経済統計

経済の用語

帰属計算:GDPをより正確に測る

- 帰属計算とは何か私たちの国の経済活動の規模を示す重要な指標として、国内総生産(GDP)があります。これは、国内で一定期間内に新たに生み出されたモノやサービスの付加価値の合計値を測るものです。しかし、GDPは市場で取引されるモノやサービスのみを対象としているため、実際には市場で取引されていないものについては、その価値を適切に反映することができません。例えば、家事や育児、ボランティア活動などは、経済活動としてGDPに計上されません。そこで登場するのが「帰属計算」という考え方です。帰属計算とは、市場で取引されていない財やサービスに対しても、もし市場で取引されていたとしたらどれくらいの価格で取引されるのかを推計し、GDPに含める計算方法です。例えば、自宅で家事や育児を行っている場合、家政婦を雇用した場合にかかるであろう費用を推計し、GDPに含めるという方法が考えられます。帰属計算を行うことによって、GDPに今まで含まれていなかった家事労働やボランティア活動などの価値を反映させることができ、より実態に近い経済活動の規模を把握することが可能となります。これにより、経済政策の立案や評価をより的確に行うことができるようになることが期待されます。
指標

知っておきたい「基準年」のこと

- 経済指標を読み解く鍵毎日のニュースや経済レポートで、「消費者物価指数」や「GDP成長率」といった言葉を耳にする機会も多いのではないでしょうか。 これらの経済指標は、私たちの暮らし向きや社会全体の動向を把握する上で欠かせない情報源となります。そして、これらの指標を正しく理解するために非常に重要なのが「基準年」という概念です。経済指標は、ある時点の経済状況を数値で表したものです。しかし、その数値だけを見ても、それが良いのか悪いのか、変化が大きいのか小さいのかを判断することはできません。そこで重要になるのが比較対象です。例えば、ある年のりんごの価格が1個150円だったとします。この150円という数字だけでは、りんごの価格が高いのか安いのか判断できませんよね。しかし、もし前の年が1個100円だったとしたら、りんごの価格は大きく値上がりしたと判断できます。経済指標を理解する上でも、このように比較対象となる過去のデータが欠かせません。そして、その比較対象となる年のことを「基準年」と呼びます。基準年は、経済指標の種類や国によって異なりますが、多くの場合、数年ごとに変更されます。基準年を理解することは、経済指標の変化を正しく捉え、経済の現状を把握するために非常に大切です。基準年を意識することで、経済指標が私たちに伝えようとしているメッセージをより深く理解できるようになるでしょう。
経済の用語

経済の構造を明らかにする:レオンチェフ表

- レオンチェフ表で経済活動を読み解くレオンチェフ表とは、ある国の経済活動を、産業間のモノやサービスのやり取りに焦点を当てて、詳細にまとめた統計表のことです。別名として、産業連関表、投入・産出表、IO表などとも呼ばれます。 この表は、それぞれの産業が、他の産業からどれだけの原材料やサービスを調達しているか(投入)と、自らの生産物を他の産業や最終需要(消費者や政府など)にどれだけ供給しているか(産出)を、一覧で確認できるように整理されています。例えば、自動車産業を例に考えてみましょう。レオンチェフ表を見れば、自動車産業が鉄鋼産業からどれだけの鉄鋼を仕入れ、機械産業からはどれだけの部品を購入しているのかが分かります。さらに、完成した自動車が、個人消費者に販売されたのか、あるいは他の産業(例えば、運輸業)に販売されたのかといった情報も、この表から読み解くことができます。このように、レオンチェフ表は、経済活動における産業間の複雑なネットワークを分析するためのツールとして、非常に重要な役割を担っています。 具体的には、ある産業の変化が他の産業にどのような影響を与えるかを予測したり、政府が政策の効果を分析する際などにも活用されています。複雑な経済の仕組みを理解する上で、レオンチェフ表は欠かせない存在と言えるでしょう。