会計

その他

退職給付会計と即時認識

- 退職給付会計の基礎 退職給付会計は、企業が従業員に将来支払う退職金や年金などの退職給付を適切に処理するための会計ルールです。 従業員は長期間にわたり会社に貢献することで、将来受け取れる退職給付を得る権利を積み上げていきます。この権利を退職給付債務と呼びます。退職給付会計では、将来の退職給付債務を見積もり、その費用を従業員が働いている期間にわたって費用計上していくことで、企業の財政状態と経営成績をより正確に把握することを目指しています。 例えば、従業員Aさんが1年間会社に勤務し、その対価として将来100万円の退職金を受け取る権利を得たとします。この場合、会社は1年間で100万円の退職給付債務を新たに負ったことになります。退職給付会計では、この100万円をAさんが勤務している期間(ここでは1年間)に費用として計上していきます。 このように、退職給付会計は、将来の支出を予測して、その費用を適切な期間に配分することで、企業の経営状態をより正確に把握するために重要な役割を果たしています。
経済の用語

固定資本減耗:価値の減少を理解する

- 固定資本減耗とは企業は事業を行うために、工場や機械設備といった様々な資産を保有しています。これらの資産は、長期にわたって企業の活動に貢献しますが、時間の経過と共に劣化したり、時代遅れになったりすることで、その価値は徐々に減少していきます。この価値の減少を「固定資本減耗」と呼びます。例えば、工場で稼働している機械を考えてみましょう。この機械は、毎日稼働することで徐々に摩耗し、性能が低下したり、故障のリスクが高まったりします。また、技術の進歩によって、より高性能な機械が登場した場合には、既存の機械は相対的に価値が低下することになります。このように、固定資産は、使用されるかどうかに関わらず、時間と共にその価値が減っていくのです。固定資本減耗は、会計上「減価償却費」として費用計上されます。減価償却費を計上することで、固定資産の取得に要した費用を、その資産が使用される期間にわたって配分し、企業の収益と費用を適切に対応させることができます。固定資本減耗を適切に認識することは、企業にとって非常に重要です。減価償却費を計上することで、企業は将来の設備投資に必要な資金を計画的に積み立てることができます。また、固定資産の価値減少を正しく認識することで、企業の財務状態をより正確に把握することができます。
経済の用語

損益計算書を読み解く

- 企業の成績表、損益計算書とは 損益計算書は、いわば企業の成績表ともいえる重要な書類です。ある一定期間、具体的には1年間や3ヶ月間といった期間における企業の経営成績が具体的に数字で示されています。 この成績表には、企業がその期間にどれだけの売上を上げたのか(売上高)、その売上を得るためにいくらかかったのか(費用)、そして最終的にいくらの利益を上げることができたのか(利益)が明確に記載されています。 損益計算書を見ることで、企業が効率的に事業を行えているか、しっかりと利益を確保できているか、といった経営の健全性を判断することができます。企業の経営者だけでなく、投資家や金融機関なども、企業の状況を把握し、将来性を評価するために損益計算書を参考にします。 つまり、損益計算書は、企業の事業活動の成果を如実に表すものであり、企業の現状を理解する上で欠かせない資料と言えるでしょう。
経済の用語

分かりやすい?現金主義会計のメリット・デメリット

- 現金主義会計とは現金主義会計は、事業のお金の流れを把握するためのシンプルな方法です。 実際にお金が入ってきた時を収入、お金が出て行った時を支出として記録する ので、日々のお金の動きを把握しやすいという特徴があります。例えば、お店で商品を販売したとします。現金主義会計では、商品を売った日がたとえ月末であっても、お客様から代金を受け取った時点で収入として計上します。反対に、商品を仕入れた時は、請求書を受け取っただけでは支出とはならず、実際に仕入れ代金を支払った時点で支出として計上します。このように、現金主義会計は、現金の動きと会計処理が一致するため、分かりやすく、経理処理の負担も比較的軽いというメリットがあります。 特に、小規模事業者や個人事業主のように、日々の現金の動きを把握することが重要な場合に適しています。一方で、現金主義会計では、将来発生する収入や支出を把握することが難しいという側面もあります。例えば、掛売り販売のように、商品を販売した後に代金を回収する場合、実際の現金の入金よりも前に収入が発生していることになります。このように、現金の動きと実際の事業活動にタイムラグが発生するケースでは、正確な経営状況を把握するのが難しい場合があります。
経済の用語

取引の計上タイミング:約定基準とは?

