ヨーロッパ統合の礎? 欧州通貨制度とは
1970年代、世界経済は、それまでの固定相場制から変動相場制への移行や、二度にわたるオイルショックなど、大きな変化の波に翻弄されていました。ヨーロッパの国々は、貿易や経済活動において、通貨の変動がもたらす不安定な状況を避けることが、経済の安定と成長には不可欠であると考えるようになりました。
こうした背景から、1979年3月、イギリスを除く8つのEC(欧州共同体)加盟国が参加し、欧州通貨制度(EMS)がスタートしました。 EMSの大きな目的は、加盟国間の為替レートの変動幅を一定の範囲内に収めることで通貨の安定を図り、ひいてはヨーロッパ経済全体の統合を促進することにありました。これは、変動相場制の元で、為替レートの乱高下が経済活動に悪影響を及ぼすことを懸念したヨーロッパ諸国が、共同で通貨の安定を図るという、当時としては画期的な試みでした。