「け」

FX

FXの現受け・現渡しとは?仕組みとメリット・デメリットを解説

外国為替保証金取引、いわゆるFXでは、円やドルなどの通貨を売買することで利益を狙います。この取引で発生する決済には、大きく分けて二つの方法があります。 一つは「差金決済」と呼ばれる方法です。これは、取引で生じた利益や損失の金額のみを、自分の口座と証券会社の間でやり取りする方法です。例えば、1ドル100円の時に1万ドル買って、その後1ドル110円になった時に売却した場合、10万円の利益が出ますが、差金決済ではこの10万円だけを受け取ります。FX取引では、この差金決済が一般的によく利用されています。 もう一つは「現物決済」と呼ばれる方法です。この方法は、実際に通貨を売買する際に、その通貨そのものを受け渡しする方法です。この現物決済には、「現受け」と「現渡し」の二つがあります。 「現受け」は、購入した外貨を実際に受け取ることを指します。例えば、旅行前に円をドルに両替する場合などがこれに当たります。一方、「現渡し」は、売却した外貨を実際に渡すことを指します。海外旅行から帰国し、余った外貨を円に戻す場合などがこれに当たります。 このように、FXには差金決済と現物決済の二つの決済方法があり、現物決済には現受けと現渡しがあります。FX取引を行う際には、それぞれの決済方法の特徴を理解しておくことが重要です。
経済の用語

現代投資理論入門:リスクとリターンの最適化

- 現代投資理論とは現代投資理論は、お金を増やすために欠かせない、リスクとリターンの関係を分析し、より効率的に投資を行うための理論です。1950年代にハリー・マコーヴィッツという経済学者によって提唱され、今日の金融の基礎となる重要な理論として広く知られています。従来の投資では、どれだけ大きな利益を得られるかに焦点が当てられていました。しかし、現代投資理論では、高い利益だけを目指すのではなく、リスクを適切におさえながら、長期的に資産を増やしていくことが重要だと考えます。たとえば、宝くじは当たれば大きな利益を得られますが、当たる確率は非常に低く、ほとんどの人は損をしてしまいます。一方、銀行預金は利益は少ないですが、元本が減るリスクは非常に低いです。このように、投資には必ずリスクが伴い、そのリスクとリターンのバランスを考えることが重要なのです。現代投資理論は、このリスクとリターンの関係を数学的に分析し、投資家一人ひとりのリスク許容度に応じた、最適な投資方法を提案します。具体的には、複数の資産を組み合わせることでリスクを分散させたり、投資期間を長期的に設定することでリスクを軽減したりする方法などが考えられます。現代投資理論は、投資信託や年金運用など、様々な金融商品やサービスに応用されており、現代の資産運用において欠かせない考え方と言えるでしょう。
株式投資

現地決済方式を解説~メリット・デメリット~

- 現地決済方式とは海外の市場で株式や債券といった証券に投資する場合、日本とは異なる商慣習や法律、制度に則って取引を行う必要があります。その際に、証券の売買や保管、決済を円滑に行うための方法の一つとして、「現地決済方式」と呼ばれる方法があります。では、現地決済方式とは具体的にどのような仕組みなのでしょうか。日本の投資家が海外の証券を購入する場合を例に考えてみましょう。投資家は、まず日本の証券会社に注文を出します。この注文を受けた証券会社は、海外の証券会社と取引を行うために、「カストディアン」と呼ばれる機関に指示を出します。カストディアンは、通常、信託銀行や銀行の子会社など、証券の保管や決済に関する専門的な知識とノウハウを持つ機関です。カストディアンは、投資家の代わりに、海外の証券会社と証券の売買を行い、取引が成立すると、現地の保管機関を通じて証券の受け渡しと代金の決済を行います。この際、証券は、日本の投資家の名前ではなく、カストディアンなどの名義で現地の保管機関に保管されることになります。このように、現地決済方式では、投資家に代わってカストディアンが、海外の証券会社や保管機関との間で、売買、決済、保管といった一連の業務を代行してくれるため、投資家は、海外の複雑な手続きや制度に直接関わることなく、スムーズに海外の証券に投資することができます。
投資信託

賢い資産運用!現物移管のメリットとは?