- 売買取引の認識基準 企業活動においては、日々様々な取引が発生します。その中でも、有価証券や商品などの売買取引は、企業の業績に大きな影響を与えるため、その取引を会計帳簿にいつ計上するかは非常に重要となります。 この計上タイミングを決定する基準の一つに「約定基準」があります。約定基準とは、売買契約が成立した時点、つまり売買の約束がされた時点で、その取引を計上する基準です。例えば、A社がB社へ商品を100万円で販売する契約を締結した場合、実際に商品が引き渡され、代金が支払われていなくても、契約が成立した時点で、A社は100万円の売上を計上します。 約定基準を採用する主な理由は、取引の明確性と確実性を確保するためです。売買契約が成立した時点であれば、取引の内容や金額が明確に定まっているため、後から取引内容が変更されたり、取引自体がなかったことにされるリスクが低くなります。 しかし、約定基準はあくまで一つの基準であり、企業会計の原則や個別具体的な取引の内容によっては、他の基準が適用される場合もあります。重要なのは、企業が自社の事業内容や取引の実態に合った認識基準を選択し、一貫性を持って適用することです。
その他

従業員への温かい支援:業務経理福祉事業会計とは

企業年金制度は、従業員が老後の生活資金を準備することを支援し、安心して働き続けられる環境を作るための重要な制度です。しかし、一部の企業では、企業年金制度に加えて、従業員の満足度を高め、働きがいのある環境を作るために、様々な福利厚生制度を導入しています。 例えば、従業員が心身ともにリフレッシュできる保養所を設けたり、旅行やスポーツなどのレクリエーション活動費用を補助する企業もあります。また、結婚や出産、子供の入学など、人生の節目となるイベントに対して祝金や給付金を支給する制度や、病気やケガ、家族の介護などで経済的な負担がかかる際に、一時金を支給したり、休職期間中の所得を補償する制度を導入している企業もあります。 これらの福利厚生は、従業員の経済的な安定を支援するだけでなく、仕事とプライベートのバランスを充実させ、従業員のモチベーション向上や会社への愛着を深める効果も期待できます。結果として、従業員の定着率向上や優秀な人材の確保、企業の成長にも繋がると考えられています。 このように、企業年金制度は重要な役割を担っていますが、従業員にとってより働きやすい環境を作るためには、福利厚生制度の充実も重要な要素と言えるでしょう。
その他

福利厚生費の会計処理:業務経理福祉施設会計とは?

企業は従業員のモチベーション維持や会社への愛着を高めるために、様々な待遇を用意しています。社員旅行やレクリエーション、住居に関する支援、結婚や葬儀の際に支給されるお金など、その内容は多岐にわたります。 これらの待遇にかかる費用は、企業にとって貴重な経営資源と言えるでしょう。なぜなら、従業員の満足度を高めることは、生産性の向上や優秀な人材の確保につながり、ひいては企業の成長に大きく貢献するからです。そのため、これらの費用を適切に管理し、費用対効果や会社の財務状況を把握することが経営上、非常に重要になります。 福利厚生費の会計処理においては、それぞれの待遇の性質に応じて適切な勘定科目で処理する必要があります。例えば、社員旅行は「福利厚生費」、住宅補助は「住宅手当」といった具合です。 また、福利厚生費の中には、従業員が負担する金額と企業が負担する金額が混在する場合もあります。このような場合には、それぞれの負担割合に応じて適切に経理処理を行う必要があります。 適切な会計処理を行うことで、福利厚生制度の実施状況を把握し、費用対効果を分析することができます。そして、その分析結果に基づいて、福利厚生制度の内容を見直したり、新たな制度を導入したりするなど、より効果的な制度設計を行うことが可能になるのです。
その他

