欧州経済共同体

経済の用語

EEC:ヨーロッパ統合の礎となった組織

- EECとは EECは、「ヨーロピアン・エコノミック・コミュニティー」の略称で、日本語では「欧州経済共同体」と訳されます。これは、1957年3月25日に調印されたローマ条約によって設立が決定され、翌1958年1月1日に発足しました。 EECの主な目的は、加盟国間における経済の統合と共通市場の形成です。これは、第二次世界大戦後のヨーロッパにおいて、国家間の経済的な結びつきを強化することで、戦争の惨禍を繰り返さないようにするという理念に基づいていました。 具体的には、加盟国間で関税や貿易制限を撤廃し、人、物、サービス、資本の自由な移動を実現することを目指しました。また、共通の農業政策や競争政策などを導入することで、経済統合を促進しようとしました。 EECは、その後の発展を経て、1993年に発足した欧州連合(EU)の礎となりました。EUは、経済統合にとどまらず、政治、外交、安全保障など、より幅広い分野での協力を目指す組織へと発展しています。
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メッシーナ宣言:ヨーロッパ統合への道筋

第二次世界大戦後、ヨーロッパは破壊と疲弊の中にありました。戦争を引き起こしたナショナリズムへの反省から、二度と悲劇を繰り返さないために、ヨーロッパの国々は手を取り合い、新たな協力の道を模索し始めたのです。 その動きを決定づけたのが、1951年に設立された欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)でした。これは、フランスとドイツという、長年対立関係にあった2国が中心となり、戦争に不可欠な石炭と鉄鋼という資源を共同管理することで、戦争の可能性を根本から断つという画期的な試みでした。 ECSCの成功は、ヨーロッパ諸国に新たな希望を与えました。人々は、国境を越えた協力が、平和と繁栄を実現するための鍵であることを実感したのです。そして、この成功は、単なる経済的な統合にとどまらず、政治、社会、文化など、あらゆる分野における統合を目指す、より大きな目標へと発展していくことになります。それは、まさに今日のヨーロッパ連合(EU)へと続く、壮大なヨーロッパ統合の道のりの第一歩となったのです。