LTCM

経済の用語

世界を揺るがしたLTCMの破綻

- ヘッジファンドの雄、LTCMLTCMは、Long-Term Capital Managementの略称で、1994年にアメリカで設立された、当時最大規模のヘッジファンドでした。その設立メンバーは、ノーベル経済学賞を受賞したマイロン・ショールズやロバート・マートンといった、金融理論の第一人者を含む、そうそうたる顔ぶれでした。彼らは、高度な数理モデルを用いた複雑な投資戦略によって、市場のわずかな歪みを捉え、巨額の利益を上げることを目指しました。設立当初、LTCMはその輝かしい実績によって、まさに「錬金術師」と称されるほどの成功を収めました。年率40%を超える驚異的な運用成績は、世界中の投資家を魅了し、LTCMには巨額の資金が集まりました。ところが、その成功は長くは続きませんでした。1997年のアジア通貨危機を皮切りに、世界経済は大きく揺らぎ始めます。そして、1998年のロシア金融危機をきっかけとして、LTCMの運用は破綻状態に陥りました。彼らが駆使していた複雑な金融モデルは、想定外の事態に対して脆弱であり、巨額の損失を生み出す結果となってしまったのです。LTCMの破綻は、金融市場全体に大きな衝撃を与え、世界経済を揺るがすほどの危機に発展しました。この事件は、いかに優れた頭脳と高度な理論を駆使したとしても、市場リスクを完全に予測し、制御することは不可能であるということを、改めて世界に知らしめることとなりました。