退職給付会計の基礎:未認識債務償却費用とは

会社が従業員に将来支払う退職金に関する会計処理は、退職給付会計と呼ばれ、複雑な計算が必要となります。この退職給付会計において、損益計算書に計上される費用項目の一つに「退職給付費用」があります。 この退職給付費用は、大きく2つの要素で構成されています。 一つ目は「勤務費用」です。勤務費用は、従業員がその年に働いたことにより将来受け取る権利が積み増しされた金額、つまり退職金の支払債務が増えた部分を費用計上するものです。 二つ目は「未認識債務償却費用」です。企業は、退職給付会計制度を導入したり、賃金改定や退職給付制度の見直しを行ったりすることがあります。このような変更や過去の期間における計算の差異によって生じる費用を、未認識債務償却費用として、適切な期間にわたって段階的に費用計上していく必要があります。 このように、退職給付費用は、将来の退職金支払債務の増加額を示す勤務費用と、過去の計算や制度変更による調整を反映した未認識債務償却費用という2つの要素から成り立っているのです。
経済の用語

知っておきたい未収収益の基礎知識

- 未収収益とは 企業が事業活動を行う中で、商品を販売したりサービスを提供したりする場面は多くあります。その際に、代金をその場で受け取らず、後日に請求し、支払いを受けるというケースも珍しくありません。このような、すでに商品を販売またはサービスを提供し、代金を受け取る権利を持っているにも関わらず、まだ実際に受け取っていない収益のことを「未収収益」と言います。 未収収益は、将来受け取ることが確定している売上と考えられるため、企業の資産として計上されます。具体的には、貸借対照表の「流動資産」の項目に記載されます。 例えば、1年間のソフトウェア利用料を前払いでもらっている場合、サービスを提供した月ごとに、対応する利用料が収益として計上されます。この時、まだ提供していないサービス分の利用料は、将来受け取る権利に対応する収益として、未収収益として計上されます。 未収収益は、企業の経営状況を正しく把握するために重要な要素の一つです。未収収益を適切に管理することで、企業は健全な資金繰りを維持し、安定した事業活動を継続していくことができます。
経済の用語

簿価評価:資産の価値を理解する

- 簿価評価とは簿価評価は、企業が保有する資産の価値を評価する際に用いられる方法の一つです。この方法では、資産を取得した時点での価格である取得原価を基準とし、そこから長年の使用による価値の減少分である減価償却費を差し引くことで、現在の価値を算出します。この算出された価値は、帳簿上に記録されることから簿価や帳簿価額とも呼ばれます。例として、100万円で購入した機械があるとします。この機械は、1年ごとに10万円ずつ価値が減少していくものと仮定します(定額法)。すると、1年後には価値は90万円、2年後には80万円と、年々価値が減っていき、5年後には価値は50万円となります。この50万円という金額が、5年後のこの機械の簿価です。簿価評価は、取得原価と減価償却費という客観的な数値に基づいて計算されるため、簡便で分かりやすいというメリットがあります。そのため、企業の財務諸表を作成する上で重要な役割を担っています。しかし、簿価はあくまで帳簿上の価値であり、実際の市場価格と乖離している場合もあるという点には注意が必要です。例えば、上記の機械が技術革新によって陳腐化してしまった場合、実際の市場価値は簿価を大きく下回る可能性があります。
経済の用語