- 年金資産の移管方法退職金や企業年金など、長年かけて積み立ててきた大切な年金資産。これらの資産は、運用会社や信託銀行などの受託機関に移して管理するのが一般的です。この資産を移す際、従来は一度現金化した上で、新しい受託機関に移すという方法が主流でした。しかし、近年では「現物移管」という方法が注目されています。従来の現金化による移管では、一度資産を売却するため、その時の市場価格の影響を大きく受けます。もし、市場が低迷している時期に現金化を行うと、本来の価値よりも低い金額で売却せざるを得ない可能性も出てきます。また、売却のタイミングによっては、税金が発生するケースもあります。一方、現物移管は、資産を売却せずに、そのまま新しい受託機関に移す方法です。そのため、市場価格の影響を受けることなく、保有資産をそのまま移管できます。また、売却を行わないため、税金が発生する心配もありません。このように、現物移管は、市場リスクや税負担を抑えながら、年金資産を移管できる有効な手段と言えるでしょう。しかし、金融機関によっては対応していない場合もあるため、事前に確認が必要です。年金資産の移管を検討する際は、それぞれのメリット・デメリットを理解した上で、自身にとって最適な方法を選択することが重要です。
経済の用語

わかりやすい現物取引の解説

- 現物取引とは日々の生活で私たちが行っている商品の売買は、ほとんどが「現物取引」です。例えば、スーパーでトマトを購入する場面を想像してみてください。あなたはトマトを選び、レジでお金を支払い、トマトを受け取ります。この時、お金と商品の受け渡しがその場で行われていることがポイントです。これが現物取引の基本的な仕組みです。金融の世界でも、現物取引は広く行われています。株式投資を例に考えてみましょう。あなたが証券会社を通じてある会社の株式を購入する場合、証券会社は市場でその株式を取得し、あなたに引き渡します。同時に、あなたは証券会社に株式の購入代金を支払います。ここでも、株式と代金の受け渡しが同時に行われるため、現物取引に該当します。このように、現物取引は商品と代金の受け渡しを同時に行う取引方法であり、私たちの身近な生活から、金融の世界まで幅広く利用されています。
先物取引

先物取引と限月の関係

- 先物取引における限月とは 先物取引を行う上で、「限月」という言葉を避けて通ることはできません。株式投資のように、一度購入したら保有し続けるというわけにはいかないのが先物取引です。 では、一体「限月」とは何なのでしょうか? 簡単に言えば、「限月」とは、その先物取引の契約が満了となる月のことを指します。 例えば、「3月限月」という商品があるとします。これは、この先物取引の契約が3月の最終取引日で満了となることを意味します。つまり、3月の最終取引日を過ぎると、その契約は無効となってしまうのです。 株式投資などでは、一度購入すれば基本的に保有し続けることができます。しかし、先物取引ではそうはいきません。必ず期限が定められており、その期限が来れば、取引を継続するか、それとも決済するかの選択を迫られることになります。 この「限月」という概念をしっかりと理解しておくことが、先物取引を成功させるための第一歩と言えるでしょう。
経済の用語

分かりやすい?現金主義会計のメリット・デメリット

- 現金主義会計とは現金主義会計は、事業のお金の流れを把握するためのシンプルな方法です。 実際にお金が入ってきた時を収入、お金が出て行った時を支出として記録する ので、日々のお金の動きを把握しやすいという特徴があります。例えば、お店で商品を販売したとします。現金主義会計では、商品を売った日がたとえ月末であっても、お客様から代金を受け取った時点で収入として計上します。反対に、商品を仕入れた時は、請求書を受け取っただけでは支出とはならず、実際に仕入れ代金を支払った時点で支出として計上します。このように、現金主義会計は、現金の動きと会計処理が一致するため、分かりやすく、経理処理の負担も比較的軽いというメリットがあります。 特に、小規模事業者や個人事業主のように、日々の現金の動きを把握することが重要な場合に適しています。一方で、現金主義会計では、将来発生する収入や支出を把握することが難しいという側面もあります。例えば、掛売り販売のように、商品を販売した後に代金を回収する場合、実際の現金の入金よりも前に収入が発生していることになります。このように、現金の動きと実際の事業活動にタイムラグが発生するケースでは、正確な経営状況を把握するのが難しい場合があります。
株式投資

