ERM2とは?ユーロ導入への道筋
- ERM2の概要ERM2(ヨーロピアン・エクスチェンジ・レート・メカニズム2)は、EU(欧州連合)に加盟しているものの、まだユーロを導入していない国の通貨とユーロの為替レートを一定の範囲内で維持するための制度です。これは、ユーロ導入を目指す国が、自国通貨を安定させ、ユーロ圏へのスムーズな移行を図るための重要なステップとなっています。具体的には、ERM2に参加する国は、自国通貨とユーロの為替レートを一定の中心レートに固定し、その上下に変動幅(通常は±15%)を設定します。この変動幅内であれば、為替レートは市場の需給関係によって自由に動くことができます。しかし、為替レートが変動幅の上限または下限に近づいた場合、その国の通貨当局と欧州中央銀行(ECB)は協調介入を行い、為替レートを安定させようとします。ERM2への参加は、ユーロ導入のための前提条件の一つとされており、参加国は少なくとも2年間、この制度のもとで為替レートの安定を維持することが求められます。これは、ユーロ圏に加盟するためには、その国の経済がユーロ圏の経済と十分に統合されていること、そして為替レートの変動がユーロ圏の金融安定を脅かさないことが重要だからです。ERM2への参加は、参加国にとってメリットとデメリットの両方があります。メリットとしては、為替レートの安定により、企業は海外との取引や投資のリスクを軽減できるようになり、また、インフレの抑制にもつながります。一方、デメリットとしては、自国の経済状況に合わせて金融政策を柔軟に調整することが難しくなるという点があります。