受託者責任

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年金運用を支える「受託者責任ガイドライン」

近年、少子高齢化の進展に伴い、年金制度の安定的な維持が重要な課題となっています。将来受け取る年金の給付額は、加入者から集められた保険料や運用収入によって賄われます。そのため、年金基金の運用においては、加入者や受給者の大切な財産である年金資産を保全し、長期的な視点に立って効率的に運用することが求められます。 「受託者責任ガイドライン」は、厚生年金基金や確定給付企業年金などの年金基金において、資産運用を行う関係者の責任と役割を明確にすることで、適切な運用体制を確保し、加入者と受給者の利益を守ることを目的としています。 このガイドラインは、1997年4月に「厚生年金基金の資産運用関係者の役割及び責任に関するガイドライン」として初めて公表されました。その後、社会経済情勢の変化や年金制度の改革などに合わせて内容が見直され、2006年12月には名称が「年金基金の資産運用に関する受託者責任ガイドライン」に改定されました。 年金運用は、長期的な視点に立って、リスクとリターンを適切に管理しながら行われるべきであり、「受託者責任ガイドライン」はそのための重要な指針となっています。年金基金の関係者は、このガイドラインの内容を十分に理解し、その実践に努めることが求められます。
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企業年金における受託者責任

- 受託者責任とは企業年金は、従業員の老後の生活を支える重要な制度です。その大切な年金資産を適切に管理・運用していくために、「受託者責任」という概念が生まれました。これは、企業年金において、資産の運用や管理を任された受託者が負うべき責任と義務のことです。単なる倫理観や道徳観に基づくものではなく、法律によって明確に定められた、法的拘束力を持つ重要な責任です。受託者は、年金制度の運用や管理を行う上で、常に年金加入者や受給者など、年金制度の受益者の利益を最優先に考えなければなりません。そして、誠実かつ最善の注意を払って職務を遂行する義務があります。もし、受託者がその責任を果たさなかった場合、例えば、十分な調査を行わずにリスクの高い投資を行ったり、自身の利益を優先してしまったりした場合には、年金資産に損害を与え、結果として受益者に不利益を被らせる可能性があります。このような事態が発生した場合、受託者は、法律に基づいて損害賠償責任を負うことになります。受託者責任は、年金制度の健全な運営と受益者の利益を守るために非常に重要な概念です。企業年金に加入している方はもちろん、企業や受託者自身もその重要性を深く理解し、適切な対応を取る必要があります。
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投資における「善管注意義務」とは?

投資の世界へようこそ。ここでは、お客様からお預かりした大切な資産を、専門的な知識と経験を持つプロフェッショナルが運用しています。彼らには、資産運用を行う上で、高い倫理観と専門性に基づいた行動が求められます。この行動規範の根幹をなす重要な概念の一つが、「善管注意義務」です。 投資の世界では、お客様からお預かりした資産を「預かり物」として、大切に扱うことが求められます。この「預かり物」を扱う際に、専門家として当然求められる注意を払って、お客様の利益のために最善を尽くさなければなりません。この、お客様の利益を最優先に考え、誠実かつ注意深く業務を行うことを「善管注意義務」と呼びます。 例えば、お客様の投資目標やリスク許容度を十分に考慮せずに、リスクの高い金融商品を勧めることは、この「善管注意義務」に反する可能性があります。お客様一人ひとりの状況を理解し、それぞれのニーズに合った最適な提案を行うことが、私たち専門家に求められているのです。
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企業年金と誠実運用義務

- 従業員のための年金制度 会社で働く人にとって、老後の生活は楽しみなものであると同時に、経済的な不安もつきものです。長年働き続けた後でも、安心して生活を送れるだけの収入を、どのように確保すればよいのでしょうか? その有効な手段の一つとして、-会社が従業員のために用意する年金制度-があります。 年金制度とは、従業員が定年退職を迎えた後、それまでの勤労に報いるとともに、-老後の生活を経済的に支えるための制度-です。 会社が導入している年金制度には、大きく分けて二つの種類があります。 一つは、-あらかじめ受け取れる金額が決まっている「確定給付型」-です。この制度では、会社は従業員に対して、将来受け取れる年金額をあらかじめ約束します。そのため、従業員は将来受け取れる年金額を把握しておくことができ、老後の生活設計を立てやすくなります。 もう一つは、-従業員自身が運用方法を選択する「確定拠出型」-です。この制度では、会社は毎月一定の掛金を拠出し、従業員はその掛金を元手に、自分の考えで様々な投資信託などを選び、運用していきます。 確定拠出型の場合、運用成績によって将来受け取れる年金額が変わってくるため、-積極的に運用に取り組む姿勢が大切-になります。 どちらの制度にも、それぞれメリットとデメリットがあります。会社がどちらの制度を導入しているのか、ご自身の働き方やライフプランにどちらが合っているのかをよく考えて、将来に備えましょう。