企業の体力強化!?減資のしくみとは

- 減資とは何か企業は、事業を始める際や事業を拡大する際に、必要な資金を元手として集めます。この元手を「資本金」と呼びます。資本金は、企業の活動の基盤となる重要な資金です。減資とは、この資本金の額を減らす手続きのことを指します。企業は、様々な理由で減資を実施します。例えば、過去の利益剰余金が積み上がっている場合、減資によって株主へ資金を還元することが可能です。また、事業規模の縮小や業績不振などにより、現状に見合った資本金に見直すことで、財務体質の健全化を図る場合があります。減資の手続きは、株主総会での特別決議など、法律で定められた手続きを踏む必要があります。減資を行う際には、企業は債権者保護の観点から、官報への公告や債権者への個別通知などを行う必要があります。減資は、企業にとって重要な経営戦略の一つと言えるでしょう。減資によって、企業は財務構造を改善し、株主への利益還元を強化することができます。しかし、その一方で、市場からの信用力低下や、将来の事業拡大に必要な資金調達に影響を与える可能性も考慮する必要があります。
その他

協会員への「譴責」とは?

- 譴責とは何か譴責とは、特定の団体や組織に所属する人が、その組織の倫理や規則に違反した場合に科される懲戒処分の一つです。例えば、会社の従業員が会社の規則に違反した場合や、公務員が法令に違反した場合などに、譴責処分が下されることがあります。譴責は、一般的に口頭または文書によって行われます。口頭の場合は、上司や責任者から直接注意を受けます。文書の場合は、譴責状などが交付されます。いずれの場合も、違反行為の内容とともに、今後の改善を求める言葉が伝えられます。譴責は、戒告や訓告といった言葉と同じ意味で使われることもあります。これらの言葉は、いずれも相手に反省を促すことを目的としています。ただし、組織によっては、譴責を訓告よりも重い処分として位置付けている場合もあるため、注意が必要です。譴責は、除名や資格停止といった重い処分と比較すると軽い処分に分類されます。しかし、譴責処分を受けたという事実は、その人の社会的信用や評判に影響を与える可能性があります。場合によっては、昇進や昇給に影響が出る可能性も否定できません。そのため、譴責処分を受けることは、本人にとって決して軽いことではありません。
その他

年金用語解説:原始数理債務とは?

- 厚生年金基金と債務企業が従業員の老後の生活を支えるために設ける年金制度には、大きく分けて確定給付型と確定拠出型があります。確定給付型の一つである厚生年金基金は、従業員が安心して長く働き続けられるように、退職後も一定の収入を保障することを目的としています。 この制度を運営していく上で、企業は従業員やその遺族に将来支給する年金原資を、計画的に準備しておく必要があります。将来支給すべき年金の合計額は、年金数理という専門的な計算方法を用いて算出されます。この金額のことを「数理債務」と呼びます。企業は、この数理債務を適切に管理することが、厚生年金基金制度を持続可能なものとするために非常に重要です。 数理債務は、将来の年金支給額だけでなく、加入者の年齢や性別構成、平均余命、運用利回りなどの要素を考慮して計算されます。そのため、これらの要素に変動があると、数理債務も変動することになります。企業は、定期的に数理計算を行い、数理債務の推移を把握する必要があります。もし数理債務が増加傾向にある場合は、掛金収入の増加や運用利回りの向上など、適切な対策を講じなければなりません。 厚生年金基金は、従業員の生活の安定と企業の成長を支える重要な役割を担っています。企業は、数理債務の管理を適切に行い、健全な財務状況を維持していくことが求められます。
税制

減額責任準備金相当額とは?

