社内時価とは?金融機関の公正な価格設定の仕組み
- 社内時価の定義金融機関、特に証券会社では、顧客との取引において、常に公正な価格で取引を行う必要があります。しかし、株式や債券といった金融商品の中には、市場で活発に取引されておらず、価格が明確でないものも存在します。そこで、証券会社は、顧客との相対取引において、公正な価格設定を行うために「社内時価」と呼ばれる独自の評価基準を設けています。社内時価は、株式や債券といった伝統的な金融商品だけでなく、複雑な仕組みのデリバティブなど、証券会社が取り扱うあらゆる金融商品を対象としています。社内時価の算出方法は、金融商品の取引状況によって異なります。市場で活発に取引されている金融商品の場合、その市場価格を参考に算出されます。例えば、日経平均株価に採用されているような銘柄は、市場で常に売買が行われているため、その時点での市場価格が社内時価の基準となります。一方、市場で活発に取引されていない、あるいは市場価格が存在しない金融商品の場合、社内時価の算出は容易ではありません。このような場合には、過去の取引事例や類似商品の価格などを参考に、独自の計算モデルを用いて算出されます。例えば、ある企業が発行する社債が市場でほとんど取引されていない場合、その企業の信用力や財務状況などを加味し、類似の社債の価格などを参考に社内時価を算出することになります。このように、社内時価は、市場価格が存在しない、あるいは市場が十分に機能していない金融商品において、顧客と証券会社の間で公正な取引を行うための重要な指標となっています。