簿価とは?企業価値との関係を解説

- 簿価の概要企業の財務状況を把握する上で、資産の価値を正しく評価することは非常に重要です。この資産価値を表す指標の一つに「簿価」があります。簿価とは、企業会計において、資産を帳簿に記載する際の金額を指します。簡単に言うと、企業が資産をどれだけの金額で保有していると帳簿上で記録しているか、ということです。具体的には、資産を取得した時点の取得原価からスタートします。取得原価とは、資産を購入するために実際に支払った金額だけでなく、購入に伴い発生した手数料や税金なども含めた総額です。その後、時間の経過とともに価値が減少する部分を差し引いていきます。この価値減少部分を「減価償却費」と呼びます。例えば、100万円で購入した機械があるとします。この機械は10年間使用できると想定し、毎年10万円ずつ価値が減少していくと計算した場合、5年後のこの機械の簿価は50万円となります。このように、簿価は取得原価から減価償却費を差し引くことで計算され、企業の財務諸表の一つである貸借対照表(B/S)の資産の部に計上されます。簿価は、あくまでも帳簿上の金額であり、常に市場で取引されている時価と一致するわけではありません。しかし、企業の財務状況を分析する上での基礎となる重要な指標であると言えるでしょう。
その他

資産評価の新潮流:数理的評価のススメ

- 数理的評価とは 企業の財務諸表を見る上で、その企業が保有する資産がどれだけの価値を持つのかを正しく把握することは非常に大切です。財務諸表に記載される資産価値は、企業の経営状態を分析する上で重要な指標となるからです。 従来から、資産価値は過去の取引価格や類似資産の市場価格を参考に評価されてきました。しかし、市場価格は経済状況や投資家の心理によって大きく変動するため、短期的には資産価値が不安定になるという側面がありました。 そこで近年、注目されているのが「数理的評価」という手法です。この手法は、単に市場価格を追従するのではなく、将来にわたってその資産が生み出すであろう収益を予測し、それを現在価値に割り引くことで評価額を算出します。つまり、中長期的な視点から資産の本質的な価値を捉えようとする考え方です。 数理的評価は、市場の変動に左右されにくい、より安定的な評価額を算出できるというメリットがあります。企業は、この手法を用いることで、より正確な財務状況を把握し、適切な経営判断を行うことが期待できます。
経済の用語

不納欠損処分とは?

- 不納欠損処分とは不納欠損処分とは、企業や個人がお金を貸した相手から、どうしてもお金を回収できないと判断し、諦める手続きのことです。 例えば、商品を販売したにも関わらず、代金を支払ってもらえない場合があります。 このような場合、企業は売掛金としてその金額を計上しますが、何度も請求しても支払いがなく、最終的に回収が不可能と判断した場合に、この不納欠損処分を行います。 不納欠損処分を行うためには、法律や社内規定に基づいた厳格な基準があります。 例えば、一定期間以上連絡が取れない、相手方に支払う意思や能力がないと判断できる証拠がある、などの要件を満たす必要があります。 不納欠損処分を行うと、貸していた金額は帳簿上から消え、損失として計上されます。 これは、企業の税金計算にも影響を与えるため、慎重に進める必要があります。 不納欠損処分は、あくまでも最終手段です。 未回収金を減らすためには、取引先との契約内容を明確にする、信用調査をしっかり行う、請求業務を適切に行うなど、事前の対策が重要です。
その他

事業売却を想定した会計とは?

- 売却時価会計の概要 売却時価会計とは、企業が解散することを仮定し、保有する全ての資産と負債を、もしもその時点で売却するとしたらどれくらいの金額で取引されるのか、という観点で評価する会計方法です。 この会計方法は、企業が将来的に株式を公開して広く投資を募ったり、事業を売却したりすることを検討している場合に特に重要となります。なぜなら、投資家や企業を買収する側の企業は、その企業にどれだけの価値があるのかを判断する際に、将来的な売却価値を重視する傾向があるからです。 従来の会計方法では、資産や負債は取得原価を基準に評価されることが一般的でした。しかし、経済状況や技術革新などによって、時間の経過とともに資産の価値は大きく変動することがあります。例えば、最新の設備を導入した工場は、時間の経過とともに陳腐化し、当初の価格では売却できない可能性があります。 一方、売却時価会計では、市場で実際に取引されている価格や類似の資産の取引事例などを参考に評価を行うため、より現実に近い価値を把握することができます。これにより、投資家や買収企業は、より正確な情報に基づいて投資判断を行うことが可能となります。
その他

