厚生年金基金の「期ずれ」解消:より正確な財政状況把握へ
- 厚生年金基金における「期ずれ」とは厚生年金基金は、加入者が将来受け取る年金を確実に支払うために、あらかじめ資金を積み立てておく必要があります。この積み立てが必要となる資金のことを最低責任準備金と言います。年金基金は、将来の年金支払いに備え、この最低責任準備金を常に適切な水準に保たなければなりません。しかし、過去において、この最低責任準備金の計算方法に「期ずれ」という問題が存在していました。最低責任準備金を計算する際には、年金基金の運用利回りを考慮する必要があります。ところが、従来の計算方法では、実際の運用実績よりも1年9か月も前の古いデータを使用していました。例えば、平成25年度の最低責任準備金を計算する際に、平成23年度の運用利回りの確定値を用いていたのです。年金運用の収益は、株式や債券などの市場の状況に大きく左右されます。経済状況は常に変化するため、1年9か月も前の古いデータを使用すると、計算された最低責任準備金と、実際の運用状況との間に大きな差が生じる可能性がありました。この「期ずれ」が問題視された結果、現在ではより最新の情報に基づいた計算方法が採用されるようになっています。これにより、年金基金の財政状況をより正確に把握し、将来の年金給付をより確実なものとするための取り組みが進められています。