取引の計上タイミング:約定基準とは?
- 売買取引の認識基準
企業活動においては、日々様々な取引が発生します。その中でも、有価証券や商品などの売買取引は、企業の業績に大きな影響を与えるため、その取引を会計帳簿にいつ計上するかは非常に重要となります。
この計上タイミングを決定する基準の一つに「約定基準」があります。約定基準とは、売買契約が成立した時点、つまり売買の約束がされた時点で、その取引を計上する基準です。例えば、A社がB社へ商品を100万円で販売する契約を締結した場合、実際に商品が引き渡され、代金が支払われていなくても、契約が成立した時点で、A社は100万円の売上を計上します。
約定基準を採用する主な理由は、取引の明確性と確実性を確保するためです。売買契約が成立した時点であれば、取引の内容や金額が明確に定まっているため、後から取引内容が変更されたり、取引自体がなかったことにされるリスクが低くなります。
しかし、約定基準はあくまで一つの基準であり、企業会計の原則や個別具体的な取引の内容によっては、他の基準が適用される場合もあります。重要なのは、企業が自社の事業内容や取引の実態に合った認識基準を選択し、一貫性を持って適用することです。