為替報告書:貿易摩擦の火種?
- 米国が監視?為替報告書とはアメリカ合衆国は、貿易相手国との間で公正な貿易が行われているかを常に監視しています。そのための重要なツールの一つが「為替報告書」です。これは、1988年に制定された通商法に基づき、アメリカ合衆国財務省が作成、議会に提出している報告書です。提出は年に2回、4月と10月に行われます。では、なぜアメリカは為替報告書を作成するのでしょうか?それは、貿易相手国が為替レートを不正に操作していないかを監視するためです。為替レートとは、異なる国の通貨を交換する際の比率のことです。このレートが不当に操作されると、輸出入の価格が不自然に変動し、公正な貿易が阻害される可能性があります。 例えば、ある国が自国通貨の価値を意図的に安く抑えたとします。すると、その国の製品は国際市場で割安に販売され、輸出が有利になります。逆に、輸入品は割高になるため、貿易相手国にとっては不利な状況が生じます。このような為替操作を監視し、是正を求めるために、アメリカは為替報告書を用いて、貿易相手国の為替政策を評価しているのです。