
企業年金と代行返上:制度の概要と移行のポイント
企業が従業員のために準備する年金制度には、大きく分けて二つの種類があります。一つは、企業が独自で運営する企業年金です。もう一つは、複数の企業が協力して運営する厚生年金基金です。
厚生年金基金は、従来、公的な年金である老齢厚生年金の一部を代わりに支給する役割を担ってきました。しかし、近年、企業年金の選択肢が増加したことや、少子高齢化による年金財政への影響を考慮し、厚生年金基金から確定給付企業年金に移行する企業が増えています。
この移行の際に重要なキーワードとなるのが「代行返上」です。これは、厚生年金基金がこれまで肩代わりしていた老齢厚生年金の一部を、国(日本年金機構)に返還する手続きを指します。代行返上を行うことで、企業は厚生年金基金から脱退し、確定給付企業年金など、より柔軟な年金制度を導入することができます。代行返上は、企業年金の運営の効率化や従業員の将来の受取額への影響など、様々な要素を考慮した上で、慎重に判断する必要があります。