- はじめに近年、企業を取り巻く環境や年金制度の変化に伴い、企業年金基金の在り方も多様化しています。特に、自主解散型基金や清算型基金といった企業年金基金の解散が増加傾向にあることは、多くの企業にとって重要な関心事です。これらの基金が解散する際には、加入者や受給者に対して、それまで積み立ててきた年金を確実に支払う必要があります。この将来的な年金給付の支払いを保証するために積み立てられる資金が「責任準備金」です。今回は、この責任準備金に関連する「減額責任準備金相当額」について詳しく解説していきます。企業年金基金は、加入者や受給者に対する将来の給付を約束しており、その約束を確実に果たすために責任準備金を積み立てています。しかし、運用環境の悪化などにより責任準備金が不足する可能性も考えられます。このような場合に備え、企業は不足額を穴埋めするための資金を準備しておく必要があります。この、将来的な責任準備金の不足額を算出し、企業が事前に準備しておくべき資金のことを「減額責任準備金相当額」と呼びます。減額責任準備金相当額を把握しておくことは、企業年金基金の安定的な運営にとって非常に重要です。もし、減額責任準備金相当額が適切に積み立てられていない場合、企業は予期せぬ追加負担を強いられる可能性があります。
株式投資

権利落ちを理解して賢く投資

- 権利落ちとは 株式投資の世界では、「権利確定日」や「権利落ち日」といった言葉を耳にする機会があるでしょう。これは、企業が株主に対して利益を還元する「株主優待」や「配当金」、あるいは株式を分割する「株式分割」といったイベントと深く関わりのある、投資家にとって重要な概念です。 権利落ちとは、簡単に言うと、これらの株主にとってメリットのあるイベントを受ける権利がなくなってしまう日のことを指します。 例えば、企業が発表する株主優待の権利を得るためには、権利確定日と呼ばれる日の終わりまでにその企業の株式を保有している必要があります。しかし、権利確定日の翌営業日に設定されている権利落ち日が到来すると、たとえ権利確定日を超えていても、その日に株式を売却してしまうと、株主優待を受け取る権利は失効してしまいます。 これは配当金に関しても同様で、権利落ち日以降に株式を売却すると、権利確定日を過ぎていても配当金を受け取る権利はなくなってしまいます。 株式投資を行う上で、これらの日程は重要な意味を持つため、事前に確認しておくようにしましょう。
その他

企業年金と権利義務の移転・承継

- 企業年金制度の概要 企業年金制度とは、企業が従業員の退職後の生活を支えるために設ける年金制度のことです。従業員は、会社員として働いている期間中に、毎月一定額を積み立て、退職後にその積み立てをもとに年金を受け取ります。企業年金は、公的年金である国民年金や厚生年金に上乗せして支給されるため、より安定した老後生活を送るための備えとして重要な役割を担っています。 企業年金には、大きく分けて「確定給付型」と「確定拠出型」の二つの種類があります。 確定給付型は、将来受け取る年金額があらかじめ決まっているため、老後の生活設計が立てやすいというメリットがあります。しかし、企業側の負担が大きいため、近年では導入する企業が減少傾向にあります。 一方、確定拠出型は、従業員自身が毎月積み立てる掛け金や、その運用方法を決定します。運用成績次第で将来受け取れる年金額が変動するため、投資の知識が必要となる場合もあります。しかし、確定給付型に比べて企業側の負担が小さく、従業員にとっても自分の年金を自分で運用できるというメリットがあります。 企業年金制度は、企業によって内容が異なります。そのため、自分が加入している企業年金がどのような制度なのか、しっかりと理解しておくことが重要です。
FX

為替取引の基礎知識:気配値とは?

- 気配値通貨交換の価格 外国為替市場では、異なる国の通貨を交換する際に、その時の価格が常に変動しています。この変動する価格のことを「気配値」と呼びます。簡単に言うと、ある通貨を別の通貨で購入しようとする際の「値段」を表しているのです。 例えば、アメリカ旅行に行く際に、日本円をアメリカドルに両替するとします。この時、1ドルが110円だったとしましょう。この「110円」が、その時点でのドル円の気配値となります。つまり、1ドルを買うために110円を支払う必要があるということです。 気配値は常に変動しており、需要と供給の関係によって刻一刻と変化していきます。 需要が多い通貨は価格が上昇し、供給が多い通貨は価格が下落するのが基本です。為替ニュースなどで目にする「円高」「円安」といった言葉は、この気配値の変動を表しています。円高は円の価値が上がり、円安は円の価値が下がっている状態を指します。 気配値は、海外旅行や海外との取引など、外国の通貨を扱う際には必ず意識する必要がある重要な指標です。 為替相場の変動を理解し、有利なタイミングで通貨を交換できるよう、日頃から情報収集をしておくことが大切です。
その他

ヘッジファンドへの入り口、ゲートキーパーとは?

