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経済学の二大巨頭:古典学派 vs ケインズ学派

- マクロ経済学の二大潮流マクロ経済学は、森全体を見るように、経済全体を一つのまとまりとして捉え、その動きを分析する学問です。経済の成長や失業、物価など、私たちの生活に密接に関わる問題を扱うため、非常に重要な分野と言えるでしょう。そして、この広大なマクロ経済学の世界には、大きく分けて二つの大きな潮流が存在します。一つは、18世紀後半に活躍した経済学者アダム・スミスに端を発する古典学派です。古典学派は、「神の見えざる手」という言葉で表されるように、市場メカニズムが働くことで、経済は自然と均衡状態に向かうと考えます。彼らは、政府による介入は市場メカニズムを阻害し、かえって経済を不安定にするため、最小限にとどめるべきだと主張しました。一方、20世紀初頭にイギリスの経済学者ジョン・メイナード・ケインズによって提唱されたのがケインズ学派です。彼らは、世界恐慌による大不況を経験し、市場メカニズムは必ずしも完全ではなく、経済が不況に陥り、人々が苦境に陥ることもあると主張しました。そして、このような時には、政府が積極的に財政政策や金融政策を行い、需要を創出することで、経済を安定化させるべきだとしました。このように、古典学派とケインズ学派は、経済の仕組みや政府の役割について全く異なる見解を持っています。現代のマクロ経済学は、これらの学派の考え方を基礎としつつ、世界経済の変動や新たな経済現象を説明できるよう、日々進化を続けているのです。
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経済を動かす需要の力:ケインズモデル入門

- 需要が供給を創造する経済学の世界では、昔から物の供給が需要を決めると考えられてきました。しかし、20世紀初頭にイギリスの経済学者ケインズは、従来の考え方とは全く異なる理論を提唱しました。それが「需要が供給を創造する」という考え方が根幹にあるケインズモデルです。ケインズ以前は、モノがどれだけ作れるか、つまり供給がどれくらいできるかが経済活動の中心でした。モノが豊富にあれば、人々はそれを求めて購入し、経済は活性化すると考えられていたのです。しかし、ケインズは人々の需要、つまりモノやサービスを欲しいと考える気持ちが、生産活動や雇用を生み出す原動力になると主張しました。例えば、人々が新しい服をたくさん欲しいと考えるならば、企業はそれに応えるために工場を稼働させ、従業員を雇い、より多くの服を生産します。そして、生産が増えれば、人々の所得も増加し、更なる需要を生み出す好循環が生まれます。このように、人々の需要が経済全体を動かすエンジンの役割を果たすというのが、ケインズの考え方です。ケインズモデルは、世界恐慌後の不況からの脱却に大きく貢献したとされ、現代の経済政策にも大きな影響を与えています。しかし、需要が過剰になってインフレーションを引き起こす可能性も孕んでいるため、需要と供給のバランスを保つことが重要です。
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国民所得:市場の力とその決定要因

私たちが日々行っている経済活動の中心には、需要と供給の関係によって価格が決まり、資源が配分される「市場メカニズム」が存在します。 この市場メカニズムがうまく機能すれば、生産者は人々が本当に必要とするモノやサービスを必要なだけ作り出し、スムーズに消費者に届けることができます。 その結果、経済全体が活性化し、私たちが受け取る給与や配当といった所得が増え、国民全体の所得水準が向上すると考えられます。 これは、19世紀の経済学者であるジャン=バティスト・セイが提唱した「セイの法則」に基づく考え方です。 セイの法則は、「供給が自ら需要を生み出す」という法則です。 つまり、企業は売れないものを大量に作ることはなく、生産されたものはすべて誰かが購入する、という前提に立っています。 この考え方に基づけば、企業が積極的に生産活動を行い、より多くのモノやサービスが市場に供給されれば、人々の所得もそれに応じて増加していくと考えられます。