年金会計と回廊アプローチ:基礎知識

- 年金会計の複雑さ企業が従業員のために年金制度を運営する場合、将来の年金給付に関する会計処理が求められます。これは、将来の給付額や割引率などの不確定要素を含むため、複雑なプロセスとなります。従業員が将来受け取る年金額は、勤続年数や給与水準、運用実績などによって変動します。企業は、これらの要素を考慮して、将来支払うべき年金給付を見積もり、その現在価値を計算する必要があります。また、年金資産の運用にはリスクが伴います。運用実績が悪化した場合、企業は年金資産の価値減少を認識しなければなりません。さらに、年金会計では、将来の年金給付を現在価値に割り引くために割引率を用います。この割引率は、市場金利や年金の満期までの期間などを考慮して決定されます。しかし、市場環境の変化によって割引率が変動すると、年金債務や年金費用に大きな影響を与える可能性があります。これらの要素の変化は、企業の財務諸表にも影響を及ぼします。例えば、年金債務が増加すると、企業の負債が増加し、自己資本比率が低下する可能性があります。また、年金費用の変動は、企業の当期純利益に影響を与える可能性があります。このように、年金会計は複雑なプロセスであり、企業は専門的な知識や経験を必要とします。年金会計の処理を適切に行うことは、企業の財務状況を正しく把握し、適切な経営判断を行う上で非常に重要です。
税制

実現主義:収益計上のタイミングを理解する

- 実現主義とは企業は日々、商品を販売したりサービスを提供したりと、様々な経済活動を行っています。これらの活動によって収益が生まれますが、では、具体的にいつの時点で収益が発生したと見なせば良いのでしょうか? 実は、この収益が発生したと認めるタイミングを決めることは、企業の業績を正しく把握する上で非常に重要です。そこで登場するのが「実現主義」という考え方です。実現主義とは、企業会計における収益認識の基準の一つで、簡単に言うと「実際に収益が発生したと認められる時点」で収益を計上するという考え方です。 具体的には、現金を受け取った時点、もしくは現金の受け取りがほぼ確実になった時点で収益を計上します。例えば、あなたがお店を経営していて、お客様に商品を販売したとします。この時、実現主義では、ただ単に商品を渡した時点では収益とは認めません。お客様から代金を受け取った時点、もしくは代金の受け取りが確実になった時点で、初めて収益として計上するのです。このように、実現主義は、企業の経済活動による収益を、単なる「発生の可能性」ではなく、「実際に実現した収益」に基づいて計上することで、企業の財務諸表の信頼性を高める役割を担っています。
経済の用語

時価評価を理解する

- 時価評価とは時価評価とは、ある時点における市場での取引価格に基づいて、保有資産や負債の価値を評価する方法です。これは、資産や負債を、仮にその時点で売却または決済した場合に、どれくらいの金額で取引されるかを反映した評価方法と言えます。例えば、あなたが株式投資を行っているとしましょう。あなたが1年前に1株1,000円で購入した株式があるとします。そして現在、その株式の市場価格が1株1,500円に上昇しているとします。この場合、時価評価では、あなたが保有する株式の価値は、取得時の価格である1,000円ではなく、現在の市場価格である1,500円と評価されます。逆に、市場価格が下落した場合には、時価評価額も減少します。もしも市場価格が1株500円に下落した場合、時価評価ではあなたの保有する株式の価値は500円となります。このように、時価評価は、市場価格の変動に応じて資産価値が変動する金融商品などにおいて、特に重要な評価方法となります。投資信託や株式、債券などの金融商品の価値を把握する上で、時価評価は欠かせない要素と言えるでしょう。
経済の用語

