市場の失敗

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情報非対称性の落とし穴と対策

- 情報非対称性とは何か物を買ったり、サービスを受けたりする場面を考えてみましょう。この時、売り手と買い手の間で、その商品やサービスに関する情報の量に差がある場合、情報非対称性が生じます。例えば、中古車を思い浮かべてみてください。長年その車を所有し、運転してきた売り手は、車の状態について多くの情報を持っています。一方、買い手は、一見しただけではわからない車の内部の状態や修理履歴など、重要な情報を得ることができません。このように、売り手が買い手よりも多くの情報を持っている状況が、情報非対称性の一つの例です。情報非対称性は、中古車市場に限らず、様々な場面で見られます。特に、金融商品やサービスのように複雑で専門性の高い分野では、専門知識を持つ提供者と、そうでない消費者との間で大きな情報格差が生じやすいと言えるでしょう。情報非対称性が存在すると、情報が少ない側は不利な立場に立たされやすくなります。中古車の例では、買い手は、車の状態に関する情報不足から、本来の価値よりも高い価格で購入してしまう可能性があります。このように、情報非対称性は、市場における公正な取引を阻害する要因となり得ます。そのため、情報開示を促進するなど、情報格差を是正するための様々な取り組みが行われています。
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お金を払わなくても?排除不可能性を解説

- 排除不可能性とは -# 排除不可能性とは 排除不可能性とは、ある財やサービスを供給する際に、対価を支払わない人をその利用から排除することが難しい性質を指します。 例えば、私たちが毎日吸っている空気は、誰かが料金を支払わなくても自由に呼吸できます。 これは空気を供給する側が、呼吸にお金を払わない人を排除することが事実上不可能だからです。 このように、誰でも対価の有無に関わらず利用できてしまう性質が排除不可能性です。 経済学では、この排除不可能性は公共財を考える上で重要な要素となります。 公共財は、公園や街灯のように、一部の人だけが利用するのではなく、地域社会全体にとって利益をもたらすものです。 しかし、排除不可能性が故に、民間企業が費用を回収するのが難しく、供給が不足する可能性があります。 そのため、公共財は政府が税金などを財源として供給することが一般的です。 排除不可能性は、非排除性、消費の非排除性、消費の排除不可能性とも呼ばれます。
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価格の硬直性とは?

価格の硬直性とは、商品やサービスの価格が、需要と供給の変動に合わせてスムーズに変動しない現象を指します。 通常、需要が増加すると価格は上昇し、逆に需要が減少すると価格は低下するはずです。これは市場メカニズムの基本的な動きと言えます。 しかし、現実には様々な要因によってこのメカニズムが阻害され、価格が需要と供給の変化にすぐには対応しない場合があります。これが価格の硬直性です。 例えば、ある商品の人気が高まり、市場では品薄の状態が続いていても、企業側が価格をすぐに値上げしないことがあります。これは、企業イメージの低下や顧客の離反を懸念してのことかもしれません。また、一度値上げを行うと、顧客の購買意欲が減退し、その後の販売に悪影響を及ぼす可能性もあります。このような場合、企業は価格を据え置く戦略をとることがあります。 価格の硬直性は、短期的には需要と供給のバランスを崩し、商品不足や過剰在庫などの問題を引き起こす可能性があります。しかし、長期的には企業が慎重な価格設定を行うことで、市場の安定に寄与する側面も持ち合わせています。
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ミクロ経済学:市場の仕組みを理解する

- ミクロ経済学とはミクロ経済学は、経済学という広大な学問分野の一分野であり、個人や家族、企業といった経済主体一つ一つに焦点を当て、限られた資源がどのように配分され、価格がどのように決定されるのかを分析する学問です。私たちの日常生活は、常に経済活動と密接に関係しています。例えば、日々の買い物で何を購入するか、どの店で買うか、といった選択もミクロ経済学の視点で分析することができます。また、仕事を選ぶ際に給与や労働時間、やりがいを比較検討するのも、企業がどのような製品をどれだけ生産し、いくらで販売するかを決めるのも、すべてミクロ経済学の対象となります。ミクロ経済学は、需要と供給の関係を分析することで、価格がどのように決定されるのかを説明します。また、消費者の行動や企業の意思決定を分析することでより良い資源配分を実現するための方法を模索します。このように、ミクロ経済学は、私たちの身近な経済現象を解き明かすための強力なツールを提供してくれるのです。日々のニュースや出来事を経済学的な視点で捉え、解釈する力を身につけることで、私たちは社会全体の動きをより深く理解し、より良い選択をすることができるようになるでしょう。