近年、高い収益を狙える個人や機関投資家を中心に、ヘッジファンドへの投資に関心を持つ人が増えています。しかし、ヘッジファンドは、一般的な投資信託と比較して、仕組みが複雑でリスクも高いという側面があります。そのため、専門知識がない人が安易に投資をすることは推奨できません。 そこで、ヘッジファンドへの投資を検討する際に、重要な役割を担うのが「ゲートキーパー」です。彼らは、ヘッジファンドの世界へ投資家を案内する案内役として、投資家とヘッジファンドの橋渡し役を担います。具体的には、ヘッジファンドの運用状況や戦略を分析し、投資家にとって適切なファンドを選定します。また、投資家に対しては、投資のリスクや期待リターンを分かりやすく説明する役割も担います。 ヘッジファンドへの投資は、高い収益の可能性を秘めている一方で、大きなリスクも伴います。そのため、投資を検討する際は、ゲートキーパーのような専門家の助言を得ながら、慎重に判断することが重要です。
経済の用語

ケインズ経済学:需要が経済を動かす

- ケインズ経済学とは20世紀を代表する経済学者の一人、ジョン・メイナード・ケインズによって提唱された経済理論が、ケインズ経済学です。1930年代、世界は未曾有の不況、世界恐慌に陥りました。人々は仕事を失い、企業は倒産し、経済は暗澹たる状況でした。従来の経済学では、この恐慌を説明することも、解決策を見出すこともできませんでした。そこで、ケインズは、従来の経済学の常識を覆す、新たな理論を打ち立てたのです。ケインズは、経済活動のレベル、つまりモノやサービスがどれだけ生産され、消費されるかは、生産能力ではなく、需要によって決定されると考えました。人々がモノやサービスを求める需要がなければ、企業は生産する意欲を失い、経済は停滞してしまいます。これが、ケインズ経済学の根幹をなす「有効需要の原理」です。この考え方は、当時の常識を覆すものでした。従来の経済学では、市場メカニズムが働けば、需要と供給は一致し、経済は常に完全雇用状態にあるとされていました。しかし、世界恐慌は、市場メカニズムが必ずしも機能するとは限らないことを証明したのです。ケインズは、政府が積極的に経済に介入することで、需要を創出し、経済を不況から脱却できると主張しました。具体的には、公共事業などを通じて、政府が支出を増やし、雇用を創出することで、需要を喚起するという方法です。ケインズ経済学は、世界恐慌後の資本主義経済に大きな影響を与え、多くの国で経済政策に採用されました。そして、現代の経済学においても、重要な理論の一つとして、その考え方は受け継がれています。
経済の用語

ケインズ経済学:政府の役割と有効需要

市場は、需要と供給の関係を通じて価格が決まる仕組みを持っていると考えられています。しかし、経済学者の中には、価格メカニズムが常に円滑に機能するとは限らないと考える人々がいます。 従来の経済学では、価格は需要と供給に応じて柔軟に変動し、両者を一致させると考えられてきました。例えば、ある商品に需要が集中して供給が不足した場合、価格は上昇し、需要を抑制すると同時に供給を増やすように働きかけるとされてきました。 しかし、ケインズ学派と呼ばれる経済学者たちは、現実の経済においては、価格が硬直的であり、需要と供給の不均衡は、価格調整ではなく、数量の調整によって解消される場合があると指摘しました。 例えば、物価の下落が遅延し、需要が供給を上回る状況が続くとします。このような状況下では、企業は商品の在庫を抱えることになります。在庫が増加し続けると、企業は生産量を減らし、雇用を削減することで需給のバランスをとろうとします。その結果、経済活動は縮小し、景気は後退に向かう可能性があります。 ケインズ学派は、このような状況を克服するために、政府が積極的に経済に介入し、需要を創出する必要があると主張しました。
経済の用語

