景気予測に役立つ?遅行系列を解説
経済の状況を把握するには、様々な経済指標を参考にします。これらの指標は、景気の変化に対してどのように反応するかによって、先行系列指標、一致系列指標、遅行系列指標の3つに分類されます。先行系列指標は景気の動きに先駆けて変化する指標、一致系列指標は景気の動きとほぼ同時に変化する指標ですが、遅行系列指標は景気の動きに遅れて反応を示す指標のことを指します。
例えば、景気が後退局面に入ると、企業は将来の見通しに不安を感じ、設備投資や新規雇用を抑制するようになります。しかし、企業は、景気後退の兆候が見られたとしても、すぐに従業員の解雇に踏み切るとは限りません。なぜなら、従業員の解雇には多額の費用がかかるだけでなく、企業の評判を傷つけ、将来的な人材確保を難しくする可能性もあるからです。そのため、企業は、景気後退が一時的なものであるのか、それとも長期的なものになるのかを見極めようとするため、完全失業率は景気後退が始まってからしばらく経ってから上昇することがあります。
このように、遅行系列指標は、景気の変化が人々の心理や企業の行動に影響を与え、それが現実の経済活動に反映されるまでの時間差を反映しています。そのため、遅行系列指標は「景気の確認指標」とも呼ばれ、景気の方向性を確認するために役立ちます。