独占

経済の用語

少数支配の経済:寡占市場を理解する

私たちが日々商品を売買する場所は「市場」と呼ばれますが、この市場を少数の企業や個人が支配している場合があります。これを「寡占」と呼びます。 寡占市場では、商品やサービスを提供する側が限られているため、市場における競争が制限されがちです。例えば、ある地域にガソリンスタンドが数社しかないとします。すると、各ガソリンスタンドは他のスタンドの動きを気にしながら価格を設定します。極端に安い価格で販売すれば顧客を多く獲得できますが、他のスタンドも追随して値下げを始めると、結局どこも利益を得にくくなってしまいます。このように、寡占状態では企業間の価格競争が起こりにくく、消費者は本来よりも高い価格で購入させられる可能性があります。 また、寡占状態は、新規参入を阻害する要因にもなり得ます。なぜなら、すでに市場を支配している巨大企業は、豊富な資金力や強力なブランド力を駆使して、新規参入企業の成長を妨げようとする可能性があるからです。 スマートフォン向けの基本ソフトを例に考えてみましょう。もしも、数社しか基本ソフトを提供していなければ、新しい企業が参入して独自のソフトを開発・販売することは容易ではありません。なぜなら、すでに市場を席巻している企業が、多額の開発費や広告費を投入して競争をしかけてくる可能性があるからです。 このように、寡占は、消費者の選択肢を狭め、市場における健全な競争を阻害する可能性を孕んでいます。そのため、公正取引委員会などの機関が、寡占状態を監視し、競争を促進するための対策を講じています。