経済学の二大巨頭:古典学派 vs ケインズ学派

- マクロ経済学の二大潮流マクロ経済学は、森全体を見るように、経済全体を一つのまとまりとして捉え、その動きを分析する学問です。経済の成長や失業、物価など、私たちの生活に密接に関わる問題を扱うため、非常に重要な分野と言えるでしょう。そして、この広大なマクロ経済学の世界には、大きく分けて二つの大きな潮流が存在します。一つは、18世紀後半に活躍した経済学者アダム・スミスに端を発する古典学派です。古典学派は、「神の見えざる手」という言葉で表されるように、市場メカニズムが働くことで、経済は自然と均衡状態に向かうと考えます。彼らは、政府による介入は市場メカニズムを阻害し、かえって経済を不安定にするため、最小限にとどめるべきだと主張しました。一方、20世紀初頭にイギリスの経済学者ジョン・メイナード・ケインズによって提唱されたのがケインズ学派です。彼らは、世界恐慌による大不況を経験し、市場メカニズムは必ずしも完全ではなく、経済が不況に陥り、人々が苦境に陥ることもあると主張しました。そして、このような時には、政府が積極的に財政政策や金融政策を行い、需要を創出することで、経済を安定化させるべきだとしました。このように、古典学派とケインズ学派は、経済の仕組みや政府の役割について全く異なる見解を持っています。現代のマクロ経済学は、これらの学派の考え方を基礎としつつ、世界経済の変動や新たな経済現象を説明できるよう、日々進化を続けているのです。
経済の用語

ケインズ革命:経済学を揺るがした巨匠の功績

20世紀初頭、世界は第一次世界大戦後の恐慌という未曾有の経済危機に直面していました。従来の経済学では、この危機を乗り越えるための有効な解決策を見出すことができませんでした。人々は、失業や貧困に苦しみ、社会不安が広がっていました。 このような時代背景の中、イギリスの経済学者ジョン・メイナード・ケインズは、従来の経済学の常識を覆す画期的な理論を提唱し、世界に衝撃を与えました。彼の理論は、「ケインズ革命」と称されるほど、後の経済学に多大な影響を与えました。 ケインズは、従来の経済学が重視してきた市場メカニズムの万能性を否定し、政府が積極的に経済に介入することの必要性を主張しました。具体的には、政府が公共事業などを通じて需要を創出し、雇用を拡大することで、経済を回復に導くことができると考えました。これは、当時の経済学の常識を根底から覆すものであり、大きな論争を巻き起こしました。 ケインズの理論は、世界恐慌からの脱出に大きく貢献し、その後の資本主義経済の運営に多大な影響を与えました。今日でも、彼の理論は経済政策の重要な基礎となっており、世界中の経済学者が彼の理論を研究し続けています。
経済の用語

経済を動かす需要の力:ケインズモデル入門

- 需要が供給を創造する経済学の世界では、昔から物の供給が需要を決めると考えられてきました。しかし、20世紀初頭にイギリスの経済学者ケインズは、従来の考え方とは全く異なる理論を提唱しました。それが「需要が供給を創造する」という考え方が根幹にあるケインズモデルです。ケインズ以前は、モノがどれだけ作れるか、つまり供給がどれくらいできるかが経済活動の中心でした。モノが豊富にあれば、人々はそれを求めて購入し、経済は活性化すると考えられていたのです。しかし、ケインズは人々の需要、つまりモノやサービスを欲しいと考える気持ちが、生産活動や雇用を生み出す原動力になると主張しました。例えば、人々が新しい服をたくさん欲しいと考えるならば、企業はそれに応えるために工場を稼働させ、従業員を雇い、より多くの服を生産します。そして、生産が増えれば、人々の所得も増加し、更なる需要を生み出す好循環が生まれます。このように、人々の需要が経済全体を動かすエンジンの役割を果たすというのが、ケインズの考え方です。ケインズモデルは、世界恐慌後の不況からの脱却に大きく貢献したとされ、現代の経済政策にも大きな影響を与えています。しかし、需要が過剰になってインフレーションを引き起こす可能性も孕んでいるため、需要と供給のバランスを保つことが重要です。
経済の用語