時価会計:資産と負債のリアルタイム評価

- 時価会計とは企業の財政状態を把握する方法として、伝統的に「取得原価」を基準とした会計方法が用いられてきました。これは、資産や負債を取得した時点の価格で評価する方法です。しかし、経済状況が目まぐるしく変化する現代において、この方法では企業の本当の価値を適切に反映できないという問題点が指摘されるようになりました。そこで登場したのが「時価会計」です。時価会計は、その名の通り、資産や負債を「今まさにその価格で売買できる」という市場価格(時価)に基づいて評価する方法です。例えば、企業が所有する土地や建物は、取得時から年月を経ることで価値が変動している可能性があります。時価会計では、これらの資産を現在の市場価格で評価することで、より実態に即した財務諸表を作成することが可能となります。時価会計は、投資家にとって企業の価値をより正確に把握するための重要な情報となります。従来の取得原価主義では、過去の取引価格に基づいて資産価値が評価されるため、現在の市場状況と乖離が生じている可能性があります。一方、時価会計では、市場で実際に取引されている価格に基づいて評価されるため、より最新の情報に基づいた投資判断が可能になります。しかし、時価会計の導入には課題も存在します。市場価格の変動が激しい場合には、企業の業績が不安定に見える可能性があります。また、市場価格の算出が困難な資産や負債については、適切な評価が難しいという側面もあります。
経済の用語

企業価値を映す鏡:時価会計入門

- 時価会計とは?企業が事業活動を行う中で、様々な資産を保有しています。土地や建物といった固定資産、製品や原材料といった流動資産など、その種類は多岐に渡ります。これらの資産を会計上でどのように評価するかは、企業の財務状況を正しく把握する上で非常に重要です。従来の会計では、資産の取得原価を基準に評価するのが一般的でした。しかし、経済環境が目まぐるしく変化する現代においては、取得原価が必ずしもその資産の現在の価値を適切に反映しているとは限りません。そこで登場したのが「時価会計」という考え方です。時価会計とは、簡単に言えば、決算日時点における市場価格を元に資産を評価する方法です。例えば、企業が10年前に購入した土地があるとします。取得原価は当時の価格で計上されますが、10年の間に地価が上昇していた場合、取得原価はその土地の現在の価値を過小評価していることになります。時価会計では、このようなケースにおいて、現在の市場価格を反映することで、より実態に近い形で資産を評価することが可能となります。時価会計を導入することで、企業の財務状況をより正確に把握できるようになり、投資家にとっては、より適切な投資判断を行うための材料となります。一方で、市場価格の変動がそのまま企業の業績に影響を与えるため、収益が不安定になる可能性も孕んでいます。
その他

退職給付に潜む「過去勤務費用」とは?

会社員にとって、長年勤めた会社からもらえる退職金は、老後の生活設計において重要な役割を果たします。退職金は、会社が従業員のこれまでの勤続年数や貢献に対して支払う報酬です。企業は、この退職金に関する会計処理を行う際に、「過去勤務費用」という項目を計上することがあります。 過去勤務費用とは、過去の従業員の勤務に対して、退職給付制度の変更などによって新たに発生する費用を指します。例えば、退職金の計算方法が変わったり、新しい企業年金制度を導入したりする場合が考えられます。 具体的には、退職金の計算基準を改定して、従業員が将来受け取る退職金の金額が増えることがあります。この場合、増えた金額に相当する部分を過去勤務費用として計上します。また、新たに企業年金制度を導入した場合、従業員は将来、年金という形で追加の給付を受け取ることになります。この場合も、将来の年金給付に相当する費用を過去勤務費用として計上していく必要があります。このように、過去勤務費用は、企業が従業員に約束した退職給付の内容が変更された場合に、その変更による影響を適切に会計処理するために必要な項目と言えるでしょう。
経済の用語

意外と知らない?事業年度の基礎知識

- 事業年度とは 事業年度とは、企業や組織が一年間の経済活動をまとめる期間のことです。 多くの企業では、1月1日から12月31日までの1年間を事業年度としています。 これは暦年と一致するため、一般的に馴染みやすく、行政手続きなども行いやすいというメリットがあります。 しかし、企業の業種や設立時期によっては、必ずしも1月1日開始の事業年度が最適とは限りません。例えば、決算期を繁忙期と重ならないように設定することで、より正確な決算報告を行える場合があります。 事業年度は、会社の定款で定めることができ、決算月も自由に選択することができます。 例えば、3月決算や9月決算を採用している企業も少なくありません。自社の事業内容や経営状況に合わせて、適切な事業年度を設定することが重要です。
経済の用語

