤:運用指針の重要性

- 年金運用と運用指針の基本 企業が従業員のために準備する確定給付企業年金や、国民の老後の生活を支える厚生年金基金といった年金制度は、加入者へ将来にわたって年金を支払うという大切な役割を担っています。将来、年金を確実に給付するためには、集めた掛金をただ保管しておくのではなく、適切に運用してその価値を増やすことが非常に重要となります。 年金運用を行う責任者は、集めたお金をどのように運用していくか、具体的な運用方法を専門家である運用会社に指示する必要があります。その際に用いられるのが「運用指針」と呼ばれるものです。 運用指針は、年金運用において、長期的な視点に立ちながら、安全かつ効率的に運用を行うための、いわば羅針盤のような役割を担います。 具体的には、運用目標やリスク許容度、国内外の株式や債券といった資産配分の考え方、運用会社の選定基準や運用状況の監視方法などを定めます。 運用指針は、年金運用の責任者が、専門家ではない加入者に対して、どのように年金運用を行っていくかという方針を示すものでもあり、年金制度の透明性や信頼性を高める上でも重要な役割を担っています。
その他

企業年金における「運用の基本方針」とは?

- 運用の基本方針の必要性確定給付企業年金や厚生年金基金といった企業年金制度は、従業員が安心して老後の生活を送れるよう、企業が将来の給付を約束する制度です。将来の給付を確実に行うためには、あらかじめ決められた運用利回り(予定運用利回り)を確保する必要があります。しかしながら、年金制度を取り巻く経済環境や市場の動きは常に変化しており、予測することは容易ではありません。そこで、効率的かつ安定的に年金資産を運用し、予定運用利回りを達成するためには、長期的な視点に立った戦略的な資産運用が欠かせません。そして、その土台となるのが「運用の基本方針」です。「運用の基本方針」は、年金資産の運用目標や運用期間、リスク許容度などを明確化し、長期的な視点に立った運用戦略を策定するための羅針盤となります。具体的には、「運用の基本方針」では、運用目標としてどれくらいの利回りを目指すのか、どれくらいの期間で運用するのか、リスク許容度としてどれくらいの損失の可能性までなら許容できるのかなどを明確にします。そして、これらの要素を踏まえ、国内外の株式や債券、不動産など、どのような資産にどのような割合で投資していくのかといった基本的な方針を定めます。このように、「運用の基本方針」を策定し、それに基づいて運用を行うことは、年金資産の運用を効率的かつ安定的に行い、長期的な視点で予定運用利回りの達成を目指す上で非常に重要です。
その他

企業年金における特化型運用とは

- 特化型運用の定義とは従来、企業年金基金の運用といえば、国内外の株式や債券、不動産などに分散投資を行うバランス型運用が主流でした。しかし、近年注目を集めているのが「特化型運用」です。特化型運用とは、その名の通り、特定の資産クラスに的を絞って集中的に投資を行う運用手法を指します。例えば、国内株式だけに投資する、あるいは新興国債券だけに投資するといった具合です。では、なぜ特化型運用が注目されているのでしょうか?その理由は、高い収益獲得の可能性にあります。特定の分野に精通した専門性の高い運用会社に資金を託すことで、従来のバランス型運用よりも高い収益を目指せる点が、多くの企業年金基金にとって魅力となっています。一方、特化型運用には、投資対象を絞ることでリスクも集中してしまうという側面も存在します。そのため、運用にあたっては、リスクとリターンのバランスを十分に考慮する必要があります。近年、世界経済は大きく変動しており、従来の運用手法だけでは十分な収益を確保することが難しくなってきています。そうした中で、特化型運用は、企業年金基金にとって有力な選択肢の一つと言えるでしょう。
経済の用語

残余財産とは?企業年金との関係を解説

- 残余財産とは会社員や公務員として長年働き、定年を迎えた後に受け取ることのできる年金。この年金を支える仕組みの一つに、企業年金や厚生年金基金があります。これらの制度は、会社が従業員のために年金を積み立てていく仕組みです。 しかし、近年では企業の合併や事業縮小などの理由で、これらの年金制度が解散してしまうケースが増加しています。このような場合、積み立てられていた年金資金はどうなるのか、多くの方が疑問に感じるのではないでしょうか。 積み立てられた年金資金から、加入者や受給者に対する年金給付や、その他の債務を全て支払った後に残る財産のことを「残余財産」と呼びます。簡単に言えば、年金制度が解散した後に残ったお金のことです。 残余財産は、解散した年金制度の規定に従って、国や他の年金制度に帰属したり、加入者や企業に分配されたりします。ただし、残余財産の使い道は年金制度によって異なるため、事前に確認しておくことが重要です。
その他

企業年金運用を統合管理!統合レポートのススメ

企業年金は、従業員が安心して老後の生活を送るために、会社が将来に備えて積み立て、運用する大切な資産です。近年、より運用成績を向上させたり、リスクを分散させたりする目的で、複数の運用会社に資金を預けるケースが増えています。 しかし、複数の運用会社に分散して運用を委託すると、それぞれの運用状況を把握し、全体としてどのような運用成果が出ているのかを理解することが難しくなります。 そこで登場したのが統合レポートです。統合レポートは、複数の運用会社に分散している年金資産の運用状況を一つにまとめて報告することで、全体の運用状況を容易に把握できるようにするものです。 このレポートにより、企業は、全体の運用目標に対して、現状がどの程度達成できているのか、リスクは適切に管理されているのかなどを把握することができます。また、それぞれの運用会社のパフォーマンスを比較分析することも可能となり、より効率的かつ効果的な年金資産運用につなげることが期待できます。