ケインズの経済理論:有効需要の原理

1929年、世界は未曾有の経済危機に直面しました。これが世界恐慌です。人々がこれまで経験したことのない規模で経済は混乱し、従来の経済学ではこの状況を十分に説明することができませんでした。仕事を求めてもどこにもなく、街には失業者の姿があふれていました。工場は稼働を停止し、物を作る力も衰えていきました。人々の生活は困窮し、希望を見出すことさえ難しい時代でした。 このような暗澹たる時代の中、一筋の光を灯すかのように現れたのが、イギリスの経済学者、ジョン・メイナード・ケインズでした。彼は、1936年に出版した『雇用・利子および貨幣の一般理論』の中で、従来の経済学の常識を覆す、全く新しい理論を提唱したのです。これがケインズ経済学の誕生であり、世界恐慌後の世界経済を大きく変えることになる革命的な出来事でした。ケインズは、不況の真の原因は、需要、つまりモノやサービスにお金を払って需要する力が不足していることにあると主張しました。そして、政府が積極的に経済に介入し、公共事業などを実施することで需要を創出し、経済を活性化させるべきだと説いたのです。彼の理論は、当時の経済学者たちの常識を打ち破るものでしたが、世界恐慌による深刻な不況を克服するための有効な手段として、世界中で広く受け入れられるようになりました。
経済の用語

ケインズの疑問:不況を克服する鍵

1929年、世界は未曾有の経済危機、「世界恐慌」に見舞われました。人々は職を失い、企業は次々と倒産、世界経済はどん底に突き落とされました。経済学の主流派であった古典派経済学は、この状況を前に理論的な説明を与えることができませんでした。 古典派経済学は、「市場メカニズム」こそが全てを解決すると考えていました。市場は常に正しく機能し、景気が悪化しても自動的に回復する、というのが彼らの主張でした。しかし実際には、市場メカニズムは機能せず、経済は長い間低迷を続けました。 世界恐慌は、古典派経済学の限界を露呈することとなりました。人々を苦境から救うためには、政府による積極的な介入が必要であるという考え方が、世界的に広がり始めたのです。
経済の用語

経済を動かす力とは?ケインズ経済学入門

20世紀を代表する経済学者の一人として、ジョン・メイナード・ケインズの名は世界中に知られています。1883年にイギリスで生まれた彼は、ケンブリッジ大学で経済学を学び、卒業後は母校の教壇に立ちました。彼の師であるアルフレッド・マーシャルもまた、経済学の発展に大きく貢献した、世界的に有名な経済学者です。 ケインズは、1929年に始まった世界恐慌をきっかけに、従来の経済学の考え方を大きく変える理論を提唱しました。それは、不況時に政府が積極的に公共事業などにお金を使うことで、需要を創造し、経済を活性化させるというものでした。この考え方は「ケインズ経済学」として知られ、世界恐慌からの脱却に大きく貢献したと言われています。 彼の代表的な著書である『雇用・利子および貨幣の一般理論』は、世界中の経済学者に大きな影響を与え、今日の経済政策にも影響を与え続けています。ケインズは、経済学という学問分野に革命をもたらしただけでなく、その理論は世界恐慌からの脱出に貢献し、多くの人々の生活を救いました。彼は、20世紀を代表する、最も影響力のある経済学者の一人と言えるでしょう。
FX

意外と知らない? 為替用語「ケーブル」の由来

投資の世界では、様々な専門用語が使われており、特に為替取引は独特の言い回しが多いことで知られています。初心者の方であれば、「ケーブル」という言葉を聞いても、何のことか見当もつかないのではないでしょうか。しかし、為替取引の世界では、「ケーブル」はごく当たり前に使われている言葉なのです。 「ケーブル」とは、具体的には英ポンドと米ドルの為替レートのことを指します。では、なぜ「ケーブル」と呼ばれるようになったのでしょうか?それは、19世紀半ばにまで遡ります。当時、イギリスとアメリカの間には、為替レートを伝えるための海底ケーブルが敷設されていました。このケーブルを通じて、英ポンドと米ドルの為替レートがリアルタイムで伝送されていたことから、「ケーブル」という言葉が、この通貨ペアのニックネームとして定着したと言われています。 現在では、インターネットの普及により、海底ケーブルを通じて為替レートが伝えられることはなくなりました。しかし、「ケーブル」という言葉は、現在でも英ポンド/米ドルの為替レートの代名詞として、世界中のトレーダーの間で広く使われています。為替取引の世界に触れる機会があれば、ぜひこの言葉の由来を思い出してみてください。