意外と知らない?資本剰余金の基礎知識

- 資本剰余金とは 株式会社は、事業を行うために必要な資金を、株を発行することで株主から集めます。この時、集めたお金のすべてが、事業の運転資金として使われるわけではありません。 資本剰余金とは、株の発行によって得た資金のうち、法律で定められた「資本金」として計上されない部分を指します。簡単に言うと、株主から集めたお金のうち、すぐに事業に使うお金ではなく、将来の投資や株主への配当の原資として、会社に積み立てておくお金のことです。 資本剰余金は、その発生源によって、いくつかの種類に分けられます。例えば、株を発行する際に、額面を上回る金額で発行した場合に生じる「資本準備金」や、企業合併の際に生じる「合併差益」などが、資本剰余金に含まれます。 資本剰余金は、会社の財務状況を示す重要な指標の一つです。資本剰余金が多いということは、それだけ会社に余裕があり、将来の投資や配当に充てることができる資金が多いことを意味します。一方、資本剰余金が少ない場合は、会社の財務基盤が弱く、将来の事業展開に不安がある可能性も考えられます。 ただし、資本剰余金が多いからといって、必ずしも会社が健全であるとは限りません。 重要なのは、資本剰余金の額だけでなく、その内容や推移、そして会社の事業内容や収益力などを総合的に判断することです。
経済の用語

当年度不足金とは?年金への影響を解説

- 当年度不足金の定義一年間の家計のやりくりを想像してみてください。収入は、お給料やボーナスなど、家計に入ってくるお金のことです。一方、支出は、食費や住居費、光熱費、通信費、娯楽費など、生活のために使うお金を指します。もし、一年の間に使ったお金の合計が、収入の合計を上回ったらどうなるでしょうか?当然、家計は赤字になってしまいますよね。このように、一年の会計期間における収入と支出を計算した結果、支出が収入を上回ってしまった場合に生じる赤字のことを「当年度不足金」と言います。企業会計においても、これは同様です。企業の収入は、商品やサービスを販売して得られる売上などが中心となります。一方、支出は、商品を作るための費用や従業員の給料、オフィスの賃料など、事業を行うために必要な費用などです。もし、企業が一年間で得た収入よりも、事業に掛かった費用の方が大きくなってしまったら、その企業は赤字、つまり当年度不足金を計上することになります。当年度不足金は、企業の財務状況を判断する上で非常に重要な指標となります。なぜなら、当年度不足金が続くと、企業は資金繰りが苦しくなり、最悪の場合、倒産してしまう可能性もあるからです。逆に、黒字経営を続けていれば、企業は健全な状態を保ち、事業を成長させていくことができます。
経済の用語

当年度剰余金とは?

決算書を見る際に、「黒字」という言葉を見聞きすることがあります。これは、企業の事業活動がうまくいき、利益が出ている状態を表す言葉です。決算書には、この黒字、つまり利益を表す指標がいくつか存在します。 その中でも代表的なものが「当期純利益」です。これは、企業が一年間の事業活動を通じて、本業である製品の販売やサービスの提供などでどれだけの利益をあげたかを示すものです。イメージとしては、一年間頑張って働いて、最終的に手元に残ったお金のようなものです。 そして、もう一つ重要な指標が「当年度剰余金」です。これは、当期純利益をさらに積み立てて増やしたもので、企業の過去の利益の積み重ね、いわば貯金のようなものです。この剰余金は、企業の財務状況を判断する上で非常に重要であり、将来の事業展開や不測の事態への備えとして欠かせないものです。 企業は、この剰余金をどのように活用するかを決定する権利を持ちます。例えば、設備投資や研究開発など、将来の成長のための資金にしたり、株主への配当金に充てることで、投資家への還元を行うことも可能です。 このように、決算における黒字を表す指標である「当期純利益」と「当年度剰余金」は、企業の経営状態や将来性を評価する上で非常に重要な情報となります。